【第64回 気象予報士試験 一般知識】問10 成層圏突然昇温(SSW)をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第64回 気象予報士試験 一般知識 問10を解説します!
この問題は、近年ニュースでも耳にすることが増えた成層圏突然昇温(SSW:Sudden Stratospheric Warming)についての問題です。
受験生がつまずきやすいのは、
- なぜ冬の成層圏では西風が吹いているのか
- なぜ急激に気温が上がるのか
- なぜ上層から昇温が始まるのか
という点です。
この問題で重要なポイント
- 冬の成層圏では極夜渦の周囲に西風が卓越する
- プラネタリー波が成層圏へ伝わると極夜渦を弱める
- 下降流による断熱圧縮で気温が上昇する
- 成層圏突然昇温は上層から始まる
- キーワードは「西風・断熱圧縮・上層」
■ 問題文
北半球の成層圏について述べた次の文章の空欄(a)〜(c)に入る語句の組み合わせとして適切なものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
北半球の成層圏では、寒候期には極夜渦と呼ばれる北極付近を中心とした循環が存在し、中高緯度では(a)が卓越している。この風の領域に対流圏内で発生したプラネタリー波が伝播してくると、高緯度側で大規模な下降流が発生し、これにともない(b)により気温が短期間に急上昇することがある。この現象は成層圏突然昇温と呼ばれ、この昇温は成層圏突然昇温と呼ばれ、この昇温は(c)ほど早く始まる。
| (a) | (b) | (c) | |
|---|---|---|---|
| ① | 西風 | 断熱圧縮 | 上層 |
| ② | 西風 | 断熱圧縮 | 下層 |
| ③ | 西風 | 断熱膨張 | 下層 |
| ④ | 東風 | 断熱圧縮 | 上層 |
| ⑤ | 東風 | 断熱膨張 | 下層 |
■ 解答
①
■ 解き方の方針
この問題は成層圏突然昇温の流れを理解しているかどうかで決まります。
冬の成層圏
↓
極夜渦+西風
↓
プラネタリー波が侵入
↓
下降流発生
↓
断熱圧縮
↓
成層圏突然昇温
この流れを押さえれば解けます。
■ (a) 冬の成層圏で卓越する風
(a)は西風です。
北半球の冬の成層圏では、北極付近に極夜渦(ポーラーボルテックス)が形成されます。
極夜渦の周囲には強い偏西風帯が存在します。
そのため中高緯度の成層圏では、
西風が卓越
しています。
受験生がつまずきやすいポイント
「高緯度だから東風では?」と考えてしまうことがあります。
しかし問題は冬の成層圏です。
冬の成層圏では極夜渦の周囲に強い西風が吹いています。
冬の成層圏
= 西風
で覚えましょう。
■ プラネタリー波とは?
ここが受験生にとって最もイメージしにくい部分です。
プラネタリー波(ロスビー波)は、大陸や山脈、海陸分布などによって作られる地球規模の大気の波です。
代表例として、
- ヒマラヤ山脈
- ロッキー山脈
- ユーラシア大陸と太平洋の温度差
などが波を発生させます。
この波が成層圏へ伝わると、極夜渦を乱してしまいます。
■ (b) なぜ気温が急上昇するのか
(b)は断熱圧縮です。
プラネタリー波によって極夜渦が弱められると、高緯度成層圏で下降流が発生します。
下降する空気は周囲の気圧が高くなるため圧縮されます。
すると、
下降
↓
圧縮
↓
昇温
が起こります。
これが断熱圧縮です。
したがって(b)は断熱圧縮になります。
ここが超重要!
受験生は「下降流=冷える」と誤解することがあります。
実際は逆です。
上昇 → 断熱膨張 → 冷却
下降 → 断熱圧縮 → 昇温
このセットは頻出です。
■ (c) なぜ上層から昇温するのか
(c)は上層です。
成層圏突然昇温では、まず成層圏上部で波の影響が強く現れます。
そのため下降流による断熱圧縮も上層から始まります。
観測でも、
- 30km付近
- その後20km付近
- さらに下層
というように、昇温は上から下へ広がっていきます。
したがって、
上層ほど早く昇温する
が正解です。
生徒が最も疑問に感じるポイント
「下降流なら下層から暖まるのでは?」
と考えてしまう人が多いです。
しかし下降流そのものが上層で先に始まるため、昇温も上層から始まります。
ここは丸暗記でも構いません。
成層圏突然昇温
= 上層から始まる
で覚えましょう。
■ 選択肢ごとの解説
① 正しい
(a)西風、(b)断熱圧縮、(c)上層で正しい組み合わせです。
② 誤り
(c)が誤りです。 昇温は下層ではなく上層から始まります。
③ 誤り
(b)(c)が誤りです。 下降流では断熱膨張ではなく断熱圧縮が起こります。
④ 誤り
(a)が誤りです。 冬の成層圏では東風ではなく西風が卓越します。
⑤ 誤り
(a)(b)(c)すべて誤りです。
■ 選択肢の確認表
| 空欄 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 西風 | 冬の成層圏では極夜渦周辺に偏西風が卓越 |
| (b) | 断熱圧縮 | 下降流により空気が圧縮され昇温する |
| (c) | 上層 | 昇温は上層から始まり下方へ伝わる |
■ まとめ
- 冬の成層圏では西風が卓越する
- プラネタリー波が極夜渦を乱す
- 下降流による断熱圧縮で急昇温する
- これを成層圏突然昇温(SSW)という
- 昇温は上層から始まる
正解は①
この問題で必ず押さえたいこと
冬の成層圏
↓
西風卓越
↓
プラネタリー波侵入
↓
下降流
↓
断熱圧縮
↓
成層圏突然昇温
この流れを丸ごと覚えてしまうのがおすすめです。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第64回 一般知識 問10の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
