【気象予報士試験 実技】記述問題の書き方を5つの型で解説|答案が安定する実技記述対策
こんにちは!今回は、気象予報士試験の実技試験で重要な「記述問題の書き方」について解説します。
実技試験対策では、「過去問を繰り返し解きましょう」とよく言われます。
もちろん過去問演習は重要ですが、記述式問題をただ漠然と解き続けても、答案の書き方が安定しないことがあります。
特に、過去問と少し違う聞かれ方をしたときに、何を書けばよいかわからなくなり、必要なキーワードを落としてしまう受験生は多いです。
この記事でわかること
- 気象予報士試験の実技記述で使える基本の3点セット
- 記述式問題を5つの型に分けて考える方法
- 分布型・時間変化型・メカニズム型・リスク型・構造型の書き方
- 答案に入れるべき「どこで・なぜ・何が起きている」の考え方
- 試験本番で記述がまとまらないときの対処法
■ 実技記述で最初に押さえる「3点セット」
気象予報士試験の実技記述では、どんな問題でも基本になる考え方があります。
それが、次の3点セットです。
どこで
+
なぜ
+
何が起きている
| 要素 | 書く内容 |
|---|---|
| どこで | 場所・高さ・時刻・領域など |
| なぜ | 原因・背景場・気象条件など |
| 何が起きている | 現象・変化・影響・リスクなど |
答案例
尾鷲付近の山の南斜面で、南よりの湿った風が山にぶつかって強い上昇流が発生しているため、降水が強まっている。
| 3点セット | 答案内の表現 |
|---|---|
| どこで | 尾鷲付近の山の南斜面で |
| なぜ | 南よりの湿った風が山にぶつかって強い上昇流が発生しているため |
| 何が起きている | 降水が強まっている |
記述問題で何を書けばよいかわからなくなったときは、まずこの3点セットに戻りましょう。
■ 気象予報士試験の実技記述は5つの型で考える
実技試験の記述問題は、完全にバラバラに見えても、実はある程度パターン化できます。
ここでは、実技記述を次の5つの型に分けて整理します。
- 分布型:空間的な違いを説明する問題
- 時間変化型:時刻による変化を説明する問題
- メカニズム型:原因から結果を説明する問題
- リスク型:防災上の危険や警戒事項を説明する問題
- 構造型:前線・低気圧・鉛直構造を説明する問題
■ 1. 分布型:空間の違いを書く問題
分布型は、ある現象がどの場所でどう違うかを説明する問題です。
たとえば、「エコー帯の南北で気温・風の特徴を説明せよ」「降水域の周辺で風や気温の分布を説明せよ」といった問題が該当します。
分布型の基本形
A側では○○であり、
一方、B側では△△となっている。
この型では、片側だけを書いて終わらせず、比較対象をセットで書くことが大切です。
答案例
エコーの南東側では南よりの暖かく湿った風が吹き、北西側では気温が低く風が弱く、エコー付近で風の収束と大きな温度傾度が生じている。
| 見るポイント | 書き方 |
|---|---|
| 場所の違い | 南側・北側、東側・西側、前面・後面などを明確にする |
| 気象要素の違い | 気温、風向、風速、湿り、降水、上昇流などを比較する |
| 現象のまとまり | 収束、温度傾度、湿潤域、エコー帯などにつなげる |
■ 2. 時間変化型:◯時から△時でどう変わったかを書く問題
時間変化型は、複数の時刻を比較して、気象場や現象がどう変化したかを説明する問題です。
「12日18時と13日3時を比較して説明せよ」「前3時間で降水域がどう変化したか述べよ」といった問題でよく使います。
時間変化型の基本形
◯時にはAであったが、
△時にはBとなり、
AからBへと変化した。
時間変化型では、最初の時刻と後の時刻を必ず対応させて書きます。
答案例
12日18時には対流不安定層は900〜800hPaの薄い層だったが、13日3時には850〜500hPaの厚い層となり、対流が深く発達しやすい状態になった。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 時刻を明確にする | 「いつ」の比較なのかを答案中に入れる |
| 変化前と変化後を書く | 前の状態だけ、後の状態だけで終わらせない |
| 結果まで書く | 余裕があれば「その結果、何が起きやすいか」まで書く |
■ 3. メカニズム型:原因から結果を書く問題
メカニズム型は、実技試験で特に多いタイプです。
「なぜ東側で雨が強まるか」「なぜ台風が弱まるか」「なぜ上昇流が強まるか」といった、原因と結果をつなげる問題です。
メカニズム型の基本形
〜ため、□□が強まり、
その結果、△△となる。
この型では、「原因」だけで終わらせず、必ず「結果」まで書くことが重要です。
答案例1
台風の東側で強い暖気移流と収束が持続するため、上昇流が強まり、中心の東側で降水が強くなる。
答案例2
上陸後、海からの水蒸気供給が弱まり、上層トラフが通過して構造が傾いたため、台風は急速に衰弱した。
| 書く順番 | 内容 |
|---|---|
| 原因 | 暖気移流、寒気移流、収束、水蒸気供給、地形性上昇、上層トラフなど |
| 途中の現象 | 上昇流が強まる、対流が発達する、気圧が低下するなど |
| 結果 | 降水が強まる、台風が衰弱する、前線活動が活発になるなど |
