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【例題】

「気候の変動に関する記述として正しいものはどれか。
ア. エルニーニョ現象とは赤道付近の海面水温が平年に比べて低くなる現象のことをいう
イ. 酸性雨の原因物質は主に石油・石炭の燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物であり、これらが大気中で光化学反応を経て酸性物質になる
ウ. ヒートアイランド現象は都市部の気温が周辺部に比べて低くなる現象である
エ. 温室効果がなければ地球は現在より温暖になる」

今回は気象予報士試験の最終章。地球規模の気候変動を学びます。自然的要因(太陽活動・地軸の傾き・火山噴火)と人為的要因(CO₂・フロン)、温室効果のしくみと地球温暖化、ヒートアイランド現象、酸性雨、そして海洋と大気の相互作用であるエルニーニョ現象・南方振動・ENSO・湧昇(赤道・沿岸)まで、試験頻出テーマをすべて網羅します。

目次

  • 気候変動の要因(自然的・人為的)
  • 温室効果のしくみ
  • 地球温暖化とCO₂の増加
  • ヒートアイランド現象
  • 酸性雨
  • エルニーニョ現象のメカニズム
  • 南方振動とENSO
  • 湧昇(赤道湧昇・沿岸湧昇)
  • 理解チェックテスト(5問)
  • 過去問チャレンジ(3問)
  • まとめ

1. 気候変動の要因(自然的・人為的)

自然的要因:

  • 太陽活動の変化(太陽定数の変化)
  • 地球の自転軸の傾きの変化(ミランコビッチサイクル)
  • 火山噴火→火山灰・SO₂が成層圏に達し太陽放射を遮断→寒冷化

人為的要因(近年特に問題):

  • 温室効果気体(CO₂、CH₄、N₂O、フロン類)の増加
  • 特に二酸化炭素(CO₂)の増加が著しい
  • 産業革命以降、化石燃料の燃焼により急増
気候変動の要因・温室効果

2. 温室効果のしくみ

  • 大気の性質:太陽放射(短波)はほぼ透過→地表で吸収
  • 地球放射(長波・赤外線)は大気中の温室効果気体が吸収
  • 温室効果気体が吸収した熱を地表面方向に再放射→地表面付近が暖まる=温室効果
  • 主な温室効果気体:水蒸気(H₂O)、二酸化炭素(CO₂)、メタン(CH₄)、フロン類
  • もし温室効果がなければ:地球の平均気温は約−18℃(現在は約+15℃)→温室効果は本来ありがたいもの

📌 温室効果の重要ポイント

太陽放射(短波) 大気をほぼ透過 → 地表面で吸収
地球放射(長波) 温室効果気体が吸収 → 再放射 → 地表面を加熱
温室効果気体 H₂O, CO₂, CH₄, N₂O, フロン類
温室効果なしの場合 地球平均気温 ≈ −18℃

3. 地球温暖化とCO₂の増加

  • 地球温暖化:人間活動→温室効果気体増加→地球放射の吸収増加→再放射増大→気温上昇
  • CO₂の動向
    • 産業革命(18世紀)以前:ほぼ一定
    • 産業革命以降:化石燃料の燃焼で急増
    • 季節変化:夏季に最も減少(植物の光合成でCO₂が吸収される)
    • 分布:風によって輸送されるため極域も含め全球的に増加傾向
  • フロン類:本来自然界に存在しない人工化合物→大気中の割合が増加
CO₂増加・ヒートアイランド・酸性雨

📝 夏季にCO₂が最も減少する理由

緑色植物の光合成によりCO₂が吸収されるためです。

4. ヒートアイランド現象

  • 定義:都市部の地表付近の気温が、周辺部に比べて高くなっている現象
  • 「熱の島」(Heat Island):都市部が島のように周囲より高温
  • 主な原因:電力・ガソリンなどのエネルギー消費に伴う排熱が都市を暖める
  • 特徴:
    • 夜間の最低気温に顕著(昼の最高気温より差が大きい)
    • 冬季により明確に現れる(夏季よりも差が大きい)

📌 ヒートアイランドの特徴まとめ

都市部の気温が周辺部より高くなる現象。特に出やすい時期は夜間冬季です!

