【第61回 気象予報士試験 実技1】問2を徹底解説|低気圧の発達・500hPaトラフ・前線解析
こんにちは!今回は第61回 気象予報士試験 実技1 問2を解説します!
今回の問2では、
- 低気圧の移動方向・移動速度
- 中心気圧の変化量
- 500hPaトラフA・Bの作図
- 前線解析
- トラフと地上低気圧の位置関係
- 850hPa温度移流と700hPa鉛直流
など、実技試験で非常に重要な 「上空トラフと地上低気圧の発達関係」 が問われています。
特に、
- トラフが低気圧の西側から接近する
- 低気圧東側で暖気移流と上昇流が強まる
- 閉塞前線を作図する
という流れは、温帯低気圧の発達問題で頻出です。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問2(1) 低気圧の移動と中心気圧変化
問題の要点
22日9時を初期時刻として、九州南方の低気圧が12時間後・24時間後にどのように移動し、中心気圧がどれだけ変化するかを読み取る問題です。
模範解答
㋐ 東北東
㋑ 北東
㋒ 50ノット
㋓ 40ノット(35ノットも可)
㋔ -8hPa
㋕ -28hPa
◇ 解説
図5・図6は、22日9時を初期時刻とする地上天気図の12時間後・24時間後予想図です。
まず、九州南方の低気圧中心の位置を追跡します。
12時間後には、低気圧はおおむね
東北東
へ進んでいます。
移動距離を時間で割ると、移動速度は約
50ノット
です。
さらに24時間後まで見ると、低気圧は進行方向をやや北寄りに変え、
北東
へ進みます。
この区間の移動速度は約40ノット、読み取りによっては35ノットでも許容されます。
計算でつまずきやすいポイント
ノットは「海里/時」です。
天気図上で移動距離を海里で読んだ場合は、
距離 ÷ 時間
でそのままノットになります。
中心気圧変化
低気圧の中心気圧は、初期時刻で1008hPaです。
12時間後には1000hPa程度まで低下しているため、
1000 − 1008 = -8hPa
となります。
さらに24時間後には972hPa程度まで低下しているため、
972 − 1000 = -28hPa
です。
符号の「−」は、中心気圧が低下していることを意味します。
受験生が混乱しやすいポイント
気圧変化量では、
- 低下:マイナス
- 上昇:プラス
で答えます。
「8hPa低下」だからといって、単に8と書かないよう注意しましょう。
■ 問2(1)まとめ
- 12時間後は東北東進、約50ノット
- 24時間後にかけて北東進、約40ノット
- 中心気圧は12時間で-8hPa
- さらに次の12時間で-28hPa
- 低気圧は急速に発達している
■ 問2(2) 500hPaトラフA・Bの作図
問題の要点
500hPa高度・渦度予想図から、トラフA・Bの位置を作図する問題です。
模範解答
◇ 解説
トラフを描くときは、500hPa高度場だけでなく、
- 等高度線の谷状の曲がり
- 正渦度極大域
- 風向シアー
を合わせて見ます。
トラフA
トラフAは、22日9時時点で朝鮮半島付近にあります。
その後、時間の経過とともに正渦度極大域が東南東方向へ移動し、値も大きくなっていきます。
したがって、トラフAは
正渦度極大域を通るように
滑らかに描きます。
ただし、渦度極大域から大きく外れて長く引きすぎると不自然になります。
トラフB
トラフBは、12時間後以降に新たに現れるトラフです。
図7では日本の中部地方上空付近に正渦度極大があり、ここに対応するトラフとして描きます。
24時間後にはさらに東へ進み、日本の東海上付近へ移動します。
つまずきポイント
トラフは「なんとなく谷っぽいところ」に描くのではありません。
必ず、
- 正渦度極大
- 等高度線の曲率
- 風向シアー
をセットで確認しましょう。
■ 問2(2)まとめ
- トラフAは正渦度極大に沿って描く
- トラフAは深まりながら東南東進する
- トラフBは12時間後以降に日本付近で現れる
- 長く描きすぎず、渦度極大域に沿わせる
■ 問2(3) 24時間後の前線解析
問題の要点
24時間後の地上低気圧に伴う前線を、前線記号を用いて作図する問題です。
模範解答
◇ 解説
前線解析は、次の順番で考えると安定します。
前線解析の基本手順
- 閉塞しているか判断する
- 850hPa等温線集中帯を確認する
- 風のシアーを確認する
- 上昇流域を確認する
- 閉塞点と閉塞前線の型を決める
