【第59回 気象予報士試験 実技1】問4を徹底解説|シアーライン・強雨域・相当温位・土砂キキクル

こんにちは!今回は第59回 気象予報士試験 実技1 問4を解説します!

今回の問4では、

  • 12℃等温線の作図
  • シアーライン周辺の風と気温分布
  • 強い降水エコーの分布
  • 相当温位の鉛直断面
  • 対流混合
  • 土砂キキクルと防災気象情報

など、局地的大雨を解析するうえで重要な内容が問われています。

特に、 シアーライン付近の収束と強雨域の停滞 を結びつけて考えることが重要です。

実技試験記述5型

基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)

  • 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
  • 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
  • メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
  • リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
  • 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」

■ 問4(1) シアーライン周辺の気温・風・降水エコー

問題の要点

アメダス実況図とレーダーエコー図から、

  • 12℃等温線
  • シアーライン両側の風の特徴
  • シアーライン両側の気温の特徴
  • シアーライン付近の強雨エコー

を読み取る問題です。

模範解答

第59回実技1問4 12℃等温線の作図

② 風の特徴:
シアーラインの東側は東南東のやや強い風、西側は北西の相対的に弱い風で、シアーライン付近では風が収束している。

気温の特徴:
シアーラインの東側は相対的に高温、西側は低温で、シアーライン付近では温度傾度が大きくなっている。

シアーラインに沿って帯状に20mm/h以上の強いエコーが分布している。

◇ 解説

① 12℃等温線の作図

12℃等温線は、観測された気温の値を見ながら、12℃より高い地点と低い地点の境界を滑らかにつなぎます。

作図では、

  • 12℃に近い地点を探す
  • 高温側・低温側が矛盾しないようにする
  • 不自然に折れ曲がらないように滑らかに引く

ことが大切です。

作図でつまずきやすいポイント

等温線は、観測値を単純に直線で結ぶのではありません。

12℃より高い側・低い側が正しく分かれるように、周囲の観測値を見ながら滑らかに描きましょう。

② 風の特徴

シアーラインの東側では、東南東のやや強い風が吹いています。

一方、西側では北西の相対的に弱い風となっています。

そのため、シアーライン付近では風が吹き寄せる形となり、

収束

が発生しています。

収束した空気は上昇しやすく、強い降水雲の発達につながります。

③ 気温の特徴

シアーラインの東側では13〜16℃程度と相対的に高温です。

一方、西側では低温となっています。

このため、シアーライン付近では気温差が大きく、

温度傾度が大きい

状態になっています。

記述式解答のポイント:分布型

どこで:シアーラインの東側・西側で

何が起きている:東側は東南東のやや強い風で高温、西側は北西の弱い風で低温となり、シアーライン付近で収束と大きな温度傾度が見られる

④ エコー分布の特徴

レーダーエコー図を見ると、シアーラインに沿って強い降水エコーが分布しています。

特に問題では降水強度に言及する必要があるため、

20mm/h以上

の強いエコーが帯状に分布している、と書きます。

答案で差がつくポイント

「強い雨が降っている」だけでは不十分です。

20mm/h以上シアーラインに沿って帯状という3点を入れると、得点しやすい答案になります。

■ 問4(1)まとめ

  • 12℃等温線は観測値を見て滑らかに描く
  • シアーライン東側は東南東のやや強い風
  • 西側は北西の相対的に弱い風
  • シアーライン付近では風が収束
  • 東側は高温、西側は低温
  • 20mm/h以上の強いエコーが帯状に分布

■ 問4(2) 相当温位断面と強雨停滞の理由

問題の要点

メソモデルの鉛直断面図から、シアーライン周辺の相当温位構造と、強雨が停滞した理由を読み取る問題です。

模範解答



50

対流
混合
一致(平行)

◇ 解説

シアーライン東側では、西側よりも地上付近の相当温位が高くなっています。

つまり、東側には暖かく湿った空気が存在しています。

一方、西側には低相当温位気塊があります。

この低相当温位気塊の厚さは、等相当温位線が混んだ部分の上端から読み取り、

約50hPa

です。

さらに、シアーライン付近の上空では、低相当温位気塊の上端から600hPa付近まで、周囲より相当温位が高い領域が続いています。

この領域では、相当温位が318K付近で鉛直方向にほぼ一定です。

これは、

対流によって大気が混合されている

ことを示します。

また、この付近の平均的な風向はシアーラインの走向とほぼ平行です。

そのため、強雨域がシアーラインに沿って形成され、同じ地域で強雨が続きやすい状態になります。

記述式解答のポイント:メカニズム型

どこで:シアーライン付近で

なぜ:高相当温位空気と収束、対流混合、シアーラインに平行な風があるため

何が起きている:強雨域が形成・停滞している

超重要

局地的大雨では、

  • 低層の高相当温位空気
  • シアーラインでの収束
  • 対流混合
  • 風向がシアーラインに平行

がそろうと、同じ場所で強雨が続きやすくなります。

■ 問4(2)まとめ

  • シアーライン東側は相当温位が高い
  • 西側には低相当温位気塊
  • 低相当温位気塊の厚さは約50hPa
  • 上空では対流混合が起きている
  • 平均風向がシアーラインに平行で強雨が停滞しやすい

■ 問4(3) 土砂キキクルと防災気象情報

問題の要点

土砂災害の危険度分布(キキクル)から、八王子市と相模原市に発表される土砂災害関連の防災気象情報を選ぶ問題です。

模範解答

東京都八王子市:

神奈川県相模原市:イ、ウ

◇ 解説

土砂キキクルでは、色によって土砂災害の危険度が示されます。

八王子市では、黄色の領域が中心です。

黄色は警戒レベル2相当であり、

大雨注意報

に対応します。

したがって、八王子市はです。

一方、相模原市では紫色や赤色の領域が含まれます。

赤色は警戒レベル3相当で、大雨警報(土砂災害)に対応します。

紫色は警戒レベル4相当で、土砂災害警戒情報に対応します。

したがって、相模原市はイ、ウです。

つまずきポイント

キキクルでは、複数の危険度が混在している場合、より高い危険度に対応する防災気象情報を見落とさないことが重要です。

相模原市では、警報レベルだけでなく土砂災害警戒情報レベルも含まれるため、イ・ウの両方を選びます。

■ 問4 全体まとめ

  • シアーライン東側は高温・東南東のやや強い風
  • 西側は低温・北西の弱い風
  • シアーライン付近で風が収束する
  • 20mm/h以上の強いエコーが帯状に分布
  • 低相当温位気塊の厚さは約50hPa
  • 対流混合により相当温位が鉛直方向にほぼ一定
  • 平均風向がシアーラインに平行で強雨が停滞しやすい
  • 八王子市は大雨注意報、相模原市は土砂災害警戒情報と大雨警報(土砂災害)

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第59回 気象予報士試験 実技1 問4の解説でした!

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