5. 酸性雨

  • 通常の雨:CO₂が溶け込んでいるためわずかに酸性(pH 5.6
  • 酸性雨:pH 5.6より小さい(酸性度が増した雨)
  • 原因物質:石油・石炭の燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物(SOx)・窒素酸化物(NOx)
  • メカニズム:SOx・NOx → 大気中を移動 → 太陽光線による光化学反応→ 酸性物質になる → 雨に溶け込んで酸性雨として降下
  • pH(ピーエイチ/ペーハー)
    • pH 7 = 中性
    • pH 7より小さい = 酸性(数値が小さいほど強い酸性)
    • pH 7より大きい = アルカリ性

📌 pHの酸性雨判定表

種類 pH値 備考
アルカリ性 pH > 7
中性 pH = 7
通常の雨 pH ≈ 5.6 CO₂が溶け込んでいるため自然にわずかに酸性
酸性雨 pH < 5.6 SOx・NOxの光化学反応産物が原因

6. エルニーニョ現象のメカニズム

  • 定義:赤道付近(東部太平洋)の海面水温が平年に比べて高くなる現象
  • (対:ラニーニャ現象=平年より低くなる)

通常時の赤道太平洋:

  • 西部:海面水温が高い(28℃以上)→ 積乱雲が多発 → 台風も発生
  • 東部(ペルー沖):海面水温が低い(湧昇による)
  • 貿易風(東→西)が暖水を西側に集める → 西部の水温が高く維持される
  • 東部では冷たい深層水が湧き上がる(湧昇)

エルニーニョ発生時:

  1. 何らかの理由で貿易風が弱まる
  2. 西部に偏っていた暖かい海水が東へ流れてくる
  3. 積乱雲の発生域が西部→中部太平洋付近へ移動
  4. 東部の湧昇が弱まり、海面水温が上昇

日本への影響(テレコネクション):

  • エルニーニョ発生年:日本は冷夏・暖冬になることが多い
  • テレコネクション:遠く離れた気象要素が互いに関連して変化する統計的な結びつき
エルニーニョ現象のメカニズム

📌 通常時 vs エルニーニョ時 vs ラニーニャ時

項目 通常時 エルニーニョ時 ラニーニャ時
東部太平洋海面水温 低(湧昇) 高(+)平年より高い 低(−)平年より低い
貿易風 通常
積乱雲発生域 西部太平洋 中部太平洋 より西部
日本の傾向 通常 冷夏・暖冬 猛暑・寒冬

7. 南方振動とENSO

  • 南方振動(Southern Oscillation):ダーウィン(西部太平洋・オーストラリア北部)とタヒチ島(中部太平洋)の地上気圧がシーソー的に逆位相で変動する現象
  • エルニーニョ時:ダーウィン(気圧:高)↔ タヒチ(気圧:低)
  • 理由:エルニーニョ時は暖水が東へ→中部太平洋上の空気が暖められ→タヒチ付近の気圧が低下→相対的にダーウィン付近の気圧が高くなる
  • ENSO(エンソ):El Niño and Southern Oscillation の略。エルニーニョ現象と南方振動を連動した1つの現象として捉えたもの
南方振動・ENSO・湧昇

8. 湧昇(赤道湧昇・沿岸湧昇)

湧昇:深い海底の冷たい海水が湧き上がってくる現象

赤道湧昇:

  • 赤道付近は熱帯収束帯(ITCZ)で南東・北東貿易風が収束
  • コリオリ効果により波は:北半球では進行方向の右向き、南半球では左向きに進む
  • 赤道では両半球の波が赤道から離れる方向に進む
  • 海面の水が離れていく → 下から冷たい海水が湧き上がる = 赤道湧昇

沿岸湧昇:

  • ペルー沖(東部太平洋・南半球)で典型的
  • 南東貿易風が卓越 → コリオリにより波は進行方向の左(南西方向)へ
  • 波が南米大陸の沿岸から離れる方向に進む → 下から冷たい海水が補充 = 沿岸湧昇
  • 湧昇により栄養分豊富な冷水が上昇 → プランクトン多 → アンチョビ(カタクチイワシ)の好漁場
  • エルニーニョ時:湧昇弱まる → アンチョビが去る → 毎年12月頃(クリスマス頃)に観測されたため「エルニーニョ(神の子・男の子)」と命名

📝 エルニーニョとラニーニャの名前の由来

ラニーニャ=「女の子」、エルニーニョ=「神の子(男の子)」。12月のクリスマス頃に現れた現象であることから命名されました。

9. 📋 理解チェックテスト(5問)

