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【例題】平成29年度 基本情報技術者試験 科目A
平均命令実行時間が20ナノ秒のコンピュータがある。このコンピュータの性能は何MIPSか?
ア. 5 イ. 10 ウ. 20 エ. 50
※ヒント:MIPS = 1秒 ÷ 平均命令実行時間 × 10⁻⁶
前回はアルゴリズムを学びました。今回はコンピュータの頭脳であるCPU、記憶装置(メモリ・キャッシュ)、入出力インタフェースなどのハードウェアを解説します。試験頻出の計算問題(MIPS・実効アクセス時間)も丁寧に攻略しましょう!
目次
- CPUとは?|コンピュータの脳みそ
- クロック周波数・MIPS・コア|CPU性能の3指標
- CPUの処理の流れ|レジスタとフェッチ
- アドレス指定方式|直接vs間接
- 割込み|内部割込みと外部割込み
- 記憶装置の種類|主記憶・補助記憶・キャッシュ
- キャッシュメモリのヒット率と実効アクセス時間
- ライトスルー方式 vs ライトバック方式
- 入出力インタフェース|USB・デイジーチェーン
- 入出力装置|dpi・3Dプリンター
- 過去問チャレンジ!
- この章のまとめ
1. CPUとは?|コンピュータの脳みそ
CPU(Central Processing Unit: 中央処理装置)は、コンピュータの中心で仕事をする機械であり、人間でいう「脳」にあたる装置です。基本情報技術者試験では「プロセッサ」とも表記されるので覚えておきましょう。
▲ CPUの内部構造。制御装置・演算装置・レジスタが連携して動作します
2. クロック周波数・MIPS・コア|CPU性能の3指標
CPUの性能は主に以下の3つの指標で評価されます。
(1) クロック周波数
CPUの動作速度を表す指標です。単位はHz(ヘルツ)。コンピュータ内の発振器(メトロノームのようなもの)が1秒間に発する信号の回数を指します。
- 公式:1秒間に実行できる命令数 = クロック周波数 ÷ 1命令に必要なクロック数
- 例:クロック周波数2.5GHz、1命令=平均2クロックの場合、1秒間に12.5億個の命令を実行可能です。
(2) MIPS (Million Instructions Per Second)
1秒間に何百万個の命令を実行できるかを表す単位です。
- 公式:MIPS = 1秒 ÷ 平均命令実行時間 × 10⁻⁶
- 例:平均命令実行時間が500ナノ秒の場合、MIPS = 1 ÷ (500 × 10⁻⁹) × 10⁻⁶ = 2MIPS となります。
(3) コア
CPU内にある「演算を行う装置」の数です。複数のコアを持つマルチコアプロセッサ(デュアルコア、クアッドコアなど)は並列処理が可能で、性能が高くなります。
📝 ポイント
CPU性能の3指標は「クロック周波数(Hz)」「MIPS」「コア数」。公式を覚えて計算問題を確実に得点しましょう!
3. CPUの処理の流れ|レジスタとフェッチ
主記憶装置は、CPUが直接読み書きする記憶装置です。命令やデータを一時的に格納しますが、電源を切るとデータが消滅します。主記憶装置の命令は「命令部(何を)」と「アドレス部(どこから)」で構成されています。
CPU内にはレジスタと呼ばれる小さな記憶領域があり、以下の3種類が試験に頻出します。
| レジスタ名 | 役割 |
|---|---|
| プログラムカウンター(PCレジスタ) | 次の命令のアドレスを格納する |
| 命令レジスタ | 取り出した命令を格納する(フェッチ後) |
| 汎用レジスタ | データを格納する |
CPUの処理の流れ:
- プログラムカウンターが次の命令のアドレスを参照する
- 命令を主記憶から取得する(フェッチ)
- 命令レジスタに格納する
- 命令デコーダで命令を解読する
- アドレス部に書かれたデータを取りに行く
- 汎用レジスタにデータを格納する
📌 重要:試験頻出!
「フェッチ」とは、主記憶装置から命令を取り出して命令レジスタに格納することです。用語の意味をしっかり押さえましょう。
4. アドレス指定方式|直接vs間接
命令が対象とするデータの場所(有効アドレス)を指定する方式です。
- 直接アドレス指定:命令のアドレス部に有効アドレス(データの場所)が直接入っている方式です。
- 間接アドレス指定:アドレス部の値が指す主記憶装置の場所に、さらに有効アドレスが入っている方式です。主記憶装置に2回アクセスする必要があるため遅いですが、大きなサイズのアドレスを格納できるメリットがあります。
📝 ポイント
間接アドレス指定=主記憶装置に2回アクセスする。「間接的」にアクセスする図が出たらこの方式です。
5. 割込み|内部割込みと外部割込み
割込みとは、現在実行中のプログラムを中断して別の処理に切り替えることです。
割込みが発生すると、現在のプログラムカウンターの値を一時的に退避させ、割込み処理が完了した後に復帰させて元の処理を再開します。
| 分類 | 種類 | 例 |
|---|---|---|
| 内部割込み | プログラム割込み | ゼロ除算、オーバーフロー |
| 内部割込み | スーパーバイザーコール | OS機能の呼び出し |
| 外部割込み | タイマ割込み | インターバルタイマによる時間経過 |
| 外部割込み | 入出力割込み | 入出力処理の完了 |
📌 重要:試験頻出!
