こんにちは!今回は気象予報士試験 第57回 実技2 問3を解説します!
記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
- 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
(1)解説
◇模範解答
①
② シアーラインの南東側は南西の風で相対的に強く、北西側は北よりの風で相対的に弱い。◇解説
問3(1)は関東付近の地上風の分布に現れたシアーライン(風のシアー:風向・風速の不連続線)を解析する問題です。設問①が作図、②がその風分布の記述となっています。①シアーラインとは、風向や風速が急激に変化する部分を連ねた線のことで、前線ほど気温差を伴わない弱い境界線です。図7には館野(茨城県)周辺の地上風(風向風速)が示されており、この中から風の変化の大きい箇所を探します。たとえば南東側では南寄り(南南西)の風が吹いているのに対し、北西側では北寄りの風に変わっている地点があり、その間で風向が大きくシフトしています。また風速についても、南東側では風が強めであるのに北西側では弱まっていることが読み取れます。この風向・風速の変化が顕著な帯状域に沿って、シアーラインを描画します。
作図にあたっては、試験問題の指示に注意します。具体的には「シアーラインは枠線まで延ばす」「海岸から10km以上離れた地点には描かない」といった決まりがありました。まず変化の目安となる地点をいくつか赤線の短線でマーキングし、それらをなめらかに繋ぐことで模範解答図のようなシアーラインが完成します。②シアーラインを挟む両側の風向・風速の特徴を述べます。問題文でも「南東側・北西側」という言葉が与えられていましたので、それに沿って書き分けます。シアーラインの南東側では主に南西の風が吹いており、風速は反対側に比べて相対的に強いことが観測されています。一方、シアーラインの北西側では風向は北よりの風となっており、風速は南東側よりも相対的に弱い状態です。これらをまとめて「シアーラインの南東側は南西の風で相対的に強く、北西側は北よりの風で相対的に弱い。」と記述すれば解答となります。この記述は「どこで(シアーライン南東・北西側)・何が(風向と風速がどうなっているか)・どの程度(相対的に強い/弱い)」を盛り込んだ3点セットになっています。
記述式解答のポイント:分布型
どこで・いつ: シアーライン南東・北西側
何が起きている: 南東側は南西の風で相対的に強く、北西側は北よりの風で相対的に弱い(2)解説
◇模範解答
① 南南西
② 4時ごろ
③ 3時20分
④ 6時24分
⑤ 6時50分
⑥ 増加
⑦ 気温
⑧ もや
⑨ 14時35分
⑩ 13℃◇解説
問3(2)は茨城県・館野(館野観測所)の気象観測経過(時間ごとの観測データ)から、風向風速や気圧・気温・天気の時間変化を読み取って設問の空欄を埋める問題です。与えられた「大気現象の実況記事」や時系列グラフをもとに、一日の中の特徴的な時刻や値を拾い出していきます。これはどこで・何が・いつどう変わったかを把握する力が問われる典型的な問題で、落ち着いて観測データを追えば比較的平易と言えます。館野の観測によると、未明から明け方にかけて風向は南南西(①)で一定しており、平均風速は6 m/s前後、最大瞬間風速は15 m/s以上に達していました。ところが4時ごろ(②)から風が次第に弱まる傾向が見られ、風速が低下し始めます。一方、海面気圧は夜間に低下して3時20分(③)に最も低くなりました。つまり3:20に気圧の谷(気圧最低)を記録し、その後はゆるやかに上昇へ転じています。
降水の状況を見ると、館野の「大気現象」欄に6時24分(④)から弱い降水(おそらく霧雨か小雨)が断続的に観測されたと記されています。さらに6時50分(⑤)になると風向が大きく変わり、約2時間ほど北西のごく弱い風が続きました。このタイミングで寒冷な空気の流入による風向シフト(南寄り→北寄り)が起こり、一時的に風が穏やかになったことが分かります。ちょうどシアーラインの通過に相当する現象で、南東側から北西側の風に切り替わった瞬間と考えられます。9時頃には風向が定まらず不規則に変動しましたが、9時40分以降になると東~北東の風向が持続するようになり、風速も次第に増加(⑥)に転じました。これはシアーライン通過後、北東気流が卓越し始めたことを示しています。
海面気圧は朝から緩やかに上昇していましたが、気温(⑦)の急降下と瞬間風速の急増が見られた11時ごろに、一時的に気圧上昇が停止する現象が記録されています。この11時前後に何があったかというと、寒冷前線またはシアーラインに伴う冷たい空気の流入で気温が急激に低下し、それにより一時的に高気圧が張り出すのを抑えた(気圧が谷状に停滞した)と解釈できます。10時前には降水が止み、10時00分から4分間はもや(⑧)が観測されました。視程が一時的に悪化したことを示しており、雨上がりに湿った空気が残ったため発生したもや(浅い霧)と考えられます。その後12時過ぎから再び降水が観測され、14時35分(⑨)からは継続的な降水(連続雨)となりました。
気温の推移にも着目します。11時以降、寒気の流入で気温が大幅に低下しました。日中の最高気温と、夕方以降の最低気温の差(=日較差)を計算すると、20℃(朝方の値)から7℃(夕方以降の値)へと13℃も低下していました。従って13℃(⑩)がその差となります。問題文の指示では「この日の気温の日較差は○○℃に達した」となっており、計算結果の13℃を答えます。
(3)解説
◇模範解答
(ウ)、(カ)◇解説
