【気象予報士試験 一般知識】気候変動をわかりやすく解説|温室効果・CO2・酸性雨・ボーエン比・海面水位上昇
こんにちは!今回は、気象予報士試験の一般知識で出題されやすい「気候変動」について補足講義をします。
気候変動の分野は、地球温暖化、温室効果、二酸化炭素濃度、酸性雨、ボーエン比、海面水位上昇など、覚える事項が多い単元です。
ただし、試験で問われるポイントはある程度決まっています。
この記事では、過去問演習で押さえておきたい事項を、独学資格塾オリジナルの形で整理していきます。
この記事でわかること
- 全球平均気温・海面水温の上昇傾向
- 温室効果気体の考え方
- 水蒸気・二酸化炭素・メタンの違い
- 永久凍土融解と正のフィードバック
- 二酸化炭素濃度の季節変化と南北差
- 酸性雨の原因物質
- ボーエン比の意味
- 海面水位上昇の主な要因
この単元で最初に押さえること
気候変動は
「数値の丸暗記」だけでなく
「なぜそうなるか」まで押さえる
■ 1. 気温・海面水温の上昇
地球温暖化により、全球平均地上気温や海面水温は長期的に上昇しています。
気象予報士試験では、細かい数値そのものよりも、地上気温も海面水温も上昇していること、そして日本近海の海面水温の上昇率が比較的大きいことを押さえることが大切です。
| 項目 | 覚えたい傾向 |
|---|---|
| 全球平均地上気温 | 長期的に上昇している |
| 全球平均海面水温 | 長期的に上昇している |
| 日本近海の海面水温 | 全球平均よりも上昇率が大きくなりやすい |
試験での押さえ方
- 地上気温は長期的に上昇している
- 海面水温も長期的に上昇している
- 海洋は熱容量が大きいため、変化は大気より緩やかになりやすい
- 日本近海の海面水温も長期的に上昇している
■ 2. 温室効果とは
温室効果とは、地表や大気から放出される赤外放射を、温室効果気体が吸収・再放射することで、地表付近の気温が高く保たれる働きです。
温室効果気体には、主に水蒸気、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、オゾンなどがあります。
代表的な温室効果気体
- 水蒸気
- 二酸化炭素
- メタン
- 一酸化二窒素
- オゾン
ここで注意したいのは、現在の地球全体での寄与の大きさと、分子1個あたりの温室効果の強さは同じではないということです。
| 見方 | 考え方 |
|---|---|
| 現在の地球全体での寄与 | 大気中にどれだけ存在するかも影響する |
| 分子1個あたりの強さ | 同じ分子数で比べた場合の吸収能力を見る |
よくある混同
「温室効果への寄与が大きい気体」と「分子1個あたりの温室効果が強い気体」は、同じ意味ではありません。
■ 水蒸気と二酸化炭素の違い
水蒸気は大気中に多く存在し、温室効果への寄与も大きい気体です。
一方で、二酸化炭素は人間活動によって濃度が増加しており、地球温暖化を考えるうえで非常に重要です。
ざっくり整理
- 水蒸気:現在の温室効果への寄与が大きい
- 二酸化炭素:人間活動による増加が重要
- メタン:分子1個あたりの温室効果が強い
■ 3. 永久凍土の融解
地球温暖化が進むと、北極圏などの永久凍土が融解しやすくなります。
永久凍土には、有機物が閉じ込められています。これが融解すると、微生物の分解が進み、メタンや二酸化炭素などの温室効果気体が大気中に放出されることがあります。
気温上昇
↓
永久凍土が融解
↓
メタンなどが放出
↓
温室効果が強まる
↓
さらに気温上昇
このように、最初の変化がさらに同じ方向の変化を強める仕組みを、正のフィードバックといいます。
■ 4. 二酸化炭素濃度の特徴
二酸化炭素濃度は、長期的には増加傾向にあります。
また、季節変化や南北差にも特徴があります。
| 特徴 | 理由・ポイント |
|---|---|
| 長期的に増加 | 化石燃料の燃焼など、人間活動の影響が大きい |
| 北半球で年平均濃度が高くなりやすい | 人間活動による排出源が北半球に多いため |
| 冬に高く、夏に低くなりやすい | 植物の光合成が夏に活発で、CO2を吸収するため |
季節変化のイメージ
夏
↓
植物の光合成が活発
↓
CO2を吸収
↓
二酸化炭素濃度は低くなりやすい
冬
↓
植物の活動が弱まる
↓
CO2の吸収が減る
↓
二酸化炭素濃度は高くなりやすい
■ 二酸化炭素濃度はどのくらい増えているか
工業化以前の二酸化炭素濃度は、約278ppmとされています。
近年の世界平均濃度は420ppmを超えており、工業化以前と比べて大きく増加しています。
試験での注意
古い参考書では「2010年代後半に約1.5倍」という説明が出てくることがありますが、現在はさらに濃度が増加しています。試験では、細かい最新値よりも工業化以前から大きく増加しているという関係を押さえましょう。
■ 5. 酸性雨
酸性雨の主な原因物質は、硫黄酸化物と窒素酸化物です。
これらは、石油や石炭などの化石燃料の燃焼、火山活動などによって大気中に放出されます。