- 最後に地上風を見ながら作図する
前線解析の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【講義】前線解析 – 独学資格塾
① 閉塞しているかを判断する
24時間後の低気圧では、強風軸が巻き込むように伸びています。
また、寒気の流入や暖気の突っ込みも見られるため、
閉塞している
と判断できます。
② 前線位置を推定する
温暖前線側では、等温線集中帯の南縁と風のシアーが重要です。
一方、寒冷前線側では等温線集中帯がやや不明瞭なため、帯状に伸びる上昇流域も参考にして前線位置を推定します。
③ 閉塞点と閉塞前線の型
前線の推定位置に対して、強風軸が通る点を閉塞点と考えます。
閉塞点から地上低気圧中心へ閉塞前線を伸ばします。
このとき、寒冷前線後面の寒気の方がより低温で、温暖前線前面の寒気との温度差が大きくなっています。
そのため、閉塞前線は
寒冷型閉塞
として判断できます。
作図でつまずきやすいポイント
- 閉塞しているかを判断せずに作図する
- 閉塞点を強風軸と無関係に置いてしまう
- 等温線だけで前線位置を決めてしまう
- 寒冷型閉塞・温暖型閉塞を混同する
■ 問2(3)まとめ
- 24時間後の低気圧は閉塞している
- 温暖前線は等温線集中帯南縁と風のシアーで判断
- 寒冷前線は上昇流帯も参考にする
- 強風軸が通る点を閉塞点とする
- 閉塞前線の型まで意識する
■ 問2(4) トラフAと低気圧発達の関係
問題の要点
トラフAと地上低気圧との距離・方向、トラフAの時間変化、さらに低気圧周辺の温度移流と鉛直流を記述する問題です。
模範解答
① 12時間後:距離 600(700)km、方向 北西
24時間後:距離 400(300)km、方向 南西(西)
② トラフAは、深まりながら南東進し、低気圧の西側から低気圧に接近する。
③ 低気圧の東側では暖気移流と-41hPa/hの上昇流が顕著で、西側では寒気移流が見られる。
◇ 解説
① トラフAと地上低気圧の距離・方向
12時間後、トラフAは地上低気圧の北西側にあります。
距離はおよそ600〜700kmです。
24時間後には、トラフAはさらに地上低気圧へ近づき、南西〜西側に位置します。
距離はおよそ300〜400kmです。
つまり、トラフAは時間とともに地上低気圧へ接近しています。
② トラフAの時間変化
トラフAは、正渦度極大が強まりながら南東進しています。
これは、
トラフが深まっている
ことを意味します。
さらに、地上低気圧の西側から接近しているため、低気圧の発達を促す配置になっています。
記述式解答のポイント:時間変化型
どこで:500hPaのトラフAと地上低気圧の位置関係で
なぜ:トラフAが深まりながら南東進するため
何が起きている:低気圧の西側から低気圧へ接近している
実技試験の鉄板
- トラフが低気圧の西側から接近 → 発達
- トラフが重なる → 最盛期
- トラフが追い越す → 衰弱
③ 温度移流と鉛直流
850hPa面では、低気圧の東側で南よりの風が吹き、暖気側から寒気側へ空気が流れ込んでいます。
したがって東側では、
暖気移流
が見られます。
一方、低気圧西側では北よりの風により、
寒気移流
が見られます。
さらに700hPa鉛直流を見ると、低気圧東側に
-41hPa/h
の強い上昇流が予想されています。
鉛直流では、負の値が上昇流を意味します。
符号に注意
- 鉛直流がマイナス:上昇流
- 鉛直流がプラス:下降流
「-41hPa/h」はかなり強い上昇流です。
記述式解答のポイント:分布型
どこで:低気圧の東側・西側で
なぜ:低気圧循環に伴い、東側では暖気側から寒気側へ、西側では寒気側から暖気側へ風が吹くため
何が起きている:東側では暖気移流と強い上昇流、西側では寒気移流が見られる
■ 問2 全体まとめ
- 低気圧は東北東から北東へ進む
- 移動速度は50ノット、40ノット程度
- 中心気圧は-8hPa、-28hPaと急低下
- トラフAは深まりながら南東進する
- トラフAは低気圧の西側から接近する
- 24時間後の低気圧は閉塞している
- 低気圧東側では暖気移流と-41hPa/hの上昇流
- 低気圧西側では寒気移流が見られる
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第61回 気象予報士試験 実技1 問2の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
