【第65回 気象予報士試験 専門知識】問10 大気の成層と対流不安定をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第65回気象予報士試験 専門知識 問10を解説します!

この問題は、大気の成層、対流混合層、絶対不安定、条件付き不安定、対流不安定について問う問題です。

専門知識の中でも、受験生が混乱しやすい「安定・不安定」の問題です。

この問題で重要なポイント

  • 冬季の日本海上では、大陸からの寒気が暖かい海面上に流れ込む
  • 海面から熱と水蒸気が供給され、対流混合層が発達する
  • 混合比がほぼ一様でも、上空ほど気温が低いため相対湿度は高くなりやすい
  • 大規模な対流雲発生前に、下層〜中層全体が絶対不安定とは限らない
  • 降水開始後の対流雲内は、湿潤断熱減率に近づきやすい
  • 中層乾燥空気が流入すると、対流不安定が顕在化することがある

■ 問題文

大気の成層について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 冬季に大陸からの寒気が日本海に吹き出すと、海面から供給される熱と水蒸気により対流が発生し、水蒸気の混合比が高度によらずほぼ一様な対流混合層が形成されるが、この層の上部では下部より相対湿度が高い。

(b) 一般に、対流雲が大規模に発生する前の大気の成層状態は、下層から中層にかけては絶対不安定となっており、降水が始まると対流雲内の大気は条件付不安定に変化する。

(c) 地上の寒冷前線の前方中層に西から乾燥空気が流入するような場においては、中層以下の層では上空ほど相当温位が低い対流不安定となり、この層全体が上昇することで不安定が顕在化することがある。

(a) (b) (c)

■ 解答

■ 大気の安定度を考えるときの基本

大気の安定度を考えるときは、用語を正確に区別することが重要です。

用語 意味
絶対不安定 気温減率が乾燥断熱減率より大きい状態
条件付き不安定 乾燥断熱減率より小さく、湿潤断熱減率より大きい状態
対流不安定 相当温位が上空ほど低く、層全体が持ち上げられると不安定化する状態

特にこの問題では、絶対不安定対流不安定を混同しないことが大切です。

■ (a) 冬季日本海上の対流混合層

(a)は正しいです。

冬季に大陸からの寒気が日本海へ吹き出すと、暖かい海面から熱と水蒸気が供給されます。

その結果、対流が活発になり、対流混合層が形成されます。

対流混合層では、乱流混合によって水蒸気の混合比が高度によらずほぼ一様になります。

ただし、上空に行くほど気温は低くなります。

気温が低いほど飽和水蒸気量は小さくなるため、同じ混合比であっても、上部ほど相対湿度は高くなりやすいです。

ここがポイント!

混合比が同じ

上空ほど気温が低い

上部ほど相対湿度が高くなりやすい

■ (b) 対流雲発生前は絶対不安定か

(b)は誤りです。

対流雲が大規模に発生する前の大気が、下層から中層にかけて一様に絶対不安定であるとは限りません。

大規模な対流雲の発生に関係するのは、多くの場合、条件付き不安定や対流不安定です。

また、降水が始まった後の対流雲内では、潜熱の放出や鉛直混合により、気温減率は湿潤断熱減率に近づきやすくなります。

したがって、「降水が始まると条件付き不安定に変化する」という表現も不適切です。

独学者がよく間違えるポイント

「激しい対流=絶対不安定」と考えてしまいがちです。

しかし、実際の大気で広い層が絶対不安定になることは多くありません。

対流雲の発生
= いつも絶対不安定
ではない

条件付き不安定や対流不安定をきちんと区別しましょう。

■ (c) 乾燥空気流入と対流不安定

(c)は正しいです。

寒冷前線の前方で、中層に乾燥空気が流入する場合があります。

このとき、下層には暖かく湿った空気があり、中層には乾燥した空気が入り込むため、上空ほど相当温位が低くなることがあります。

相当温位が上空ほど低い層は、対流不安定の状態です。

この層全体が持ち上げられると、不安定が顕在化し、対流が発達しやすくなります。

ここがポイント!

下層:暖かく湿った空気
中層:乾燥空気

上空ほど相当温位が低い

対流不安定

■ 安定度の違いを整理

この問題の最大のつまずきポイント

状態 判断基準 ポイント
絶対不安定 気温減率が乾燥断熱減率より大きい 広い層で起こることは多くない
条件付き不安定 乾燥断熱減率より小さく、湿潤断熱減率より大きい 飽和すると不安定になる
対流不安定 相当温位が上空ほど低い 層全体が上昇すると不安定が顕在化する

この3つを混同しないことが、問10の最大のポイントです。

■ 選択肢の確認

項目 判定 理由
(a) 混合比がほぼ一様でも、上空ほど気温が低いため相対湿度は高くなりやすい
(b) 対流雲発生前に下層〜中層が絶対不安定とは限らず、降水後は湿潤断熱に近づきやすい
(c) 中層乾燥空気の流入で上空ほど相当温位が低くなり、対流不安定が顕在化することがある

■ まとめ

  • 冬季日本海上では寒気吹き出しにより対流混合層が発達する
  • 混合比が一様でも、上空ほど気温が低いため相対湿度は高くなりやすい
  • 大規模対流雲の発生前に、広い層が絶対不安定とは限らない
  • 降水後の対流雲内は湿潤断熱減率に近づきやすい
  • 上空ほど相当温位が低い状態は対流不安定である
  • 中層乾燥空気の流入は対流不安定の顕在化に関係する

正解は②

この問題で必ず押さえたいこと

大気の安定度問題では、

絶対不安定
条件付き不安定
対流不安定

を必ず区別しましょう。

特に、対流不安定は「相当温位が上空ほど低い」という特徴で判断します。

激しい対流が起こるからといって、すぐに絶対不安定と考えないことが大切です。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第65回 専門知識 問10の解説でした!

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