【気象予報士試験 一般知識】熱と運動量の南北輸送をわかりやすく解説|偏西風波動・地衡風・等高度線の読み方

こんにちは!今回は、気象予報士試験の一般知識で出題される「熱と運動量の輸送」について解説します。

このテーマは、平成26年第1回 一般知識 問8でも出題されました。

「解説を読んでも、なぜその図が答えになるのかわからない…」となりやすい問題です。

そこで今回は、等高度線から風を読む方法等温線から暖気・寒気を読む方法、そして熱輸送・運動量輸送をどう判断するかを順番に整理していきます。

この記事でわかること

  • 偏西風帯の波動が熱や運動量を輸送するしくみ
  • 等高度線から地衡風の向きを判断する方法
  • 等温線から暖気・寒気の位置を判断する方法
  • 北向きの熱輸送とは何か
  • 西風運動量の北向き輸送とは何か
  • 平成26年第1回 一般知識 問8タイプの問題の解き方

最初に押さえる結論

熱輸送は
「風の向き」と「温度の高低」の組み合わせで見る

運動量輸送は
「南北方向の風」と「西風の強弱」の組み合わせで見る

■ 1. 問題の概要

中高緯度の大気では、偏西風帯の波動によって、熱や運動量が南北方向へ輸送されています。

問題では、北半球中緯度の850hPa面について、等高度線と等温線に波動がある図が示されます。

そして、次の2つを判断します。

  • どの図が熱を北向きに輸送しているか
  • どの図が西風の運動量を北向きに輸送しているか
熱と運動量の輸送の問題図

図では、上が北を表しています。

また、Z0、T0はそれぞれ等高度線と等温線の値を表し、ΔZ、ΔTは正の値です。

ここでの前提

  • Z0 + ΔZ は Z0 より高度が高い
  • T0 + ΔT は T0 より温度が高い
  • 北半球では、地衡風は高度の高い側を右手に見て吹く
  • 等高度線の間隔が狭いほど風は強い

■ 2. 考察の下準備

この問題では、まず等高度線と等温線が何を表しているのかを分けて考えることが重要です。

読み取るもの使い方
等高度線 Z 風の向き・風の強さ 地衡風の向きや、偏西風の蛇行を読む
等温線 T 暖気・寒気の位置 どこが相対的に暖かく、どこが冷たいかを読む

よくあるつまずき

等高度線と等温線を同時に見ようとすると混乱します。まず等高度線だけで風を読み、次に等温線だけで温度を読みましょう。

■ 3. 等高度線から風を読む

北半球の地衡風は、等高度線にほぼ平行に吹きます。

そして、高度の高い側を右手に見る向きに吹きます。

北半球の地衡風

高度の高い側を右手に見るように吹く

この問題では、ΔZが正なので、Z0 + ΔZ のほうが Z0 より高度が高いことがわかります。

したがって、等高度線の配置から風向を読み取ることができます。

等高度線から地衡風の向きを読む図

等高度線が蛇行している場合、風もそれに沿って蛇行します。

その結果、場所によって北向きの風、南向きの風が生じます。

■ 4. 北向きの熱輸送とは

熱の北向き輸送とは、簡単にいうと暖かい空気を北へ運ぶことです。

ただし、それだけではありません。

冷たい空気を南へ運ぶことも、結果として南北の熱のやり取りを強めるため、北向きの熱輸送として考えられます。

北向きの熱輸送になる組み合わせ

  • 南風により、暖かい空気が北へ運ばれる
  • 北風により、冷たい空気が南へ運ばれる

南風 × 暖気

暖かい空気を北へ運ぶ

北風 × 寒気

冷たい空気を南へ運ぶ

どちらも北向きの熱輸送に対応する

■ 5. 等温線から暖気・寒気を読む

次に、等温線を見ます。

ΔTは正なので、T0 + ΔT のほうが T0 より温度が高いことがわかります。

つまり、図の中でどこが相対的に暖かく、どこが相対的に冷たいかを判断できます。

等温線から暖気と寒気の位置を読む図

熱輸送を判断するときは、次の順番で考えます。

熱輸送の判断手順

  1. 等高度線から風向を読む
  2. 等温線から暖気・寒気の位置を読む
  3. 南風の場所に暖気があるか確認する
  4. 北風の場所に寒気があるか確認する
  5. その組み合わせがあれば、北向きの熱輸送と判断する

