【第63回 気象予報士試験 実技1】問5を徹底解説|スコールライン・メソハイ・ガストフロント・突風率
こんにちは!今回は第63回 気象予報士試験 実技1 問5を解説します!
今回の問5では、
- スコールラインの特徴
- メソハイ(雷雨性高気圧)
- 850hPa高温域
- エコー移動速度の計算
- 突風率
- ガストフロント通過時の気圧・気温変化
- 積乱雲に伴う危険現象
など、「組織化した積乱雲」に関する重要テーマがまとめて出題されています。
特に、
- 線状降水帯との違い
- 寒冷前線との違い
- なぜ気圧が急上昇するのか
は実技試験で非常によく問われます。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問5(1) 地上気圧場と850hPa気温場
模範解答
地上気圧:陸上のエコー域付近は相対的な高圧部となっている。
850hPa気温:陸上のエコー域付近は相対的な高温域となっている。
◇ 解説
図9と図10を見ると、強い降水エコー域の周辺に特徴的な構造があります。
地上では「高圧部」
通常、積乱雲が発達すると、
- 雨粒の蒸発
- 下降流
- 冷気の流出
が発生します。
この冷たい空気は重いため、地表付近にたまると、
局地的な高圧部
を形成します。
これが、
メソハイ(雷雨性高気圧)
です。
メソハイとは?
積乱雲の下降流による冷気塊で形成される局地的高圧部。
スコールラインやダウンバーストでよく現れる。
つまずきポイント
「低気圧の中なのに高圧?」と混乱しやすいです。
ここでいう高圧は、
局地的なメソスケール高圧
です。
総観場全体の低気圧とは別物です。
850hPaでは「高温域」
一方、850hPa面ではエコー域付近が相対的高温域になっています。
積乱雲内部では、
- 水蒸気の凝結
- 潜熱放出
によって空気が暖められます。
そのため、中層では周囲より暖かい空気塊が形成されます。
つまり、
- 地上:冷気 → 高圧
- 850hPa:潜熱加熱 → 高温
という鉛直構造になります。
記述式解答のポイント:分布型
どこで:陸上のエコー域付近で
なぜ:下降流による冷気塊、凝結潜熱による加熱
何が起きている:地上では高圧部、850hPaでは高温域
■ 問5(1)まとめ
- 積乱雲下では冷気塊によりメソハイが形成される
- 地上では相対的高圧部になる
- 850hPaでは潜熱加熱により高温域になる
- これは組織化した積乱雲の典型構造
■ 問5(2) エコー域の移動速度と通過時間
模範解答
① 70km/h
② 10分
◇ 解説
① エコー域の移動速度
問題文より、
- 18:00時点のエコー位置
- 18:40に東端が御前崎到達
が与えられています。
図11から距離を読むと、
約47km
移動しています。
移動時間は40分なので、
47 ÷ (40/60)
を計算します。
≒ 70km/h
となります。
計算でつまずきやすいポイント
40分をそのまま40で割ってしまうミスが非常に多いです。
速度は、
km ÷ h
なので、
40分 = 40/60時間
に直してから計算します。
② 通過時間
エコー帯の東西幅は約10km程度です。
移動速度は70km/hなので、
10 ÷ 70 ≒ 0.14時間
です。
これを分へ直すと、
約8〜9分
となります。
5分刻み指定なので、
10分
が正解です。
ここが重要!
今回のエコー帯は、
- 高速移動
- 短時間通過
という特徴があります。
これは後で出てくる 「スコールライン」 の重要な特徴です。
■ 問5(3) 突風率・気温変化・気圧変化
模範解答
① 18時40分、突風率2.1
② 気温:エコー域到達で急降下し、その後低温状態が続いた後に上昇した。
気圧:エコー域到達時に急上昇し、その後下降してほぼ元に戻った。
◇ 解説
① 突風率
突風率は、
瞬間最大風速 ÷ 平均風速
です。
18:40では、
- 平均風速:約11m/s
- 瞬間最大風速:約23m/s
なので、
23 ÷ 11 ≒ 2.1
となります。
したがって、
18時40分・突風率2.1
です。
超重要!
突風率2を超えると、かなり危険な突風環境です。
ダウンバーストやガストフロント通過時によく見られます。
② 気温変化
エコー域到達時、
気温が急降下
しています。
これは、
- 降水蒸発冷却
- 下降流
- 冷気外出流
によるものです。
その後もしばらく低温状態が続き、冷気塊通過後に再び上昇しています。
③ 気圧変化
一方、気圧はエコー到達時に急上昇しています。
これは、
メソハイ通過
によるものです。
冷気は重いため、地表気圧を一時的に押し上げます。
その後、冷気塊が通過すると気圧は再び下降します。
この組み合わせが超重要!
- 気温急降下
- 気圧急上昇
- 突風
これは典型的な ガストフロント通過 のサインです。
寒冷前線との違い
通常の寒冷前線なら、
- 前線通過前:気圧低下
- 通過後:気圧上昇
です。
今回はエコー到達時に急上昇しているため、 メソハイ と判断できます。
■ 問5(4) エコー域の正体
模範解答
スコールライン
◇ 解説
今回のエコー域は、
- 線状
- 高速移動
- 突風
- 気圧急上昇
- 短時間通過
という特徴があります。
これは、
スコールライン
の典型特徴です。
スコールラインとは?
積乱雲が線状に組織化した対流系。
- 突風
- 雷
- 短時間強雨
- 高速移動
を伴いやすい。
線状降水帯との違い
線状降水帯は、
- 停滞性
- 長時間豪雨
- バックビルディング
が特徴です。
しかし今回のエコー帯は、
70km/hで高速移動
しています。
さらに御前崎では10分程度しか継続していません。
したがって、線状降水帯ではありません。
頻出比較!
- スコールライン → 高速移動
- 線状降水帯 → 停滞
この違いは超頻出です。
■ 問5(5) 積乱雲で警戒する現象
模範解答
雷、竜巻、ダウンバースト、ガストフロント、降ひょう
◇ 解説
積乱雲では、雨以外にも多くの危険現象が発生します。
① 雷
積乱雲内では氷晶と水滴の衝突により電荷分離が起き、雷放電が発生します。
② 竜巻
積乱雲下で渦が発達すると竜巻になります。
特にシアーが強い環境で発生しやすくなります。
③ ダウンバースト
降水蒸発冷却で強化された下降流が地表へ激突し、放射状に広がる突風です。
④ ガストフロント
ダウンバーストの冷気外出流先端です。
風向急変・気温急低下・気圧急上昇を伴います。
⑤ 降ひょう
強い上昇流で氷粒子が成長すると、ひょうになります。
積乱雲で警戒するもの
- 雷
- 突風
- 竜巻
- ダウンバースト
- ガストフロント
- 降ひょう
■ 問5 全体まとめ
- 積乱雲下ではメソハイによる局地高圧が形成される
- 850hPaでは潜熱加熱で高温域となる
- エコー域は70km/hで高速移動している
- 御前崎での通過時間は約10分
- 18:40に突風率2.1を記録
- 気温急低下・気圧急上昇はガストフロントの特徴
- エコー域の正体はスコールライン
- 積乱雲では雷・突風・竜巻・降ひょうなどに警戒
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第63回 気象予報士試験 実技1 問5の解説でした!
独学資格塾では、単なる模範解答だけでなく、「受験生がどこでつまずくのか?」を重視して解説しています。
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