こんにちは!今回は気象予報士試験 第56回 実技1 問4を解説します!
記述式問題は以下の項目でカテゴリー分けします。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では ○○ であり、一方 B側では △△ となっている。」
- 時間変化型:「◯時には A であったが、△時には B となり、A から B へと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意(警戒)が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の ◇◇hPa で気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
こちらの記事を参考⇒【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
(1)解説
◇模範解答
強雨域は帯状であり、南西側ほどその幅が狭くなっている。
◇解説
(1)は衛星画像に写った積乱雲の強い降雨域の形状について問う問題です。与えられた図では、線状の積乱雲の雲列が先細りの帯状になっているのが特徴でした。具体的には「南西側ほど幅が狭くなっている帯状の強雨域」と表現できます。その形がニンジン(人参)に似ていることから俗に「にんじん状雲」とも呼ばれる雲列です。
記述式解答のポイント:分布型
どこで・いつ: 衛星画像に映る帯状の強雨域の南西端
なぜ:積乱雲の生成域から風下に向かうほど上空強風に流され拡散するため
何が起きている: 帯の先端ほど雲の幅が細く絞られた形状
(2)解説
◇模範解答
積乱雲が対流圏界面まで発達し、その付近の安定層で雲が水平に広がるため。
◇解説
(2)は、積乱雲の雲頂部が平らに広がる「かなとこ雲」状の形状が生じる理由に関する問題です。解答例は「積乱雲が対流圏界面まで発達し、その付近で雲が水平に広がるため」とあります。積乱雲は対流圏上限の成層圏に近い高度まで上昇すると、その上には強い安定層(成層圏)があるため、それ以上高度を上げられず横に押し広げられます。結果として鍋の蓋(かなとこ)のように平らに広がった雲頂になるのです。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで・いつ: 対流圏界面(成層圏との境界付近)
なぜ:それ以上は上昇気流が上空の安定層に阻まれて進めず
何が起きている: 積乱雲の雲頂が水平に広がる(かなとこのような形になる)
(3)解説
◇模範解答
① (地点a)上空に向かって時計回りに風向が変化している
(地点b)500 hPaでは風速が大きい。
② (地点a)16 K、(地点b)10 K (※地点bは11.9 K程度でも可)
③ 地点a
風の特徴:周囲(北緯32°付近)より風が強く、収束が見られる。
◇解説
(3)は地点aと地点bにおける風や大気の状態について複数の観点から答える問題です。
①風向の特徴(地点a):高度とともに風向がどのように変化しているかを尋ねています。地点aでは地上で南よりの風が吹き、上空では西よりに変わっていく風向の旋回が見られました。これは「上空に向かって時計回り(右回り)に風向が変化している」すなわち風向が高度とともに南→南西→西と時計回りにシフト(veer)している状態です。一般に高度が上がるにつれ風向が時計回りに変化する場合は暖気移流(暖かい空気が流入)を示唆し、反対に反時計回り(左回り、バック)に変化する場合は寒気移流を示唆します。地点aでの風向シアはまさに暖気移流型で、実際850 hPa面で南南西風、700 hPaで西南西風、500 hPaで西風となっており、500 hPa高度では風速も非常に強く吹いています。風速の違い(地点b):500hPaでは55ノットであることが読み取れますので500hPaの方が風速が強いことが言えます。よって「500 hPaでは風速が大きい」となります。
記述式解答のポイント:構造型
どこで・いつ: 地点a/地点b
なぜ:暖気移流により/温度風の関係で
何が起きている: 上空に向かって時計回り(右回り)に風向が変化している/500 hPa高度では風速も非常に強く吹いている
②地上と上空の相当温位差:地点aおよびbについて、地表面と上空の相当温位の差(静的不安定の度合い)を数値で答える問題です。与えられた図11(断面図)から地点aとbで地上と上空600 hPa付近の相当温位を読み取り、その差を求めます。地点aでは地上付近が341 K、上空約600 hPa高度で325 K程度と読み取れます(※図中600 hPa面に”L”マークの相当温位極小が描かれており、その値が325 K)。差し引き16 Kの増減となるので空欄には「地点a: 16 K」となります。一方地点bでは地上付近343 K、600 hPa付近がおよそ333 Kと推定され、差は10 K程度です。解答例では地点bについて「10 (11.9) K」となっており、読図誤差を考慮して11~12 K程度まで許容する形になっていました。相当温位差が大きい(地点aで16 K)ほど対流不安定が強いことを意味し、地点aでは地点bより不安定度が高いことが示唆されます。