この考え方で図を比べると、低気圧性循環の風によって比較的暖かい空気が北向きに運ばれ、高気圧性循環の風によって比較的冷たい空気が南向きに運ばれているのは、(イ)です。

熱を北向きに輸送する図:イ

■ 6. 西風の運動量を北向きに輸送するとは

次に、運動量の輸送を考えます。

ここで問われているのは、単に「風が北向きに吹いているか」ではありません。

問題文は、西風の運動量を北方向へ輸送するものを問うています。

ここが難しいポイント

運動量輸送では、南北方向の風だけでなく、西風が強い場所の空気が北へ運ばれているかを考えます。

等高度線の間隔が狭い場所では、気圧傾度力が大きく、地衡風も強くなります。

つまり、等高度線の間隔が狭いところほど、強い西風が吹いていると考えます。

運動量輸送の判断手順

  1. 等高度線から風向を読む
  2. 等高度線の間隔から風の強弱を読む
  3. 南北方向の風がどちらへ吹いているか確認する
  4. 強い西風成分を持つ空気が北へ運ばれているかを見る
西風の運動量輸送の考え方

この図では、等高度線の間隔が狭く、強い西風が吹いている部分が北向きに運ばれる配置になっているものを探します。

その条件に合うのは、(キ)です。

西風の運動量を北向きに輸送する図:キ

■ 7. この問題の答え

ここまでの判断をまとめると、次のようになります。

問われている内容答え理由
熱を北向きに輸送する図 南風で暖気を北へ、北風で寒気を南へ運ぶ配置になっているため
西風の運動量を北向きに輸送する図 強い西風成分を持つ空気が北向きに運ばれる配置になっているため

熱輸送:イ
運動量輸送:キ

■ 受験生がつまずくポイント

1. 等高度線と等温線を同時に見て混乱する

まず等高度線だけで風を読み、次に等温線だけで温度を読みましょう。最後に風と温度を組み合わせます。

2. 「北向きの熱輸送」を南風だけで判断してしまう

南風で暖気を北へ運ぶだけでなく、北風で寒気を南へ運ぶことも北向きの熱輸送に対応します。

3. 地衡風の向きを逆に読む

北半球では、地衡風は高度の高い側を右手に見るように吹きます。ここを逆にするとすべての判断がずれます。

4. 運動量輸送を単なる風向だけで判断する

運動量輸送では、風向だけでなく、風の強さ、つまり等高度線の間隔も見る必要があります。

5. 西風の運動量の意味があいまいになる

西風の運動量とは、西風成分の強さに関係します。強い西風成分を持つ空気が北へ運ばれるかを考えましょう。

■ 確認表

テーマ見るもの判断ポイント
風向 等高度線 北半球では高度の高い側を右手に見るように吹く
風速 等高度線の間隔 間隔が狭いほど風が強い
温度 等温線 T0 + ΔT のほうが T0 より高温
北向き熱輸送 風向と温度 南風×暖気、北風×寒気
北向き運動量輸送 風向と風速 強い西風成分を持つ空気が北へ運ばれる

■ まとめ

  • 等高度線は風向・風速を読むために使う
  • 等温線は暖気・寒気の位置を読むために使う
  • 北半球の地衡風は、高度の高い側を右手に見るように吹く
  • 北向きの熱輸送は、南風で暖気を北へ、北風で寒気を南へ運ぶ配置
  • 西風の運動量輸送は、強い西風成分を持つ空気が北へ運ばれるかを見る
  • 熱を北向きに輸送する図はイ
  • 西風の運動量を北向きに輸送する図はキ

この講義で必ず押さえたいこと

熱輸送

風向 × 温度

運動量輸送

風向 × 風の強さ

等高度線と等温線を分けて読む

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験に関連する内容を掲載しています。
問題文・図表等の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、気象予報士試験で出題される熱と運動量の輸送についての補足講義でした!

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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!