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【例題】企画プロセスの問題
共通フレームによれば、企画プロセスにおいて定義するものはどれか。
ア. ユーザーのニーズを聞き、業務要件を洗い出す
イ. システムに必要な機能・非機能要件を定義する
ウ. 経営目標達成に必要なシステムの経営上のニーズや課題を定義する
エ. ソフトウェアの機能・能力・外部インタフェースを定義する
前回はシステム戦略(情報システム戦略・EA・BPR・クラウド・BI)を学びました。今回は「システム化計画・要件定義・調達」を徹底解説します。企画プロセスとROI・ITポートフォリオ・プライバシーバイデザイン・要件定義(機能要件・非機能要件)・調達の流れ(RFI・RFP)・グリーン調達まで、試験に出る重要キーワードを丁寧に解説します!
目次
- システム化計画とは(共通フレームの5プロセス)
- 企画プロセスの4人の登場人物
- システム化構想とシステム化計画の違い
- ROI(投資利益率)とITポートフォリオ
- プライバシーバイデザイン
- 要件定義プロセスとは
- 機能要件・非機能要件・組織及び環境要件
- 非機能要件の種類(共通フレーム2013)
- 調達とは(RFI・RFP)
- 調達の流れ(選定・契約)
- グリーン調達・CSR調達
- 過去問チャレンジ!(6問)
- この章のまとめ
1. システム化計画とは(共通フレームの5プロセス)
▲ システム化計画と企画プロセス・ROI・ITポートフォリオの図解
共通フレームとは、システム開発の各工程の作業内容や用語を標準化したガイドラインです。共通フレームは主に「企画」「要件定義」「開発」「運用」「保守」の5つのプロセスから構成されます。
| プロセス名 | 主な作業 |
|---|---|
| 企画プロセス | 経営目標を実現するためのシステムを計画する(経営上のニーズを確認) |
| 要件定義プロセス | システム化する範囲・機能・性能を決める(ユーザーのニーズを確認) |
| 開発プロセス | 要件定義をもとにシステムを設計・開発する |
| 運用プロセス | 開発したシステムを実際に運用・稼働させる |
| 保守プロセス | システムの不具合修正・機能追加を行う |
📝 ポイント:共通フレームの前半工程
「本章で学ぶのは前半の2プロセス(企画・要件定義)と調達」です。試験では各プロセスの「目的・内容」を問う問題が頻出です!
2. 企画プロセスの4人の登場人物
企画プロセスと要件定義プロセスでは、4人の登場人物が関係します。
| 登場人物 | 役割 |
|---|---|
| 経営者 | 経営目標・戦略を指示する。企画プロセスでニーズを伝える |
| 情報システム部 | システム開発を主導する。経営者とユーザーとベンダーをつなぐ中心的存在 |
| ユーザー | システムの実際の利用者。要件定義プロセスでニーズを伝える |
| ベンダー(SI) | 外部のシステム開発会社。調達で発注を受けて開発する |
📝 ポイント:各プロセスの関係性
企画プロセスでは「情報システム部が経営者のニーズを聞く」、要件定義プロセスでは「情報システム部がユーザーのニーズを聞く」、調達では「情報システム部がベンダーに発注する」の流れを覚えましょう!
3. システム化構想とシステム化計画の違い
企画プロセスは「システム化構想の立案」と「システム化計画の立案」の2つのプロセスに分かれます。名前は似ていますが、内容は異なります。
| 比較項目 | システム化構想の立案 | システム化計画の立案 |
|---|---|---|
| 目的 | 経営目標を実現するためのシステムの要件・方向性を決める | システム開発の具体的な計画を立てる |
| 主なタスク(★頻出) | 経営上のニーズと課題の確認 | 費用とシステム投資効果の予測(ROI) |
| ポイント | 全体最適化を実現するシステムを目指す | 開発費用と得られる効果を比較・評価する |
📌 重要:構想と計画の違い
「システム化構想=経営上のニーズを確認」「システム化計画=費用・投資効果(ROI)の予測」が試験でのキーワードです!「構想」と「計画」の違いを確実に覚えましょう。
4. ROI(投資利益率)とITポートフォリオ
ROI(Return On Investment:投資利益率)とは、情報システムの費用対効果(コストパフォーマンス)を評価するための指標です。
例:投資額100万円、利益20万円の場合 → ROI = 20 ÷ 100 × 100 = 20%
ROIの値が高いほど、投資効果が高い
ITポートフォリオとは、情報システムへの投資対象を「リスク」と「投資価値」によって分類・管理する手法です。
| 比較項目 | ROI | ITポートフォリオ |
|---|---|---|
| 意味 | 投資利益率(費用対効果の指標) | 投資対象をリスクと投資価値で分類 |
| 用途 | 特定のシステム投資の効果を数値化 | 複数の投資プロジェクトを全体で管理 |
| キーワード | コストパフォーマンス・費用対効果 | リスク管理・投資の優先順位付け |
📝 ポイント:投資に関する用語
「ROI=投資利益率(利益÷投資額×100)」「ITポートフォリオ=投資をリスクと投資価値で分類管理」が試験頻出です!
