【第60回 気象予報士試験 実技2】問3を徹底解説|衛星画像・逆転層・温度移流・台風経路解析

こんにちは!今回は第60回 気象予報士試験 実技2 問3を解説します!

今回の問3では、

  • 衛星画像からの対流雲解析
  • 鉛直風シアと対流雲偏在
  • エマグラムによる逆転層判定
  • 暖気移流・寒気移流
  • 停滞前線の解析
  • 風向変化からの台風経路推定
  • 突風率・降水量計算

など、実技試験の頻出テーマが大量に含まれています。

特に、 「風向が時計回りか反時計回りか」で台風経路の左右を判定する問題 は超頻出です。

実技試験記述5型

基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)

  • 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
  • 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
  • メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
  • リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
  • 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」

■ 問3(1) 台風周辺の対流雲分布の変化

問題の要点

12時間前と比較して、台風中心付近の対流雲分布がどのように変化したかを説明する問題です。

模範解答

雲頂高度の高い対流雲が台風中心のやや東側にまとまった。

◇ 解説

6月16日9時の衛星赤外画像を見ると、台風中心付近の対流雲分布が12時間前から変化しています。

特に、

雲頂高度の高い対流雲

が、台風中心の東側に集中しています。

これは、台風が北上して中緯度の強い偏西風帯へ近づき、

鉛直風シア

の影響を受けたためです。

鉛直風シアが強くなると、積乱雲が台風中心から下流側へ流され、対流活動が一方向へ偏在しやすくなります。

記述式解答のポイント:時間変化型

どこで:台風中心のやや東側で

いつ:12時間前と比較して

なぜ:鉛直風シアの影響を受けたため

何が起きている:雲頂高度の高い対流雲がまとまった

超重要

衛星赤外画像では、

  • 白く明るい雲 → 雲頂高度が高い
  • 暗い雲 → 雲頂高度が低い

を意味します。

「高い雲頂=強い対流」と結びつけて読めるようにしましょう。

■ 問3(2) エマグラムによる逆転層と温度移流の解析

問題の要点

名瀬のエマグラムから、逆転層の高度と暖気移流・寒気移流を判定する問題です。

模範解答


下の逆転層の上端高度:900hPa
移流の種類:暖気移流

上の逆転層の上端高度:350hPa
移流の種類:寒気移流


750〜550hPa層:温度移流はほとんどなし
550〜450hPa層:東に暖気が移流している

◇ 解説

逆転層の判定

エマグラムでは、気温が高度とともに上昇する層を

逆転層

といいます。

今回のエマグラムでは、

  • 900hPa付近
  • 350hPa付近

に逆転層があります。

暖気移流・寒気移流の判定方法

風向が高度とともに

  • 時計回り → 暖気移流
  • 反時計回り → 寒気移流

となります。

900hPa付近では、風向が時計回りに変化しているため、

暖気移流

です。

一方、350hPa付近では反時計回りに変化しているため、

寒気移流

と判断します。

受験生が超つまずくポイント

「時計回り=暖気移流」

「反時計回り=寒気移流」

は超頻出です。

エマグラム問題では毎回確認しましょう。

750〜550hPa層

この層では風向変化がほとんどありません。

したがって、

温度移流はほとんどなし

と判断します。

550〜450hPa層

この層では、風向が高度とともに時計回りに変化しています。

そのため、

暖気移流

です。

問題では「東に暖気が移流している」と表現します。

■ 問3(2)まとめ

  • 900hPa逆転層 → 暖気移流
  • 350hPa逆転層 → 寒気移流
  • 時計回り → 暖気移流
  • 反時計回り → 寒気移流
  • 750〜550hPa層では温度移流ほぼなし
  • 550〜450hPa層では暖気移流

■ 問3(3) 停滞前線の解析

問題の要点

850hPa相当温位分布・風向シアから、寒冷前線と停滞前線を解析する問題です。

模範解答

(前線解析図を作図)

◇ 解説

この図で確認するポイント

  • 等相当温位線の密集帯
  • 風向の急変帯
  • 寒冷前線と停滞前線の接続
第60回実技2問3 前線解析

850hPa等相当温位線を見ると、高相当温位域と低相当温位域の境界が明瞭です。

また、その境界付近では風向シアも強くなっています。

そのため、

  • 低気圧から南西方向へ伸びる部分 → 寒冷前線
  • さらに西へ延びる部分 → 停滞前線

として解析します。

前線解析の基本

前線は、

  • 等相当温位線の密集帯
  • 風向シア
  • 風の収束帯

を組み合わせて解析します。

「気圧の谷だけ」で前線を引かないように注意しましょう。

■ 問3(4) 台風経路と時系列解析

問題の要点

風向・気圧・風速・降水量の時系列から、台風経路・移動速度・突風率などを求める問題です。

模範解答

c


風向:粟国は風向が反時計回りの変化で経路の左側、久米島と名護は時計回りの変化で経路の右側と推定されるため。
気圧:名護は久米島より最低気圧が低く、台風がより近くを通過したと推定されるため。

40km/h

東20km付近

80km

1.5

100mm

◇ 解説

① 台風経路の判定

台風経路問題では、

風向変化

が最重要です。

一般に、

  • 進路右側 → 風向が時計回り
  • 進路左側 → 風向が反時計回り

となります。

今回、

  • 粟国 → 反時計回り
  • 久米島・名護 → 時計回り

となっているため、

経路C

が正解です。

超頻出ルール

台風経路問題では、

  • 右側 → 時計回り
  • 左側 → 反時計回り

を最優先で確認します。

③ 台風移動速度

久米島〜名護間の距離は120kmです。

最接近時刻の差は約3時間です。

したがって、

120 ÷ 3 ≒ 40km/h

となります。

④ 9時の中心位置

久米島最接近から30分後なので、

40km/h × 0.5h = 20km

移動しています。

進行方向は東寄りなので、

東20km付近

となります。

⑤ 名護からの距離

台風は久米島通過後に名護へ接近します。

時刻差と移動速度から計算すると、

約80km

です。

⑥ 突風率

突風率は、

最大瞬間風速 ÷ 平均風速

で求めます。

今回は、

24 ÷ 15.5 ≒ 1.5

です。

⑦ 1時間降水量

最大降水となった1時間の10分降水量を合計します。

合計すると、

100mm

となります。

■ 問3 全体まとめ

  • 高い対流雲は台風中心東側へ偏在
  • 鉛直風シアで対流雲が偏る
  • 時計回り → 暖気移流
  • 反時計回り → 寒気移流
  • 前線解析は等相当温位線と風向シアで行う
  • 台風経路問題では風向変化が超重要
  • 右側 → 時計回り、左側 → 反時計回り
  • 突風率=最大瞬間風速÷平均風速

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第60回 気象予報士試験 実技2 問3の解説でした!

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