【問1】(冒頭例題再掲)

「気候の変動に関する記述として正しいものはどれか。
ア. エルニーニョ現象とは赤道付近の海面水温が平年に比べて低くなる現象のことをいう
イ. 酸性雨の原因物質は主に石油・石炭の燃焼排ガスに含まれる硫黄酸化物や窒素酸化物であり、これらが大気中で光化学反応を経て酸性物質になる
ウ. ヒートアイランド現象は都市部の気温が周辺部に比べて低くなる現象である
エ. 温室効果がなければ地球は現在より温暖になる」

✅ 問1の解答・解説

正解:イ(酸性雨の原因はSOx・NOxが光化学反応で酸性物質化。ア誤(エルニーニョは高くなる)、ウ誤(都市が周辺より高くなる)、エ誤(温室効果なしは−18℃で寒冷化))

【問2】エルニーニョ現象に関する記述として正しいものはどれか。

ア. エルニーニョ発生時には貿易風が強まる
イ. エルニーニョ発生時には積乱雲の発生域が西部太平洋から中部太平洋付近へ移動する
ウ. エルニーニョが発生すると日本では猛暑・寒冬になりやすい
エ. ラニーニャ現象とはエルニーニョ現象の別名である

💡 解答・解説

正解:イ(積乱雲が西部→中部太平洋へ移動。ア誤(貿易風は弱まる)、ウ誤(エルニーニョは冷夏・暖冬)、エ誤(ラニーニャは別現象:海面水温が低くなる))

【問3】温室効果に関する記述として正しいものはどれか。

ア. 大気は太陽放射(短波)を吸収し、地球放射(長波)はほぼ透過させる
イ. 温室効果気体には水蒸気・二酸化炭素・メタンなどが含まれる
ウ. 温室効果がなくても地球の平均気温は現在と大きく変わらない
エ. フロン類は温室効果気体ではない

💡 解答・解説

正解:イ(温室効果気体はH₂O・CO₂・CH₄など。ア誤(逆:大気は短波を透過し長波を吸収)、ウ誤(温室効果なしは約−18℃)、エ誤(フロン類も温室効果気体))

【問4】南方振動とENSOに関する記述として正しいものはどれか。

ア. 南方振動とは南半球と北半球の気圧が交互に変動する現象である
イ. ENSOはエルニーニョ現象と南方振動を連動した1つの現象と捉えたものである
ウ. エルニーニョ発生時にはダーウィン(西部太平洋)の気圧が低く、タヒチ(中部太平洋)の気圧が高くなる
エ. 南方振動はコリオリ力によって引き起こされる

💡 解答・解説

正解:イ(ENSO = El Niño + Southern Oscillation。ア誤(南方振動は東西の気圧のシーソー変動)、ウ誤(エルニーニョ時はダーウィン高・タヒチ低)、エ誤(南方振動とコリオリは無関係))

【問5】湧昇に関する記述として正しいものはどれか。

ア. 沿岸湧昇はペルー沖(東部太平洋)の北半球側で発生しやすい
イ. 赤道湧昇では、コリオリ効果により波が赤道付近に集まり、海面の水が上昇する
ウ. エルニーニョ発生時には湧昇が弱まり、ペルー沖の海面水温が上昇する
エ. 湧昇により深層の冷たい海水が上昇してくるため、その海域の漁獲量は減少する

💡 解答・解説

正解:ウ(エルニーニョ時:湧昇弱まる→暖水流入→アンチョビ等が去る。ア誤(ペルー沖は南半球)、イ誤(コリオリで波は赤道から離れる方向→下から補充)、エ誤(湧昇域は栄養塩豊富→漁獲量多い))

10. 📋 過去問チャレンジ(3問)

【過去問1】

「温室効果・地球温暖化・ヒートアイランドに関する記述(a〜d)の正誤の組み合わせとして正しいものを選べ。
a. 大気中の温室効果気体は地球放射(長波放射)を吸収し、地表面方向に再放射することで地表面付近を暖める(温室効果)。
b. 大気中のCO₂濃度は夏季に最も高くなる(増加する)。
c. ヒートアイランド現象は、都市部の気温が周辺部より高くなる現象で、夜間の最低気温に顕著に現れる。
d. ヒートアイランド現象は冬季より夏季に顕著に現れる。
①a=正 b=正 c=正 d=正、②a=正 b=誤 c=正 d=誤、③a=誤 b=正 c=誤 d=正、④a=正 b=正 c=誤 d=誤」