5. プライバシーバイデザイン
▲ プライバシーバイデザインとシステムライフサイクル・重要用語まとめ
プライバシーバイデザイン(Privacy by Design)とは、システムの企画プロセスの段階から、個人情報漏えい対策を予防的に組み込んでおくことです。
| 比較 | 従来のアプローチ | プライバシーバイデザイン |
|---|---|---|
| タイミング | 問題が発生してから対策を追加 | 企画段階から予防的に対策を組み込む |
| 効果 | 被害・対策費用が大きくなりがち | リスク・被害・費用を最小化できる |
| キーワード | 事後対応・追加コスト | 予防的・設計段階から組み込む |
📌 重要:プライバシーバイデザイン
「プライバシーバイデザイン=企画プロセスの段階から個人情報漏えい対策を予防的に組み込む」が試験でのキーワードです!「プライバシーマーク(適切な個人情報取り扱い事業者に与えられるマーク)」と混同しないよう注意!
6. 要件定義プロセスとは
▲ 要件定義プロセスと機能要件・非機能要件・共通フレームの図解
要件定義プロセスとは、システム化する範囲(システムが持つべき機能や性能)を決めるプロセスです。
要件定義プロセスの主な目的は「利害関係者のニーズを識別すること(★頻出)」です。
利害関係者とは、ベンダー・社員・他社・地域社会など、システムを作ることで利害を受けるすべての人のことです。
| プロセス | 誰のニーズを聞くか | キーワード |
|---|---|---|
| 企画プロセス | 経営者のニーズ | 経営上のニーズ・課題 |
| 要件定義プロセス(★頻出) | ユーザー・利害関係者のニーズ | 利害関係者のニーズの識別 |
📝 ポイント:プロセスの目的
「要件定義プロセス=利害関係者のニーズを識別すること」が最頻出!企画プロセス(経営上のニーズ)との違いを必ず覚えましょう。
7. 機能要件・非機能要件・組織及び環境要件
要件定義プロセスでは、ユーザーへのヒアリングをもとに「業務要件」を洗い出します。業務要件はさらに3種類に分類されます。
| 分類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 組織及び環境要件 | 業務の遂行に必要な組織構成・従業員数・設備などの条件 | 経理部の人員構成・オフィスの設備 |
| 機能要件 | ユーザーへのヒアリングで明らかになった、システムに必要な機能 | 注文受付機能・会計機能・在庫管理機能 |
| 非機能要件(★頻出) | ユーザーのヒアリングでは出てこないが、システムに必要な性能・品質 | セキュリティ・使いやすさ・処理速度・信頼性 |
📌 重要:機能要件と非機能要件
「非機能要件=ユーザーのヒアリングでは出てこないが必要なシステムの性能・品質」。「機能要件=ヒアリングで明らかになる機能」との違いが出題されます!
8. 非機能要件の種類(共通フレーム2013)
共通フレーム2013では、非機能要件は全部で33個の項目があります。試験で最も頻出なのは「技術要件の開発基準・標準」です。
| 分類 | 主な項目 | 試験での重要度 |
|---|---|---|
| 品質特性 | 機能性・信頼性・使用性・効率性・保守性・移植性 | 中程度 |
| 技術要件(★最頻出) | システムの実現方法・システムの構成・開発方式・開発基準・標準・開発環境 | ★★★ |
| 運用・操作要件 | システム運用手順・運用スケジュール・障害復旧時間・サービス提供条件 | 中程度 |
📌 重要:非機能要件の頻出項目
「非機能要件で試験に出るのはほぼ『技術要件の開発基準・標準』」!「開発基準・標準=プログラムのコーディング規則などの開発手法・ルールをまとめた文書」を覚えましょう。
9. 調達とは(RFI・RFP)
▲ 調達の流れ(RFI・RFP・調達選定・契約)とグリーン調達の図解
調達とは、企業がお金を払ってベンダー(外部のシステム開発会社)にシステムを開発してもらうことです。調達には発注企業と受注企業の間で交わす契約も含まれます。
| 用語 | 正式名称 | 日本語名 | 目的・内容 |
|---|---|---|---|
| RFI(★頻出) | Request For Information | 情報提供依頼書 | ベンダーの実績・技術・経験などの情報提供を依頼する文書。発注側→ベンダーへ送付 |
| RFP(★★最頻出) | Request For Proposal | 提案依頼書 | システム化の目的・調達条件を示し、提案書の提出を依頼する文書。発注側→ベンダーへ送付 |
📌 重要:RFIとRFPの違い
「RFP=提案依頼書(発注側がベンダーに送る)」「RFI=情報提供依頼書」が最頻出!「提案書(ベンダーが作成して発注側に提出)」と混同しないよう注意!
