【第64回 気象予報士試験 専門知識】問10 台風の一般的特徴をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第64回気象予報士試験 専門知識 問10を解説します!

この問題は、発達した台風の一般的な特徴についての問題です。

台風の進行方向右側の風、風速の鉛直分布、台風の眼、そしてβ効果による移動を整理して判断します。

この問題で重要なポイント

  • 北半球では、台風の進行方向右側で風が強くなりやすい
  • 台風周辺の最大風速は、対流圏界面付近ではなく下層〜中層に現れやすい
  • 台風の眼の中には下降流があり、断熱圧縮で高温・低湿になりやすい
  • 指向流がなくても、β効果により台風は北西方向へ移動しやすい

■ 問題文

発達した台風の一般的な特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 台風が速い速度で移動しているとき、進行方向の右側では、左側よりも下層の風速が大きい傾向がある。

(b) 台風周辺の風を接線成分と動径成分に分け、接線成分の鉛直分布をみると、最も速度が大きいのは対流圏上層の圏界面に近い高度である。

(c) 台風の眼の中には下降流があり、断熱圧縮により眼のまわりに比べて気温が高く、湿度は低くなっている。

(d) 台風には、周囲にこれを流す大規模な流れがなければ、地球の自転の効果により南下する性質がある。

(a) (b) (c) (d)

■ 解答

(a)正
(b)誤
(c)正
(d)誤

■ 解き方の方針

この問題は、台風についての知識を次の4つに分けて判断すると整理しやすいです。

台風の進行方向右側の風

接線風の鉛直分布

台風の眼の特徴

β効果による移動

特に(b)は、最大風速がどの高度に現れやすいかを問う問題です。

「台風=背の高い構造だから上層で最大」と考えると誤りやすいので注意しましょう。

■ (a)進行方向右側で風が強くなりやすい

(a)は、台風が移動しているときの風速分布について述べています。

北半球の台風は反時計回りに風が吹き込んでいます。

さらに台風自体が移動している場合、進行方向の右側では、台風の回転による風に台風の移動速度が加わります。

ここがポイント!

進行方向の右側
= 台風の回転風 + 台風の移動速度

風が強くなりやすい

そのため、北半球では台風の進行方向右側は、左側よりも下層の風速が大きくなる傾向があります。

したがって、(a)は正しいです。

■ (b)接線風の最大は圏界面付近ではない

(b)は、台風周辺の接線成分の鉛直分布について述べています。

接線成分とは、台風の中心のまわりを回る向きの風です。

台風の最大風速は、一般に眼の壁雲付近の下層から中層で大きくなります。

ここは要注意!

問題文では「最も速度が大きいのは対流圏上層の圏界面に近い高度」とあります。

しかし、台風の最大風速は一般に圏界面付近ではなく、眼の壁雲付近の下層から中層に現れやすいです。

対流圏上層では、台風から外へ空気が流れ出す流出が重要になります。

一方で、台風の中心付近を強く回る接線風の最大は、上層の圏界面付近ではありません。

したがって、(b)は誤りです。

■ (c)台風の眼は高温・低湿になりやすい

(c)は、台風の眼の中の特徴について述べています。

発達した台風の中心には、雲が少なく風も比較的弱いが現れることがあります。

この眼の中では、弱い下降流が存在します。

空気が下降すると、気圧が高い方へ移動するため圧縮され、断熱的に気温が上がります。

台風の眼のイメージ

眼の中で下降流

断熱圧縮

気温が高くなる

相対湿度は低くなりやすい

そのため、台風の眼の中は、眼のまわりの壁雲部分に比べて気温が高く、湿度が低くなりやすいです。

したがって、(c)は正しいです。

■ (d)指向流がなくても南下するわけではない

(d)は、周囲に台風を流す大規模な流れがない場合の台風の移動について述べています。

台風は、基本的には周囲の大規模な流れ、つまり指向流によって移動します。

ただし、指向流が弱い場合でも、地球の自転の効果の緯度変化、つまりβ効果によって、台風は自ら北西方向へずれるように移動する傾向があります。

ここがひっかけポイント!

問題文では「地球の自転の効果により南下する」とあります。

しかし、北半球の台風では、β効果により一般に北西方向へ移動しやすい性質があります。

南下ではなく
北西方向

したがって、(d)は誤りです。

■ 選択肢の確認表

記号 内容 正誤 判断ポイント
(a) 台風の進行方向右側では、左側より下層の風速が大きい傾向がある 回転風に台風の移動速度が加わるため
(b) 接線成分の最大風速は、対流圏上層の圏界面付近である 最大風速は一般に眼の壁雲付近の下層〜中層に現れやすい
(c) 台風の眼では下降流による断熱圧縮で高温・低湿になりやすい 下降流で空気が圧縮・昇温するため
(d) 指向流がなければ、地球の自転の効果により南下する β効果により北西方向へ移動しやすい

■ 受験生がつまずくポイント

1. 「危険半円=右側」を丸暗記で終わらせてしまう

北半球では、台風の進行方向右側で風が強くなりやすいです。

これは、台風の反時計回りの風に、台風自身の移動速度が加わるためです。

右側は足し算
左側は引き算

とイメージしておくと判断しやすくなります。

2. 最大風速の高度を「上層」と勘違いする

台風は背の高い構造をもつため、最大風速も上層にあると考えたくなります。

しかし、接線風の最大は一般に、眼の壁雲付近の下層から中層に現れやすいです。

圏界面付近では、中心を回る強い接線風というより、外向きの流出が重要になります。

3. 台風の眼を「静かだから冷たい」と考えてしまう

台風の眼は雲が少なく比較的静かな領域ですが、冷たいわけではありません。

眼の中では下降流があり、断熱圧縮によって気温が高くなります。

下降流

断熱圧縮

高温・低湿

4. β効果を「南下」と覚えてしまう

β効果とは、コリオリ力が緯度によって変化することによって生じる効果です。

北半球の台風では、この効果によって、周囲の指向流がなくても北西方向へ移動しやすい性質があります。

問題文のような「南下する」という表現は誤りです。

■ まとめ

  • (a)北半球では、台風の進行方向右側で移動速度が加わるため、風が強くなりやすいので正しい
  • (b)接線風の最大は、対流圏上層の圏界面付近ではなく、下層〜中層に現れやすいため誤り
  • (c)台風の眼では下降流による断熱圧縮で高温・低湿になりやすいため正しい
  • (d)指向流がない場合でも、β効果により北西方向へ移動しやすく、南下ではないため誤り

正解は②

(a)正・(b)誤・(c)正・(d)誤

この問題で必ず押さえたいこと

台風の問題では、風の強い場所、最大風速の高度、眼の構造、移動の性質をセットで押さえることが重要です。

進行方向右側は風が強い
最大風速は下層〜中層
眼は下降流で高温・低湿
β効果では北西方向

特に、最大風速の高度β効果の移動方向はひっかけとして出やすいので、確実に整理しておきましょう。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第64回 専門知識 問10の解説でした!

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