【第64回 気象予報士試験 一般知識】問8 降水量・蒸発量・熱輸送・モンスーンをわかりやすく解説
こんにちは!今回は第64回 気象予報士試験 一般知識 問8を解説します!
この問題は、世界の風・降水量・蒸発量・熱輸送・モンスーンについて問う問題です。
特に受験生がつまずきやすいのは、
- 赤道付近では蒸発量より降水量が多いこと
- 大気の北向き熱輸送は中緯度付近で最大になること
- モンスーンは大陸と海洋の熱的性質の違いで起こること
です。
この問題で重要なポイント
- 領域Aは赤道付近の熱帯収束帯に近い
- 赤道付近では上昇流が発達し、降水量が多い
- 大気の北向き熱輸送は中緯度付近で最大になりやすい
- 領域Dは東アジアのモンスーン地域にあたる
- 夏と冬で風向が大きく変わる原因は、大陸と海洋の暖まり方・冷え方の違い
■ 問題文
図に示す破線で囲まれたA〜Dの領域における風や降水量、熱輸送量の特徴について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 領域Aにおける地表面(陸面及び海面)全体からの年平均の蒸発量は、この領域の年平均の降水量よりも多い。
(b) 顕熱輸送と潜熱輸送を合わせた大気の北向きの熱輸送量の年平均値を経度平均でみると、領域Bの緯度帯における最大値の方が領域Cの緯度帯における最大値よりも大きい。
(c) 領域Dにおいて夏季と冬季で卓越する地表付近の風の風向が大きく変わることには、大陸と海洋との熱的性質の違いが大きく影響している。
| (a) | (b) | (c) | |
|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 正 |
| ② | 正 | 誤 | 正 |
| ③ | 正 | 誤 | 誤 |
| ④ | 誤 | 正 | 誤 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 正 |
■ 解答
⑤
■ 解き方の方針
この問題は、A〜Dの地域が何を表しているかを読み取ることが重要です。
- A:赤道付近、熱帯収束帯に近い領域
- B:亜熱帯付近
- C:中緯度付近
- D:東アジアのモンスーン地域
地域ごとの特徴が分かれば、正誤判断はかなりしやすくなります。
■ (a) 領域Aの蒸発量と降水量
(a)は誤りです。
領域Aは赤道付近の熱帯収束帯に近い領域です。
赤道付近では強い日射により大気が暖められ、上昇流が発達します。
その結果、積乱雲などの対流雲が発生しやすく、降水量が非常に多くなります。
そのため、領域Aでは一般に
降水量 > 蒸発量
となります。
問題文は「蒸発量は降水量よりも多い」としているため誤りです。
受験生がつまずきやすいポイント
「赤道付近は暑いから蒸発量が一番多いはず」と考えてしまうことがあります。
たしかに赤道付近は蒸発もありますが、それ以上に上昇流による降水が多いのが特徴です。
赤道付近は「蒸発量が多い」よりも
「降水量が非常に多い」
と押さえましょう。
■ (b) 大気の北向き熱輸送量
(b)は誤りです。
大気は、低緯度の余った熱を高緯度へ運ぶ役割を持っています。
ただし、北向き熱輸送量は赤道付近で最大になるわけではありません。
また、亜熱帯付近で最大になるわけでもありません。
一般に、大気の北向き熱輸送量は中緯度付近で大きくなります。
これは、熱帯の暖かい空気と高緯度側の冷たい空気の差が大きく、低気圧や高気圧などの擾乱によって熱の輸送が活発になるためです。
したがって、領域Bよりも領域Cの方が北向き熱輸送量の最大値は大きくなります。
問題文は「領域Bの方が領域Cよりも大きい」としているため誤りです。
なぜ中緯度で熱輸送が大きいの?
熱輸送は、単に「暑い場所」で最大になるわけではありません。
大切なのは、
暖かい空気と冷たい空気の差が大きく、
それを運ぶ大気の動きが活発な場所
です。
中緯度では低気圧や高気圧の活動により、南北方向の熱のやり取りが活発になります。
そのため、北向き熱輸送量は中緯度付近で大きくなります。
ここが引っかけ!
「熱帯は暑いから、熱輸送も熱帯で最大」と考えると間違えます。
熱輸送は「その場所が暑いか」ではなく、
どれだけ熱を南北に運んでいるか
で判断します。
■ (c) 領域Dのモンスーン
(c)は正しいです。
領域Dは東アジアのモンスーン地域にあたります。
この地域では、夏と冬で卓越する地表付近の風向が大きく変わります。
その主な原因は、大陸と海洋の熱的性質の違いです。
大陸は海洋よりも暖まりやすく、冷えやすい性質があります。
一方、海洋は暖まりにくく、冷えにくい性質があります。
そのため、夏と冬で気圧配置が大きく変わります。
夏と冬のイメージ
- 夏:大陸が暖まりやすい → 大陸側が低圧になりやすい → 海から陸へ風が吹きやすい
- 冬:大陸が冷えやすい → 大陸側が高圧になりやすい → 陸から海へ風が吹きやすい
このように、季節によって風向が大きく変わるのがモンスーンの特徴です。
したがって、(c)の記述は正しいです。
■ 選択肢ごとの解説
① 誤り
(a)(b)が誤りです。
② 誤り
(a)が誤りです。
③ 誤り
(a)(c)の組み合わせが誤りです。
④ 誤り
(b)(c)の組み合わせが誤りです。
⑤ 正しい
(a)誤、(b)誤、(c)正の組み合わせなので正解です。
■ 選択肢の確認表
| 項目 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 誤 | 赤道付近では降水量が蒸発量を上回りやすい |
| (b) | 誤 | 大気の北向き熱輸送量は中緯度付近で大きい |
| (c) | 正 | 東アジアの季節風は大陸と海洋の熱的性質の違いで生じる |
■ まとめ
- 領域Aは赤道付近の熱帯収束帯に近い
- 赤道付近では蒸発量より降水量が多い
- 大気の北向き熱輸送量は中緯度付近で最大になりやすい
- 領域Dは東アジアのモンスーン地域にあたる
- モンスーンは大陸と海洋の熱的性質の違いで起こる
正解は⑤
この問題で必ず押さえたいこと
この問題は、細かい数値を覚えるよりも、各緯度帯の特徴を整理することが重要です。
赤道付近:降水量が多い
亜熱帯:下降流・乾燥しやすい
中緯度:熱輸送が大きい
東アジア:モンスーン
この4つをセットで覚えておきましょう。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第64回 一般知識 問8の解説でした!
訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