硫黄酸化物・窒素酸化物
↓
大気中で化学変化
↓
硫酸・硝酸などになる
↓
降水に溶け込む
↓
酸性雨
酸性雨で押さえること
- 原因物質は硫黄酸化物と窒素酸化物
- 化石燃料の燃焼が主な人為起源
- 大気中で硫酸や硝酸となる
- 国境を越えて運ばれることもある
■ 6. ボーエン比
ボーエン比とは、顕熱輸送量と潜熱輸送量の比です。
ボーエン比 = 顕熱輸送量 ÷ 潜熱輸送量
| 熱の種類 | 意味 |
|---|---|
| 顕熱 | 空気の温度を直接上げる熱 |
| 潜熱 | 水の蒸発など、相変化に使われる熱 |
ボーエン比の見方
- ボーエン比が大きい:顕熱が相対的に大きく、気温上昇に使われる熱が多い
- ボーエン比が小さい:潜熱が相対的に大きく、水の蒸発に使われる熱が多い
■ 都市と郊外のボーエン比
都市では、アスファルトやコンクリート面が多く、地表面の水分が少ないため、蒸発に使われる熱が少なくなりやすいです。
その結果、顕熱として空気を暖める熱が多くなり、ボーエン比は大きくなりやすいです。
一方、郊外では土や植物が多く、水分が比較的豊富です。
そのため、蒸発散によって潜熱に使われる熱が多くなり、ボーエン比は小さくなりやすいです。
| 場所 | 特徴 | ボーエン比 |
|---|---|---|
| 都市 | 水分が少なく、顕熱が大きい | 大きい |
| 郊外 | 土や植物が多く、潜熱が大きい | 小さい |
■ 7. 海面水位上昇
地球温暖化に伴い、世界平均海面水位は長期的に上昇しています。
海面水位上昇の主な要因は、海水の熱膨張と氷河・氷床の融解や流出です。
海面水位上昇の主な要因
- 海洋が温まることによる海水の熱膨張
- 山岳氷河の融解
- グリーンランド氷床の融解・流出
- 南極氷床の融解・流出
- 陸域の貯水量の変化
海が温まる
↓
海水が膨張する
↓
海面水位が上昇する
陸上の氷が融ける
↓
海へ流れ込む
↓
海面水位が上昇する
ひっかけ注意
海に浮いている海氷が融けること自体は、海面水位上昇の主因ではありません。海面水位上昇で重要なのは、海水の熱膨張と、陸上にある氷河・氷床の融解や流出です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 水蒸気と二酸化炭素の役割を混同する
水蒸気は現在の温室効果への寄与が大きい一方、二酸化炭素は人間活動による増加が地球温暖化で重要です。
2. CO2濃度の季節変化を逆に覚える
夏は植物の光合成が活発になり、CO2を吸収するため、濃度は低くなりやすいです。冬は植物活動が弱まり、濃度が高くなりやすいです。
3. ボーエン比の分母を間違える
ボーエン比は「顕熱輸送量 ÷ 潜熱輸送量」です。潜熱が大きいほど、ボーエン比は小さくなります。
4. 海氷の融解を海面水位上昇の主因と考える
海面水位上昇の主因は、海水の熱膨張と、陸上にある氷河・氷床の融解や流出です。
5. 酸性雨の原因物質をCO2と混同する
酸性雨の主な原因は、硫黄酸化物と窒素酸化物です。二酸化炭素は温室効果気体として重要ですが、酸性雨の主原因として問われる物質ではありません。
■ 確認表
| テーマ | 覚えるポイント |
|---|---|
| 気温・海面水温 | どちらも長期的に上昇している |
| 温室効果 | 赤外放射を吸収・再放射する気体が関係する |
| 永久凍土 | 融解によりメタンなどが放出され、正のフィードバックが働く |
| CO2濃度 | 長期的に増加、北半球で高く、夏に低く冬に高い |
| 酸性雨 | 原因は硫黄酸化物と窒素酸化物 |
| ボーエン比 | 顕熱輸送量 ÷ 潜熱輸送量 |
| 海面水位上昇 | 海水の熱膨張と陸上氷の融解・流出が重要 |
■ まとめ
- 全球平均地上気温と海面水温は長期的に上昇している
- 温室効果気体には水蒸気、二酸化炭素、メタンなどがある
- 水蒸気は温室効果への寄与が大きく、二酸化炭素は人間活動による増加が重要
- 永久凍土が融解するとメタンなどが放出され、温暖化を強める可能性がある
- 二酸化炭素濃度は夏に低く、冬に高くなりやすい
- 酸性雨の主な原因は硫黄酸化物と窒素酸化物
- ボーエン比は顕熱輸送量を潜熱輸送量で割ったもの
- 海面水位上昇の主因は海水の熱膨張と陸上氷の融解・流出
この講義で必ず押さえたいこと
気候変動は
「原因」と「結果」をセットで覚える
CO2増加
温室効果
永久凍土融解
酸性雨
ボーエン比
海面水位上昇
それぞれの仕組みを説明できるようにする
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験に関連する内容を掲載しています。
問題文・図表等の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、気象予報士試験の一般知識で重要な気候変動の補足講義でした!
訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
