【第60回 気象予報士試験 実技2】問2を徹底解説|台風の温帯低気圧化・乾燥域・相当温位・メソモデル
こんにちは!今回は第60回 気象予報士試験 実技2 問2を解説します!
今回の問2では、
- 台風の中心気圧変化
- 700hPa乾湿分布の変化
- 850hPa高相当温位域の形状変化
- 台風中心の鉛直方向の傾き
- 温帯低気圧化の判断
- 全球モデルとメソモデルの違い
など、台風が温帯低気圧化していく過程を読み取る問題です。
特に、 乾燥域の侵入=温帯低気圧化のサイン という視点が重要です。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問2(1) 12時間後から36時間後にかけての台風の変化
問題の要点
図5〜図8を比較し、12時間後から36時間後にかけての台風の中心気圧、乾湿分布、高相当温位域、中心の傾き、気温分布の変化を読み取る問題です。
模範解答
①
Ⓐ 0hPa
Ⓑ 台風中心からみて南西側では乾燥域が広がり、北東側は全体が湿潤域となる。
Ⓒ 楕円形から円に近い形に変化している。
②
Ⓓ 南東(東)
Ⓔ ほぼ同じ
Ⓕ 中心のわずかに南西付近に極大があり、そこからの温度傾度はゆるやかである。
◇ 解説
Ⓐ 中心気圧の変化量
図5の12時間後予想図と、図7の36時間後予想図を比較します。
台風の中心気圧は、どちらもほぼ同じです。
そのため、12時間後から36時間後にかけての中心気圧変化量は、
0hPa
となります。
つまずきポイント
中心気圧の変化量は、
36時間後 − 12時間後
で考えます。
「低くなったか・高くなったか」だけでなく、符号と差を確認しましょう。
Ⓑ 700hPa乾湿分布の変化
図6上段と図8上段の700hPa湿数分布を比較します。
12時間後には台風中心付近から北東側・南西側に湿潤域が広がっています。
一方、36時間後には、台風中心の南西側で乾燥域が広がっています。
北東側は全体として湿潤域になっています。
したがって、
南西側で乾燥域が広がり、北東側は湿潤域
とまとめます。
記述式解答のポイント:時間変化型
どこで:台風中心の南西側・北東側で
いつ:12時間後から36時間後にかけて
何が起きている:南西側で乾燥域が広がり、北東側は湿潤域となる
超重要
温帯低気圧化では、台風の西〜南西側から乾燥空気が入り込み、対称性が崩れていきます。
この「乾燥域の侵入」は、温帯低気圧化を判断する重要なサインです。
Ⓒ 850hPa高相当温位域の形状変化
図6下段と図8下段の850hPa相当温位分布を比較します。
12時間後の高相当温位域はやや楕円形です。
36時間後には、より円に近い形へ変化しています。
したがって、
楕円形から円に近い形に変化
と答えます。
Ⓓ 台風中心の鉛直方向からの傾き
36時間後について、地上の台風中心と500hPaの中心位置を比較します。
500hPa中心は、地上中心から見て南東側にずれています。
そのため、台風中心の鉛直方向からの傾きは、
南東
です。
許容として「東」も認められます。
つまずきポイント
「地上中心から見て、500hPa中心がどちらにあるか」を答えます。
逆向きに読まないように注意しましょう。
Ⓔ 850hPa相当温位極大の位置
36時間後の850hPa相当温位分布を見ると、相当温位の極大は地上の台風中心とほぼ同じ位置にあります。
問題文では、50km以内であれば「ほぼ同じ」と答える条件です。
したがって、
ほぼ同じ
となります。
Ⓕ 500hPa気温分布と温度傾度
36時間後の500hPa気温分布を見ると、中心のわずかに南西付近に気温の極大があります。
また、その周辺の等温線間隔は広く、温度傾度はゆるやかです。
したがって、
中心付近に極大があり、温度傾度はゆるやか
とまとめます。
■ 問2(1)まとめ
- 中心気圧変化量は0hPa
- 南西側で乾燥域が広がる
- 北東側は湿潤域
- 高相当温位域は楕円形から円に近い形へ
- 500hPa中心は地上中心の南東側
- 相当温位極大は地上中心とほぼ同じ
- 500hPaでは中心付近に気温極大、温度傾度は緩やか
■ 問2(2) 温帯低気圧化の特徴といえるもの
問題の要点
問2(1)の各解答のうち、台風が温帯低気圧へ変化するときにみられる特徴と判断できるものを選ぶ問題です。
模範解答
ⓑ
◇ 解説
温帯低気圧化とは、台風が暖気核を持つ対称的な構造から、前線を伴う非対称な構造へ変化していく過程です。
その過程では、
- 乾燥空気の流入
- 温度場・湿度場の非対称化
- 中心の鉛直方向のずれ
- 前線性の強まり
などが見られます。
今回、温帯低気圧化の特徴として最も明確なのは、
南西側で乾燥域が広がること
です。
これは、台風の西〜南西側から乾燥空気が入り込み、台風の対称構造が崩れていることを示します。
したがって、該当するのはⓑです。
受験生が混乱しやすいポイント
「中心気圧が変わらない」「高相当温位域が円形に近づく」ことは、今回の資料上の変化ではありますが、温帯低気圧化の代表的な特徴とは言いにくいです。
温帯低気圧化の判断では、まず
乾燥域の侵入・非対称化
を確認しましょう。
■ 問2(3) 全球モデルとメソモデルの違い
問題の要点
台風中心付近の降水量予想と気圧場について、全球モデルとメソモデルの違いを比較する問題です。
模範解答
① メソモデルでは、台風中心の東側に強い降水域が南北方向に帯状にのびている。
② 中心気圧:低い/996hPa以下の領域の広さ:広い。
◇ 解説
① 降水量分布の違い
図5の全球モデルと図9のメソモデルを比較します。
全球モデルでは、台風中心付近の降水域は比較的なめらかに表現されています。
一方、メソモデルでは、台風中心の東側に、
南北方向にのびる強い降水域
が見られます。
これは、メソモデルの方が解像度が高く、台風周辺の雨帯や局地的な強雨をより細かく表現できるためです。
記述式解答のポイント:分布型
どこで:メソモデルの台風中心東側で
何が起きている:強い降水域が南北方向に帯状にのびている
② 中心気圧と996hPa以下の領域
図9のメソモデルでは、図5の全球モデルに比べて台風中心気圧が低く予想されています。
また、996hPa以下の領域も全球モデルより広く表現されています。
したがって、
- 中心気圧:低い
- 996hPa以下の領域:広い
と答えます。
つまずきポイント
メソモデルは、全球モデルより細かな現象を表現しやすいため、局地的な強雨域や台風中心付近の低圧部がより明瞭に出ることがあります。
「メソモデル=必ず正しい」ではありませんが、細かな構造の表現に強いという特徴は押さえておきましょう。
■ 問2 全体まとめ
- 12〜36時間後の中心気圧変化量は0hPa
- 700hPaでは南西側に乾燥域が広がる
- 乾燥域の侵入は温帯低気圧化のサイン
- 高相当温位域は楕円形から円に近い形へ変化
- 36時間後の500hPa中心は地上中心の南東側
- 温帯低気圧化の特徴として選ぶのはⓑ
- メソモデルでは中心東側に南北方向の強い降水帯が出る
- メソモデルは中心気圧が低く、996hPa以下の領域も広い
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第60回 気象予報士試験 実技2 問2の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
