【第63回 気象予報士試験 一般知識】問7 連続の式と鉛直流をわかりやすく解説

第63回気象予報士試験 一般知識 問7の解説です。今回は、直方体領域に出入りする風の収支から、面Cの鉛直風速を求める問題です。

この問題は、連続の式、つまり「空気は勝手に増えたり消えたりしない」という考え方を使います。

この問題で重要なのは、次の3点です。

  • 入ってくる空気量と出ていく空気量を比べる
  • 余った空気は鉛直方向に逃げる
  • 風速差を鉛直流に変えるときは、面積比に注意する

特に、「なぜ風速差がそのまま鉛直風速にならないのか」が最大のつまずきポイントです。

■ 問題文

図のように、地表面から鉛直に重なった高さH、H、2Hの3つの直方体の領域を考える。

各直方体の東側と西側の面では、図に示す西風が各面内で一様に吹いている。

各直方体の南側と北側の面を通過する風はなく、地表面以外の水平面A、B、Cでは鉛直風が各面内で一様に吹いている。

面Aにおける鉛直風速が上向きを正として0.5m/sであるとき、面Cにおける鉛直風速として正しいものを選ぶ。

ただし、大気の密度はどこも同じで一定とする。

図
選択肢 面Cの鉛直風速
-1.0 m/s
-0.5 m/s
0 m/s
0.5 m/s
1.0 m/s

■ 解答

④(0.5 m/s)

■ 解き方の方針

この問題では、各層ごとに入ってくる空気量出ていく空気量を比べます。

密度は一定なので、考えるべきなのは風速 × 面積です。

空気が余れば上向きに抜け、足りなければ上から下向きに補われます。

超重要つまずきポイント!

「西側から5m/s入って、東側から4m/s出るなら、差は1m/s。だから上昇流も1m/s」

と考えたくなりますが、これは不十分です。

実際には、側面と水平面の面積が違うため、風速差をそのまま鉛直風速にしてはいけません。

■ まず面積比を確認する

下層で考えます。

西側・東側の側面の面積を考えると、高さはHです。

一方、上面Aは水平面です。

問題文では面Aの鉛直風速が0.5m/sと与えられています。

下層では、西側から5m/sで流入し、東側から4m/sで流出します。

その差は、

5 – 4 = 1

です。

ところが、実際の面Aの鉛直風速は0.5m/sです。

つまり、水平収支差1m/s相当が、面Aでは0.5m/sの上昇流になっています。

ここがポイント!

これは、上面Aの面積が側面より大きいためです。

同じ空気量を通す場合、面積が広いほど風速は小さくなります。

イメージとしては、細いホースでは水の流れが速く、太いホースでは流れがゆっくりになるのと同じです。

■ 下層:面Aの確認

下層では、

  • 西側から5m/sで流入
  • 東側から4m/sで流出

です。

したがって、水平収支差は、

5 – 4 = 1

です。

この余った空気が上向きに抜けます。

ただし、面積比の関係により、面Aでの鉛直風速は、

1 ÷ 2 = 0.5 m/s

となります。

これは問題文で与えられた面Aの鉛直風速と一致します。

ここでの注意点

この段階で、単に「差が1だから鉛直流も1」としないことが重要です。

風速ではなく、風速 × 面積で空気の収支を見る必要があります。

■ 中層:面Bの鉛直風速を求める

中層では、下の面Aから0.5m/sの上昇流が入ってきます。

さらに、

  • 西側から5m/sで流入
  • 東側から3m/sで流出

です。

水平風だけを見ると、

5 – 3 = 2

だけ空気が余ります。

この余った分は上向きに抜けます。

ただし、下層と同じく面積比の関係で、

2 ÷ 2 = 1.0 m/s

が追加の上昇流になります。

もともと面Aから0.5m/sの上昇流が入ってきているので、面Bでは、

0.5 + 1.0 = 1.5 m/s

となります。

ここがポイント!

中層では、下から入ってくる0.5m/sの上昇流を忘れないことが重要です。

「水平風の差」だけでなく、下から入ってくる鉛直流も収支に含めましょう。

■ 上層:面Cの鉛直風速を求める

上層では、下の面Bから1.5m/sの上昇流が入ってきます。

さらに、

  • 西側から4m/sで流入
  • 東側から5m/sで流出

です。

ここで重要なのは、上層の高さが2Hであることです。

下層・中層では高さHだったため、水平収支差を鉛直流に直すときに半分になりました。

しかし、上層は高さが2Hなので、側面の面積が2倍になります。

その結果、水平面との面積比が変わり、ここでは収支差をそのまま鉛直風速として扱うことになります。

収支を考えると、

4 + 1.5 – 5 = 0.5

となります。

したがって、面Cでは0.5m/sの上昇流となります。

超重要つまずきポイント!

上層だけは高さが2Hです。

そのため、下層・中層のように「半分にする」と間違えます。

この問題は、最後に高さが変わることで面積比が変わる点が最大の引っかけです。

■ まとめ

  • 下層:面Aの上昇流は0.5m/s
  • 中層:面Bの上昇流は0.5 + 1.0 = 1.5m/s
  • 上層:高さが2Hなので面積比が変わり、面Cは0.5m/s

したがって、面Cの鉛直風速は、

0.5 m/s

となります。

よって、正解はです。

この問題で必ず押さえたいこと

この問題では、単に風速差だけを見るのではなく、

空気量 = 風速 × 面積

で考えることが重要です。

特に、最後の上層だけ高さが2Hになっているため、面積比が変わる点に注意しましょう。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第63回 一般知識 問7の解説でした!

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