【第64回 気象予報士試験 専門知識】問15 エルニーニョ現象とインド洋の海面水温をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第64回気象予報士試験 専門知識 問15を解説します!

この問題は、エルニーニョ現象・ラニーニャ現象と、インド洋熱帯域の海面水温変化についての問題です。

図Aと図Bを比べながら、平常時の暖水の分布、エルニーニョ現象発生時の風と海面水温の変化、日本の夏への影響を整理して判断します。

この問題で重要なポイント

  • 平常時のインド洋赤道域では、弱い西風が吹きやすい
  • そのため、暖かい海水はインド洋熱帯域の東部にやや厚く分布しやすい
  • エルニーニョ現象が発生すると、インド洋赤道域では弱い東風偏差が生じやすい
  • その結果、インド洋熱帯域では海面水温が広く高くなりやすい
  • インド洋熱帯域の海面水温上昇は、エルニーニョ監視海域の変化より数か月遅れて現れやすい

■ 問題文

図Aは、エルニーニョ現象およびラニーニャ現象が発生していない平常時の太平洋とインド洋の熱帯域の海洋の東西断面と海上風の状態を示した模式図である。

一方、図Bは、エルニーニョ現象またはラニーニャ現象のいずれかが発生している時の同様の模式図である。

これらの図から読み取ることができる大気と海洋の特徴について述べた次の文章の空欄(a)〜(d)に入る語句の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

インド洋赤道域ではインドモンスーンの影響で季節によって風向が変わるが、平常時には図Aに示されるように、平均的には弱い西風が吹いている。

このため、インド洋熱帯域の(a)では海面下百数十メートルまでの表層に、暖かい海水がやや厚めに分布している。

一方、図Bに示されるように、太平洋で(b)が発生すると、インド洋赤道域では弱い東風偏差によりインド洋熱帯域の(a)にやや厚く蓄積されていた暖かい海水は、(c)にやや厚く蓄積されていた暖かい海水は、(c)に広がる。

インド洋熱帯域の海面水温は、エルニーニョ監視海域の海面水温の上昇または低下に対して、3か月程度(d)変化し、夏季に西日本が低温傾向になるなど日本の天候へ影響を与える場合がある。

図
(a) (b) (c) (d)
東部エルニーニョ現象西部早く
東部ラニーニャ現象西部遅れて
東部エルニーニョ現象西部遅れて
西部ラニーニャ現象東部遅れて
西部エルニーニョ現象東部早く

■ 解答

(a)東部
(b)エルニーニョ現象
(c)西部
(d)遅れて

■ 解き方の方針

この問題は、図Aと図Bを次の順番で読み取ると整理しやすいです。

図A:平常時のインド洋

弱い西風で暖水が東部に厚い

図B:太平洋でエルニーニョ現象

インド洋で東風偏差

暖水が西部へ広がる

インド洋の水温変化は遅れて現れる

ポイントは、太平洋のエルニーニョ現象がインド洋にも遅れて影響するという流れです。

■ (a)平常時、暖かい海水はインド洋の東部に厚く分布しやすい

(a)は、平常時のインド洋熱帯域における暖かい海水の分布を問う空欄です。

図Aでは、インド洋赤道域で平均的に弱い西風が吹いています。

西風とは、西から東へ吹く風です。

そのため、表層の暖かい海水はインド洋の東側へ押し寄せられ、インド洋熱帯域の東部にやや厚く分布します。

ここがポイント!

