【基本情報技術者試験】第14章 プロジェクトマネジメント完全解説|WBS・クリティカルパス・ファンクションポイント・リスク管理をゼロから学ぼう!

【基本情報技術者試験】第14章 プロジェクトマネジメント完全解説|WBS・クリティカルパス・ファンクションポイント・リスク管理をゼロから学ぼう!

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【例題】クリティカルパス

プロジェクトにおいて最も時間のかかる経路はどれか。アローダイアグラムに示す経路①A→B→E(1+2+3=6日)、②A→C→D(1+3+3=7日)、③A→C→E(1+3+2=6日)において答えを選べ。

ア. ①A→B→E(6日)
イ. ②A→C→D(7日)
ウ. ③A→C→E(6日)
エ. すべて同じ

前回はソフトウェア開発手法を学びました。今回は「プロジェクトマネジメント」を徹底解説します。プロジェクトの基本概念・PMBOK・WBS・アローダイアグラム・クリティカルパス・ファンクションポイント法・リスクマネジメントまで、試験に出る重要キーワードを丁寧に解説します!

目次

  • プロジェクトマネジメントとは
  • プロジェクトの特性(有期性・独自性)
  • PMBOKと10の知識エリア
  • プロジェクトスコープマネジメント(WBS)
  • プロジェクト資源マネジメント(開発工数・期間の計算)
  • プロジェクトタイムマネジメント(アローダイアグラム・PERT)
  • クリティカルパスの求め方
  • スケジュール短縮技法(クラッシング・ファストトラッキング)
  • プロジェクトコストマネジメント(ファンクションポイント法)
  • プロジェクトリスクマネジメント(4つの対応策)
  • 過去問チャレンジ!(6問)
  • この章のまとめ

1. プロジェクトマネジメントとは

プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトを成功させるために、経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をバランスよく管理する手法のことです。

プロジェクトを計画し、実行し、管理するための体系的な知識がまとめられたものが「PMBOK(プロジェクトマネージャのための教科書)」です。

プロジェクトの基本概念とPMBOK・10の知識エリア

▲ プロジェクトの基本概念とPMBOK・10の知識エリア

2. プロジェクトの特性(有期性・独自性)

プロジェクトとは、期限内に独自の商品やサービスを作るための業務です。プロジェクトには大きく分けて2つの特徴があります。

  • 有期性:期限が決められていること
  • 独自性:成果物が唯一無二の商品やサービスであること

プロジェクトの対義語は「定常業務(オペレーション)」です。定常業務とは期限を設定せずに、毎回同じ成果物を生み出す業務のことです。

プロジェクトに関わる人々(ステークホルダ)

人物 役割
プロジェクトマネージャ プロジェクトを管理する人(略称:プロマネ)
要員(メンバー) 専門知識を持った開発チームメンバー
ステークホルダ プロジェクトと利害関係にある人(従業員・株主・取引先・地域社会など)

📝 ポイント:プロジェクトの特性とステークホルダ

「有期性」と「独自性」の2つがプロジェクトの特徴です。また、ステークホルダ=利害関係者であり、組織外部の人や間接的な関与(地域社会など)も含まれます。

3. PMBOKと10の知識エリア

PMBOK(Project Management Body of Knowledge)とは、アメリカのPMI(プロジェクトマネジメント協会)が制作した、プロジェクトマネージャのための体系化された教科書です。PMBOKの内容は10種類に分類され、「10の知識エリア」と呼ばれます。

知識エリア 内容
プロジェクト統合マネジメント プロジェクト全体を総合的に管理する
★プロジェクトスコープマネジメント スコープ(作業範囲)を明らかにする
★プロジェクトタイムマネジメント スケジュール内に完了するよう管理
★プロジェクトコストマネジメント コストが予算内に収まるよう管理
プロジェクト品質マネジメント 品質を管理する
★プロジェクト資源マネジメント 必要な資源を決定・管理する
プロジェクトコミュニケーションマネジメント 誰が誰にいつ何を伝達するか管理
★プロジェクトリスクマネジメント リスクの対策案を管理し問題に対応
プロジェクト調達マネジメント 必要なヒト・モノ・サービスを取得
プロジェクトステークホルダマネジメント 利害関係者を特定し調整する

※★印は基本情報技術者試験で特によく出題される5つのエリアです。

4. プロジェクトスコープマネジメント(WBS)

