【第63回 気象予報士試験 実技2】問4を徹底解説|鹿児島の暴風域・台風接近時の大雨・警報の考え方
こんにちは!今回は第63回 気象予報士試験 実技2 問4を解説します!
今回の問4では、
- 台風が鹿児島に最も近づく時刻
- 鹿児島が暴風域に入る時間の長さ
- 台風情報から防災上の留意事項を読み取る
- 12時間最大降水量を読む
- 台風接近時に宮崎県付近で大雨となる理由
- 大雨・洪水以外に発表が予想される警報
など、実技試験で重要な「台風接近時の防災判断」が問われています。
特に、 台風の進路・暴風域・風の予報用語・地形性降水をセットで考える ことがポイントです。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問4(1) 鹿児島の暴風域入りと防災上の留意事項
問題文
図1と問1で求めた情報を用いて、台風が鹿児島に最も近づく時刻、鹿児島が暴風域に入っている時間の長さ、さらに鹿児島の風に関する防災上の留意事項を完成させる問題です。
模範解答
① 台風の中心が鹿児島に最も近づく日時:9月20日2時頃
鹿児島が暴風域に入っている時間の長さ:約8時間
②
㋐ 1時間以内に入る予想
㋑ 明け方
㋒ 非常に強い風
㋓ 未明
㋔ 猛烈な風
◇ 解説
① 台風が鹿児島に最も近づく時刻
問1で、鹿児島と台風中心との距離は約70海里と求めました。
また、問1(2)より、初期時刻から12時間後までの台風の移動速度は15ノットです。
ノットは「海里/時」なので、70海里を15ノットで進む時間は、
70 ÷ 15 ≒ 4.7時間
です。
初期時刻は19日21時なので、約4.7時間後は20日2時〜3時頃です。
1時間刻みで答えるため、台風中心が鹿児島に最も近づく時刻は9月20日2時頃とします。
計算でつまずきやすいポイント
15ノットは「15海里/時」です。
距離が海里で与えられている場合は、距離 ÷ ノットでそのまま時間が求められます。
② 鹿児島が暴風域に入っている時間
暴風域半径は約60海里です。
鹿児島付近を台風中心が通過すると考えると、暴風域に入ってから抜けるまでの距離は、暴風域の直径に相当します。
したがって、
60海里 × 2 = 120海里
です。
移動速度は15ノットなので、
120 ÷ 15 = 8時間
となります。
よって、鹿児島が暴風域に入っている時間は約8時間です。
判定の流れ
- 暴風域半径:60海里
- 暴風域の直径:120海里
- 移動速度:15ノット
- 120 ÷ 15 = 8時間
③ 防災上の留意事項
19日21時時点で、鹿児島はまだ暴風域には入っていません。
ただし、最接近が20日2時頃で、暴風域に入っている時間が約8時間なので、最接近の約4時間前から暴風域に入ると考えます。
20日2時の約4時間前は、19日22時頃です。
つまり、19日21時時点では、鹿児島は1時間以内に暴風域に入る予想です。
暴風域から抜けるのは、最接近から約4時間後なので、20日6時頃です。
この時間帯は予報用語では明け方にあたります。
また、暴風域に入っている間は非常に強い風が吹き、台風中心が最も近づく20日2時頃、つまり未明には、さらに強い猛烈な風が吹くおそれがあります。
時間帯の整理
- 19日21時:まだ暴風域外
- 19日22時頃:暴風域に入る
- 20日2時頃:台風中心が最接近
- 20日6時頃:暴風域を抜ける
予報用語の注意
「未明」「明け方」などの時間帯表現と、「非常に強い風」「猛烈な風」などの風の強さ表現を、正しく使い分ける必要があります。
■ 問4(1)まとめ
- 鹿児島への最接近は9月20日2時頃
- 暴風域に入っている時間は約8時間
- 19日21時時点では1時間以内に暴風域に入る予想
- 20日明け方に暴風域を抜ける
- 未明には猛烈な風のおそれがある
■ 問4(2) 12時間最大降水量と宮崎県付近で大雨となる理由
問題文
図6を用いて、20日9時までの12時間に予想される日本付近の最大降水量を読み取り、その場所で降水量が多くなる理由を、台風中心との位置関係や地形の影響に触れて説明する問題です。
模範解答
① 299mm
② 台風中心が南西から最接近するまで、南東〜東から湿った強い風が吹き、地形の影響で降水が多くなるため。
◇ 解説
① 最大降水量の読み取り
図6下段には、20日9時までの前12時間降水量が示されています。
九州南部付近を見ると、最大値として299mmが示されています。
したがって、最大降水量は299mmです。
つまずきポイント
等値線だけでなく、図中に示された最大値の数値を見落とさないようにしましょう。
② なぜ宮崎県付近で大雨になるのか
最大降水量が予想されているのは、九州南部、特に宮崎県付近です。
この地域では、台風中心が南西側から近づくため、台風の東側にあたります。
台風の東側では、南東〜東から暖かく湿った強い風が吹き込みやすくなります。
その湿った風が九州山地にぶつかることで、空気が強制的に持ち上げられます。
このため、地形性降水が強まり、大雨となります。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで・いつ:台風中心が南西から最接近するまで、宮崎県付近で
なぜ:南東〜東から湿った強い風が吹き、山地にぶつかるため
何が起きている:地形性降水が強まり、降水量が多くなる
答案で重要なこと
「台風だから大雨」だけでは不十分です。
台風中心との位置関係、湿った強風、地形の影響の3点を入れると、実技答案として強くなります。
■ 問4(2)まとめ
- 最大12時間降水量は299mm
- 大雨域は九州南部・宮崎県付近
- 台風中心が南西から近づく
- 南東〜東から湿った強い風が流入する
- 湿った風が九州山地にぶつかり地形性降水が強まる
■ 問4(3) 大雨・洪水以外に発表が予想される警報
問題文
19日21時の時点で、九州南部で発表が予想される警報のうち、大雨警報・洪水警報以外のものをすべて答える問題です。なお、特別警報は考えないものとされています。
模範解答
暴風、波浪、高潮
◇ 解説
気象警報には、主に次の種類があります。
- 大雨警報
- 洪水警報
- 暴風警報
- 暴風雪警報
- 波浪警報
- 高潮警報
この問題では、大雨警報・洪水警報は除外されています。
さらに、台風接近時の九州南部で考えるため、暴風雪警報は該当しません。
残る中で、台風接近時に発表が予想されるのは、
- 暴風
- 波浪
- 高潮
です。
暴風警報
台風の暴風域に入るため、陸上では暴風が予想されます。
したがって、暴風警報が発表される可能性があります。
波浪警報
台風接近時には、海上で高波やうねりが発生します。
沿岸部では波浪による重大な災害のおそれがあるため、波浪警報が対象になります。
高潮警報
台風に伴う吸い上げ効果や吹き寄せ効果により、潮位が上昇することがあります。
九州南部沿岸では高潮のおそれもあるため、高潮警報も対象になります。
つまずきポイント
問題文で「大雨・洪水以外」と指定されています。
台風接近時だからといって、大雨や洪水を答えに入れないよう注意しましょう。
■ 問4 全体まとめ
- 鹿児島への最接近は9月20日2時頃
- 鹿児島は約8時間、暴風域に入る
- 19日21時時点では1時間以内に暴風域に入る予想
- 宮崎県付近では12時間で299mmの大雨が予想される
- 南東〜東の湿った強風と地形効果で降水が強まる
- 大雨・洪水以外の警報は暴風・波浪・高潮
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第63回 気象予報士試験 実技2 問4の解説でした!
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