こんにちは!今回は気象予報士試験 第60回 実技2 問3を解説します!

記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。

実技試験記述5型

基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)

  • 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
  • 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
  • メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
  • リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
  • 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」

こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾

◇模範解答
雲頂高度の高い対流雲が台風中心のやや東側にまとまった。

◇解説
6月16日9時の気象衛星画像によると、台風中心付近の対流雲の分布が12時間前から変化し、雲頂高度の高い対流雲(真っ白な高い雲)が台風中心の東側に集中しています。これは台風が北上して中緯度の強い風に遭遇し、垂直 wind shear(鉛直風シア)の影響で積乱雲が中心の東側(下流側)へ移動・偏在したためと考えられます。つまり、「台風中心のやや東側に、高い雲頂を持つ対流雲が集中して分布する状態になった」と時間変化をとらえて説明します。このとき東側以外の領域では深い対流が減少しており、対流雲がまとまった(集中した)場所は台風中心の東側になります。「まとまった」という表現は過去の試験解答で頻出の表現であり、雲域が一箇所に集中的に現れた状況を示しています。

記述式解答のポイント:時間変化型
どこで・いつ: 台風中心のやや東側
なぜ: 台風が北上して中緯度の強い風に遭遇し、垂直 wind shear(鉛直風シア)の影響で積乱雲が中心の東側(下流側)へ移動・偏在したため
何が起きている:高い雲頂を持つ対流雲が集中して分布する状態になった

◇模範解答
① 下の逆転層の上端高度:900 hPa、移流の種類:暖気移流
  上の逆転層の上端高度:350 hPa、移流の種類:寒気移流
② 750~550 hPa層:温度移流はほとんどなし
  550~450 hPa層:東に暖気が移流している

◇解説
図は名瀬のエマグラム(6月16日09時)で、気温(実線)と露点温度(破線)の鉛直分布を示しています。注目すべき特徴は2箇所の逆転層(気温の高度減率が正に転じる層)があることです。具体的には下層の約900 hPa付近上空約350 hPa付近に逆転層が見られます。これらの高度では露点温度が急上昇し、その上下の層で湿潤域(湿数が小さい=気温と露点の差が小さい層)が形成されていることから、前線面に対応した逆転層と判断できます。

900 hPa付近の逆転層では、風向に着目すると下の空気より上の空気の風向が時計回り(南東寄りから南西寄りなど)に変化しています。風向が高度とともに時計回りに変化する場合、その高度では暖気移流(暖かい空気が流入)が起きていることを意味します。したがって900 hPaの逆転層は、下層に冷たい空気の上に暖かい空気が流れ込むことによって生じた逆転層、すなわち暖気移流による逆転層です。逆に上空350 hPa付近の逆転層では、風向が高度とともに反時計回りに変化しており、これは寒気移流を示唆します。従って350 hPaの逆転層は寒気移流による逆転層となります。

②指定された高度層での温度移動(暖・寒気移流)の有無を述べます。750~550 hPa層では風向に大きな変化がなく、風の鉛直シアがほとんど見られません。風向が一定ということは温度風の概念からこの層では顕著な暖気・寒気移流がない、すなわち「温度移流はほとんどなし」と判断できます。一方、550~450 hPa層では風向が南西流から北西流へと高度が上がるにつれて時計回りに変化しています。風の高度による時計回りの変化は暖気移流を意味し、さらに南西風から北西風への回転は暖かい空気が東側から西側へ流れ込む状況と対応します。つまり東から暖気が流入する暖気移流が550~450 hPa層で発生しています。以上をまとめ、①では下層900 hPaと上層350 hPaの逆転層の高度とそれぞれ暖気移流・寒気移流であること、②では750~550 hPa層は温度移流がほとんどなく、550~450 hPa層では東への暖気移流があることをそれぞれ記述します。


◇模範解答

◇解説
日本の東海上に中心気圧998 hPaの温帯低気圧があり、その低気圧に伴う寒冷前線が南西方向に伸びていました。この寒冷前線に連なる形で、西に延びる前線帯があります。850 hPa面の等相当温位線を見ると、高相当温位空気と低相当温位空気の強い境界(集中帯)の南縁に沿って明瞭な風向の変化(風のシア)が見られます。この線に沿って停滞前線を解析できます。問題文にも「低気圧に伴う寒冷前線とつながって西に延びる停滞前線」と記載されていることから、低気圧の寒冷前線の先端(東端)と停滞前線の東端が接続する形になります。具体的には、低気圧本体から南西に伸びる部分は寒冷前線、それに続いてさらに西へ延びる部分が停滞前線と判断できます。

停滞前線の位置決定には、前線面の傾斜高度情報も有用です。問3(2)で求めた名瀬の前線面高度が下端900 hPaだったことから、地上では名瀬の南側付近に前線が通過していると推定できます。また地上天気図上の気圧の谷の位置も参考になります。これらの情報を総合すると、日本付近において前線は低気圧から伸びて南西方向に延び、その後西向きに停滞前線として続く構造が導けます。試験ではこの推定位置に所定の記号(寒冷前線:実線に黒三角、停滞前線:実線に黒半円)で前線を作図します。作図の採点は、前線の位置・種類・長さがおおむね正確であるか、また問題で指定された描画範囲の端まで前線を引いているか(端点は箱の枠まで伸ばす)などがチェックされます。前線解析では等相当温位線の密集帯風向風速のシア(風の収束帯)を根拠にするのがセオリーで、今回もその典型パターンです。以上を踏まえ、低気圧に伴う寒冷前線と、西に延びる停滞前線を正しく描き込めば模範解答となります。


