【第55回 気象予報士試験 実技2】問3を徹底解説|平島の非常に激しい雨・乾燥空気流入・高相当温位・内之浦の大雨実況
こんにちは!今回は第55回 気象予報士試験 実技2 問3を解説します!
今回の問3では、平島で観測された非常に激しい雨と、内之浦の大雨予想と実況の比較がテーマです。
水蒸気画像で見る上中層の乾燥空気流入、850hPa相当温位・風で見る下層の暖湿気と収束を組み合わせて、大雨の要因を整理します。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問3(1) 平島で非常に激しい雨となった要因
模範解答
①
渦状の雲の南側に暗域が回り込み、平島の西側の上中層に乾燥空気が流れ込んでいる。
② 相当温位の分布:
平島のすぐ西に333K以上の高相当温位域が南南西〜北北東にのび、その西側で等相当温位線が混んでいる。
風の分布:
平島付近では南〜南南西の風、その西側では南西の風で、収束がみられる。
◇ 解説
① 水蒸気画像で見る乾燥空気の流れ
図8の水蒸気画像を見ると、朝鮮半島付近に渦状の雲があり、その南側に暗域が回り込んでいます。
水蒸気画像の暗域は、上中層の乾燥した空気を表します。
この暗域が平島の西側へ流れ込んでいることから、
平島の西側の上中層に乾燥空気が流入
していると読み取れます。
上空に乾燥空気が入り、下層に暖かく湿った空気があると、大気の不安定が強まりやすくなります。
そのため、積乱雲が発達し、短時間強雨につながりやすい場になります。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで:平島の西側の上中層で
なぜ:渦状の雲の南側に暗域が回り込んでいるため
何が起きている:乾燥空気が流れ込んでいる
つまずきポイント
水蒸気画像の暗域は、単に「雲が少ない場所」ではありません。
上中層の乾燥空気を表すため、対流の発達や不安定化と関連づけて読み取ります。
② 850hPa相当温位の分布
図9の850hPa相当温位・風の予想図を見ると、平島のすぐ西に333K以上の高相当温位域があります。
この高相当温位域は、
南南西〜北北東方向
に細長くのびています。
さらに、その西側では等相当温位線が混んでおり、相当温位の水平傾度が大きくなっています。
高相当温位の空気は、暖かく湿った空気です。
そのため、333K以上の高相当温位空気が平島付近に流入していることは、強い雨をもたらす重要な材料になります。
記述式解答のポイント:分布型
どこで:平島のすぐ西で
何が起きている:333K以上の高相当温位域が南南西〜北北東にのび、その西側で等相当温位線が混んでいる
③ 850hPa風の分布と収束
風の分布を見ると、平島付近では南〜南南西の風が吹いています。
一方、平島の西側では南西の風となっています。
このように風向が変化しているため、平島付近では下層の空気が集まり、
収束
がみられます。
下層で収束が起こると、空気は上昇しやすくなります。
そこに333K以上の暖湿空気が流れ込んでいるため、積乱雲が発達し、平島で非常に激しい雨が発生したと考えられます。
超重要ポイント
大雨の要因は、次の3点で整理すると分かりやすいです。
- 上中層:乾燥空気の流入
- 下層:333K以上の高相当温位空気
- 風の場:南寄り風と南西風による収束
■ 問3(1)まとめ
- 水蒸気画像では渦状の雲の南側に暗域が回り込む
- 平島の西側の上中層に乾燥空気が流入している
- 平島のすぐ西に333K以上の高相当温位域がある
- 高相当温位域は南南西〜北北東にのびる
- その西側で等相当温位線が混んでいる
- 平島付近では南〜南南西風、西側では南西風
- 風向差により収束がみられる
- 暖湿空気と収束により積乱雲が発達しやすい
■ 問3(2) 平島・内之浦の前12時間降水量予想
模範解答
平島:12時間後 10mm、24時間後 0mm
内之浦:12時間後 10mm、24時間後 10mm
◇ 解説
問3(2)では、図5・図6を使って、平島と内之浦で予想される前12時間降水量の最大値を読み取ります。
問題文では、対象地点が降水量の等値線上にあればその値を、等値線上でない場合は対象地点を挟む2つの等値線のうち大きい方の値を答えるとされています。
図5の12時間予想では、平島・内之浦ともに10mmと読み取ります。
図6の24時間予想では、平島は0mm、内之浦は10mmです。
つまずきポイント
ここで問われているのは「累積降水量」ではなく、各予想時刻における前12時間降水量です。
12時間後と24時間後を足し合わせないように注意しましょう。
■ 問3(2)まとめ
- 平島の12時間後予想は10mm
- 平島の24時間後予想は0mm
- 内之浦の12時間後予想は10mm
- 内之浦の24時間後予想は10mm
- 前12時間降水量なので、単純に累積しない
■ 問3(3) 内之浦の実況降水量と予想値の比較
模範解答
① 20
② 121
③ 39
◇ 解説
問3(3)では、表1の内之浦における積算降水量を用いて、実況値と予想値を比較します。
表1を見ると、内之浦では30日20時に、前1時間降水量の最大値121mmを観測しています。
これは1時間に100mmを超える非常に顕著な雨量であり、予想よりもはるかに大きな降水が発生したことを示しています。
30日9時から21時までの前12時間降水量
30日21時時点の積算降水量は392.5mm、30日9時時点の積算降水量は5.5mmです。
したがって、30日9時から21時までの12時間降水量は、
392.5mm − 5.5mm = 387mm
です。
問3(2)で、内之浦の24時間後に予想された前12時間降水量は10mmでした。
よって、実況値は予想値の、
387 ÷ 10 = 38.7 ≒ 39倍
となります。
したがって、③は39です。
記述式解答のポイント:比較型
どこで:内之浦で
いつ:30日9時から21時までの12時間で
何が起きている:実況の前12時間降水量が予想値の約39倍となった
計算でつまずくポイント
積算降水量から前12時間降水量を求めるときは、
終了時刻の積算降水量 − 開始時刻の積算降水量
で計算します。
今回は、392.5mmから5.5mmを引いて387mmを求めます。
■ 問3 全体まとめ
- 平島の西側上中層に乾燥空気が流入している
- 平島のすぐ西に333K以上の高相当温位域がある
- 高相当温位域の西側で等相当温位線が混んでいる
- 平島付近では南〜南南西風、その西側では南西風
- 風向差により下層収束がみられる
- 平島の前12時間降水量予想は12時間後10mm、24時間後0mm
- 内之浦の前12時間降水量予想は12時間後10mm、24時間後10mm
- 内之浦では30日20時に前1時間降水量121mmを観測
- 30日9時〜21時の12時間降水量実況値は387mm
- 実況値は予想値の約39倍
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第55回 気象予報士試験 実技2 問3の解説でした!
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