10. 調達の流れ(選定・契約)
調達の流れは次の5ステップです。
- RFI送付(情報システム部→ベンダー):ベンダーの技術力・実績を調査する
- RFP送付(情報システム部→ベンダー):システムの要件・条件を示し提案を依頼する
- 提案書の受領(ベンダー→情報システム部):ベンダーが具体的な提案書を作成・提出する
- 調達先の選定(情報システム部):提案書・能力・費用などを比較して最適なベンダーを選ぶ
- 契約締結(情報システム部↔ベンダー):役割・責任・費用・期間などを文書で確認する
📝 ポイント:調達の手順
試験では「RFPで提案書の提出を依頼する→ベンダーが提案書を作成→調達先を選定→契約」の流れを覚えましょう。「b=RFP(提案書の提出依頼)」という穴埋め問題が頻出です!
11. グリーン調達・CSR調達
グリーン調達とは、調達先から製品を買うときに、単に安さや品質だけでなく「環境負荷が小さい製品を優先して購入すること」です。
| 項目 | グリーン調達(★頻出) | CSR調達 |
|---|---|---|
| 定義 | 環境負荷が小さい製品・サービスを優先して購入 | 調達先に対して社会的責任(CSR)の取り組みを求めること |
| 根拠 | グリーン購入法(環境にやさしい製品を優先購入する法律) | CSR(Corporate Social Responsibility:企業の社会的責任) |
| 関連規格 | ISO14001(環境マネジメントシステムの規格) | – |
| 求める内容 | 環境にやさしい製品の優先購入 | 法令遵守・人権尊重・環境保護 |
📝 ポイント:グリーン調達とCSR
「グリーン調達=品質・価格だけでなく環境負荷の小ささで選ぶ」「ISO14001=環境マネジメントシステムの規格」が試験頻出!「グリーン購入法」もキーワードです。
12. 過去問チャレンジ!(6問)
🎯 記事冒頭の例題にチャレンジ!
問題1【再掲】企画プロセスの問題
共通フレームによれば、企画プロセスにおいて定義するものはどれか。
ア. ユーザーのニーズを聞き、業務要件を洗い出す
イ. システムに必要な機能・非機能要件を定義する
ウ. 経営目標達成に必要なシステムの経営上のニーズや課題を定義する
エ. ソフトウェアの機能・能力・外部インタフェースを定義する
✅ 解答・完全解説
正解:ウ(経営目標達成に必要なシステムの経営上のニーズや課題を定義する)
解説:
企画プロセスで定義するのは「経営上のニーズ・課題」です。ア→要件定義プロセス(業務要件)、イ→要件定義プロセス(機能・非機能要件)、エ→システム開発プロセス(ソフトウェア実装)の内容です。
【過去問 その2】ROIの説明(令和5年度)
情報化投資計画において、投資価値の評価指標であるROIを説明したものはどれか。
ア. 投資案件をリスクと投資価値によって分類する手法
イ. 売上増やコスト削減などの投資効果と投資費用の比率
ウ. 自社の業務手順を業界最善と比較して改善する手法
エ. 大企業の情報システムを全体最適化するための手法
💡 解答・解説
正解:イ
ROIは「投資利益率=投資効果÷投資費用×100%」です。ア→ITポートフォリオ、ウ→ベンチマーキング、エ→エンタープライズアーキテクチャの説明です。
【過去問 その3】プライバシーバイデザイン(令和3年度)
システム開発の上流工程において、システム稼働後に発生する可能性がある個人情報の漏えいや目的外利用などのリスクに対する予防的な機能を検討し、その機能をシステムに組み込むものはどれか。
ア. 情報セキュリティ方針
イ. セキュリティレベル
ウ. プライバシーバイデザイン
エ. プライバシーマーク
💡 解答・解説
正解:ウ(プライバシーバイデザイン)
プライバシーバイデザインは「企画段階から個人情報漏えい対策を予防的に組み込む」考え方です。ア→セキュリティの方針文書、イ→操作権限の階級、エ→個人情報を適切に扱う事業者に与えられるマーク。
