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【例題】

「雲の中の温度がすべて0℃以上のとき、水滴が凝結過程と併合過程を経て成長して雨となるものを何というか。
ア. 冷たい雨 イ. 暖かい雨 ウ. 地雨 エ. しゅう雨」

今回は、雲や雨の発生に欠かせない「エアロゾル」の役割から、暖かい雨・冷たい雨の成長プロセス、そして10種雲形やさまざまな霧の発生メカニズムまで、降水過程の全体像を初学者にもわかりやすく解説します。

目次

  • エアロゾル(空気中に浮遊する微粒子)
  • 暖かい雨と冷たい雨
  • 雲と霧(10種雲形と5種類の霧)
  • 理解チェックテスト(5問)
  • 実際の過去問チャレンジ(3問)
  • この章のまとめ

1. エアロゾル(空気中に浮遊する微粒子)

大気中に浮遊するエアロゾル粒子のイラスト(陸上と海上の比較)

大気中に浮遊するエアロゾル粒子(陸上と海上の比較イメージ)

エアロゾル(エーロゾル)とは、空気中に浮遊するちりやほこりの総称です。海面のしぶきが蒸発して残った海塩粒子、地表から巻き上げられた土壌粒子、火山活動による粒子、工場や自動車からの汚染粒子、植物の花粉などがこれにあたります。

測定場所 エアロゾルの数 エアロゾルの大きさ
陸上(市街地など) 多い 小さい
海上 少ない 大きい

また、エアロゾルはその大きさによって以下の3種類に分類されます(※ 1μm = 1/1000 mm)。

  • ① エイトケン核: 半径0.005〜0.2μm(数が最も多い)
  • ② 大核: 半径0.2〜1μm(質量の大部分を占める)
  • ③ 巨大核: 半径1μm以上

📝 ポイント:煙霧(えんむ)とは?

大気中にエアロゾルが多いと、大気の透明度(視程)が悪くなります。このように視程が悪く、かつ湿度が低い状態のことを「煙霧」と呼びます。

大きな水滴をつくるエアロゾル

全くちりやほこりのない清浄な空気では、相対湿度が100%(飽和状態)を超えてもなかなか凝結が起こらず、「過飽和状態」になってしまいます。しかし実際の大気にはエアロゾルが存在するため、相対湿度が100%を超えると(場合によっては100%以下でも)すぐに凝結が始まります。

エアロゾルがない空気中で偶然微細な水滴ができても、表面張力がはたらいて水滴を最小にしようとするため、水蒸気が入り込めずすぐに蒸発してしまいます。一方、エアロゾルを中心とした水滴は最初からある程度の大きさがあるため、表面張力に打ち勝って成長しやすいのです。

吸湿性に優れるエアロゾル

雲(霧・もや)の発生において特に重要なのが、吸湿性(空気中の水分を吸い取る性質)がよく、水に溶けやすいエアロゾルです。

  • 吸湿性のよいエアロゾル: 水分を吸収しやすいため、表面に水蒸気を凝結させて水滴をつくりやすい。
  • 水に溶けやすいエアロゾル: 化学物質が溶けた溶液は純粋な水に比べて飽和水蒸気量が低くなるため、水滴の飽和水蒸気圧を低くして凝結を助けます。

2. 暖かい雨と冷たい雨

暖かい雨の成長過程

暖かい雨の成長過程:凝結過程と併合過程の模式図

暖かい雨の成長過程:凝結過程(雲粒形成)→ 併合過程(雨粒へ成長)

暖かい雨とは、雲の中の温度がどこも0℃以上のとき、水滴が成長して落下してきたものをいいます。熱帯地方のスコールなどが代表例です。成長は以下の2つのステップで進みます。

  • ① 凝結過程(拡散過程): 空気中の水蒸気が、凝結核となるエアロゾルに向かって凝結し、小さな水滴(雲粒:半径約0.01mm)ができる過程です。
  • ② 併合過程: 雲粒が少し大きくなると落下を始めます。落下速度の大きな水滴が、落下速度の小さな水滴に追いついて次々と吸収(併合)し、雨粒(半径1mm以上)にまで一気に成長する過程です。

※なお、大きく成長しすぎた雨粒(直径約8mm超)は、落下時の空気抵抗により分裂してしまうため、地上では観測されません。

📌 水滴の終端速度

雨粒が落下する際、下向きの「重力」と上向きの「空気抵抗」を受けます。加速していくうちに両者が等しくなり、落下速度が一定になります。これを終端速度といいます。

【重力 = 空気抵抗】
mg = 6πrηV (Stokesの法則)
※ m:水滴の質量, g:重力加速度, π:円周率, r:水滴の半径, η(エータ):空気の粘性係数, V:落下速度

