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【例題】伝送速度の計算
10Mバイトのデータを、伝送速度100,000ビット/秒の回線を利用して伝送する場合、伝送に要する時間(秒)はどれか。ただし、回線利用効率は50%とする。
ア. 400秒
イ. 800秒
ウ. 1,600秒
エ. 3,200秒
※ヒント:データ量(ビット)÷(回線速度×効率)で計算してみよう!
前回はデータベースを学びました。今回は、現代のシステムに欠かせない「ネットワーク」を徹底解説します。OSI参照モデルの7層、TCP/IPプロトコル、IPアドレスのサブネット計算、伝送速度の計算問題、LANデバイスの違いまで、試験に出る内容を全て網羅します!
目次
- ネットワークの基本概念
- 通信回線の種類と接続方式
- 伝送速度と伝送時間の計算
- 誤り検出・訂正(パリティチェック・CRC)
- OSI参照モデルの7層
- TCP/IPプロトコルスタック
- IPアドレスとサブネットマスク
- ネットワーク関連プロトコル(DHCP・DNS・NAT)
- LANの接続デバイス(ハブ・スイッチ・ルータ)
- セキュリティ(暗号化・ファイアウォール)
- 過去問チャレンジ!
- この章のまとめ
1. ネットワークの基本概念
- ネットワーク=複数のコンピュータや機器を通信回線で接続し、データをやり取りできるようにしたシステム。
- LAN(Local Area Network):同じ建物・敷地内など比較的狭い範囲のネットワーク。
- WAN(Wide Area Network):地理的に離れた場所を接続する広域ネットワーク。
- インターネット:世界中のネットワークをつないだ最大のWAN。
- パケット交換方式:データを「パケット」という小さな単位に分割して送受信する方式。現在のインターネットはこの方式を採用。
- 回線交換方式:送信側と受信側の間に専用回線を確保してからデータを送る方式。電話網で使われる。
2. 通信回線の種類と接続方式
- アナログ回線:電話回線のような連続した電気信号。モデムでデジタル信号に変換が必要。
- デジタル回線:デジタル信号をそのまま送れる回線。現代の主流。
- 光ファイバー:光信号を使い、超高速・長距離伝送が可能。
- 同軸ケーブル・ツイストペアケーブル:LANの有線接続で使われる。
- 無線LAN(Wi-Fi):電波でデータを送受信する。IEEE 802.11規格。
3. 伝送速度と伝送時間の計算(試験最頻出!)
▲ 伝送速度の計算方法と例題
- 伝送速度(bps)=1秒間に伝送できるビット数。
- 伝送時間(秒)=データ量(ビット)÷(回線速度(bps)×回線利用効率)
【計算例(冒頭例題)】
- データ量:10Mバイト=10×8×1,000,000=80,000,000ビット=8×10^7ビット
- 回線速度:100,000bps×0.5(効率50%)=50,000bps
- 伝送時間:80,000,000÷50,000=1,600秒 → 正解:ウ
= 10×8×1,000,000 ÷(100,000 × 0.5)
= 80,000,000 ÷ 50,000 = 1,600(秒)
📝 ポイント:単位に注意!
「バイト→ビット」の変換(×8倍)を忘れずに!「Mバイト→ビット」なら×8×1,000,000です。
4. 誤り検出・訂正(パリティチェック・CRC)
- ビット誤り:データ伝送中にノイズなどにより「0」が「1」に(またはその逆に)変わってしまうこと。
- パリティチェック方式:1ビットのパリティビットを付加して誤りを検出する。「偶数パリティ」と「奇数パリティ」がある。1ビットの誤りは検出できるが、訂正はできない。
- CRC(Cyclic Redundancy Check:巡回冗長検査):多項式を使った誤り検出方式。パリティより検出能力が高い。
📌 重要:パリティチェックの限界
パリティチェックは「奇数個の誤り」は検出できますが、「偶数個の誤り」は検出できません。また、「検出はできても訂正はできない」点も試験に出ます。
5. OSI参照モデルの7層
▲ OSI参照モデルの7層とTCP/IPの対応
- OSI参照モデル=ISOが定めた、ネットワーク通信を7つの層(レイヤー)に分けたモデル。
- 各層の役割:
| 層 | 名称 | 主な役割・プロトコル例 |
|---|---|---|
| 第7層 | アプリケーション層 | HTTP, HTTPS, FTP, SMTP, POP3, DNS |
| 第6層 | プレゼンテーション層 | データ形式変換、暗号化・復号 |
| 第5層 | セッション層 | 通信の開始・終了・管理 |
