【第62回 気象予報士試験 実技1】問4を徹底解説|温度風・暖気移流・地形性上昇・対流不安定
こんにちは!今回は第62回 気象予報士試験 実技1 問4を解説します!
今回の問4では、
- 温度風ベクトル
- 暖気移流
- 風の鉛直シア
- 地形による強制上昇
- 対流不安定
- 豪雨発生時の大気構造
など、実技試験で非常に重要な 「豪雨をもたらす大気構造」 が問われています。
特に、
- 暖気移流
- 上昇流
- 対流不安定層の拡大
がセットで強まると、豪雨につながりやすいことを理解しておくことが重要です。
実技試験記述5型
基本セット:どこで(場所・高さ・時刻)+ なぜ(原因・背景場)+ 何が起きている(現象)
- 分布型:「A側では○○であり、一方B側では△△となっている。」
- 時間変化型:「◯時にはAであったが、△時にはBとなり、AからBへと変化した。」
- メカニズム型:「〜ため、□□が強まり、その結果△△となる。」
- リスク型:「〜ため、◯◯のおそれがあり、△△への注意・警戒が必要である。」
- 構造型:「◯◯付近の◇◇hPaで気温減率が小さい安定層の上端となっており、ここが前線面に対応する。」
記述式問題の考え方はこちらの記事も参考にしてください!
⇒ 【実技試験講義No.1】気象予報士試験実技試験記述5型 – 独学資格塾
■ 問4(1) 温度風ベクトルの作図
問題の要点
尾鷲上空の950hPa風・800hPa風を用いて、温度風ベクトルを作図する問題です。
模範解答
◇ 解説
温度風とは、
上層風 − 下層風
で表されるベクトルです。
つまり、
- 950hPa風
- 800hPa風
の差を図示したものになります。
12日18時
- 950hPa:南東10kt
- 800hPa:南南西25kt
となっています。
13日3時
- 950hPa:南東30kt
- 800hPa:南南西50kt
となっています。
作図では、
- 950hPa風 → 実線
- 800hPa風 → 破線
- 温度風 → 二重線矢印
で区別します。
温度風の描き方
- 下層風ベクトルを描く
- 上層風ベクトルを描く
- 下層風の先端から上層風の先端へ矢印を引く
超重要
温度風は「風そのもの」ではありません。
風の鉛直シア(風の差)を表しています。
■ 問4(1)まとめ
- 温度風 = 上層風 − 下層風
- 風の鉛直シアを表す
- 下層風の先端から上層風の先端へ描く
■ 問4(2) 高温側と温度風の強さ
問題の要点
温度風ベクトルから高温側を判定し、さらにどちらの時刻で温度風が強いかを答える問題です。
模範解答
①
12日18時:南東
13日3時:南東
②
13日3時
理由:13日3時の方が温度風(風の鉛直シア)が強いため
◇ 解説
① 高温側の判定
北半球では、
温度風の右側が高温側
です。
今回の温度風ベクトルを見ると、どちらの時刻でも高温側は南東になります。
受験生が超混乱するポイント
北半球では、
- 温度風の右側 → 高温側
- 温度風の左側 → 低温側
です。
左右を逆に覚えないよう注意しましょう。
② 温度風の強さ比較
13日3時の方が、
- 下層風が強い
- 上層風も強い
- 風速差が大きい
ため、温度風ベクトルが長くなっています。
つまり、
13日3時の方が暖気移流が強い
ことを意味します。
重要な理解
温度風が強い
↓
風の鉛直シアが強い
↓
暖気移流・寒気移流が強い
↓
上昇流が強まりやすい
■ 問4(2)まとめ
- 高温側は温度風の右側
- どちらの時刻も高温側は南東
- 13日3時の方が温度風が強い
- 暖気移流も13日3時の方が強い
■ 問4(3) 上昇流の分布と原因
問題の要点
尾鷲付近の上昇流分布の特徴と、その原因を答える問題です。
模範解答
① 山頂から見て風上側の斜面を中心に上昇流が分布する。
② 地形による強制上昇
◇ 解説
尾鷲周辺では、南東風が紀伊山地へ吹き込んでいました。
そのため、
風上側斜面
で空気が持ち上げられます。
この結果、強い上昇流が形成されます。
つまり、豪雨の原因は
地形による強制上昇
です。
記述式解答のポイント:メカニズム型
どこで:山頂から見て風上側斜面で
なぜ:地形による強制上昇
何が起きている:上昇流が形成されている
超重要
尾鷲は豪雨頻発地点として超有名です。
理由は、
- 暖湿気流
- 紀伊山地
- 地形性強制上昇
がそろうためです。
■ 問4(3)まとめ
- 上昇流は風上側斜面で強い
- 原因は地形による強制上昇
- 南東風が紀伊山地へ吹き込んでいる
■ 問4(4) 対流不安定層
問題の要点
13日3時の対流不安定層の上端・下端、および判定根拠を答える問題です。
模範解答
上端:800hPa
下端:900hPa
着目した特徴:相当温位が上方に向かって低くなっている。
◇ 解説
対流不安定とは、
高度とともに相当温位が低下する状態
です。
つまり、
- 下層 → 高相当温位
- 上層 → 低相当温位
となっています。
13日3時の尾鷲上空では、900〜800hPa付近で相当温位が高度とともに低下していました。
したがって、
- 下端:900hPa
- 上端:800hPa
となります。
記述式解答のポイント:構造型
どこで:900〜800hPa付近で
なぜ:相当温位が高度とともに低下しているため
何が起きている:対流不安定となっている
つまずきポイント
「気温」ではなく、
相当温位
を見る点が重要です。
■ 問4(4)まとめ
- 対流不安定 = 相当温位が上方で低下
- 13日3時は900〜800hPaで対流不安定
- 豪雨時には不安定層が厚くなる
■ 問4(5) 穴埋め問題
模範解答
① 暖気
② 強い
③ 上昇
④ 強い
⑤ 350
⑥ 厚い
◇ 解説
この問題は、問4全体の総まとめです。
①② 暖気移流
12日18時・13日3時とも暖気移流でした。
ただし、
13日3時の方が温度風が強い
ため、暖気移流も強くなっています。
③④ 上昇流
13日3時には、下層から上層まで上昇流が広がっていました。
また、その強さも18時より増しています。
⑤⑥ 対流不安定層
13日3時には、対流不安定層の厚さが約350hPaまで拡大していました。
つまり、
- 暖気移流強化
- 上昇流強化
- 不安定層拡大
が同時に起きていたことになります。
豪雨発生の典型パターン
- 暖湿気流が流入
- 暖気移流が強化
- 地形性上昇が発生
- 対流不安定層が厚くなる
- 強い上昇流が形成
- 豪雨になる
■ 問4 全体まとめ
- 温度風は風の鉛直シアを表す
- 13日3時の方が暖気移流が強い
- 高温側は温度風の右側
- 尾鷲では地形による強制上昇が発生
- 対流不安定層は900〜800hPa
- 豪雨時には暖気移流・上昇流・不安定層が強化される
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第62回 気象予報士試験 実技1 問4の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