弱い西風
= 西から東へ吹く風

暖水が東側へ寄る

インド洋東部で暖水が厚い

したがって、(a)には東部が入ります。

■ (b)図Bはエルニーニョ現象発生時の模式図

(b)は、図Bがエルニーニョ現象とラニーニャ現象のどちらを示しているかを問う空欄です。

図Bでは、太平洋の東部側で暖かい海水が広がっている様子が読み取れます。

これは、太平洋赤道域の中部から東部で海面水温が高くなるエルニーニョ現象の特徴です。

エルニーニョ現象の基本イメージ

太平洋赤道域の中部〜東部

海面水温が平年より高い

エルニーニョ現象

一方、ラニーニャ現象では、太平洋赤道域の中部から東部で海面水温が平年より低くなります。

したがって、(b)にはエルニーニョ現象が入ります。

■ (c)エルニーニョ現象時には暖水がインド洋西部へ広がる

(c)は、エルニーニョ現象時にインド洋の暖かい海水がどちらへ広がるかを問う空欄です。

太平洋でエルニーニョ現象が発生すると、大気循環の変化により、インド洋赤道域では弱い東風偏差が生じます。

東風偏差とは、平常時よりも東風が強まる、または西風が弱まる方向の変化です。

東風は東から西へ吹く風なので、表層の暖かい海水はインド洋の西側へ広がりやすくなります。

風と暖水の向き

東風偏差
= 東から西へ押す

暖水が西へ広がる

インド洋西部へ

したがって、(c)には西部が入ります。

■ (d)インド洋の海面水温変化はエルニーニョ監視海域より遅れる

(d)は、インド洋熱帯域の海面水温変化が、エルニーニョ監視海域の変化に対して早いのか遅いのかを問う空欄です。

太平洋のエルニーニョ現象に伴う変化は、インド洋にも影響します。

ただし、インド洋熱帯域の海面水温の変化は、エルニーニョ監視海域の変化と同時ではなく、3か月程度遅れて現れやすいです。

ここは時差に注意!

太平洋でのエルニーニョ現象の変化が先に現れ、その後、インド洋熱帯域の海面水温が変化します。

太平洋の変化

約3か月遅れて

インド洋の変化

したがって、(d)には遅れてが入ります。

■ 選択肢の確認表

空欄 入る語句 判断ポイント
(a) 東部 平常時の弱い西風で暖水が東側に寄る
(b) エルニーニョ現象 太平洋赤道域の中部〜東部で海面水温が高い
(c) 西部 東風偏差により暖水が西側へ広がる
(d) 遅れて インド洋の海面水温変化は太平洋の変化より約3か月遅れる

■ 受験生がつまずくポイント

1. 西風と東風の向きを逆にしてしまう

西風は「西から吹いてくる風」なので、西から東へ向かって吹きます。

東風は「東から吹いてくる風」なので、東から西へ向かって吹きます。

西風:西 → 東
東風:東 → 西

風の名前は「吹いてくる方向」で決まるため、ここを逆にしないようにしましょう。

2. 図Bをラニーニャ現象と読んでしまう

図Bでは、太平洋東部側に暖かい海水が広がっています。

これは、太平洋赤道域の中部から東部で海面水温が高くなるエルニーニョ現象の特徴です。

ラニーニャ現象では、逆に太平洋赤道域の中部から東部で海面水温が低くなります。

3. インド洋の変化を太平洋と同時と考えてしまう

インド洋熱帯域の海面水温変化は、エルニーニョ監視海域の変化に対して約3か月程度遅れて現れます。

そのため、空欄(d)は「早く」ではなく「遅れて」です。

4. 日本の夏への影響だけで判断してしまう

問題文には「夏季に西日本が低温傾向になる」など日本の天候への影響も書かれています。

しかし、この問題の中心は、まず図A・図Bから大気と海洋の状態を読み取ることです。

日本への影響は最後の確認として使い、空欄は風向・暖水分布・時間差から判断しましょう。

■ まとめ

  • 平常時のインド洋赤道域では、弱い西風により暖水がインド洋東部にやや厚く分布しやすいため、(a)は東部
  • 図Bは、太平洋赤道域の中部〜東部で暖水が広がるエルニーニョ現象を示すため、(b)はエルニーニョ現象
  • エルニーニョ現象時には、インド洋赤道域で東風偏差が生じ、暖水が西部へ広がるため、(c)は西部
  • インド洋熱帯域の海面水温変化は、エルニーニョ監視海域の変化より約3か月遅れるため、(d)は遅れて

正解は③

(a)東部・(b)エルニーニョ現象・(c)西部・(d)遅れて

この問題で必ず押さえたいこと

エルニーニョ現象の問題では、太平洋だけでなく、インド洋や日本の天候への影響もつながって出題されます。

平常時:インド洋は弱い西風で東部に暖水
エルニーニョ時:インド洋で東風偏差
暖水は西部へ広がる
インド洋の変化は約3か月遅れる

特に、西風・東風の向きインド洋の変化が遅れる点は、試験で迷いやすいので確実に押さえておきましょう。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第64回 専門知識 問15の解説でした!

訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!