【第63回 気象予報士試験 一般知識】問3 断熱下降と気温減率をわかりやすく解説
第63回気象予報士試験 一般知識 問3の解説です。今回は、山を越えて下降する空気塊の温度を求める問題です。
この問題は、環境の気温減率と空気塊の乾燥断熱減率を正しく使い分けられるかがポイントです。
特に受験生がつまずきやすいのは、
- 大気の気温減率 6℃/km
- 空気塊の乾燥断熱減率 10℃/km
をどこで切り替えるかです。
ここを混同すると、答えが30℃になってしまいやすいので注意しましょう。
■ 問題文
図に示すように、標高0mの平野にある標高1500mの山を考える。
大気はどこでも気温減率が6℃/kmで、標高0mの気温は30℃である。
このとき、山の左側の高度1200mの微小な空気塊を、山を越えて右側の標高0mの麓まで、周囲と混合しないように断熱的に下降させた。
この下降後の空気塊の温度に最も近いものを、下記の①~⑤の中から1つ選べ。
ただし、空気塊の移動中に水蒸気の凝結は起こらないものとする。
| 選択肢 | 温度 |
|---|---|
| ① | 30.0℃ |
| ② | 31.2℃ |
| ③ | 33.0℃ |
| ④ | 34.8℃ |
| ⑤ | 36.0℃ |
■ 解答
④(34.8℃)
■ 解き方の方針
この問題では、まず高度1200mにある空気塊の出発時の温度を求めます。
その後、その空気塊を断熱的に標高0mまで下降させたときの温度上昇を計算します。
ポイントは、
- 出発時の温度を求めるとき → 周囲の大気の気温減率 6℃/km
- 空気塊が下降するとき → 乾燥断熱減率 10℃/km
を使うことです。
■ ステップ1:高度1200mの空気塊の温度を求める
標高0mの気温は30℃です。
大気の気温減率は6℃/kmなので、高度1200mでは、
6℃/km × 1.2km = 7.2℃
だけ気温が低くなります。
したがって、高度1200mの空気塊の温度は、
30℃ – 7.2℃ = 22.8℃
となります。
ここがポイント!
ここでは、まだ空気塊を動かしていません。
単に「高度1200mの周囲の気温」を求めているだけなので、問題文にある大気の気温減率6℃/kmを使います。
■ ステップ2:空気塊を断熱的に下降させる
次に、高度1200mにある空気塊を、標高0mまで断熱的に下降させます。
問題文には、
「空気塊の移動中に水蒸気の凝結は起こらない」
とあります。
つまり、この空気塊は未飽和のまま移動します。
未飽和の空気塊が断熱的に下降するときは、乾燥断熱減率を使います。
乾燥断熱減率は約10℃/kmなので、1200m下降すると、
10℃/km × 1.2km = 12℃
だけ温度が上がります。
超重要つまずきポイント!
問題文に「大気はどこでも気温減率6℃/km」と書いてあるため、下降時にも6℃/kmを使いたくなります。
しかし、6℃/kmは周囲の大気の温度分布です。
一方で、今求めたいのは動いている空気塊自身の温度変化です。
空気塊が断熱的に下降し、凝結が起こらない場合は、乾燥断熱減率10℃/kmを使います。
■ ステップ3:下降後の温度を求める
出発時の空気塊の温度は22.8℃でした。
下降によって12℃上昇するため、
22.8℃ + 12℃ = 34.8℃
となります。
したがって、最も近い選択肢は④ 34.8℃です。
■ まとめ
- 高度1200mの気温:30℃ – 7.2℃ = 22.8℃
- 断熱下降による昇温:10℃/km × 1.2km = 12℃
- 下降後の温度:22.8℃ + 12℃ = 34.8℃
したがって、正解は④です。
この問題で必ず押さえたいこと
この問題の本質は、
- 周囲の大気を見るときは環境の気温減率
- 空気塊そのものを見るときは断熱減率
を使い分けることです。
ここを理解できると、山越え気流やフェーン現象の問題にも強くなります。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第63回 一般知識 問3の解説でした!
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