内部割込み=実行中のプログラムが原因(ゼロ除算など)。外部割込み=外部要因(タイマなど)。見分け方は「実行中のプログラムが原因か否か」です。
6. 記憶装置の種類|主記憶・補助記憶・キャッシュ
▲ 記憶装置の階層。上にいくほど高速・小容量・高価、下にいくほど低速・大容量・安価
| 種類 | 説明 | 特徴 |
|---|---|---|
| キャッシュメモリ | CPUと主記憶の間の超高速メモリ | 高速・小容量・高価 |
| 主記憶装置(RAM) | CPUが直接読み書き | 高速・電源OFFで消滅 |
| 補助記憶装置 | データを長期保存(HDD/SSD) | 低速・大容量・電源OFFでも保持 |
HDD vs SSD
▲ HDD(磁気ディスク)とSSD(フラッシュメモリ)の比較
- HDD:磁気ディスクを回転させてデータを保存します。機械的な動作を伴います。
- SSD:半導体メモリ(フラッシュメモリ)を使用します。動作部品がないため、HDDよりも高速で耐衝撃性に優れています。
7. キャッシュメモリのヒット率と実効アクセス時間
▲ キャッシュヒット(速い)とキャッシュミス(遅い)の違い。ヒット率が高いほど処理が速くなります
キャッシュメモリに目的のデータが存在する確率をヒット率と呼びます。逆にキャッシュに存在せず主記憶に取りに行く確率(ミス率)は「1 – ヒット率」となります。
実効アクセス時間の公式:
【計算例(試験過去問)】
キャッシュのアクセス時間が10ns、主記憶が60ns、実効アクセス時間が15nsのとき、ヒット率は?
15 = 10 × h + 60 × (1 – h)
15 = 10h + 60 – 60h
50h = 45
h = 0.9(ヒット率90%)
📌 重要:試験頻出!
実効アクセス時間の計算式は必須暗記です。上記のように h = ヒット率 として方程式を解く問題もよく出題されます。
8. ライトスルー方式 vs ライトバック方式
CPUからデータを書き込む際の方式には、以下の2つがあります。
| 方式 | タイミング | メリット | デメリット |
|---|---|---|---|
| ライトスルー方式 | キャッシュ書込みと同時に主記憶にも書込む | シンプル・一貫性保持 | 毎回主記憶に書込むので遅い |
| ライトバック方式 | キャッシュからデータを追い出す時に主記憶に書込む | 書込みが速い | 制御が複雑 |
📝 ポイント
ライトスルー=即時書込み(両方同時)。ライトバック=後で書込み(追い出し時)。この違いが試験に頻出します!
9. 入出力インタフェース|USB・デイジーチェーン
入出力インタフェースとは、機器間をつなぐケーブルの接続口の形状やデータ転送方式のことです。
- シリアルインタフェース:1本の信号線で1bitずつ送る。現在の主流。
- パラレルインタフェース:複数本の信号線で並列に送る。
USBの規格
USBは最も普及した入出力インタフェースで、シリアル転送方式を採用しています。
| 規格 | 最大転送速度 | 転送モード名 |
|---|---|---|
| USB 1.0 | 12Mbps | フルスピード |
| USB 2.0 | 480Mbps | ハイスピード |
| USB 3.0 | 5Gbps | スーパースピード |
Type-Cは、上下どちらの向きでも接続できる新しいコネクタ形状です。
周辺機器の接続方法
- スター接続:PCのコネクタに複数の周辺機器を直接接続
- ツリー接続:ハブを使って枝分かれ接続
- デイジーチェーン接続:周辺機器を数珠つなぎに接続。ハブ不要で配線がすっきりしますが、機器が増えると伝送速度が低下します。
なお、PCに接続された周辺機器を制御するソフトウェアをデバイスドライバと呼びます。
📝 ポイント
USB3.0=スーパースピード5Gbps、Type-C=上下どちらでも挿せる、デイジーチェーン=数珠つなぎ。この3つを覚えましょう!