【過去問 その4】要件定義プロセス(平成29年度)
要件定義プロセスで実施すべきものはどれか。
ア. 事業の目的・目標を達成するために必要なシステム化の方針および実施計画を立案する
イ. システムに関わり合いをもつ利害関係者の種類を識別し、利害関係者のニーズ・要望および制約条件を識別する
ウ. 目的とするシステムの機能・能力を定義し、ハードウェア・ソフトウェアによる実現方式を確立する
エ. 利害関係者の要件を満足するソフトウェア製品を得るための方式設計を行う
💡 解答・解説
正解:イ
要件定義プロセスのキーワードは「利害関係者のニーズを識別」です。ア→企画プロセス、ウ→システム開発プロセス、エ→ソフトウェア実装プロセスの内容です。
【過去問 その5】調達の流れ(平成25年度)
次の手順で情報システムを調達する場合、bに入るものはどれか。
a:発注元はシステム化の目的や業務内容などを示し、調達先に情報提供を依頼する。
b:発注元は調達対象システム・調達条件などを示し、提案書の提出を依頼する。
c:発注元は提案書・能力などに基づいて調達先を決定する。
d:発注元と調達先の役割・責任分担などを文書で確認する。
【選択肢】ア. RFI イ. RFP ウ. 供給者の選定 エ. 契約の締結
💡 解答・解説
正解:イ(RFP)
aはRFI(情報提供依頼)、bはRFP(提案依頼書)、cは供給者の選定、dは契約の締結です。
【過去問 その6】グリーン調達(平成28年度)
グリーン調達の説明はどれか。
ア. 環境保全活動を実施している企業が投資家から環境保全のための資金を募ることである
イ. エコマークなどの環境表示に関する国際規格のことである
ウ. グリーン電力を市場で取引可能にする証書のことである
エ. 品質や価格の要件を満たすだけでなく、環境負荷が小さい製品やサービスを優先して調達することである
💡 解答・解説
正解:エ
グリーン調達は「品質・価格の要件を満たすだけでなく、環境負荷が小さい製品・サービスを優先して購入すること」です。グリーン購入法が根拠となっています。
13. この章のまとめ
📌 システム化計画・要件定義・調達のまとめ
- 共通フレームの5プロセス:企画・要件定義・開発・運用・保守
- 企画プロセス:経営上のニーズと課題を確認する(経営者のニーズ)
- システム化構想:経営上のニーズを確認するプロセス
- システム化計画:費用とシステム投資効果(ROI)を予測するプロセス
- ROI(投資利益率):利益÷投資額×100%。値が高いほど投資効果が高い
- ITポートフォリオ:投資対象をリスクと投資価値で分類・管理する手法
- プライバシーバイデザイン:企画段階から個人情報漏えい対策を予防的に組み込む(★頻出)
- 要件定義プロセス:利害関係者のニーズを識別する(★★最頻出)
- 機能要件:ユーザーのヒアリングで明らかになるシステムの機能
- 非機能要件:ヒアリングでは出てこないシステムの性能・品質(「開発基準・標準」が最頻出)
- 調達:ベンダーにシステム開発を発注すること
- RFI(情報提供依頼書):ベンダーの技術・実績を調査するための文書(発注側→ベンダー)
- RFP(提案依頼書):具体的な提案書の提出を依頼する文書(発注側→ベンダー)(★★最頻出)
- 提案書:ベンダーが作成して発注側に提出する文書
- グリーン調達:環境負荷が小さい製品を優先して購入すること(グリーン購入法・ISO14001)(★頻出)
- CSR調達:調達先に社会的責任(法令遵守・人権・環境)への取り組みを求めること
学習難易度:★★★☆☆(プロセス名と登場人物の役割を整理して覚えよう)
この記事について
基本情報技術者試験の合格を目指す方のために、参考書の内容を初心者向けにわかりやすく噛み砕いて解説しています。ITの基礎をしっかり固めて、一緒に合格を目指しましょう!