③風速分布の特徴(地点a周辺):最後は地点a付近の地上風の分布に関する設問です。地点a(およそ北緯30°付近)の風向は南風で、これより北側の北緯32°付近でも南風ではあるものの風速が地点aより弱くなっています。南から吹き込む風が途中で弱まると、その部分では空気が吹き溜まりになって風の収束が発生します。地点aがちょうどその収束域にあたり、上昇流を伴う積極的な対流活動が起こりやすい地点となっています。一方地点b(北緯26°付近)も南西風の吹き込み場ですが、さらに南側(25~26°付近)で風速が弱まるため風の発散傾向(下降流により空気が補われる)が見られ、対流を抑制する場になっています。設問では主に地点aの特徴を答えればよく、解答例でも「地点aでは(32°N付近より)風が強く、収束がみられる」とまとめています。
記述式解答のポイント:構造型
どこで・いつ: 地点a付近の地上風場
なぜ:地点aより高緯度側で南風が弱まり風が行き場を失うため
何が起きている: 風の収束による上昇流が発生している
(4)解説
◇模範解答
① (18時)上空に向かって時計回りに風向が変化している。
② (0時30分)上空に向かって反時計回りに風向が変化し、高度約2.5 km付近で風向が西風から西南西風に変わっている(=その高度に前線面が存在する)。
◇解説
(4)は時刻を指定して、鉛直気温・風のプロファイルから大気の状態変化を読み取る問題です。18時と翌0時30分という2つの時点について、それぞれ鉛直風向シアの特徴とそこから分かる大気構造を答えます。
①18時(温暖前線通過前の大気):18時の高層気温・風の鉛直分布を見ると、下層ほど南寄りの風で上層ほど西寄りの風になっており、高度とともに風向が時計回りに変化しています。これは前述の地点aの場合と同様に暖気移流を示す風向鉛直シアで、当時刻の大気が暖域に入る直前または暖気流入下にあることを意味します。解答例では単に「上空に向かって時計回りに風向が変化している」と記述されていますが、その心は「温暖前線に向かって暖気が流入している場である」ことを示唆するものです。ちなみに18時時点では風向以外にも気温の高度増減(鉛直安定度)が小さく、露点も高めで湿潤な層が厚く存在するなど、前線面通過前の典型的な暖湿な環境が見られました。
②0時30分(温暖前線通過後~寒冷前線通過時の大気):0時30分のプロファイルでは、風向が下層で南西風、上層で西寄りへと高度とともに反時計回りに変化しています。これは寒気移流場に見られる風向シアで、寒冷前線の通過に伴い冷たい空気が流入している状況を示します。特に高度約2.5 km付近(700 hPa前後)で変化していた風向がほぼ西南西風へと変化しました。この高度で、寒冷前線面がちょうどその高さに存在すると推定できます。よって解答は「高度2.5 km付近で風向が西から西南西に変化しており、前線面が存在する」と記述します。
記述式解答のポイント:構造型
どこで・いつ: 18時/0時30分
何が起きている: 上空に向かって時計回りに風向が変化している/高度2.5 km付近で風向が西から西南西に変化しており、前線面が存在する
(5)解説
◇模範解答
① 21時00分(温暖前線通過)– 風速が急に強まり、気温の急上昇が止まったため。
② 22時00分(寒冷前線通過)– 風向が急変し、気温が2℃前後急低下したため。
◇解説
最後の(5)は、鹿児島地点で温暖前線および寒冷前線が通過したと判断される時刻とその根拠を問う問題です。鹿児島の時系列観測データ(図12)を用いて、気温と風の変化から前線通過のタイミングを見極めます。まず温暖前線について、通過後は暖域に入るため気温上昇が止み、風が暖域特有の強い南風に変わるという特徴があります。鹿児島のデータでは21時ちょうどを境に風速がそれ以前より急激に強まり(10ノット未満→15ノット程度に増加)、同時に気温の上昇がピタリと止まって横ばい傾向に変化しています。これはまさに温暖前線が通過して鹿児島が暖気域に入ったことを示すサインです。したがって①21時00分頃が温暖前線通過時刻と判断できます。その理由は「風が急に強まり、気温の急上昇が止まったため」と記述します。ポイントは「通過後の最初の変化」で、21時以降は風が南寄りのまま強く、気温も高止まりしているため21時が通過完了のタイミングと言えます。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで・いつ: 21時00分
なぜ:温暖前線通過
何が起きている: 風速が急に強まり、気温の急上昇が止まる
次に寒冷前線については、通過後は寒気域に入るため気温が低下に転じ、風向が寒気特有の北寄りに変化するのが特徴です。鹿児島のデータでは22時頃に風向が南から西北西へと約90°以上ガクンと変わり、ちょうどその時刻から気温が2℃程度急激に下降し始めています。この組み合わせは寒冷前線通過時に典型的に見られる現象です。よって②22時00分前後が寒冷前線の通過タイミングと推定でき、理由は「風向が急変し、気温が(それまでの上昇から一転)急低下し始めたため」となります。実際22時以降は風が北西~北風となり、気温も下降のトレンドが続いており、寒冷前線通過後の寒気流入が始まったことを裏付けています。これらの判断は、温暖前線・寒冷前線通過時の気象要素の典型的な変化(温暖前線: 風速増加+気温上昇停止、寒冷前線: 風向急変+気温急降下)に着目したものです。以上をまとめ、指定された時刻(21:00と22:00)と理由をそれぞれ記述します。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで・いつ: 22時00分
なぜ:寒冷前線通過
何が起きている: 風向が急変し、気温が2℃前後急低下
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