■ 4. リスク型:防災上の危険を書く問題
リスク型は、警報・注意報・防災気象情報・災害のおそれに関する記述です。
「どの警報を出すべきか」「どのような危険があるか」「何に警戒すべきか」といった問題で使います。
リスク型の基本形
〜ため、◯◯のおそれがあり、
△△への注意・警戒が必要である。
答案例
町域の一部が警戒レベル4相当の紫色となっているため、土砂災害の発生するおそれがあり、土砂災害警戒情報と大雨警報(土砂災害)が必要である。
リスク型では、単に「危険である」と書くだけでは不十分です。
何の危険があるのか、何に警戒するのかを具体的に書きましょう。
| リスク | 書きたい表現 |
|---|---|
| 大雨 | 土砂災害、浸水害、河川の増水・氾濫のおそれ |
| 暴風 | 暴風による交通障害、建物被害、飛来物への警戒 |
| 高波 | 沿岸部で高波に警戒 |
| 高潮 | 低い土地の浸水、海岸付近での高潮に警戒 |
| 雷・突風 | 落雷、竜巻などの激しい突風、ひょうへの注意 |
■ 5. 構造型:前線・低気圧・鉛直構造を書く問題
構造型は、前線面高度、閉塞の有無、トラフと低気圧の位置関係、鉛直構造などを説明する問題です。
実技試験では、断面図や高層天気図を使って、立体的な構造を読み取らせる問題でよく出ます。
構造型の基本形
◯◯付近の◇◇hPaで、
□□が見られるため、
ここが△△に対応する。
答案例1
◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。
答案例2
500hPaトラフは地上低気圧の西側約◯◯kmに位置し、時間とともに東進して追いつく。
| 構造型で見るもの | 答案に入れたい表現 |
|---|---|
| 前線面 | 安定層、気温減率の小さい層、温度傾度、湿潤域 |
| 低気圧 | 上空のトラフ、寒気核、暖気核、鉛直方向の傾き |
| 閉塞 | 寒気の回り込み、暖気の持ち上げ、閉塞点、閉塞前線 |
| 上昇流 | 収束、暖気移流、地形性上昇、前線面上の上昇 |
■ その他よく使う定型文
5つの型に加えて、実技試験ではよく使う定型文があります。
■ 風向変化型
基本形
風向が〇〇から〇〇に、時計回りまたは反時計回りに変化した。
答案例
風向が東から北寄りに反時計回りに変化した。
■ 予報比較型
基本形
予想図では、実況値または数値予報よりも〇〇であった。
答案例
予想図では、数値予報よりも南寄りの経路を進んだ。
■ 実技記述で受験生がつまずくポイント
1. キーワードだけを並べて文章になっていない
「暖気移流、収束、上昇流、強雨」だけでは答案として弱いです。原因と結果がつながる文章にしましょう。
2. 場所や時刻を書き忘れる
気象現象は、どこで・いつ起きているかが重要です。「南東側で」「13日3時には」「850hPa付近で」などを入れましょう。
3. 原因だけで終わってしまう
「暖湿気が流入するため」で終わると、何が起きるのかが不足します。「上昇流が強まり、降水が強まる」まで書きましょう。
4. 問われている型と違う答え方をしてしまう
分布を聞かれているのにメカニズムだけを書く、時間変化を聞かれているのに一時刻だけを書く、といったミスに注意しましょう。
5. 字数制限を意識せず書きすぎる
実技試験では字数制限があります。3点セットを意識しながら、必要な要素を短く入れる練習が大切です。
■ 記述問題の型まとめ表
| 型 | よくある問われ方 | 基本形 |
|---|---|---|
| 分布型 | 南北・東西・前後の違いを説明せよ | A側では○○、一方B側では△△ |
| 時間変化型 | ◯時から△時でどう変化したか | ◯時にはAだったが、△時にはBとなった |
| メカニズム型 | なぜ起きるか、原因を説明せよ | 〜ため、□□が強まり、△△となる |
| リスク型 | どんな危険があるか、何に警戒するか | 〜ため、◯◯のおそれがあり、△△に警戒 |
| 構造型 | 前線面・低気圧・トラフの構造を説明せよ | ◯◯付近の◇◇hPaで□□が見られ、△△に対応する |
■ まとめ
- 実技記述は、まず「どこで・なぜ・何が起きている」の3点セットで考える
- 記述問題は、分布型・時間変化型・メカニズム型・リスク型・構造型に分けると整理しやすい
- 分布型では、場所の違いを比較して書く
- 時間変化型では、変化前と変化後を対応させて書く
- メカニズム型では、原因から結果までつなげて書く
- リスク型では、何のおそれがあり、何に警戒するかを明確にする
- 構造型では、場所・高さ・現象の対応関係を書く
この講義で必ず押さえたいこと
実技記述は
暗記ではなく型で書く
どこで
+
なぜ
+
何が起きている
この3点セットを答案の軸にする
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験に関連する内容を掲載しています。
問題文・図表等の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、気象予報士試験の実技試験で使える記述問題の5つの型についての解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