WBS(作業分解構造)と開発工数・開発期間の計算式

▲ WBS(作業分解構造)と開発工数・開発期間の計算式

プロジェクトスコープマネジメントでは、プロジェクトに必要な作業を洗い出します。ここで利用されるのがWBS(Work Breakdown Structure)です。

  • WBSとは:プロジェクトという大きな作業を細かい作業単位に分割した図。
  • 目的:時間やコストを見積もれる大きさになるまで、作業を階層状に細分化(一般的に3〜4階層程度)すること。
  • ワークパッケージ:WBSの最小作業単位。一般的に8〜80時間程度で完了する大きさにします。

📝 ポイント:WBSのキーワード

WBSのキーワードは「作業を階層的に要素分解」です。作業の順序や進捗状況を表す「ガントチャート(帯状の日程表)」や「アローダイアグラム」と混同しないよう注意しましょう。

5. プロジェクト資源マネジメント(開発工数・期間の計算)

システム開発における人員や期間を見積もるための計算式を学びます。まずは以下の3つの用語を理解しましょう。

  • 開発規模:開発の大きさ(単位:ソースコードの行数など)
  • 生産性:開発の効率性(例:100行/人日)
  • 開発工数:システム開発に必要な作業量(単位:人日、人月など)
【計算の公式】
開発工数 = 開発規模 ÷ 生産性
開発期間 = 開発工数 ÷ 要員数

【例題】
開発規模1000行 ÷ 生産性100行/人日 = 10人日
要員2人で開発する場合、開発期間 = 10人日 ÷ 2人 = 5日

また、工数配分比率とは、各開発工程を完了するのに必要な工数の割合のことです。設計やプログラミングなど、各工程の比率を合計すると100%になります。

📌 重要:計算公式の暗記

「開発工数」と「開発期間」の公式は必ず暗記してください!基本情報技術者試験ではこの計算問題が毎回のように出題されます。

6. プロジェクトタイムマネジメント(アローダイアグラム・PERT)

アローダイアグラム・クリティカルパスとプレシデンスダイアグラムの依存関係

▲ アローダイアグラム・クリティカルパスとプレシデンスダイアグラムの依存関係

スケジュールを管理するためには主に以下の3つの図を使用します。

  • ①トレンドチャート:作業の進捗状況と予算の消費状況を関連付けた折れ線グラフ(予定と実績を対比できる)。
  • ②アローダイアグラム(Arrow Diagram):作業の流れを矢印で表した図。
  • ③プレシデンスダイアグラム法:作業(アクティビティ)間の依存関係を図示する手法。

アローダイアグラムを使ったプロジェクト分析手法のことをPERT(Program Evaluation and Review Technique)と呼びます。

記号 意味
→ (実線矢印) 作業を示す(上部に作業名、下部に所要日数を記述)
○ (ノード/結合点) 作業の開始・終了を示す
–→ (点線矢印) ダミー作業(所要日数が0日の作業。作業の順序・依存関係を表す)

7. クリティカルパスの求め方

クリティカルパスとは、プロジェクトにおいて最も時間のかかる経路のことです。この経路の日数が、プロジェクト完了に必要な「最短日数」となります。

求め方は、アローダイアグラム上の「すべての経路を計算」して、その中から最大値となる経路を選ぶだけです。クリティカルパス上の作業が遅れると、プロジェクト全体が遅延してしまいます。

📝 ポイント:クリティカルパス

試験最頻出です!「すべての経路を計算」するのが一番確実な解き方です。最も時間がかかる経路が、プロジェクト完了に必要な最短日数になることを理解しましょう。

プレシデンスダイアグラム法の4つの依存関係

関係名 略称 内容
終了ー開始関係 FS関係 Aが終了すれば、Bが開始できる
終了ー終了関係 FF関係 Aが終了すれば、Bが終了できる
開始ー開始関係 SS関係 Aが開始すれば、Bが開始できる
開始ー終了関係 SF関係 Aが開始すれば、Bが終了できる

8. スケジュール短縮技法(クラッシング・ファストトラッキング)

スケジュールが遅れている場合などに、期間を短縮するための技法が2つあります。

技法 内容
クラッシング 投入する資源(要員)を増やしてスケジュールを短縮する技法。クリティカルパス上のアクティビティに優先的に資源を投入します。
ファストトラッキング アクティビティを並列に実行してスケジュールを短縮する技法。大きな作業を、並列実行可能な小さな作業に分割します。

📌 重要:不正解の選択肢に注意

「クリティカルチェーン法(資源の制約も考慮する管理手法)」や「モンテカルロ法(乱数を使った近似計算)」はスケジュール短縮の技法ではありません。試験ではこれらが不正解の選択肢として頻出するので区別しましょう!