◇模範解答
① c
②風向:「粟国は風向が反時計回りの変化で経路の左側、久米島と名護は時計回りの変化で経路の右側と推定されるため。」
 気圧:「名護は久米島より最低気圧が低く、台風がより近くを通過したと推定されるため。」
③ 40(35) km/h
④ 東20km付近
⑤ 80(70)
⑥ 1.6(1.5)
⑦ 100mm

◇解説
①台風がどの経路を通ったかは、各地点の風向の変化傾向気圧の変化から推定できます。一般に、台風の進路の右側(進行方向に向かって右)では通過中に風向が時計回り(風向が南→西→北のように変化)進路の左側では反時計回り(風向が北→西→南…のように変化)となる特徴があります。これは台風周囲の風の渦と移動の合成効果によるものです。
図13の各地点の風向時系列を読むと、久米島と名護では台風通過中に風向が南東→南西→西→北西という具合に時計回りに変化しています。一方、粟国では通過と考えられる10時前後に風向が東北東→北→北西反時計回りに変化しています。つまり、粟国は台風の進路に対して左側、久米島と名護は右側に位置すると推定できます。経路候補の中で「粟国が北側(左側)で、久米島・名護が南側(右側)に当たる経路」はBかCに絞られます。
次に気圧に注目します。各地点の最低海面気圧の値を見ると、名護が990 hPaまで低下し、久米島よりも低い最低気圧を記録しています。これは台風が名護のほうにより接近したことを意味します。経路BとCの違いは台風が名護に接近するかどうかですので、名護により近い進路を選ぶと答えはCとなります。
要点をまとめると、「風向の変化:粟国は反時計回り→経路左側、久米島と名護は時計回り→経路右側」かつ「名護の最低気圧がより低い→名護寄りを通過」という根拠で経路Cを選択します。この選択肢Cが台風の実際の経路だったと考えられます。

風向に関する理由: 上述したとおり、各地点の風向変化パターンから台風の相対的位置が推定できます。粟国では風向が反時計回りに変化したため粟国は台風の進路左側久米島と名護では時計回りに変化したため両地点は進路右側に位置すると考えられます。この内容を一文でまとめます。
気圧に関する理由: 各地点の最低気圧の値を比較すると、名護の最低気圧が久米島より低くなっています。低気圧の中心に近いほど気圧は低くなるため、台風は名護のほうにより接近して通過したと推定できます。これを根拠として記述します。

③台風の移動速度はある距離を移動するのに要した時間から求められます。経路Cの場合、台風はまず久米島に接近し、その後名護に向かったと考えられます。久米島と名護の距離は120 kmと与えられています。図13から久米島の気圧が最も低下した時刻(台風最接近時刻)と名護の気圧が最も低下した時刻を読み取ります。ブログの読み取りによれば、久米島は8:30頃に990数hPaで最接近、名護は11:40頃に990.0 hPaで最接近しています。両者の時間差は約3時間10分(3.167時間)です。
120 kmの距離を3.167時間で進む速度は、単純計算で120 / 3.167 ≈ 37.9 km/hとなります。5 km/h刻みで答える指示なので、四捨五入して約40 km/hが適切です。解答は「40 km/h」とします。

④台風が久米島に最も接近した時刻は8:30頃でした。9:00はそれより30分後になります。移動速度40 km/h(約0.667 km/分)で30分進むと、約20 km移動したことになります。経路C上で台風が進んだ方向はおおよそ東寄りですので、久米島最接近地点から見て東方向に約20 km離れた位置に9時の台風中心があるはずです。経路Cを図12で確認すると、久米島を通過後ほぼ東に進んで名護付近に至るコースでした。したがって方位は「東」、距離は「20 km」と答えます。答え方としては「東の20 km」のように表現すればよいでしょう。

⑤図13の名護の時系列で瞬間風速の最大値を示す点(ギザギザの高さ)が最も高いのはおそらく9:40頃です(ブログによれば9時40分が最大瞬間風速の時刻)。このとき名護での瞬間風速は24 m/sを観測しています。台風が久米島に最接近した8:30から9:40までは1時間10分(=70分)経過しています。40 km/hは0.667 km/分なので、70分で約46.7 km進みます。5 km単位にするとおよそ45 km or 50 kmとなります。 久米島最接近地点から台風が進んだ距離が約50 kmということは、名護から見れば台風中心は名護に最接近する前(まだ距離がある状態)です。経路Cでは名護に最接近するのは11:40頃なので、9:40時点では名護より西側にあります。実際に経路C上で9:40の中心位置を見積もると名護から約70 km程度の距離になります。計算方法としては「名護~久米島の120 kmから、久米島側へ50 km進んだ位置」ということで120 – 50 = 70 kmです。

⑥名護で6~15時における最大瞬間風速を観測した時刻(上記で9:40と判明)の、瞬間風速と平均風速の比(突風率)を小数第1位まで四捨五入して答える問題です。突風率とは最大瞬間風速を同時刻の平均風速で割った値のことで、風の乱れの指標になります。9:40に名護で記録した最大瞬間風速は24 m/s平均風速は15.5 m/sです。突風率 = 24 / 15.5 = 1.548…。これを四捨五入で小数1位にすると1.5となります。解答は「1.5」(倍)です。

⑦粟国の時系列(図13中段)で降水量の棒グラフが最も高くなっている1時間を探すと、6:50~7:50の間の6本が最大と読み取れます。各10分間降水量の値は凡例からおおよそ読み取り可能で、6:50~7:50の6本の降水量: 12, 17, 18, 20, 17, 16 mmです。これらを合計すると100 mmとなります。


以上です!独自解説とAIを組み合わせ解答・解説を作成しています。訂正・ご意見あればコメントやご連絡いただけると幸いです。皆で最高の独学環境を作り上げていきましょう!

【過去問解説】第60回 実技2 問3

どくりん


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