10. 入出力装置|dpi・3Dプリンター
- 入力装置:コンピュータにデータを入力する装置(キーボード、マウスなど)
- 出力装置:処理結果を表示する装置(ディスプレイ、プリンターなど)
ディスプレイはドット(ピクセル)で構成され、RGB(赤・緑・青)の3色で色を表現します。
- dpi (dot per inch):1インチあたりのドット数。数値が大きいほど高画質になります。
- ポイント:文字の大きさの単位。1ポイント = 1/72インチ(約0.35mm)。
【計算例】 96dpi で12ポイントの文字の場合、縦は何ドットか?
12 × (1/72)インチ = 1/6インチ
1/6 × 96 = 16ドット
3Dプリンターは、3次元データを元に樹脂などを積み重ねて立体物を造形する装置です(熱溶解積層方式など)。
📝 ポイント
dpi計算は「ポイントをインチに変換」→「ドット数に変換」の2ステップで解けます。3Dプリンター=立体物を造形する装置です。
11. 過去問チャレンジ!
🎯 記事冒頭の例題に、もう一度チャレンジ!
【例題・再掲】平成29年度 基本情報技術者試験 科目A
平均命令実行時間が20ナノ秒のコンピュータがある。このコンピュータの性能は何MIPSか?
ア. 5 イ. 10 ウ. 20 エ. 50
✅ 解答・完全解説
正解:エ(50MIPS)
解説:
MIPSを求める公式は以下の通りです。
MIPS = 1秒 ÷ 平均命令実行時間 × 10⁻⁶
= 1 ÷ (20 × 10⁻⁹) × 10⁻⁶
= 1 ÷ (20 × 10⁻¹⁵)
= (10⁶) ÷ (20 × 10⁻³)
= 10⁶ ÷ 20ns = 50MIPS
よって、正解はエの50になります。
【過去問 その2】割込み問題(平成30年度)
内部割込みに分類されるものはどれか。
ア. 商用電源の瞬時停電による割込み
イ. ゼロで除算を実行したことによる割込み
ウ. 入出力が完了したことによる割込み
エ. メモリパリティエラーが発生したことによる割込み
💡 解答・解説
正解:イ
内部割込みは、実行中のプログラムが原因で発生する割込みです。ゼロ除算はプログラム内部のエラーなので内部割込みに該当します。ア、ウ、エはすべて外部要因による外部割込みです。
【過去問 その3】キャッシュメモリ問題(平成28年度)
キャッシュメモリの効果として適切なものはどれか。
ア.
主記憶からキャッシュメモリへの命令の読出しと、データの読出しを同時に行うことによって、データ転送を高速に行う。
イ.
主記憶から読み出したデータをキャッシュメモリに保持し、CPUが後で同じデータを読み出すときのデータ転送を高速に行う。
ウ. 主記憶から読み出したデータをキャッシュメモリに保持し、命令を並列に処理することによって演算を高速に行う。
エ. 主記憶から読み出した命令をキャッシュメモリに保持し、デコードして実行することによって演算を高速に行う。
💡 解答・解説
正解:イ
キャッシュメモリの役割は、CPUと主記憶装置との処理速度の差を埋め、アクセス時間を短縮することです。一度読み出したデータをキャッシュに保持し、再度アクセスする際に高速に読み出せるようにする、というイの記述が適切です。
12. この章のまとめ
📌 コンピュータ構成要素のまとめ
- CPU性能:クロック周波数(Hz)・MIPS・コア数の3指標
- 1秒間の命令数 = クロック周波数 ÷ 1命令のクロック数
- MIPS = 1秒 ÷ 平均命令実行時間 × 10⁻⁶
- レジスタ:PC(次命令アドレス)・命令レジスタ(命令)・汎用レジスタ(データ)
- フェッチ = 主記憶から命令を取り出して命令レジスタに格納すること
- 内部割込み = 実行中プログラムが原因(ゼロ除算など)
- 外部割込み = 外部要因(タイマ、入出力完了など)
- 実効アクセス時間 = キャッシュ×ヒット率 + 主記憶×(1-ヒット率)
- ライトスルー = 両方に即時書込み、ライトバック = 追い出し時に書込み
- USB3.0 = 5Gbps(スーパースピード)、Type-C = 上下どちらでも挿せる
- デイジーチェーン = 数珠つなぎ接続
- dpi = 1インチあたりのドット数。3Dプリンター = 立体物造形
学習難易度:★★★★☆
MIPSや実効アクセス時間の計算式は必ずマスターしましょう。構造や概念の理解がそのまま得点に直結します!
この記事について
基本情報技術者試験の合格を目指す方のために、参考書の内容を初心者向けにわかりやすく噛み砕いて解説しています。ITの基礎をしっかり固めて、一緒に合格を目指しましょう!