この式を変形していくと、最終的な終端速度は V = 2r²ρg / 9η で求められます。

冷たい雨の成長過程

冷たい雨とは、雲の中の氷晶(凍った雲粒)が成長して落下する際に溶けて雨(溶けなければ雪)となったものです。中・高緯度にある日本で降る雨のほとんどは、この「冷たい雨」です。成長過程は以下の3つに分けられます。

① 水蒸気の昇華凝結過程(Bergeron過程)

雲の中では、0℃以下になっても凍らずに液体のまま存在する水滴があり、これを過冷却水滴といいます。過冷却水滴と氷晶が同じ空間に存在するとき、水に対する飽和水蒸気量よりも、氷に対する飽和水蒸気量のほうが小さくなります。

温度 水に対する飽和水蒸気量 (g/m³) 氷に対する飽和水蒸気量 (g/m³)
−5℃ 3.4 3.3
−10℃ 2.4 2.1
−15℃ 1.6 1.4
−20℃ 1.1 0.9

この性質により、過冷却水滴にとっては未飽和でも、氷晶にとっては過飽和という状態が生じます。結果として、過冷却水滴は蒸発して水蒸気となり、それが氷晶に昇華して氷晶のみが大きく成長します。

② ライミング

過冷却水滴が氷晶に衝突すると、氷晶の上に凍りついて大きく成長します。これをライミングといいます。
・直径5mm未満の氷の粒 → あられ
・直径5mm以上の氷の粒 → ひょう(発達した積乱雲の強い上昇気流で生じる)
・雨と雪が混ざって降るもの → みぞれ

③ 凝集過程

落下速度の大きな氷晶が、小さな氷晶に衝突・付着して大きく成長する過程です。温度が高くなる(−5℃以上)と付着する確率が高くなり、比較的大きな雪片(ぼたん雪)ができます。

📝 雪が溶けるかどうかは温度と湿度しだい

雪が落下中に溶けるかどうかは、気温だけでなく湿度にも依存します。
・相対湿度が100%に近い場合: 0〜2℃ぐらいで雨に溶ける。
・湿度が50〜60%と低い場合: 4〜5℃ぐらいでも雪は溶けずに地上に達することがある。

3. 雲と霧

雲の種類(10種雲形)

10種雲形の高度別分類図(上層雲・中層雲・下層雲・対流雲)

10種雲形の高度別分類(上層雲・中層雲・下層雲・対流雲)

空に浮かぶ雲は、大きく分けて水平方向に広がる「層状雲」と、鉛直方向に発達する「対流雲」に分けられます。これらを高さや特徴でさらに分けたものが10種雲形です。

分類 種類(記号) 名称(俗称) 高さ・特徴
上層雲
(層状雲)
巻雲 (Ci) すじぐも 5〜13km
※氷晶でできている。巻層雲は太陽や月の「暈(かさ)」をつくるプリズム現象を起こす。
巻積雲 (Cc) うろこぐも
巻層雲 (Cs) うすぐも
中層雲
(層状雲)
高積雲 (Ac) ひつじぐも 2〜7km
高層雲 (As) おぼろぐも
下層雲
(層状雲)
層雲 (St) きりぐも 地面付近〜2km
層積雲 (Sc) くもりぐも
中〜上層
(層状雲)
乱層雲 (Ns) あまぐも 雲底は下層だが、雲頂は中・上層まで発達。地雨(一様性降水:しとしとと長く降る雨)をもたらす。
対流雲 積雲 (Cu) わたぐも 0.6〜6km またはそれ以上
積乱雲 (Cb) にゅうどうぐも 雲頂は上層(圏界面付近)まで発達。しゅう雨(短時間強雨)、落雷、突風、降ひょうをもたらす。

霧について(5種類の霧)

霧の種類の比較イラスト(放射霧・移流霧・蒸気霧)

霧の発生メカニズム比較(放射霧・移流霧・蒸気霧)

とは、簡単に言うと地上にできた雲のことです。大気中の見通し(視程)が1km未満なら霧、1km以上あればもやと呼びます。霧粒(半径約0.1mm)が氷晶からできていれば「氷霧」と呼ばれます。発生メカニズムによって5種類に分類されます。

