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【例題】
「成層圏界面(約50km)付近で気温が最大になる理由として正しいものはどれか。
ア. 熱圏の電離現象が影響するため
イ. 対流が盛んに起き熱が蓄積するため
ウ. オゾンが紫外線を吸収し、かつ成層圏界面付近は空気密度が小さいため
エ. 水蒸気が凝結して熱を放出するため」
今回は大気の4つの層(対流圏・成層圏・中間圏・熱圏)の特徴と気温変化のメカニズム、オゾン層の役割、電離圏、均質圏・非均質圏、太陽光線の種類を詳しく学びます。
目次
- 大気の層構造とは?
- 対流圏(Troposphere)
- 対流圏界面の特徴
- 成層圏(Stratosphere)
- オゾン層のしくみ
- 成層圏界面で気温が極大になる理由
- 中間圏と熱圏(Mesosphere & Thermosphere)
- 均質圏・非均質圏
- 太陽光線の3種類
- 理解チェックテスト(5問)
- 実際の過去問チャレンジ(3問)
- この章のまとめ
1. 大気の層構造とは?
地球の大気は高度(気温の変化パターン)によって4つの主要な層に分けられます。下から順に対流圏・成層圏・中間圏・熱圏であり、それぞれの境界面(界面)にも名前があります。
| 境界面名 | 高度(目安) |
|---|---|
| 対流圏界面(圏界面) | 約11 km(平均) |
| 成層圏界面 | 約50 km |
| 中間圏界面 | 約80 km |
| 熱圏界面 | 約500 km |
▲ 大気の鉛直構造(対流圏・成層圏・中間圏・熱圏)と気温の変化
2. 対流圏(Troposphere)
- 地上〜約11 km
- 気温は高度とともに低下(気温減率 約6.5℃/km)
- 大気が上下によく混合(雲・雨・風など天気現象はほぼここで発生)
- 乾燥断熱減率は約9.8℃/km
📝 ポイント
気温減率 約6.5℃/km は必ず覚える!乾燥断熱減率9.8℃/kmと混同しないこと
3. 対流圏界面の特徴
- 平均高度:約11 km
- 赤道付近:約16 km(暖かく膨張→高い)
- 極付近:約8 km(寒く収縮→低い)
- 夏 > 冬(気温が高い夏のほうが高い)
| 場所・季節 | 対流圏界面の高さ |
|---|---|
| 赤道 | 約16 km |
| 平均 | 約11 km |
| 極 | 約8 km |
| 夏 | 高い |
| 冬 | 低い |
📌 重要
「低緯度ほど高く、高緯度ほど低い」は頻出。夏高く冬低いのは空気の膨張・収縮が原因。
4. 成層圏(Stratosphere)
- 対流圏界面(約11 km)〜成層圏界面(約50 km)
- 気温は高度とともに上昇(昇温層)
- 空気が安定して上下に混合しにくい → 「成層」圏という名前の由来
- 上空ほど暖かく軽い空気、下層ほど冷たく重い空気 → 安定な大気
5. オゾン層のしくみ
高度約25 km付近にオゾン層が存在。
オゾンの発生と消滅のサイクル:
- 酸素分子(O₂)に波長0.24μm以下の紫外線があたる → 光解離 → 酸素原子(O)が2つ生成
- 酸素原子(O)が別の酸素分子(O₂)にくっつく → オゾン(O₃)が生成
- オゾン(O₃)に波長0.32μm以下の紫外線があたる → 光解離 → O₂ + O に分解
- このサイクルで紫外線が熱として放出 → 気温上昇
📝 ポイント
オゾンは紫外線を吸収するとき熱を放出する。これが成層圏の気温上昇の原因!
また、オゾンの分布はブリューワー・ドブソン循環により:
- 低緯度の成層圏(約25km)で多く生成
- 冬の間、成層圏下部の大規模循環(ブリューワー・ドブソン循環)で高緯度に輸送
- 高緯度の春に極大(北半球:3月頃)
6. 成層圏界面で気温が極大になる理由
重要ポイント(よく出る!):
気温の極大はオゾン層(約25km)ではなく成層圏界面(約50km)付近になる。理由2つ:
- 太陽紫外線はオゾン層より上層で徐々に吸収され弱まりながらオゾン層に到達する(エネルギーが使われる)
- 成層圏界面付近は空気密度が小さいため、同じ熱量でも気温が大きく上昇しやすい
📌 重要
気温極大=成層圏界面(50km)付近。オゾン層(25km)ではない!
