【第65回 気象予報士試験 専門知識】問13 流域雨量指数をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第65回気象予報士試験 専門知識 問13を解説します!

この問題は、洪水警報・洪水注意報の発表基準に用いられる流域雨量指数について問う問題です。

この問題で重要なポイント

  • 流域雨量指数は、河川の上流域に降った雨が下流へ流れ下る影響を評価する指標
  • タンクモデルと運動方程式を用いて算出される
  • 氾濫した水の移動までは計算しない
  • 基準値には過去の洪水災害発生時の指数値などが反映される
  • 堤防整備状況など、モデルで直接表現されない要素も基準値に一定程度反映される
  • バックウォーター現象による支川の水位上昇までは表現しない

■ 問題文

気象庁が作成している流域雨量指数に関連する次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 流域雨量指数は、降った雨が地表面や地中を通って河川に流れ出す量をタンクモデルで計算し、さらに氾濫が発生した場合の氾濫水の移動も考慮して算出される。

(b) 洪水警報等の発表基準として用いられている流域雨量指数値は、過去の洪水災害発生時の指数値を調査した上で設定されており、指数計算では考慮されていない要素(堤防等の整備状況の違いなど)も基準には一定程度反映されている。

(c) 流域雨量指数は、その算出に下流側の水位の変化を考慮しており、本川の水位上昇によって支川に起こるバックウォーター現象による水位上昇も表現できる。

(a) (b) (c)

■ 解答

■ 流域雨量指数とは?

流域雨量指数とは、河川の上流域に降った雨によって、下流の対象地点でどの程度洪水危険度が高まるかを表す指標です。

単に「その場所でどれだけ雨が降ったか」だけではなく、上流域に降った雨が時間差をもって河川を流れ下る影響を考慮します。

上流域の雨

地表・地中を通って河川へ流出

河川を流れ下る

下流の洪水危険度に影響

■ (a) 氾濫水の移動も考慮する?

(a)は誤りです。

流域雨量指数では、降った雨が地表面や地中を通って河川に流れ出す過程や、河川を流れ下る過程を計算します。

しかし、氾濫が発生した後の氾濫水の移動そのものまで計算する指標ではありません。

したがって、「氾濫水の移動も考慮して算出される」という部分が誤りです。

独学者がよく間違えるポイント

「洪水危険度を表す指標だから、氾濫した水の広がりまで計算している」と考えがちです。

しかし流域雨量指数は、河川の洪水危険度を表す指数であり、氾濫水の浸水範囲や移動を直接計算するものではありません。

流域雨量指数
= 氾濫水の移動計算ではない

■ (b) 基準値には過去災害や地域差が反映される

(b)は正しいです。

洪水警報などの発表基準として用いられる流域雨量指数の基準値は、過去の洪水災害発生時の指数値を調査したうえで設定されています。

そのため、指数計算そのものでは直接考慮されていない要素も、基準値の設定には一定程度反映されます。

たとえば、堤防や河川改修などの整備状況の違いは、指数計算の中で直接細かく表現されるわけではありません。

しかし、過去の災害実績を踏まえて基準値を設定することで、地域ごとの洪水の起こりやすさがある程度反映されます。

ここがポイント!

流域雨量指数そのものと、警報・注意報の発表基準は分けて考えましょう。

指数計算で直接扱わない要素も
基準値には一定程度反映される

■ (c) バックウォーター現象を表現できる?

(c)は誤りです。

バックウォーター現象とは、本川の水位が高くなることで、支川の水が本川へ流れ込みにくくなり、支川側の水位も上昇する現象です。

流域雨量指数は、上流域に降った雨が河川を流れ下る影響を評価する指標ですが、下流側の水位変化によるバックウォーター現象まで表現するものではありません。

したがって、「バックウォーター現象による水位上昇も表現できる」という記述は誤りです。

ここが引っかけ!

流域雨量指数は洪水危険度を表すため、「水位上昇に関係する現象は全部表現できる」と思いがちです。

しかし、バックウォーターのような下流側の水位変化による影響は、流域雨量指数の対象外です。

上流から流れてくる水は見る
下流側からのせき上げは見ない

■ 流域雨量指数で見るもの・見ないもの

項目 流域雨量指数での扱い
降雨から河川への流出 考慮する
河川を流れ下る過程 考慮する
過去災害との関係 基準値設定に反映される
氾濫水の移動 直接は考慮しない
バックウォーター現象 表現しない

■ 選択肢の確認

項目 判定 理由
(a) 氾濫水の移動までは考慮しない
(b) 過去災害時の指数値を調査して基準値を設定しており、地域差も一定程度反映される
(c) バックウォーター現象による水位上昇は表現しない

■ まとめ

  • 流域雨量指数は、上流域に降った雨による下流の洪水危険度を表す指標
  • 降雨の流出と河川流下を計算する
  • 氾濫水の移動までは計算しない
  • 警報等の基準値には過去災害時の指数値が反映される
  • 堤防整備状況なども基準値には一定程度反映される
  • バックウォーター現象は表現しない

正解は④

この問題で必ず押さえたいこと

流域雨量指数は、洪水危険度を表す重要な指標ですが、すべての水害現象を直接計算するものではありません。

流域雨量指数
= 上流の雨が河川を流れ下る影響を見る指数

氾濫水の移動やバックウォーター現象まで含めて考えないように注意しましょう。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第65回 専門知識 問13の解説でした!

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