💡 解答・解説

正解:②(bが誤り:CO₂は夏季に最も減少(光合成による)。dが誤り:ヒートアイランドは冬季により顕著)

【過去問2】

「エルニーニョ・南方振動・湧昇に関する記述(a〜d)の正誤の組み合わせとして正しいものを選べ。
a. 通常時、赤道太平洋の海面水温は西部ほど高く、東部ほど低い。
b. エルニーニョ発生時には貿易風が強まり、暖かい海水が東部太平洋に蓄積される。
c. ENSOはエルニーニョ現象(El Niño)と南方振動(Southern Oscillation)を連動した現象として捉えたものである。
d. 赤道湧昇は、コリオリ効果により赤道付近の表層水が赤道から離れる方向に移動し、下から冷たい深層水が補充される現象である。
①a=正 b=正 c=正 d=正、②a=正 b=誤 c=正 d=正、③a=誤 b=正 c=誤 d=正、④a=正 b=正 c=誤 d=誤」

💡 解答・解説

正解:②(bが誤り:エルニーニョ時は貿易風が弱まる)

【過去問3】

「酸性雨・湧昇・ラニーニャに関する記述(a〜d)の正誤の組み合わせとして正しいものを選べ。
a. 大気中にCO₂が溶け込んだ通常の雨はpH5.6で、これより数値が小さくなった雨を酸性雨という。
b. 酸性雨の主な原因物質は硫黄酸化物(SOx)と窒素酸化物(NOx)であり、これらが大気中で光化学反応を経て酸性物質になる。
c. ペルー沖の沿岸湧昇は、南東貿易風に対してコリオリ効果により波が大陸方向(東向き)に進むことで発生する。
d. ラニーニャ現象とは赤道付近の東部太平洋の海面水温が平年に比べて低くなる現象であり、日本では猛暑・寒冬になりやすいとされる。
①a=正 b=正 c=正 d=正、②a=正 b=正 c=誤 d=正、③a=誤 b=正 c=正 d=誤、④a=正 b=誤 c=誤 d=正」

💡 解答・解説

正解:②(cが誤り:ペルー沖の南半球では南東貿易風に対してコリオリで波は左向き(南西向き)→大陸から離れる方向に進む)

11. まとめ

重要項目一覧:

  • 気候変動の要因:自然的(太陽活動・地軸の傾き・火山噴火)と人為的(CO₂・フロン)
  • 温室効果:大気は短波を透過・長波を吸収→再放射→地表面加熱
  • 温室効果なし:地球平均気温 ≈ −18℃
  • CO₂:産業革命以降急増、夏季に最少(光合成)、全球的に増加
  • ヒートアイランド:都市が周辺より高温、夜間最低気温に顕著、冬季により明確
  • 酸性雨:pH < 5.6、原因はSOx・NOxの光化学反応
  • エルニーニョ:東部太平洋海面水温が平年より高→貿易風弱→積乱雲が中部太平洋へ
  • 日本への影響:エルニーニョ→冷夏・暖冬、ラニーニャ→猛暑・寒冬
  • テレコネクション:遠く離れた気象要素の統計的結びつき
  • 南方振動:ダーウィン(西)とタヒチ(中)の気圧がシーソー変動
  • ENSO:El Niño + Southern Oscillation を連動した現象
  • 赤道湧昇:コリオリにより波が赤道から離れる→深層冷水が補充
  • 沿岸湧昇:ペルー沖(南半球)、南東貿易風→左向きに波→大陸から離れる→深層冷水
  • エルニーニョの語源:毎年12月頃(クリスマス頃)のペルー沖の現象「神の子」

難易度:★★★★★(最終章!ENSO・湧昇・エルニーニョは頻出!)

この記事について

気象予報士試験の合格を目指す方のために、専門知識を初学者向けにわかりやすく解説しています。一緒に合格を目指しましょう!

【気象予報士試験講義No.10】気候の変動|温室効果・地球温暖化・ヒートアイランド・酸性雨・エルニーニョ・ENSOをゼロから学ぼう!

どくりん


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