【第64回 気象予報士試験 専門知識】問9 寒帯前線ジェット気流をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第64回気象予報士試験 専門知識 問9を解説します!

この問題は、北半球の偏西風帯におけるジェット気流についての問題です。

特に、寒帯前線ジェット気流の高度や季節変化、ジェット気流の加速域における流れ、そして偏西風の蛇行による寒冷低気圧の形成がポイントになります。

この問題で重要なポイント

  • 寒帯前線ジェット気流は、亜熱帯ジェット気流より一般に高度が低い
  • 寒帯前線ジェット気流は、南北の温度差が大きい冬季に強くなりやすい
  • ジェット気流の加速域では、等高度線を横切る非地衡風成分が生じる
  • 加速域では、高度の高い側から低い側へ横切る流れが生じやすい
  • 偏西風の蛇行が大きくなると、低緯度側に上層寒冷低気圧が形成されることがある

■ 問題文

北半球の偏西風帯におけるジェット気流について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 寒帯前線ジェット気流は、亜熱帯ジェット気流に比べて、一般に、風速が極大となる高度が低く、冬季に最も強くなる。

(b) ジェット気流の風速が下流の方ほど大きくなっている領域では、ジェット気流は等圧面上で等高度線を高度の高い側から低い側に横切ることが多い。

(c) ジェット気流の南北への蛇行が大きくなると、偏西風帯から低緯度側に切り離された上層の寒冷低気圧が形成されることがある。

(a) (b) (c)

■ 解答

(a)正
(b)正
(c)正

■ 解き方の方針

この問題では、ジェット気流を単なる「強い西風」として見るのではなく、次の3つに分けて考えると整理しやすいです。

寒帯前線ジェット気流の特徴

ジェット気流の加速域の流れ

偏西風の蛇行と寒冷低気圧

特に(b)は、少し難しく見えますが、ポイントは風速が下流ほど大きくなる領域では、空気が等高度線を横切るという点です。

■ (a)寒帯前線ジェット気流の高度と季節変化

(a)は、寒帯前線ジェット気流の特徴について述べています。

ジェット気流には、代表的なものとして寒帯前線ジェット気流亜熱帯ジェット気流があります。

寒帯前線ジェット気流は、中緯度の寒気と暖気の境目付近に現れやすいジェット気流です。

一方、亜熱帯ジェット気流は、より低緯度側で、一般により高い高度に現れます。

ここがポイント!

寒帯前線ジェット気流

亜熱帯ジェット気流より高度が低め
冬季に強まりやすい

冬季は南北の温度差が大きくなるため、温度風の関係から上空の西風も強くなりやすくなります。

そのため、寒帯前線ジェット気流は冬季に最も強くなります。

したがって、(a)は正しいです。

■ (b)ジェット気流の加速域と等高度線を横切る流れ

(b)は、ジェット気流の風速が下流ほど大きくなっている領域について述べています。

ジェット気流の風速が下流に向かって大きくなる領域は、ジェット気流の入口部、つまり加速域にあたります。

このような領域では、空気の流れは完全な地衡風ではなくなり、等高度線を少し横切る流れが生じます。

等高度線を横切るイメージ

風速が下流ほど大きい

加速が必要

地衡風からずれる

高度の高い側から低い側へ横切る

等圧面天気図では、空気は基本的には等高度線に沿って流れます。

しかし、加速域では風速を増すために、地衡風からのずれが生じ、等高度線を高度の高い側から低い側へ横切ることが多くなります。

したがって、(b)は正しいです。

■ (c)偏西風の蛇行と上層寒冷低気圧

(c)は、ジェット気流の南北への蛇行が大きくなった場合について述べています。

偏西風は、常にまっすぐ西から東へ吹いているわけではありません。

大きく南北に蛇行することがあります。

この蛇行が大きくなると、南へ垂れ下がった気圧の谷が、偏西風帯から切り離されることがあります。

その結果、低緯度側に上層の寒冷低気圧が形成されることがあります。

ここがポイント!

偏西風が大きく蛇行

トラフが南へ深まる

切り離される

上層寒冷低気圧

イメージ図

ジェット気流の蛇行と上層寒冷低気圧のイメージ

したがって、(c)は正しいです。

■ 選択肢の確認表

記号 内容 正誤 判断ポイント
(a) 寒帯前線ジェット気流は、亜熱帯ジェット気流より高度が低く、冬季に最も強い 南北温度差が大きい冬季に強まりやすい
(b) 風速が下流ほど大きい領域では、高度の高い側から低い側へ等高度線を横切る 加速域では地衡風からのずれが生じる
(c) 蛇行が大きくなると、低緯度側に切り離された上層寒冷低気圧ができることがある 深まったトラフが切り離されるため

■ 受験生がつまずくポイント

1. 寒帯前線ジェットと亜熱帯ジェットを混同する

寒帯前線ジェット気流は、亜熱帯ジェット気流より一般に高度が低く、寒気と暖気の境目付近に現れます。

まずはざっくり、

寒帯前線ジェット:中緯度・低め
亜熱帯ジェット:低緯度側・高め

と整理しておきましょう。

2. 冬に強まる理由を丸暗記で終わらせる

寒帯前線ジェット気流は、冬季に南北の温度差が大きくなるため強まります。

温度差が大きいほど、上空の西風も強まりやすい、という流れで理解しておくと忘れにくくなります。

3. (b)の「高度の高い側から低い側」がイメージしにくい

等圧面上では、基本的には等高度線に沿って風が吹きます。

しかし、ジェット気流の加速域では、風速を増すために地衡風からずれ、等高度線を横切る成分が出ます。

このとき、高度の高い側から低い側へ横切ることが多い、と押さえておきましょう。

4. 上層寒冷低気圧の形成過程が見えにくい

上層寒冷低気圧は、偏西風の蛇行が大きくなり、南へ深まったトラフが切り離されることで形成されることがあります。

蛇行

トラフ深化

切離

上層寒冷低気圧

■ まとめ

  • (a)寒帯前線ジェット気流は、亜熱帯ジェット気流より一般に高度が低く、冬季に最も強くなるため正しい
  • (b)ジェット気流の加速域では、等高度線を高度の高い側から低い側へ横切ることが多いため正しい
  • (c)偏西風の蛇行が大きくなると、低緯度側に切り離された上層寒冷低気圧が形成されることがあるため正しい

正解は①

(a)正・(b)正・(c)正

この問題で必ず押さえたいこと

ジェット気流の問題では、位置・季節変化・流れの向き・蛇行の結果をセットで押さえることが重要です。

寒帯前線ジェットは冬に強い
加速域では等高度線を横切る
蛇行が大きいと上層寒冷低気圧ができる

特に、偏西風の蛇行から上層寒冷低気圧が切り離されるイメージは、実技試験の読図にもつながる重要ポイントです。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第64回 専門知識 問9の解説でした!

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