| 第4層 | トランスポート層 | TCP(信頼性重視)、UDP(速度重視) |
| 第3層 | ネットワーク層 | IP、ルーティング(経路制御) |
| 第2層 | データリンク層 | MACアドレス、イーサネット |
| 第1層 | 物理層 | 電気信号・光信号の伝送 |
- 覚え方:「物デネトセプア」(物理・データリンク・ネットワーク・トランスポート・セッション・プレゼンテーション・アプリケーション)
6. TCP/IPプロトコルスタック
- TCP/IP=インターネットの標準プロトコル群。OSI参照モデルの7層を4層に簡略化している。
- TCP(Transmission Control Protocol):信頼性のある通信を提供。パケットの順序制御・再送処理を行う。Webやメールに使用。
- UDP(User Datagram Protocol):高速だが信頼性より速度を重視。動画ストリーミングやDNS照会に使用。
- ポート番号:アプリケーションを識別する番号。よく出る番号:HTTP=80、HTTPS=443、FTP=21、SMTP=25、POP3=110、DNS=53。
- MACアドレス:機器固有の識別番号(48ビット)。データリンク層で使用。
📝 ポイント:TCPとUDPの違い
TCPは「確実に届ける」信頼性重視、UDPは「速く届ける」速度重視。ウェブブラウザはTCP、ビデオ会議はUDPを使うことが多いです。
7. IPアドレスとサブネットマスク
▲ IPアドレスの構造とサブネット計算
- IPv4アドレス:32ビットのアドレス。4つの8ビット(0〜255)をドットで区切って表記。例:192.168.1.1
- IPv6アドレス:128ビットのアドレス。IPv4アドレス枯渇問題の解決策。
- IPアドレスの構成:ネットワーク部(所属するネットワークを識別)+ホスト部(同一ネットワーク内の機器を識別)。
- サブネットマスク:ネットワーク部とホスト部の境界を示す。例:255.255.255.0(/24)
- プライベートIPアドレス:組織内部で使用するアドレス。インターネット上では使用不可。範囲例:192.168.0.0〜192.168.255.255。
- グローバルIPアドレス:インターネット上で一意に識別できるアドレス。
- NAPT(NAT):プライベートIPをグローバルIPに変換する技術。1つのグローバルIPを複数の端末で共有できる。
【重要事項:サブネット計算例】
IPアドレス:192.168.1.100、サブネットマスク:255.255.255.0(/24)
→ネットワークアドレス:192.168.1.0
→ブロードキャストアドレス:192.168.1.255
→使用可能ホスト数:256-2=254台
8. ネットワーク関連プロトコル(DHCP・DNS・NAT)
- DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol):IPアドレスを端末に自動的に割り当てるプロトコル。
- DNS(Domain Name System):ドメイン名(www.example.com)をIPアドレスに変換するプロトコル(名前解決)。
- HTTP(HyperText Transfer Protocol):Webページを転送するためのプロトコル。
- HTTPS:HTTPにSSL/TLSによる暗号化を加えたセキュアなプロトコル。
- SMTP:メール送信プロトコル。
- POP3/IMAP:メール受信プロトコル。POP3はサーバからダウンロード、IMAPはサーバ上で管理。
- FTP:ファイル転送プロトコル。
9. LANの接続デバイス(ハブ・スイッチ・ルータ)
▲ LANデバイスの種類とOSI層の対応
| デバイス | 動作するOSI層 | 主な機能 |
|---|---|---|
| リピータ・ハブ | 第1層(物理層) | 電気信号を増幅して中継。全ポートに送信 |
| ブリッジ・スイッチングハブ | 第2層(データリンク層) | MACアドレスで宛先を判断。必要なポートのみに送信 |
| ルータ | 第3層(ネットワーク層) | IPアドレスで経路制御(ルーティング)を行う |
| ゲートウェイ | 第4〜7層 | 異なるプロトコル間の変換を行う |
- スイッチングハブは「スイッチ」とも呼ばれ、MACアドレステーブルを持ち、不要なトラフィックを抑制できる。
- ルータは異なるネットワーク間(LAN同士、LAN-WAN間)の通信を可能にする。
📝 ポイント:デバイスとOSI層の対応
「ハブ=第1層」「スイッチ=第2層」「ルータ=第3層」という対応は試験頻出です。セットで覚えましょう!
