こんにちは!今回は気象予報士試験 第56回 実技2 問2を解説します!
記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
- 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
(1)解説
◇模範解答
24時間後:東経120°(119°)、48時間後:東経133°(134°)
◇解説
問2(1)は、500 hPa高度場における上層トラフの移動位置を読む問題です。初期時刻(6日09時)から24時間後(7日09時)、48時間後(8日09時)にトラフが東へ移動していく様子が数値予報図で与えられていました。等高度線の形状(曲率)や渦度の分布に着目してトラフの位置を解析すると、24時間後にはおよそ東経120°付近(+120)、48時間後には東経133°付近(+79)にトラフの谷軸が進んでいることがわかります。問題の選択肢では経度の許容値が与えられていたため、それぞれ「東経120(119)°」「東経133(134)°」が正解となりました。
(2)解説
◇模範解答
① a.420海里、b. 18ノット(※17ノットも正解)、c. 990 hPa、d. 55ノット、e. 150海里、f. 暴風警戒域、g. 175海里、h. 25海里、i. 温帯低気圧
② +131×10^-6/s、南南東、北緯33°(32°)東経140°
③850hPa面では等相当温位の集中帯南縁が風の循環中心を通り、直上の500hPaトラフが接近しており、温帯低気圧の特徴を備える。
④進路:数値予報よりも進路が南寄りである。
中心気圧と盛衰:中心気圧がより低下(発達)する予想になっている。
◇解説
問2(2)は、与えられた台風予想図と数値予報図をもとに、台風の将来予報に関する数値読み取りや記述を行う問題でした。設問が複数の小問に分かれており、(2)①は穴埋め(a~i)、(2)②~(2)④はそれぞれ記述式です。順にポイントを解説します。
- (2)① 台風予想図からの読み取り(穴埋めa~i): 図に示された台風予報円および付随情報を読み取って空欄補充する設問です。予報円は初期時刻・12時間後・24時間後・48時間後・72時間後の台風予想位置とその予報誤差範囲を示す円で、この図や注記から以下の値が得られます。
- (a) 移動距離(24時間後): 初期位置から24時間後までの予想進路を図上で測ると約420海里となります。実際に問題文にも「420海里」と記載されていました。
- (b) 平均移動速度(24時間後まで): 420海里/24時間より約17.5ノットですが、予報円図の注記では18ノットと丸めて示されています(17ノットでも許容)。
- (c) 中心気圧(48時間後): 台風予想図には48時間後(7日9時)の予想として990 hPaと明記されています。
- (d) 最大風速(48時間後): 同じく48時間後予想で55ノットと示されています。なお「5 5」と数字が離れて書かれていましたが55ノットの意味です。
- (e) 予報円の半径(48時間後): 7日9時の予想位置は「八丈島の北西およそ80海里の海上を中心とする半径150海里の円内に進む見込み」と記載されており、150海里が予報円半径です。
- (f)(g) 暴風警戒域の半径: 台風予想図には予報円の他に実線の円で暴風警戒域が描かれています。問題文中には「実線の円で示される(f)○○○○域の半径は(g)*海里」とあり、図から暴風警戒域の半径175海里**と読み取れます((f)は「暴風警戒」域と補充)。
- (h) 50ノット風域半径: 暴風警戒域(50ノット以上の強風が吹く恐れのある範囲)と予報円との差から、中心から半径何海里以内が50ノット以上の暴風域か計算する問題でした。暴風警戒域半径175海里から予報円半径150海里を引くと25海里となります。従って台風中心から半径25海里以内では風速50ノットに達する見込みということです。
- (i) 将来の性質変化: 台風は72時間後には三陸沖に進み、温帯低気圧に変わる予想であると記事に明記されています。したがって(i)は温帯低気圧です。
- ② ここからは台風周辺の上空環境についての設問です。具体的には、24時間後の台風付近における500 hPa正渦度極大値の大きさと台風中心から見た方角、さらに48時間後(8日9時)におけるその極大値の緯度経度を答える内容でした。与えられた500 hPa数値予報図を解析すると、24時間後(7日9時)に鹿児島の南方に予想されている台風の近傍に+131×10^-6/sという顕著な正渦度極大値が見つかります。この極大値の位置は台風中心に対して南南東の方向です。さらに、48時間後(8日9時)の予想図では渦度極大値が東に移動し、台風の進路に沿って追随しています。その時点での極大値は北緯33°(許容32°)付近、東経140°付近に位置していました。以上をまとめると、「+131×10^-6/s、南南東、北緯33(32)°・東経140°」という答えになります。
