【第65回 気象予報士試験 実技1】問2を徹底解説|停滞前線・対流不安定・鉛直流の読み取り
こんにちは!今回は第65回 気象予報士試験 実技1 問2を解説します!
今回の問2では、
- 停滞前線面の解析
- 等相当温位線の読み取り
- 前線面の傾斜計算
- 対流不安定の判定
- 対流雲発達のメカニズム
- 鉛直流の鉛直分布
など、実技試験で非常に重要な 「前線帯と対流活動の立体構造」 が問われています。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問2(1) 停滞前線面の解析と傾斜
問題文
断面図から、
- 800hPa・900hPaにおける停滞前線の位置
- 前線面の傾斜
を求める問題です。
模範解答
800hPaで北緯42.0°付近、900hPaで北緯40.5°付近、前線面の傾斜は約1/150
記述式解答のポイント:構造型
どこで:900〜800hPa付近の停滞前線面で
なぜ:暖気と寒気の境界で等相当温位線が密集しているため
何が起きている:緩やかに北へ傾斜した前線面が形成されている
◇ 解説
停滞前線は、 暖気と寒気の勢力がほぼ拮抗している前線 です。
そのため、前線面は比較的ゆっくり移動し、 水平に長く伸びた構造になります。
まず何を見るのか?
断面図では、 等相当温位線の密集帯 を探します。
相当温位は気団の性質を表す量なので、 暖気と寒気の境界では線が密集しやすく、 そこが前線面になります。
超重要ポイント
前線面は、
「等相当温位線が最も密な場所」
として読むのが基本です。
前線位置の読み取り
密集帯のうち、 南縁の下端 を前線位置として読み取ります。
すると、
- 900hPa:北緯40.5°付近
- 800hPa:北緯42.0°付近
となります。
つまずきポイント
単に「最も密な中心」を追うのではなく、
密集帯の南側境界
を追うのがコツです。
前線面の傾斜計算
まず水平距離を求めます。
緯度差は、
42.0 − 40.5 = 1.5°
です。
緯度1° ≒ 111kmなので、
1.5 × 111 ≒ 167km
となります。
次に鉛直距離です。
900hPa〜800hPaは、 およそ1kmです。
したがって、
前線面の傾斜 = 鉛直距離 ÷ 水平距離
より、
1km ÷ 167km ≒ 1/167
となり、 概算で 約1/150 です。
■ 問2(1)まとめ
- 前線面は等相当温位線の密集帯で読む
- 南縁の下端を追うのがコツ
- 緯度1° ≒ 111km を使う
- 停滞前線は非常に緩やかな傾斜を持つ
■ 問2(2) 対流不安定と対流雲発達
問題文
対流雲域周辺の大気安定度や、 相当温位分布について空欄を埋める問題です。
模範解答
| ① 上昇流域 | ② 対流不安定 | ③ 750hPa | ④ 不安定 |
| ⑤ 収束 | ⑥ 高く | ⑦ 対流 | ⑧ 混合 |
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで:停滞前線帯周辺で
なぜ:暖湿気が流入し、下層で対流不安定となっているため
何が起きている:強い対流雲が発生・発達している
◇ 解説
停滞前線帯では、 南から暖かく湿った空気が流れ込みます。
この暖湿気が、 前線面に沿って持ち上げられることで、 対流活動が活発になります。
対流不安定とは?
相当温位が、
高度とともに減少
している状態です。
つまり、 下層の空気ほど暖かく湿っていて、 上昇すると周囲より軽くなりやすい状態です。
イメージで覚える!
下層に「暖かく湿った軽い空気」がたまっている状態です。
少し持ち上げるだけで、 どんどん上へ上昇していきます。
なぜ対流雲が発達するのか?
対流不安定だけでは、 空気は自然には上昇しません。
そこへ、
- 前線面
- 地形
- 下層収束
などの「持ち上げる力」が加わることで、 対流不安定が解放されます。
その結果、 積乱雲が急発達します。
対流雲内部では何が起こる?
積乱雲内部では、
- 強い上昇流
- 下降流
が発生します。
つまり、 異なる高度の空気が上下に激しく入れ替わります。
これを 混合 といいます。
その結果、 相当温位の鉛直分布が均され、 雲内部では相当温位が全体的に高くなります。
超頻出ポイント
実技試験では、
- 対流不安定
- 下層収束
- 積乱雲発達
- 混合
はセットで出題されやすいです。
■ 問2(3) 鉛直流の鉛直分布
問題文
対流雲域付近と北緯40°付近について、 鉛直流の鉛直分布の違いを記述する問題です。
模範解答
対流雲域付近では全層で上昇流となっているが、北緯40°付近では700〜750hPa付近より上空で下降流となっている。
記述式解答のポイント:分布型
どこで:対流雲域付近と北緯40°付近で
なぜ:前線活動や対流活動の強さが異なるため
何が起きている:上昇流の及ぶ高度範囲が異なっている
◇ 解説
この問題では、 鉛直流の立体構造 を比較することがポイントです。
対流雲域付近
対流雲が活発な場所では、 下層から上層まで、 深い層で上昇流が続いています。
つまり、 積乱雲が上空高くまで発達できる環境です。
北緯40°付近
一方、 北緯40°付近では、
- 下層:上昇流
- 700〜750hPa以上:下降流
となっています。
つまり、 上昇流は浅い層に限られており、 上空では補償下降流となっています。
ここが重要!
鉛直流を見るときは、
「上昇流がどこまで伸びているか」
を見ると、 積乱雲が発達しやすいかどうか判断できます。
つまずきポイント
「上昇流がある」だけで終わらず、
- どの高度まで続くか
- 上空で下降流になるか
まで確認しましょう。
■ 問2 全体まとめ
- 停滞前線面は等相当温位線の密集帯で読む
- 前線面は非常に緩やかに傾斜する
- 対流不安定は「下層高θe・上層低θe」
- 下層収束で対流不安定が解放される
- 積乱雲内部では混合が起こる
- 鉛直流の深さを見ると対流発達度が分かる
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第65回 気象予報士試験 実技1 問2の解説でした!
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