【第57回 気象予報士試験 実技1】問2を徹底解説|高気圧の鉛直構造・寒気核・低気圧発達・前線解析

こんにちは!今回は第57回 気象予報士試験 実技1 問2を解説します!

今回の問2では、日本の東の高気圧、500hPaの正渦度極大域、上空寒気、低気圧の発達、前線解析がテーマです。

特に、地上の高気圧と上空リッジの位置関係、そして上空寒気の南東進が地上低気圧の発達にどう関わるかを整理することが重要です。

実技試験記述5型

基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)

  • 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
  • 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
  • メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
  • リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
  • 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」

■ 問2(1) 日本の東の高気圧と上空の構造

模範解答

東北東(北東)にゆっくり

上空に向かって西に傾いており、傾きは次第に小さくなる。

気温場の谷のすぐ西で、温度と湿数の傾度が大きく、その南西側には湿潤域が広がる。

b

温暖前線

◇ 解説

① 高気圧の移動方向と速さ

図6〜図8を使って、日本の東にある高気圧の中心位置を追跡します。

12時間後から36時間後までの24時間で、高気圧はわずかに北東寄りへ移動しています。

移動距離は小さく、速度は5ノット以下と考えられるため、

東北東(北東)にゆっくり

と表現します。

つまずきポイント

移動速度が5ノット以下の場合は、無理に数値で答えず、問題の指定に応じて「ゆっくり」「ほとんど停滞」を使います。

② 地上高気圧と上空リッジの位置関係

次に、地上高気圧と500hPa面の気圧の尾根の位置関係を見ます。

12時間後では、地上高気圧の中心に対して、上空のリッジは西側にずれています。

つまり、高気圧の軸は、

上空に向かって西に傾いている

と判断できます。

しかし、24時間後、36時間後と進むにつれて、地上高気圧と上空リッジの位置のずれは小さくなります。

したがって、傾きは次第に小さくなり、鉛直に近づいていきます。

記述式解答のポイント:構造型

どこで:日本の東の地上高気圧と上空リッジの位置関係で

いつ:12時間後から36時間後にかけて

何が起きている:上空に向かって西に傾き、その傾きが次第に小さくなる

③ 500hPa正渦度極大域付近の気温・湿数分布

日本の東で北西から南東にのびる500hPa正渦度極大域付近では、500hPa気温と700hPa湿数に特徴があります。

まず、気温場の谷のすぐ西側で、等温線の間隔が狭くなっています。

つまり、

温度傾度が大きい

状態です。

さらに、700hPa湿数分布を見ると、その南西側に湿潤域が広がっています。

また、湿数の等値線も密集しており、乾湿の傾度も大きくなっています。

したがって、答案では、

気温場の谷のすぐ西で、温度と湿数の傾度が大きく、その南西側には湿潤域が広がる

とまとめます。

つまずきポイント

湿数は、小さいほど湿潤です。

湿数3℃以下の領域は、雲が発生しやすい湿った空気の目安になります。

④・⑤ 鉛直断面図に対応する地点と前線の種類

図12の鉛直断面図に示された気温・風の特徴に合う地点を、a・b・cから選ぶ問題です。

断面図では、南西側から北東側へ向かって気温が低下し、風向も南寄りから東寄りへ変化しています。

この特徴に最も合うのは、

地点b

です。

また、このように南側に暖かい空気、北側に冷たい空気があり、暖気が寒気の上を滑昇する構造は、

温暖前線

に対応します。

■ 問2(1)まとめ

  • 日本の東の高気圧は東北東(北東)にゆっくり進む
  • 高気圧の軸は上空に向かって西に傾く
  • 時間とともにその傾きは小さくなる
  • 正渦度極大域付近では温度・湿数の傾度が大きい
  • 南西側には湿潤域が広がる
  • 断面図に対応する地点はb
  • 前線の種類は温暖前線

