【第65回 気象予報士試験 実技1】問3を徹底解説|フェーン現象・エマグラム・相対湿度計算
こんにちは!今回は第65回 気象予報士試験 実技1 問3を解説します!
今回の問3では、
- フェーン現象のメカニズム
- 山越え気流の鉛直運動
- 乾燥断熱減率・湿潤断熱減率
- エマグラムの読み取り
- LCL(持ち上げ凝結高度)
- 露点温度・相対湿度の計算
など、 山岳気象と熱力学の超頻出分野 が問われています。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問3(1) フェーン現象の鉛直流と気温分布
問題文
山脈の風上側と風下側について、
- 鉛直流の特徴
- 気温分布の違い
を記述する問題です。
模範解答
風下側は概ね下降流、風上側は概ね上昇流で、風下側は風上側より気温が高い。
記述式解答のポイント:メカニズム型・分布型
どこで:脊梁山脈の風上側と風下側で
なぜ:山越えに伴うフェーン現象が発生しているため
何が起きている:風上側では上昇流、風下側では下降流となり、風下側の気温が高くなっている
◇ 解説
フェーン現象は、 山越え気流による高温・乾燥現象 です。
風上側で何が起こる?
風が山脈にぶつかると、 地形によって強制的に持ち上げられます。
つまり、 風上側では上昇流 になります。
空気は上昇すると膨張するため、 断熱的に冷却します。
乾燥断熱減率と湿潤断熱減率
空気が未飽和なら、
約1℃/100m
で冷却します。
これが 乾燥断熱減率 です。
しかし、 雲ができて凝結が始まると、 水蒸気が潜熱を放出します。
そのため、 冷却率が小さくなります。
これが 湿潤断熱減率 です。
イメージで覚える!
乾燥空気は急激に冷えるが、 雲ができると潜熱で冷えにくくなる、 というイメージです。
なぜ風下側が高温になるのか?
山頂付近で降水が起こると、 空気中の水蒸気が失われます。
つまり、 山を越えた後の空気は乾燥しています。
その乾燥空気が下降すると、
約1℃/100m
で急激に昇温します。
結果として、 風下側では風上側より高温になります。
これがフェーン現象です。
つまずきポイント
「山を越えるから暖かくなる」のではなく、
降水で水蒸気を失った乾燥空気が下降昇温する
ことが本質です。
■ 問3(1)まとめ
- 風上側では地形性上昇流
- 風下側では下降流
- 下降時は乾燥断熱減率で昇温
- フェーン現象で高温・乾燥となる
■ 問3(2) エマグラムによる気温・露点・湿度解析
問題文
エマグラムを用いて、 山越え後の平地における
- 気温
- 露点温度
- 相対湿度
を求める問題です。
模範解答
気温36(37)℃、露点温度21(20)℃、相対湿度40%
記述式解答のポイント:メカニズム型・構造型
どこで:山越え後の風下側平地で
なぜ:下降昇温によって気温が大きく上昇したため
何が起きている:高温・低湿度の空気となっている
◇ 解説
この問題は、 エマグラムをどの順番で読むか が非常に重要です。
解く順番を整理!
- ① 地上気温 → 乾燥断熱線
- ② 地上露点 → 等飽和混合比線
- ③ 交点=LCL
- ④ 山頂までは湿潤断熱線
- ⑤ 山越え後は乾燥断熱線
① 地上気温から乾燥断熱線
まず、 風上側地上の気温から、 乾燥断熱線に沿って上へたどります。
② 地上露点から等飽和混合比線
同時に、 露点温度から等飽和混合比線を上へたどります。
この2本が交わる点が、
LCL(持ち上げ凝結高度) です。
LCLとは?
空気塊が上昇して、 最初に飽和して雲ができ始める高度です。
③ 山頂までは湿潤断熱線
LCLより上では飽和しているため、 湿潤断熱線に沿って進みます。
この図で確認するポイント
- 乾燥断熱線のたどり方
- 等飽和混合比線との交点
- LCLの位置
- 湿潤断熱線への切り替え
④ 山越え後は乾燥断熱線
山頂を越えた後は、 乾燥空気として下降するため、 乾燥断熱線に沿って1000hPaまで下ろします。
すると、 気温は 36〜37℃ となります。
この図で確認するポイント
- 山頂から下降する経路
- 乾燥断熱線に沿うこと
- 1000hPaでの気温読み取り
露点温度の読み取り
露点温度は、 山頂での混合比を保ったまま下降します。
つまり、 同じ等飽和混合比線を1000hPaまで下ろします。
すると、 露点温度は 20〜21℃ となります。
この図で確認するポイント
- 露点は同じ混合比線を使う
- 気温と露点を別々に読む
- 露点は気温ほど上がらない
相対湿度の計算
1000hPaで得られた
- 気温:約36℃
- 露点:約21℃
から混合比を読み取ります。
すると、
- 実際の混合比:約16g/kg
- 飽和混合比:約40g/kg
となります。
したがって、
16 ÷ 40 = 0.4
より、 相対湿度40% です。
受験生がつまずきやすいポイント
フェーンでは、
- 水蒸気量そのものは激増しない
- 気温だけ大きく上昇する
ため、 相対湿度が急低下します。
■ 問3(2)まとめ
- LCLは乾燥断熱線と混合比線の交点
- LCLより上は湿潤断熱線
- 下降時は乾燥断熱線
- 露点は同じ混合比線を使う
- フェーンで高温・低湿度になる
■ 問3(3) フェーン現象時の気象特徴
問題文
フェーン現象に伴う風下側の気象特徴を答える問題です。
模範解答
高温・乾燥・強風(このうち2つ)
記述式解答のポイント:リスク型
どこで:山脈風下側で
なぜ:フェーン現象によって下降昇温が起こるため
何が起きている:高温・乾燥・強風となる
◇ 解説
フェーン現象では、 山を越えた空気が乾燥断熱的に昇温するため、
- 高温
- 乾燥
- 強風
になりやすいです。
特に日本海側から太平洋側へ吹き下りるとき、 内陸で猛暑となる原因になります。
実務的にも重要!
フェーン現象は、
- 猛暑
- 乾燥
- 火災危険度上昇
など、 防災上も重要な現象です。
■ 問3 全体まとめ
- 風上側では上昇流、風下側では下降流
- フェーン現象で風下側が高温化する
- LCLは乾燥断熱線と混合比線の交点
- 山頂以降は乾燥断熱線で下降する
- 露点は同じ混合比線を使う
- フェーン時は高温・乾燥・強風となる
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第65回 気象予報士試験 実技1 問3の解説でした!
独学資格塾では、単なる模範解答だけでなく、「受験生がどこでつまずくのか?」を重視して解説しています。
訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