7. 中間圏と熱圏(Mesosphere & Thermosphere)
中間圏(Mesosphere)
- 成層圏界面(約50km)〜中間圏界面(約80km)
- 気温は高度とともに低下
- 大気の4層の中で気温が最も低くなる(中間圏界面付近で最低)
熱圏(Thermosphere)
- 中間圏界面(約80km)〜熱圏界面(約500km)
- 気温は高度とともに上昇(非常に高温)
- 電離:高度約100km以上で、紫外線が原子に当たり電子が離れる(イオン化)
- 電離した状態の層を「電離圏」とも呼ぶ
外気圏(Exosphere)
- 熱圏界面(約500km)以上
- 大気が宇宙空間へと続く領域
| 層名 | 高度範囲 | 気温変化 | 特徴 |
|---|---|---|---|
| 対流圏 | 0〜約11km | 低下(−6.5℃/km) | 天気現象 |
| 成層圏 | 約11〜50km | 上昇 | オゾン層(約25km) |
| 中間圏 | 約50〜80km | 低下 | 気温最低点 |
| 熱圏 | 約80〜500km | 上昇 | 電離圏 |
8. 均質圏・非均質圏
均質圏(〜約80km)
- 地上から約80km(中間圏界面)まで
- 乾燥大気の成分比(N₂約78%・O₂約21%)がほぼ一定
非均質圏(約80km以上)
- 80km以上では大気の成分比が変化
- 軽い気体(H₂・He)の割合が増加
📌 重要
均質圏=約80km以下。成分比は均質。非均質圏=80km以上。軽い気体が増える。
9. 太陽光線の3種類
太陽光線は3種類の電磁波の混合:
| 種類 | 波長 | 特徴 |
|---|---|---|
| 紫外線(UV) | 0.38μm以下 | 短波長。オゾンに吸収される |
| 可視光線(VIS) | 0.38〜0.77μm | エネルギーが最大。目に見える |
| 赤外線(IR) | 0.77μm以上 | 長波長。熱放射として重要 |
📝 ポイント
可視光線は太陽光線の中でエネルギーが最も大きい!
10. 理解チェックテスト(5問)
【問1】(冒頭例題再掲)
成層圏界面(約50km)付近で気温が最大になる理由として正しいものはどれか。
ア. 熱圏の電離現象が影響するため
イ. 対流が盛んに起き熱が蓄積するため
ウ. オゾンが紫外線を吸収し、かつ成層圏界面付近は空気密度が小さいため
エ. 水蒸気が凝結して熱を放出するため
✅ 問1の解答・解説
正解:ウ(オゾンが紫外線を吸収し、かつ成層圏界面付近は空気密度が小さいため)
解説:成層圏界面(50km)での気温極大は①紫外線が上層で吸収され弱まって到達することと②空気密度が小さいため少ない熱量で大きく昇温することの2つが理由。
【問2】
対流圏の平均気温減率として正しいものはどれか。
ア. 約9.8℃/km イ. 約6.5℃/km ウ. 約3.0℃/km エ. 約12.0℃/km
💡 解答・解説
正解:イ
解説:約6.5℃/km。9.8℃/kmは乾燥断熱減率。
【問3】
成層圏が「安定」な大気である理由として正しいものはどれか。
ア. 対流が盛んで均一に混合されているため
イ. 水蒸気が多く含まれているため
ウ. 高度とともに気温が上昇する(逆転層)ため
エ. 大気密度が地上と同じため
💡 解答・解説
正解:ウ
解説:気温が高度とともに上昇するため上下運動が起きにくく安定。
【問4】
オゾン全量(オゾンの量)が最も多い緯度帯・季節はどれか。
ア. 低緯度、夏 イ. 低緯度、冬 ウ. 高緯度、夏 エ. 高緯度、春
💡 解答・解説
正解:エ
解説:ブリューワー・ドブソン循環で低緯度生成→高緯度輸送→春に極大。
【問5】
可視光線の波長範囲として正しいものはどれか。
ア. 0.38μm以下 イ. 0.38〜0.77μm ウ. 0.77μm以上 エ. 0.1μm以下
💡 解答・解説
正解:イ
解説:0.38〜0.77μm。
11. 📋 実際の過去問チャレンジ(3問)
ここでは実際の気象予報士試験(学科一般)から、第2章に関連する過去問を掲載します。本番形式で解いてみましょう!