9. プロジェクトコストマネジメント(ファンクションポイント法)

ファンクションポイント法と各種見積もり手法の比較

▲ ファンクションポイント法と各種見積もり手法の比較

ファンクションポイント法は、システムが提供する機能(ファンクション)に点数(ポイント)を付けて見積もる手法です。利用者(ユーザー)視点の見積もりであり、ISOでも規格化されているため試験によく出ます。

5種類の機能分類と重み付け:

機能種別 内容 重み
外部入力 ユーザーがシステム内部データを更新 4
外部出力 システムがデータを加工して出力 5
外部照会 システムがデータを加工せずに出力 4
内部論理ファイル システム内部のDB・ファイル 10
外部インタフェースファイル 別システムのDB・ファイル 7
【ファンクションポイントの計算式】
FP値 = Σ(各機能の個数 × 重み) × 複雑さの補正係数

【計算例】
外部入力1個(×4) + 外部出力2個(×5) + 内部論理ファイル1個(×10) = 24
24 × 0.75(補正係数) = 18ポイント

その他の見積もり手法として、「プログラムステップ法(ソースコードの行数)」、「類似見積もり法(過去の類似例から)」、「標準タスク法(WBSを利用)」、「COCOMO(開発規模に基づく数理モデル)」などがあります。

📝 ポイント:ファンクションポイント法

「ユーザー視点」「5種類の機能」「複雑さの補正係数を掛ける」がキーワードです。計算問題も頻出するので手順を覚えておきましょう。

10. プロジェクトリスクマネジメント(4つの対応策)

リスクの4つの対応策とスケジュール短縮技法

▲ リスクの4つの対応策とスケジュール短縮技法

リスクマネジメントは、「リスクの特定」→「発生確率・損害の大きさを評価」→「優先順位決定」→「対応策実行」の流れで行います。対応策は大きく4つに分類されます。

対応策 別名 内容
リスク回避 リスクに関わる作業をしない リスクある作業をスコープから外す
リスク移転 リスク転嫁 リスクを他社へ移す 外部委託・保険加入
リスク低減 リスク軽減 発生確率を下げ、被害を小さくする テスト強化・安定技術の採用
リスク保有 リスク受容 リスクをそのまま受け入れる 対策費用 > 被害額の場合は何もしない

📌 重要:4つのリスク対応策の語呂合わせ

「回避・移転・低減・保有」の4つを確実に覚えましょう。「保険加入=リスク移転(転嫁)」、「何もしない=リスク保有(受容)」は試験の鉄板キーワードです。

11. 過去問チャレンジ!(6問)

🎯 記事冒頭の例題にチャレンジ!

問題1【再掲】クリティカルパス

アローダイアグラムに示すプロジェクトにおいて、経路①A→B→E(1+2+3=6日)、②A→C→D(1+3+3=7日)、③A→C→E(1+3+2=6日)の中でクリティカルパスはどれか。

ア. 経路①(6日)
イ. 経路②(7日)
ウ. 経路③(6日)
エ. 経路①と③(6日)

✅ 解答・完全解説

正解:イ(経路②A→C→D、7日)

解説:

すべての経路の中で最も時間のかかる経路がクリティカルパスになります。経路②が7日で最長なので、クリティカルパスは②A→C→Dです。このプロジェクトの最短完了日数も7日となります。

【過去問 その2】WBSの目的 (平成24年度)

WBS(Work Breakdown Structure)を使用する目的として、適切なものはどれか。

ア. 作業の日程を横棒(バー)で表して、作業の開始時点や終了時点、現時点の進捗を明確にする。
イ. 作業の順序関係を明確にして、重点管理すべきクリティカルパスを把握する。
ウ. 作業を階層的に詳細化して、管理可能な大きさに細分化する。
エ. 開発の期間と費用がトレードオフの関係にある場合に、総費用の最適化を図る。

