【第64回 気象予報士試験 専門知識】問14 台風による災害をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第64回気象予報士試験 専門知識 問14を解説します!
この問題は、台風によって発生する災害についての問題です。
塩害、高潮警報・注意報、温帯低気圧化に伴う強風域の変化を整理して判断します。
この問題で重要なポイント
- 台風による塩害は、海塩粒子が陸上へ運ばれて発生する
- 雨が多いと、付着した塩分が洗い流されることがある
- 高潮警報・注意報は、単なる潮位偏差だけで判断するものではない
- 台風が温帯低気圧化すると、中心から離れた地域で風が強まることがある
■ 問題文
台風によって発生する災害に関連する事項について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 台風に伴う強い風により、海水の飛沫が陸上の植物や送電施設に付着して塩害が発生することがある。このとき、一般に、降水量が多いほど塩害の被害も大きくなる。
(b) 気象庁では、高潮による災害が発生するおそれがある場合には、天文潮位からの偏差を発表基準として高潮警報・注意報を発表している。
(c) 台風が温帯低気圧に変わる過程では、中心から離れた地域で風が強くなったり、強風域が広がったりすることがある。
| (a) | (b) | (c) | |
|---|---|---|---|
| ① | 正 | 誤 | 正 |
| ② | 正 | 誤 | 誤 |
| ③ | 誤 | 正 | 正 |
| ④ | 誤 | 正 | 誤 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 正 |
■ 解答
⑤
(a)誤
(b)誤
(c)正
■ 解き方の方針
この問題では、台風による災害を次の3つに分けて考えます。
塩害
↓
高潮
↓
温帯低気圧化
特に(a)は、雨が多いほど塩害が大きくなるのかがポイントです。
また(b)は、高潮警報・注意報の基準を「潮位偏差だけ」と考えないことが重要です。
■ (a)降水量が多いほど塩害が大きくなるわけではない
(a)は、台風に伴う塩害について述べています。
台風に伴う強風により、海水の飛沫や海塩粒子が陸上へ運ばれることがあります。
それが植物や送電施設などに付着すると、農作物の被害や送電設備の障害などが発生することがあります。
ここまでは正しい内容です。
ここがひっかけポイント!
問題文では「降水量が多いほど塩害の被害も大きくなる」とあります。
しかし、降水量が多い場合、付着した塩分が雨で洗い流されることがあります。
海塩粒子が付着
↓
塩害の原因
ただし
雨が多いと洗い流されることがある
そのため、一般に「降水量が多いほど塩害の被害も大きくなる」とは言えません。
したがって、(a)は誤りです。
■ (b)高潮警報・注意報は潮位偏差だけで判断しない
(b)は、高潮警報・注意報の発表基準について述べています。
高潮では、台風や発達した低気圧による吸い上げ効果や吹き寄せ効果によって、海面が高くなります。
ここで大切なのは、実際に災害の危険が高まるのは、天文潮位からどれだけずれたかだけでなく、最終的に潮位がどの高さまで上がるかという点です。
ここは注意!
問題文では「天文潮位からの偏差を発表基準として」とあります。
しかし、高潮警報・注意報は、単なる潮位偏差だけではなく、予想される潮位の高さなどを踏まえて発表されます。
高潮の危険
= 潮位偏差だけ
ではない
たとえば、同じ潮位偏差でも、もともとの天文潮位が高い時期や時間帯であれば、実際の潮位はより高くなり、災害の危険性も高まります。
したがって、(b)は誤りです。
■ (c)温帯低気圧化で強風域が広がることがある
(c)は、台風が温帯低気圧に変わる過程について述べています。
台風が温帯低気圧に変わると聞くと、「弱くなる」と考えがちです。
しかし、温帯低気圧化の過程では、構造が変化し、中心付近だけでなく中心から離れた地域でも風が強くなることがあります。
温帯低気圧化のイメージ
台風の構造が変化
↓
前線を伴う低気圧へ
↓
風の強い範囲が広がる
↓
中心から離れた地域でも強風
そのため、台風が温帯低気圧に変わったからといって、必ずしも危険が小さくなるわけではありません。
中心から離れた地域で風が強くなったり、強風域が広がったりすることがあります。
したがって、(c)は正しいです。
■ 選択肢の確認表
| 記号 | 内容 | 正誤 | 判断ポイント |
|---|---|---|---|
| (a) | 降水量が多いほど塩害の被害も大きくなる | 誤 | 雨で付着した塩分が洗い流されることがある |
| (b) | 高潮警報・注意報は、天文潮位からの偏差を発表基準とする | 誤 | 単なる潮位偏差だけでなく、予想される潮位の高さなどが重要 |
| (c) | 台風が温帯低気圧に変わる過程で、中心から離れた地域で風が強まったり、強風域が広がったりすることがある | 正 | 温帯低気圧化で構造が変化し、風の強い範囲が広がることがある |
■ 受験生がつまずくポイント
1. 塩害を「雨が多いほど悪化」と単純に考えてしまう
塩害の原因は、海塩粒子が植物や送電施設などに付着することです。
しかし、雨が多い場合には、その塩分が洗い流されることがあります。
そのため、降水量が多いほど塩害が大きい、とは言えません。
2. 高潮を「潮位偏差」だけで判断してしまう
高潮では、天文潮位からの上昇分である潮位偏差も重要です。
しかし、災害の危険を考えるうえでは、実際に潮位がどの高さまで達するかが重要です。
天文潮位
+ 気象による潮位上昇
= 実際に予想される潮位
3. 「温帯低気圧化=安全」と思ってしまう
台風が温帯低気圧に変わると、台風ではなくなったため安全になったように感じるかもしれません。
しかし、温帯低気圧化の過程で強風域が広がったり、中心から離れた場所で風が強まったりすることがあります。
防災上は、名称が変わった後も注意が必要です。
■ まとめ
- (a)台風による塩害は海塩粒子の付着で起こるが、降水量が多いと塩分が洗い流されることがあり、「多いほど被害が大きい」とは言えないため誤り
- (b)高潮警報・注意報は、天文潮位からの偏差だけを基準とするものではないため誤り
- (c)台風が温帯低気圧に変わる過程では、中心から離れた地域で風が強まったり、強風域が広がったりすることがあるため正しい
正解は⑤
(a)誤・(b)誤・(c)正
この問題で必ず押さえたいこと
台風災害の問題では、「台風=強風・大雨」だけでなく、災害ごとの発生メカニズムを分けて理解することが重要です。
塩害:海塩粒子の付着、雨で洗い流されることもある
高潮:潮位偏差だけでなく実際の潮位が重要
温帯低気圧化:強風域が広がることがある
特に、温帯低気圧化=危険がなくなるではない点は、防災情報の理解にもつながる重要ポイントです。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第64回 専門知識 問14の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
