こんにちは!今回は気象予報士試験 第64回 実技2 問4を解説します!
記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
- 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
(1)解説
◇模範解答
① 500hPaの2つのトラフの位置(緯度・経度):北緯35°東経120°付近および北緯33°東経126°付近(等高度線5760mとの交点を読む。許容範囲±1°程度)
②北緯30°東経135°付近
理由:850hPaで12℃と15℃の等温線間隔が狭いことから南北の温度傾度が大きく、南からの強い風による暖気移流が顕著で、加えて700hPa付近で強い上昇流が生じているため。
③ 西北西(北西)側に500hPaトラフ
④ 東北東(または東)方向、約10ノット
⑤ 北東(または東北東)方向、約25ノット
⑥ トラフは低気圧中心の北から北東へと離れていく。
⑦ (ア):北緯28°(許容27~29°)、東経132°(同131~133°)付近
(イ):北緯31°(許容30~31°)、東経133°(同132~134°)付近
⑧ +8hPa
◇解説
①

500hPa高度場と地上予想図を組み合わせた包括的な問題です。まず①では500hPaのトラフ位置を問われました。図5(500hPa解析図)では5760mの等高度線などが描かれており、渦度の大きな谷状の部分(トラフ)を見つけます。一つは東シナ海付近から中国大陸東岸に伸びる長いトラフ、もう一つは日本の南東海上にある短波トラフでした。緯度経度で答える指定なので、該当トラフの軸が緯度5760m線と交わる点を読み取ります。具体的には、長い方のトラフは北緯35度・東経120度付近、短い方は北緯33度・東経126度付近がトラフ位置として答えられます。試験では±1°程度のズレは許されますので、模範解答例では(35°N,120°E)および(33°N,126°E)とし、カッコ内に許容範囲として(34°N or 121°E)なども示されています。
②前線活動が活発な領域を問う問題です。数値予報の予想図(図9あたり)で前12時間降水量が多い領域が赤枠等で示され、その付近の大気の状態を詳細に読み取る必要がありました。鍵となるのは850hPa面の温度場と風、700hPa面の鉛直流です。前線が活発なところでは、(a)顕著な温度傾度(強い前線帯)、(b)強い暖気移流(南からの暖かい風)、(c)強い上昇流、の三拍子が揃うことが多いです。850hPa気温図を確認すると、東経135°付近に南北の等温線間隔が狭い部分が見られます。例えば12℃と15℃の等温線が密集しているエリアです。さらにその付近では南からの強風が吹いており暖気を北へ運んでいます(暖気移流)。加えて700hPaの鉛直流予想図では-84hPa/hなど激しい上昇流域が重なっています。以上より、北緯30°東経135°付近がこれらの条件を満たし前線活動が活発だと判断できます。解答では緯度経度とともに「850hPaで温度傾度が大きく強い南風による暖気移流があり、700hPaで強い上昇流もあるため」と理由を述べます。ここではすべての要因を盛り込むことが重要です。温度傾度だけ、など一部しか触れないと減点の可能性があります。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで・いつ:850hPaで
なぜ:12℃と15℃の等温線間隔が狭いことから南北の温度傾度が大きく、南からの強い風による暖気移流が顕著で、加えて700hPa付近で強い上昇流が生じている
何が起きている: 前線活動活発
③はその領域(②で答えた場所)に対する上空トラフの位置関係です。一般に地上の発達する低気圧や前線の西側上空に500hPaトラフが位置するとき発達が強調されます。図5を見れば、前記北緯30°東経135°付近のやや西寄り、北西~西北西方向にトラフ軸があります。答えとしては「西北西(または北西)に位置する」となります。

④地上低気圧の移動速度・方向を問われました。これには数値予報資料の地上予想図(例えば図11・図12)が使われたでしょう。④は初期から12時間後、つまり6月10日21時から11日9時までの低気圧移動を読み取ります。低気圧中心は東北東方向に移動し、距離はおよそ150海里程度だったとあります。12時間で150海里なら速度は約12.5ノットとなります。10ノットから15ノットの範囲で許容とされ、方位も「東北東(場合によっては東)」と若干の幅を持たせています。

⑤36~48時間後、すなわち11日9時から12日21時のうち後半12時間(12日9時→12日21時)における移動です。36時間後(12日9時)の低気圧位置から48時間後(12日21時)の低気圧位置まで、図上で北東方向に約300海里動いていました。12時間で300海里なら25ノット程度です。方向は多少東寄りの北東(東北東)とも表現できるので、「北東(東北東)へ25ノット」が模範解答です。
⑥では500hPaトラフと地上低気圧の位置関係変化を述べます。数値予報の時間推移を見ると、36時間後(11日9時)まで低気圧は順調に発達し、その間500hPaのトラフ軸が地上低気圧の西側から少し北側にある位置関係でした。しかしそれ以降、トラフは低気圧から離れるように北東方向へ進んでいき、48時間後(12日21時)には地上低気圧の北~北東側遠方にトラフが退いてしまっています。上層のトラフが地上低気圧の真西よりも先に進んでしまうと、低気圧は深まれず衰弱に向かいます(温帯低気圧の発達条件として上空トラフの後面に地上低気圧が位置することが重要です)。
記述式解答のポイント:時間変化型
どこで・いつ:地上低気圧の北~北東
何が起きている: 離れていく
⑦