💡 解答・解説

正解:ウ

WBSのキーワードは「作業を階層的に要素分解」です。アはガントチャート、イはアローダイアグラム(PERT)、エはコスト最適化の説明です。

【過去問 その3】ファンクションポイント法 (平成25年度)

ファンクションポイント法の説明はどれか。

ア. 開発するプログラムごとのステップ数を積算し、開発規模を見積もる。
イ. 開発プロジェクトで必要な作業のWBSを作成し、各作業の工数を見積もる。
ウ. 外部入出力や内部論理ファイル、照会、インタフェースなどの個数や特性などから開発規模を見積もる。
エ. 過去の類似例を探し、その実績と差異などを分析評価して開発規模を見積もる。

💡 解答・解説

正解:ウ

ファンクションポイント法は「外部入出力や内部論理ファイル、照会、インタフェースなどの個数・特性から開発規模を見積もる」手法です。アはプログラムステップ法、イは標準タスク法、エは類似見積もり法です。

【過去問 その4】リスク対応策 (平成21年度)

リスクが顕在化しても、その影響が小さいと想定されるので、損害の負担を受容するリスク対応はどれか。

ア. リスク移転
イ. リスク回避
ウ. リスク低減
エ. リスク保有

💡 解答・解説

正解:エ(リスク保有)

損害の負担を「受容」するのはリスク保有(リスク受容)です。対策費用より被害額が小さい場合、何もしないという選択を取ります。アは保険・外注、イはスコープから除外、ウはテスト強化などです。

【過去問 その5】クラッシング (平成28年度)

プロジェクトのスケジュールを短縮するために、アクティビティに割り当てる資源を増やして、アクティビティの所要期間を短縮する技法はどれか。

ア. クラッシング
イ. クリティカルチェーン法
ウ. ファストトラッキング
エ. モンテカルロ法

💡 解答・解説

正解:ア(クラッシング)

「資源を増やしてスケジュールを短縮」するのはクラッシングです。ウのファストトラッキングは「並列実行」による短縮です。イのクリティカルチェーン法・エのモンテカルロ法はスケジュール短縮技法ではありません。

【過去問 その6】プロジェクトの特性 (平成25年度)

プロジェクトの特性はどれか。

ア. 独自性はあるが、有期性がない。
イ. 独自性はないが、有期性がある。
ウ. 独自性も有期性もある。
エ. 独自性も有期性もない。

💡 解答・解説

正解:ウ

プロジェクトには「有期性(期限が決められている)」と「独自性(成果物が唯一無二)」の2つの特徴があります。両方あるのがプロジェクトの定義です。

12. この章のまとめ

📌 プロジェクトマネジメントのまとめ

  • プロジェクトマネジメント: 経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をバランスよく管理する手法
  • プロジェクトの2特徴: 有期性(期限あり)+独自性(唯一無二の成果物)。対義語=定常業務
  • ステークホルダ: プロジェクトと利害関係にある人(組織内外・直接間接関係なく)
  • PMBOK: PMIが制作したプロジェクトマネジメントの教科書。10の知識エリア
  • WBS: プロジェクトを階層的に作業分解(3〜4階層、ワークパッケージ=8〜80時間)
  • 開発工数=開発規模÷生産性、開発期間=開発工数÷要員数
  • アローダイアグラム: 作業の流れを矢印で表した図。PERT分析に使用
  • クリティカルパス: 最も時間のかかる経路。すべての経路を計算して最大値を選ぶ
  • クラッシング: 資源増加によるスケジュール短縮 / ファストトラッキング: 並列実行による短縮
  • ファンクションポイント法: ユーザー視点の見積もり。5種類の機能×重み×補正係数
  • リスク対応4策: 回避(除外)・移転(外注/保険)・低減(テスト強化)・保有(受容)

学習難易度:★★★☆☆(計算問題あり、しっかり公式を覚えよう)

この記事について

基本情報技術者試験の合格を目指す方のために、参考書の内容を初心者向けにわかりやすく噛み砕いて解説しています。ITの基礎をしっかり固めて、一緒に合格を目指しましょう!

【基本情報技術者試験講義No.14】プロジェクトマネジメント|WBS・クリティカルパス・ファンクションポイント・リスク管理をゼロから学ぼう!

どくりん


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