  • ① 放射霧: 晴れて風の弱い日の明け方に、夜間の放射冷却によって地上付近の空気が露点温度まで冷やされて発生します。盆地で発生しやすく、日の出とともに気温が上がると消滅します。
  • ② 移流霧: 暖かく湿った空気が、冷たい地表面(海面や地面)の上に移動(移流)したときに冷やされて発生します。南よりの風で暖かい空気が北側の冷たい海面に移動してできる「海霧」が代表例です。
  • ③ 蒸気霧(混合霧): 冷たい空気が暖かい水面上に流入し、水面から蒸発した暖かく湿った空気と混合することで飽和に達し、霧が発生します。
  • ④ 前線霧: 前線の通過時など長時間の降雨があり相対湿度が高い状態のところに、比較的高温の雨が降って蒸発し、飽和に達して発生します。(閉めきったお風呂でシャワーを出すと湯気が立ち込めるのに似ています)
  • ⑤ 上昇霧(滑昇霧): 空気が山にぶつかって斜面に沿って上昇し、断熱冷却によって露点温度に達して発生する霧(雲)です。

4. 理解チェックテスト(5問)

【問1】(冒頭例題再掲)

雲の中の温度がすべて0℃以上のとき、水滴が凝結過程と併合過程を経て成長して雨となるものを何というか。

ア. 冷たい雨
イ. 暖かい雨
ウ. 地雨
エ. しゅう雨

✅ 問1の解答・解説

正解:イ(暖かい雨)

解説: 雲の温度がどこも0℃以上で、氷晶を経由せずに凝結過程と併合過程のみで雨粒にまで成長する降水メカニズムを「暖かい雨」と呼びます。熱帯地方のスコールなどがこれにあたります。

【問2】

エアロゾルの分類でエイトケン核の半径の範囲はどれか。

ア. 0.005〜0.2μm イ. 0.2〜1μm ウ. 1μm以上 エ. 0.001μm未満

💡 解答・解説

正解:ア

解説:エイトケン核は半径0.005〜0.2μmの微粒子で、エアロゾルの中で最も数が多く存在します。0.2〜1μmは大核、1μm以上は巨大核と呼ばれます。

【問3】

冷たい雨の成長過程として、過冷却水滴が氷晶に衝突・凍結して成長する過程を何というか。

ア. 凝結過程 イ. 昇華凝結過程 ウ. ライミング エ. 凝集過程

💡 解答・解説

正解:ウ

解説:過冷却水滴が氷晶に衝突して凍りつく過程を「ライミング」といいます。これにより氷晶が急速に成長し、あられやひょうになります。

【問4】

10種雲形のうち積乱雲(Cb)から降る雨の種類はどれか。

ア. 地雨(一様性降水) イ. しゅう雨(短時間強雨) ウ. みぞれ エ. ひょう

💡 解答・解説

正解:イ

解説:積乱雲(にゅうどうぐも)は鉛直方向に強く発達する対流雲であり、短時間に強く降る「しゅう雨」をもたらします。地雨は乱層雲からもたらされます。

【問5】

霧の種類のうち晴れた風の弱い日の明け方に盆地などで発生しやすいのはどれか。

ア. 移流霧 イ. 蒸気霧 ウ. 前線霧 エ. 放射霧

💡 解答・解説

正解:エ

解説:夜間の放射冷却によって地表付近の空気が露点温度まで冷やされて発生する霧を「放射霧」といいます。風が弱く、冷気がたまりやすい盆地などでよく見られます。

5. 📋 実際の過去問チャレンジ(3問)

ここでは実際の気象予報士試験(学科一般)から、第4章に関連する過去問を掲載します。本番形式で解いてみましょう!

【第62回(令和6年度第1回)学科一般 問3関連】

雲粒の成長に関する次の記述(a〜c)の正誤の組み合わせとして正しいものを選べ。

a. 凝結過程(拡散過程)とは、過飽和の空気中で水蒸気が凝結核に凝結して雲粒が成長する過程である。
b. 暖かい雨では雲粒は凝結過程と併合過程によって雨粒にまで成長する。
c. 昇華凝結過程(Bergeron過程)とは、過冷却水滴と氷晶が共存するとき、水に対して過飽和でも氷に対しては未飽和の場合に、過冷却水滴が蒸発して氷晶のみが成長する過程である。

① a=正 b=正 c=正
② a=正 b=正 c=誤
③ a=正 b=誤 c=正
④ a=誤 b=正 c=誤
⑤ a=誤 b=誤 c=誤

💡 解答・解説

正解:①(a=正 b=正 c=正)