10. セキュリティ(暗号化・ファイアウォール)
- ファイアウォール:外部ネットワークからの不正アクセスを防ぐための境界装置。通信を許可・拒否するルールを設定する。
-
暗号化:データを第三者に読めない形に変換する技術。
- 共通鍵暗号方式:暗号化と復号に同じ鍵を使う。高速だが鍵の配送が課題。例:AES。
- 公開鍵暗号方式:暗号化に公開鍵、復号に秘密鍵を使う。鍵配送問題を解決。例:RSA。
- SSL/TLS:通信経路を暗号化するプロトコル。HTTPSで使用される。
- VPN(Virtual Private Network):インターネット上に仮想的な専用ネットワークを構築する技術。
📌 重要:共通鍵と公開鍵の違い
「共通鍵=速い・鍵の配送が課題」「公開鍵=安全・低速」がポイントです。実際のSSL/TLSでは両方を組み合わせて使います(最初のやり取りに公開鍵、その後は共通鍵)。
11. 過去問チャレンジ!
🎯 記事冒頭の例題に、もう一度チャレンジ!
【問題1(再掲)】伝送速度の計算
10Mバイトのデータを、伝送速度100,000ビット/秒の回線を利用して伝送する場合、伝送に要する時間(秒)はどれか。ただし、回線利用効率は50%とする。
ア. 400秒
イ. 800秒
ウ. 1,600秒
エ. 3,200秒
✅ 解答・完全解説
正解:ウ
解説:
- データ量をビットに変換:10Mバイト=10×1,000,000バイト×8ビット=80,000,000ビット
- 実効速度を計算:100,000bps×0.5=50,000bps
- 伝送時間=80,000,000÷50,000=1,600秒
ア(400秒)はバイト→ビット変換を忘れた誤り、イ(800秒)は効率を計算しない誤り、エ(3,200秒)は計算ミスによる誤りです。
【過去問 その2】OSI参照モデル
OSI参照モデルにおいて、IPアドレスを使った経路制御(ルーティング)を行うのは何層か。
ア. 第1層(物理層)
イ. 第2層(データリンク層)
ウ. 第3層(ネットワーク層)
エ. 第4層(トランスポート層)
💡 解答・解説
正解:ウ
IPアドレスを使ったルーティング(経路制御)はネットワーク層(第3層)の機能です。ルータはこの層で動作します。MACアドレスを使うのは第2層(データリンク層)です。
【過去問 その3】パリティチェック
パリティチェック方式の説明として、適切なものはどれか。
ア. データの誤りを自動的に訂正できる。
イ. 奇数個のビット誤りは検出できるが、偶数個のビット誤りは検出できない。
ウ. CRCより高い誤り検出能力を持つ。
エ. 2ビット以上の誤りを全て検出できる。
💡 解答・解説
正解:イ
パリティチェックは1ビット(奇数個)の誤りは検出できますが、2ビット(偶数個)の誤りは検出できません。また、検出はできますが「訂正」はできません(アは誤り)。CRCはパリティより高い検出能力を持ちます(ウは誤り)。
12. この章のまとめ
📌 ネットワークのまとめ
- ネットワーク=LAN(狭域)とWAN(広域)に分類。パケット交換方式が現在の主流。
- 伝送時間=データ量(ビット)÷(回線速度×利用効率)。バイト→ビット変換(×8)に注意!
- パリティチェック=1ビット誤りを検出できるが訂正不可。偶数個の誤りは検出不可。
- OSI参照モデル=7層(物・デ・ネ・ト・セ・プ・ア)で通信を定義。
- TCP=信頼性重視(再送あり)。UDP=速度重視(再送なし)。
- ポート番号:HTTP=80, HTTPS=443, FTP=21, SMTP=25, DNS=53。
- IPアドレス=ネットワーク部+ホスト部。サブネットマスクで境界を識別。
- DHCP=IP自動割り当て。DNS=ドメイン→IP変換(名前解決)。
- ハブ=第1層、スイッチ=第2層、ルータ=第3層で動作。
- 共通鍵暗号=高速・鍵配送が課題。公開鍵暗号=安全・低速。
- ファイアウォール=外部からの不正アクセスを遮断。
学習難易度:★★★☆☆
ネットワークは計算問題と用語問題の両方が出題されます。OSI参照モデルの各層の役割と、伝送時間の計算式を確実に覚えましょう!
この記事について
基本情報技術者試験の合格を目指す方のために、参考書の内容を初心者向けにわかりやすく噛み砕いて解説しています。ITの基礎をしっかり固めて、一緒に合格を目指しましょう!