問3(3)はシアーラインが館野を通過した際に起きた現象について、適切な記述を選ばせる選択肢問題でした。解答は(ウ)と(カ)の組み合わせです。設問の背景としては、(1)で解析したシアーラインの南東側に館野が位置していたため、館野ではシアーライン通過時に風向が南西から北西へと変化し、気温や風速にも変化が生じました。具体的には、先述の通り6時50分頃に風向が南南西から北西へ急変し、風速が一時的に落ち着く一方で、その後気温の急低下や視程低下(もやの発生)などが観測されています。選択肢(ウ)、(カ)はまさにこの現象を説明した内容となっており、シアーライン通過による風向転向・気温低下・風の収束や視程変化を捉えた記述でした。この問題ではまずシアーライン通過の時刻をデータから突き止め(6:50と判断)、その時刻に起こった事実を整理した上で各選択肢と照合するという手順になります。
(4)解説
◇模範解答
① 上端の気圧: 790 hPa、厚さ: 140 (150) hPa。上端の高度: 2060 m、厚さ: 1330 (1420) m。
② 前線面の傾斜: 1/130、水平幅: 170 (180) km。◇解説
問3(4)は館野の高層気温図(エマグラム、状態曲線)を用いた鉛直構造の解析問題です。設問①では転移層について、設問②では前線面の勾配に関する数値を問われました。高層気温図の読み取りと、簡単な計算による推定が必要な問題です。まず転移層とは、大気中で気温の鉛直変化傾向が切り替わる層のことです。しばしば逆転層(気温が高度とともに上昇する層)や中立層との境目に現れます。館野のエマグラムを解析すると、下層では気温が高度とともに下がっていましたが、ある高度から気温減率が変化して一定もしくは上昇に転じています。具体的には940hPa付近から上は気温が逆転上昇し始め、790hPa付近までその傾向が続いていることが読み取れます。したがって転移層は940hPa~790hPaの間に存在し、その上端の気圧は790hPaとなります。この層の厚さは790hPaと940hPaの差で約150hPaですが、解答例では四捨五入して140hPaとしています(問題文に「10hPa単位で答えよ」等の指示があったためと推測されます)。以上が設問①前半部分の答えです。
続いて、その転移層の高度(上端高度と厚さ)をメートルに換算します。一般に気圧と高度の換算には大気の密度分布を仮定する必要がありますが、ここでは比例配分による近似で求めています。例えば地上(1000hPa前後)から700hPa付近までは約3,000m程度が目安ですが、今回790hPaは700hPaと800hPaの中間くらいなので2,000m強と見積もることができます。実際、解答例では上端高度2060mと計算されました。厚さについても同様に、150hPa(940→790)の厚さは大気下層約1.3~1.4kmに相当します。解答例では1420mと算出されていますが、この値には多少の幅を持たせて1330~1420mが許容範囲と注記されていました。実際の計算では、例えば940hPa(約600m)と790hPa(約2060m)の高度差から1460m前後とも読み取れ、簡易計算ゆえ若干の誤差が生じるためです。解答欄では代表値として1330mが記載され、注釈で1420mまで認めるとされました。いずれにせよ、転移層の上端高度はおよそ2000m前後、厚さは約1.4kmと捉えれば良いでしょう。以上が設問①後半の答えです。
次に設問②では、館野の上空に寒冷前線が通過した際の前線面の傾斜(勾配)と前線帯の水平幅を求めます。前線面とは暖気と寒気の境界面ですが、その傾斜(鉛直・水平の比)を1:Fの形で答えさせる問題でした。ヒントになるのは館野の地上での前線通過と、エマグラム上の転移層です。館野では前線通過時、下層に厚い寒冷空気が流入し上空に暖気との境界が形成されたと考えられます。転移層の厚さ1.42km(1420m)は、この前線面の厚みに相当するとみなせます。一方、館野の地表に前線が達した時、館野が前線面上のどこに位置していたかを考えます。仮に前線面上で館野頭上の転移層上端(2.06km)が暖気側上端、館野地表が寒気側下端だったとすると、館野から前線そのものまでは水平に一定距離があったはずです。問題文では「前線位置から館野までは260km」とありました。つまり館野の地点は前線線上から260km離れていたことになります(数値は気象台の実況などから推定)。この260kmの水平距離に対し、館野上空での暖気層の高さ2.06kmが前線面の鉛直の持ち上がりに対応すると考えると、傾斜は約1/130(=2.06/260)となります。したがって前線面の傾斜(1:F)は1:130、もしくはF=130と表現できます。解答では「1/130」と記入すれば正解です。
続いて前線帯の水平幅とは、前線面自体の厚みに相当する領域が地表面に投影された際の幅を指します。簡単に言えば、転移層(前線面の厚さ)が接地している範囲の広がりです。これを求めるには、先ほどの傾斜を用いて計算できます。館野での転移層厚さは約1.42kmで、これが前線面の垂直の厚みです。先ほど求めた傾斜1:130を使うと、垂直1.42kmに対して水平は1.42×130 ≒ 184.6km となります。館野から前線までの260kmの間にその前線面が存在すると仮定し、図示すると三角形の類似からA=179.2kmとの試算も示されています。多少の差がありますが、解答例では170(180)kmと範囲を持たせて答えるようになっていました。つまり前線帯の水平幅はおよそ170~180km程度ということです。これは寒気側から暖気側への移行領域の地表投影が約数百キロに及ぶことを意味します。以上より、設問②の答えは「傾斜1/130、水平幅170(180)km」となりました。
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