【第56回 気象予報士試験 一般知識】問14 気象観測施設の届出と技術基準をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第56回 気象予報士試験 一般知識 問14を解説します!
法規についてはこちらの記事も参考にしてみてください! ⇒ 【講義】一般科目 気象法規
この問題は、気象観測施設について、気象庁長官への届出が必要か、また技術上の基準に従う必要があるかを判断する法規問題です。
ポイントは、観測の目的が特殊な環境での自家利用なのか、研究目的なのか、成果の公表なのか、防災利用なのかを分けることです。
この問題で重要なポイント
- すべての気象観測施設に届出が必要なわけではない。
- 農園の苗木間など、特殊な環境での管理目的の観測は届出不要となる場合がある。
- 大学の研究目的の観測は、届出不要となる場合がある。
- 観測成果をホームページなどで一般に公表する場合は、届出が必要となる。
- 鉄道の安全運行など、防災に利用する観測は技術基準に従う必要がある。
- 法規問題では「誰が」「何のために」「観測結果をどう使うか」を見る。
■ 問題文
気象観測について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 農園で果樹の管理のために農園内の苗木の間に温度計を設置する場合は、その農園の運営者は温度計の設置について気象庁長官に届け出なければならない。
(b) 学会に発表する論文に掲載するデータを得るために大学が風速観測施設を設置する場合は、その大学は観測施設の設置について気象庁長官に届け出なければならない。
(c) スキー場を運営する事業者がゲレンデ付近の気温をホームページに掲載するためにスキー場内に温度計を設置する場合は、その事業者は温度計の設置について気象庁長官に届け出なければならない。
(d) 鉄道事業者が列車の安全な運行に利用するために降水量の観測施設を設置する場合は、国土交通省令で定める技術上の基準に従って観測を行わなければならない。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 誤 | 正 |
| ② | 正 | 正 | 誤 | 誤 |
| ③ | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| ④ | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 誤 | 正 |
■ 解答
④
(a) 誤
(b) 誤
(c) 正
(d) 正
■ 解き方の方針
この問題では、観測の目的を見て判断します。
農園内の苗木間での管理用観測
↓
特殊な環境での自家利用
↓
届出不要
大学の研究目的の観測
↓
研究のための観測
↓
届出不要
ホームページで気温を公表
↓
観測成果の発表
↓
届出必要
鉄道の安全運行のための降水量観測
↓
防災・安全利用
↓
技術基準に従う
■ (a) 農園の苗木間に温度計を置く場合
(a)は誤りです。
農園で果樹を管理するために、農園内の苗木の間に温度計を設置する場合は、農園内の特殊な環境を把握するための観測です。
このような観測は、一般的な気象状態を代表するための観測というより、その農園の管理のための局所的な観測です。
そのため、温度計の設置について気象庁長官に届け出なければならない、とはいえません。
ここが法規問題のつまずきポイントです
温度計を設置する
↓
すべて届出必要?
ではない
観測の目的や場所が、一般の気象観測として扱うべきものかを確認する必要があります。
したがって、(a)は誤りです。
■ (b) 大学が研究論文用に風速観測施設を設置する場合
(b)は誤りです。
大学が学会発表の論文に掲載するデータを得るために風速観測施設を設置する場合は、研究目的の観測と考えられます。
研究のために行う気象観測については、気象庁長官への届出が必要な観測から除かれる場合があります。
研究目的の観測
大学が論文データを得る
↓
研究目的
↓
届出不要
したがって、(b)は誤りです。
■ (c) スキー場がホームページで気温を掲載する場合
(c)は正しいです。
スキー場を運営する事業者が、ゲレンデ付近の気温をホームページに掲載するために温度計を設置する場合、観測成果を一般に発表する目的があります。
このように、観測結果を広く利用者に公表する場合は、気象観測施設の設置について気象庁長官への届出が必要になります。
ここは実務イメージで押さえましょう
スキー場の気温
↓
ホームページに掲載
↓
利用者が見る
↓
観測成果の発表
自分たちだけで使う観測ではなく、外部へ公表する点が重要です。
したがって、(c)は正しいです。
■ (d) 鉄道の安全運行のための降水量観測
(d)は正しいです。
鉄道事業者が列車の安全な運行に利用するために降水量の観測施設を設置する場合、その観測は災害の防止や安全確保に関係します。
このような観測では、国土交通省令で定める技術上の基準に従って観測を行う必要があります。
鉄道の降水量観測
大雨
↓
土砂災害・運行規制に関係
安全運行のための観測
↓
防災利用
↓
技術基準に従う
したがって、(d)は正しいです。
■ 選択肢確認表
| 項目 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 誤 | 農園内の苗木間での管理目的の局所的な観測であり、届出が必要とはいえない。 |
| (b) | 誤 | 大学の研究目的の観測であり、届出が必要とはいえない。 |
| (c) | 正 | ホームページに気温を掲載するため、観測成果を発表する目的にあたり届出が必要。 |
| (d) | 正 | 鉄道の安全運行に利用する降水量観測は、防災利用にあたり技術基準に従う必要がある。 |
以上より、正しい組み合わせは④です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 観測施設を設置したら全部届出が必要だと思ってしまう
気象観測施設であっても、目的や用途によって届出の扱いが変わります。
2. 自家利用と公表目的を区別できない
農園内の管理用観測と、スキー場がホームページで公開する観測では意味が違います。
外部に発表するかどうかが重要です。
3. 研究目的の観測を届出必要と考えてしまう
学会発表や論文用の観測は、研究目的として扱われるため、届出不要となる場合があります。
4. 防災利用の観測を軽く見てしまう
鉄道の安全運行に使う降水量観測は、防災・安全に直結します。
そのため、技術上の基準に従う必要があります。
■ まとめ
- 農園内の管理目的の温度観測は届出不要。
- 大学の研究目的の風速観測は届出不要。
- スキー場がホームページで気温を公表する観測は届出が必要。
- 鉄道の安全運行に利用する降水量観測は技術基準に従う必要がある。
- (a)誤、(b)誤、(c)正、(d)正。
正解は④
この問題で必ず押さえたいこと
自家管理・特殊環境
↓
届出不要になりやすい
研究目的
↓
届出不要になりやすい
観測成果を公表
↓
届出必要
防災・安全利用
↓
技術基準に従う
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第56回 一般知識 問14の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