解説:
aは正しい。エアロゾル(凝結核)に水蒸気が凝結して雲粒ができます。
bは正しい。暖かい雨は「凝結過程」で雲粒ができ、その後「併合過程」で雨粒へ成長します。
cは正しい。同じ温度でも氷に対する飽和水蒸気量の方が水よりも小さいため、過冷却水滴が蒸発し、その水蒸気が氷晶に昇華して氷晶が成長します。

【第58回(令和4年度第1回)学科一般 問3関連】

霧の種類に関する次の記述(a〜d)の正誤の組み合わせとして正しいものを選べ。

a. 放射霧は晴れた風の弱い夜間に地表面が放射冷却されることによって、地上付近の気温が露点温度まで下がって発生する。
b. 移流霧は暖かく湿った空気が冷たい地表面(海面・地面)の上に移動したときに冷やされて発生する。
c. 蒸気霧は冷たい空気が暖かい水面上に移動し、暖かく湿った空気と混合して発生する。
d. 前線霧は長時間の降雨があり相対湿度が高いところに比較的高温の雨が降って蒸発し、飽和に達して発生する。

① a=正 b=正 c=正 d=正
② a=正 b=正 c=誤 d=誤
③ a=正 b=正 c=正 d=誤
④ a=誤 b=正 c=誤 d=正
⑤ a=誤 b=誤 c=正 d=正

💡 解答・解説

正解:①(a=正 b=正 c=正 d=正)

解説:a〜dいずれも霧の発生メカニズムを正しく説明した記述です。5種類の霧(残り1つは上昇霧)の特徴は試験で頻出なので正確に覚えておきましょう。

【第55回(令和2年度第2回)学科一般 問3関連】

降水粒子に関する次の記述(a〜d)の正誤の組み合わせとして正しいものを選べ。

a. エイトケン核は半径が0.005〜0.2μmの粒子で、エアロゾルの中で最も数が多い。
b. 暖かい雨では雲粒から雨粒まで凝結過程(拡散過程)のみで成長する。
c. ライミングとは雲の中で過冷却水滴が氷晶に衝突し氷晶の上に凍りついて氷晶が成長する過程をいう。
d. 雲の中の温度が−5℃以上になると、凝集過程で氷晶同士が付着する確率が高くなりぼたん雪ができやすくなる。

① a=正 b=正 c=正 d=正
② a=正 b=誤 c=正 d=正
③ a=正 b=正 c=誤 d=誤
④ a=誤 b=正 c=正 d=誤
⑤ a=誤 b=誤 c=誤 d=誤

💡 解答・解説

正解:②(a=正 b=誤 c=正 d=正)

解説:
aは正しい。エイトケン核は数は最多ですが、質量の大部分を占めるのは大核です。
bは誤り。暖かい雨は凝結過程だけでなく、その後の「併合過程」がないと短時間で雨粒サイズにまで成長できません。
cとdは正しい。ライミングや凝集過程は「冷たい雨」における重要な成長プロセスです。

6. この章のまとめ

  • エアロゾル: 空気中の微粒子。エイトケン核(数が最多)・大核(質量が最大)・巨大核の3種がある。
  • 分布: 陸上はエアロゾルが多く小さい。海上は少なく大きい。
  • 暖かい雨: 雲全体が0℃以上。凝結過程 + 併合過程 で雨粒へ成長(熱帯スコールなど)。
  • 冷たい雨: 氷晶が成長して降る。①昇華凝結過程(Bergeron) ②ライミング ③凝集過程 を経て雪や雨になる。
  • 終端速度: 重力と空気抵抗が釣り合った時の一定速度(V = 2r²ρg / 9η)。
  • 氷の粒: あられ(直径5mm未満)・ひょう(5mm以上)・みぞれ(雨と雪が混ざる)。
  • 10種雲形: 上層雲(Ci/Cc/Cs)・中層雲(Ac/As)・下層雲(St/Sc)・乱層雲(Ns)・対流雲(Cu/Cb)。
  • 降水の特徴: 積乱雲はしゅう雨(短時間強雨)、乱層雲は地雨(一様性降水)をもたらす。
  • 霧: 地上にできた雲(視程1km未満)。5種類(放射霧・移流霧・蒸気霧・前線霧・上昇霧)がある。

難易度: ★★★☆☆(降水プロセスの理解が鍵!成長過程と霧の種類をしっかり区別しよう!)

この記事について

気象予報士試験の合格を目指す方のために、専門知識を初学者向けにわかりやすく解説しています。一緒に合格を目指しましょう!

【気象予報士試験講義No.4】降水過程|エアロゾル・降水の種類・雲・霧をゼロから学ぼう!

どくりん


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