■ 問2(2) 地上低気圧の発達に関わる上空寒気と強風化

模範解答


500hPaの低気圧中心
12時間後:北緯43°・東経127°
24時間後:北緯39°・東経133°

500hPaの正渦度極大
12時間後:北緯42°・東経123°
24時間後:北緯36°・東経128°

-15℃以下の寒気が中国東北区から日本海南部に南東進してくる。

高気圧は発達しながらゆっくり移動する一方、低気圧は発達しながら高気圧より速く東北東進し、等圧線の間隔が狭まるため。

◇ 解説

① 低気圧発達に関係する500hPa低気圧・正渦度極大

地上低気圧の24時間後より先の発達に関係する上空の要素を読み取ります。

注目するのは、中国東北区付近から日本海側へ進んでくる500hPaの低気圧と、それに伴う正渦度極大です。

12時間後の500hPa低気圧中心は、

北緯43°・東経127°

付近にあります。

24時間後には、

北緯39°・東経133°

付近へ進みます。

また、500hPaの正渦度極大は、12時間後に、

北緯42°・東経123°

付近、24時間後に、

北緯36°・東経128°

付近へ進みます。

この正渦度極大を伴う上空のトラフが、地上低気圧の発達に関係します。

つまずきポイント

地上低気圧の発達を見るときは、地上天気図だけでは不十分です。

500hPaの低気圧・トラフ・正渦度極大がどこにあるかを必ず確認しましょう。

② 500hPa寒気の時間変化

500hPa気温場を見ると、中国東北区付近に寒気核があります。

この寒気は時間とともに南東へ進みます。

12時間後から36時間後にかけて、

-15℃以下の寒気

が中国東北区から日本海南部へ南東進してきます。

上空寒気が流入すると、大気の成層が不安定になりやすく、地上低気圧の発達にも関係します。

記述式解答のポイント:時間変化型

どこで:中国東北区から日本海南部にかけて

いつ:12時間後から36時間後にかけて

何が起きている:-15℃以下の寒気が南東進してくる

③ 低気圧前面で風が強まる理由

36時間後には、地上低気圧の進行方向前面で風が強まると予想されています。

その理由は、高気圧と低気圧の動きの違いにあります。

日本の東の高気圧は、発達しながらもゆっくり移動します。

一方、地上低気圧は発達しながら、高気圧より速く東北東へ進みます。

その結果、高気圧と低気圧の間隔が狭まり、等圧線の間隔も狭くなります。

等圧線の間隔が狭いほど気圧傾度が大きくなり、風が強まります。

記述式解答のポイント:メカニズム型

どこで:低気圧の進行方向前面で

なぜ:高気圧はゆっくり移動し、低気圧は発達しながら高気圧より速く接近するため

何が起きている:等圧線間隔が狭まり、風が強まる

■ 問2(2)まとめ

  • 12時間後の500hPa低気圧中心は北緯43°・東経127°
  • 24時間後は北緯39°・東経133°
  • 12時間後の正渦度極大は北緯42°・東経123°
  • 24時間後は北緯36°・東経128°
  • -15℃以下の寒気が中国東北区から日本海南部へ南東進
  • 高気圧がゆっくり、低気圧が速く進むことで等圧線間隔が狭まる
  • 低気圧前面で風が強まる

■ 問2(3) 24時間後の温暖前線・寒冷前線の作図

模範解答

第57回実技1問2 前線解析の模範解答

◇ 解説

図7・図10を用いて、24時間後の地上天気図に温暖前線と寒冷前線を記入する作図問題です。

前線解析の基本手順

  • 閉塞しているかを判断する
  • 高層天気図から前線位置を推定する
  • 閉塞している場合は閉塞点を決める
  • 地上風のシアーも参考にする
  • 前線記号を用いて解答図の枠まで描く

閉塞の判断

この低気圧は発達過程にあり、寒気の流入や暖気の突っ込みも見られます。

したがって、低気圧中心付近では閉塞が進みつつあると判断できます。

前線位置の推定

温暖前線は、主に850hPaの等温線集中帯を参考にして位置を決めます。

一方、寒冷前線側は等温線集中帯がやや不明瞭です。

そのため、湿潤域や上昇流域も参考にして、前線位置を推定します。

閉塞点の決定

通常、閉塞点は前線帯と強風軸の関係を参考にします。

ただし今回は強風軸がやや不明瞭なため、上昇流の極値を参考に閉塞点を決めます。

そのうえで、地上風のシアーにも配慮しながら、温暖前線と寒冷前線を滑らかに描きます。

前線作図で差がつくポイント

前線位置は、等温線だけで決めるのではありません。

等温線集中帯・湿潤域・上昇流域・地上風のシアーを重ねて判断します。

■ 問2 全体まとめ

  • 日本の東の高気圧は東北東(北東)にゆっくり進む
  • 高気圧の軸は上空に向かって西に傾き、次第に傾きは小さくなる
  • 正渦度極大域付近では温度・湿数の傾度が大きい
  • 断面図に対応する地点はb、前線は温暖前線
  • 地上低気圧の発達には中国東北区から進む500hPa低気圧・正渦度極大が関係する
  • -15℃以下の寒気が日本海南部へ南東進する
  • 低気圧前面では等圧線間隔が狭まり風が強まる
  • 前線作図では等温線集中帯・湿潤域・上昇流域・風のシアーを見る

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第57回 気象予報士試験 実技1 問2の解説でした!

訂正・ご意見などありましたら、ぜひコメントで教えてください!
皆で最高の独学環境を作っていきましょう!