【第55回(令和2年度第2回)学科一般 問1】
大気の構造について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 水蒸気を除いた乾燥空気における窒素、酸素、アルゴンの存在比は、地上から高度約80kmの中間圏界面付近までほぼ一定である。
(b) 成層圏界面付近で気温が極大になるのは、主にオゾンが太陽からの紫外線を吸収して大気を加熱するからである。
(c) 対流圏界面の高さは、平均的には低緯度より高緯度のほうが高い。
(d) 対流圏の温度減率は、平均的には約9.8℃/kmである。
① a=正 b=正 c=正 d=誤
② a=正 b=正 c=誤 d=誤
③ a=誤 b=正 c=誤 d=正
④ a=誤 b=誤 c=正 d=誤
⑤ a=誤 b=誤 c=誤 d=正
💡 解答・解説
正解:②(a=正 b=正 c=誤 d=誤)
a は正しい。均質圏(約80kmまで)では乾燥大気の成分比はほぼ一定。
b は正しい。成層圏界面付近で気温極大になるのはオゾンによる紫外線吸収と空気密度が小さいことが理由。
c は誤り。対流圏界面は低緯度(赤道)ほど高く(約16km)、高緯度(極)ほど低い(約8km)。
d は誤り。平均的な温度減率は約6.5℃/km。9.8℃/kmは乾燥断熱減率。
出典:(第55回 学科一般 問1)
【第60回(令和5年度第1回)学科一般 問1】
高度80km以下の地球大気の成分について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 乾燥大気における酸素の容積比は30%を超える程度であり、残りのほとんどを窒素が占めている。
(b) 乾燥大気において、窒素と酸素に次いで大きな容積比を占めるのは、二酸化炭素である。
(c) オゾンは低緯度の成層圏で多く生成されており、オゾン全量は年間を通じて赤道を中心とした低緯度で最も多くなっている。
① a=正 b=正 c=誤
② a=正 b=誤 c=正
③ a=誤 b=正 c=正
④ a=誤 b=誤 c=正
⑤ a=誤 b=誤 c=誤
💡 解答・解説
正解:⑤(a=誤 b=誤 c=誤)
a は誤り。酸素の容積比は約21%(30%を超えない)。窒素が約78%。
b は誤り。3番目はアルゴン(約1%)。CO₂は約0.03%とずっと少ない。
c は誤り。オゾンは低緯度で生成されるが、ブリューワー・ドブソン循環により高緯度に輸送される。オゾン全量は高緯度の春に最大となる。
出典:(第60回 学科一般 問1)
【第63回(令和6年度第2回)学科一般 問3】
標高0mの平野にある標高1500mの山を考える。大気はどこでも気温減率が6℃/kmで、標高0mの気温は30℃である。このとき、山の左側の高度1200mの微小な空気塊を、山を越えて右側の標高0mの麓まで、周囲と混合しないように断熱的に下降させた。この下降後の空気塊の温度に最も近いものを選べ。ただし、空気塊の移動中に水蒸気の凝結は起こらないものとする。
① 30.0℃
② 31.2℃
③ 33.0℃
④ 34.8℃
⑤ 36.0℃
💡 解答・解説
正解:④ 34.8℃
解説(ステップ計算):
STEP 1 高度1200mの環境気温(気温減率6℃/km)を求める:
30 − 6 × 1.2 = 22.8℃
STEP 2 空気塊の初期温度 = 環境と同じ 22.8℃。
STEP 3 凝結なし → 乾燥断熱減率(≈10℃/km)で断熱下降 1200m:
22.8 + 10 × 1.2 = 34.8℃ → ④
出典:(第63回 学科一般 問3)
12. この章のまとめ
- 大気の4層:対流圏(0〜11km)→成層圏(11〜50km)→中間圏(50〜80km)→熱圏(80〜500km)
- 気温変化:対流圏↓ → 成層圏↑ → 中間圏↓ → 熱圏↑(交互に変化)
- 気温減率:平均約6.5℃/km(乾燥断熱は9.8℃/km)★
- 対流圏界面:赤道≈16km、平均≈11km、極≈8km
- 成層圏界面(50km)で気温極大:①紫外線が上層で吸収②空気密度小さい
- オゾン層:約25km。ブリューワー・ドブソン循環→高緯度の春に極大
- 均質圏:〜80km(成分比一定) / 非均質圏:80km〜
- 電離圏:約100km以上(熱圏と重なる)
- 太陽光線:紫外線(短)・可視光線(中/最大エネルギー)・赤外線(長)
難易度: ★★★☆☆(第1章より複雑。気温変化パターンと理由の暗記が鍵!)
この記事について
気象予報士試験の合格を目指す方のために、専門知識を初学者向けにわかりやすく解説しています。一緒に合格を目指しましょう!