- ③ ここでは、数値予報図に示された北陸付近の低気圧Lが温帯低気圧の構造を持っているかを記述する問題でした(構造型の記述問題)。48時間後(8日9時)の予想図を見ると、地上天気図では低気圧Lは富山県付近に位置しています。850 hPa天気図ではその低気圧の周囲に風の循環があり、しかも高相当温位(暖気)と低相当温位(寒気)の境界がちょうどその循環中心を通る形になっています。具体的には循環中心から東北東に向けて温暖前線に相当する高θ_e帯の南縁が伸び、循環中心から西南西に向けて寒冷前線に相当する南縁が伸びていると解釈できます。さらに500 hPa天気図では、その地上低気圧のすぐ西に赤実線で示されるトラフ(上空谷)が迫ってきているのが確認できます。これらの状況は、典型的な温帯低気圧の構造に合致します。すなわち**「地上では温暖前線と寒冷前線を伴い、上空ではトラフが接近している低気圧」です。以上より、「850 hPa面では等相当温位線の集中帯の南縁が風の循環中心を通り、直ぐ西側に500 hPa面のトラフが迫っており、当該低気圧は温帯低気圧の特徴を備える」と記述できます。
記述式解答のポイント:構造型
どこで・いつ: 850 hPa図のθ_e分布と風、500 hPa図のトラフ位置
なぜ:前線がある・上層トラフと対応しているため
何が起きている:熱帯低気圧ではなく温帯低気圧として振る舞っている
- ④ 最後は予報資料間の比較に関する記述問題でした。与えられた台風予想図(気象庁の予報)と数値予報(モデル予想)で、48時間後の進路および中心気圧の予想に差異があることに着目し、その違いを述べる内容です(その他:予報比較型の記述問題)。具体的には、予想図と数値予報で示された48時間後の低気圧Lの位置・気圧を比較すると、予想図の方が数値予報よりも低気圧の進路を南側に予想しています。また中心気圧の低下量も、予想図では初期1002 hPaから48時間後992 hPaへと-10 hPaの深まりを予想しているのに対し、数値予報では1000 hPa止まりで弱い発達(-2 hPa)に留まっているのがわかります。したがって「予想図では数値予報よりも南寄りの経路を進み、中心気圧もより低下(深まり)する予想となっている」とまとめられます。実際、模範解答例でも具体的な数値には触れずに「数値予報より中心気圧が深まりより発達」「数値予報より南側の経路を予想している」という要旨で30字程度にまとめられていました。
解説: この設問は、公式の台風予報(おそらく気象庁台風予報)と数値予報モデルの予想との差を評価させる問題です。どこで差があるか(進路:南北の違い、中心気圧:深まり方の違い)、なぜ差があるかを考察することも重要ですが、記述文字数制限があり簡潔な結論のみを書く必要がありました。原因としては、予想図が人間の判断で「台風はより南を通り勢力を維持しやすい」と見積もったのに対し、モデルは台風の衰弱を早めに見積もって北寄りコースにした可能性があります。結果として予想図ではモデルより強いまま南よりの進路を取る予想になったと言えます。設問では原因までは問われていないものの、こうした背景知識を持っておくと理解が深まるでしょう。
記述式解答のポイント:その他
どこで・いつ: 南北の違い、中心気圧:深まり方の違い
何が起きている:数値予報モデルの予想との差が生じた
(3)解説
◇模範解答
熱帯擾乱:台風が弱まり、本州の南へ進んだ。
北陸付近の低気圧:本州の日本海側の前線上に低気圧が発生した。
◇解説
本州南方の熱帯擾乱(TD)と北陸付近の低気圧Lの正体について考察する時間変化型の記述問題です。ポイントは、これら二つの低気圧がそれぞれ何に由来するかを見極めることでした。
与えられた資料には、48時間後(8日9時)の実況天気図(実際の観測に基づく天気図)と、同時刻の数値予報天気図がありました。まず本州南の熱帯擾乱(TD)について考えます。初期時刻(6日9時)に石垣島付近にあった台風は、前問で見たように24時間後には鹿児島の南、48時間後には八丈島付近へと移動・予想されていました。この移動経路上で台風は勢力を弱めており、48時間後には熱帯低気圧(TD)に格下げとなっています。数値予報の500 hPa渦度場でも、+131×10^-6/s(24h後)から+135×10^-6/s(48h後)へと渦度極大が北東へ移動していることが解析でき、これが台風由来の擾乱が本州南方へ進んだことを裏付けています。したがって本州南海上にいるTDは「元々石垣島付近にあった台風が弱まりつつ北東へ進んできたもの」と判断できます。
次に北陸付近の低気圧について考えます。先のTDが台風のなれの果てであるならば、富山県付近にある低気圧Lはそれとは別に新たに発生したものと考えるのが自然です。なぜなら、ひとつの台風が分裂して二つの低気圧になるということは通常あり得ないからです。実際、初期の台風が北陸付近まで直接移動してきたわけでもなく、本州南岸沿いを東進した結果は南方のTDとして残っています。一方で北陸の低気圧Lは、数値予報では48時間後に富山付近に予想されていたものとほぼ同じ位置・強度で実際に発生しています。これは前線上に新たな低気圧が発生したと解釈できます。日本海側の秋雨前線あるいは寒冷前線上で、上空のトラフ接近により別の低気圧が発生・発達したのでしょう。
記述式解答のポイント:時間変化型
どこで・いつ: 本州南の海上と北陸付近
なぜ:台風の移動経路と低気圧の分裂は起こらないという知識、観測図と予想図の照合
何が起きている:台風由来の擾乱と、新たに前線上に発生した温帯低気圧が別個に存在
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