(ア)12日21時に存在する低気圧が、36時間前(11日9時)にはどこにあったかを推定するのが(ア)です。⑤で求めた低気圧の移動(北東25kt)を36時間逆行させれば、大まかな位置が出せます。12日21時の位置から南西方向へ36時間分戻す計算です。12時間で300海里動くので36時間で900海里南西へ離れた位置にいたと単純計算できます。北緯28°東経132°付近と推定されます。
(イ)数値予報図には風や気圧の場が描かれているので、(ア)で得た仮の位置を手がかりに、「低気圧中心は風向が南から強く吹き込む場の風向変化点や、700hPaの強い上昇流域、地上の気圧の谷線に一致するところ」に合わせて修正します。その結果、(ア)の位置より北寄りに3°ほど移動させると丁度良いとなり、北緯31°東経133°付近となる。このように、(ア)は力学場無視の単純補外、(イ)で実際の場を考慮した修正、という二段階の推定をさせる高度な設問でした。
⑧⑦で推定した11日9時の位置での地上天気図上の気圧が1008hPaであったことが資料から読み取れます。一方、12日9時に北緯29°東経130°付近にあった同じ低気圧の中心気圧は1016hPaでした。(※12日9時は48時間後の予想図に該当。)つまり36時間で8hPaも気圧が上がっています。これは低気圧としては衰弱(充填)したことを意味します。閉塞が進み、低気圧中心が高気圧化する方向に向かったのです。よって答えは+8hPaとなります。
(2)解説
◇模範解答
①

② 上記トラフA・Bと地上低気圧の発達との関係:12日21時までは主にトラフAの前面に位置しており、低気圧の発達に寄与し、トラフBはその後の発達に寄与する。
◇解説
①12日9時の500hPa高度場では、該当低気圧に対応して2本のトラフAおよびBが解析されます。等高度線の強い屈曲と渦度極大域に沿って赤線で滑らかに描画されたもので、片方は低気圧の西側上空から南西方向へ伸びるトラフA、もう一つは低気圧の北東側上空に位置する短波トラフBとして示されています
②ではそのトラフA,Bと地上低気圧の発達との時間的役割を答えさせる問題でした。トラフAは元々11日頃から低気圧を発達させてきた主役で、12日21時まで低気圧前面で作用しました。しかし12日21時以降はトラフAが追い越し、代わりに後続のトラフBが低気圧の西側に来てさらなる発達を引き継ぐ形になります。要するに、「トラフAは主に12日21時までの発達を担い、トラフBはそれ以降の発達に寄与する」という形です。この問題は時間による役割分担を正確に述べる必要があり、例えば「トラフAが低気圧の前半の発達を、トラフBが後半の発達をそれぞれ促した」という答え方も可能でしょう。
(3)解説
◇模範解答

◇解説
作図は以下の手順で作成します。
前線解析(作図)
- 閉塞の判断
- 前線位置の推定(高層天気図)
- <閉塞している場合>閉塞点と閉塞前線の型の決定
- 作図
おこちらの記事を参考⇒【講義】前線解析 – 独学資格塾
●閉塞の判断
強風軸(ジェット流)が巻き込むように伸びており、寒気の流入や暖気の突っ込みも見えることから閉塞していると判断できます。


●前線位置の推定(高層天気図)
等温線集中帯の南縁および風のシアーを確認すると(左図)、温暖前線側は推定できるが寒冷前線側は温度傾度が小さく集中帯が不明瞭です。よって700hPaにおける帯状に伸びる湿潤域を参考に前線位置を推定します(右図)。


●<閉塞している場合>閉塞点と閉塞前線の型の決定
前線の推定値に対して強風軸が通る点を閉塞点とします。
閉塞点から地上低気圧中心に対して伸ばした閉塞前線に対して温暖前線の進行方向前面の寒気のほうが温度が低く、温暖前線の進行方向前面にある寒気との間で確かに温度差がつく(”入”の形になる)と判断できます。

以上より地上天気図の風のシアに配慮しながら作図すると模範解答になります
以上です!独自解説とAIを組み合わせ解答・解説を作成しています。訂正・ご意見あればコメントやご連絡いただけると幸いです。皆で最高の独学環境を作り上げていきましょう!
