【第60回 気象予報士試験 専門知識】問13 冬季の気象災害をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第60回気象予報士試験 専門知識 問13を解説します!
この問題は、日本で冬季に発生しやすい着雪・なだれ・冬季雷についての問題です。
どれも冬の災害として重要ですが、特にひっかかりやすいのは、全層なだれの発生時期と日本海側の冬の雷です。
この問題で重要なポイント
- 着雪は、湿った雪が電線や樹木などに付着する現象
- 着雪は豪雪地帯だけでなく、温帯低気圧による降雪でも発生する
- なだれは表層なだれと全層なだれに分類される
- 全層なだれは、厳冬期よりも春先の融雪期に発生しやすい
- 日本海側では、冬にも雷が多く発生する
- 冬季雷は一発雷とも呼ばれ、エネルギーが大きいことがある
- 「冬は雷がほとんどない」と考えると誤りやすい
■ 問題文
日本で主に冬季に発生する気象災害について述べた次の文(a)〜(c)の下線部の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 湿った雪が降ると鉄道や電力の施設への着雪害が発生することがある。着雪害は、豪雪地域のみならず、温帯低気圧に伴う降雪によりそれ以外の地域でも発生することがある。
(b) なだれはその発生形態から、表層なだれと全層なだれに分類される。全層なだれは、積雪が多くなる1月から2月の厳冬期に発生することが多い。
(c) 日本海側では、雷日数は冬の方が夏より少なく、冬に雷害はほとんど発生しない。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) |
|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 正 |
| ② | 正 | 誤 | 正 |
| ③ | 正 | 誤 | 誤 |
| ④ | 誤 | 正 | 誤 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 誤 |
■ 解答
③
(a) 正
(b) 誤
(c) 誤
■ 解き方の方針
この問題は、冬季災害を次の3つに分けて整理します。
着雪害
↓
湿った雪が付着する災害
なだれ
↓
表層なだれ・全層なだれ
冬季雷
↓
日本海側で注意が必要
特に、全層なだれ=積雪が多い厳冬期と考えてしまうと(b)でひっかかります。
■ (a) 着雪害は豪雪地域以外でも発生するか
(a)は正しいです。
着雪害は、湿った雪が電線、鉄道施設、樹木などに付着することで発生します。
湿った雪は重いため、電線や樹木に付着すると、断線や倒木、交通障害などにつながることがあります。
着雪害のイメージ
湿った雪
↓
電線・鉄道施設・樹木に付着
↓
重みで障害発生
着雪害は豪雪地域だけでなく、温帯低気圧に伴う降雪によって、関東や関西など普段大雪が少ない地域でも発生することがあります。
したがって、(a)は正しいです。
■ (b) 全層なだれは1月〜2月の厳冬期に多いか
(b)は誤りです。
なだれには、主に表層なだれと全層なだれがあります。
表層なだれは、積雪の表面付近の層がすべるなだれです。 一方、全層なだれは、積雪全体が地面との境界からすべり落ちるなだれです。
ここがひっかけです。
積雪が多い1〜2月
↓
全層なだれが多い
ではない
全層なだれは、気温上昇や雨などによって雪解けが進み、積雪と地面の間に水が入りやすくなる春先の融雪期に発生しやすいです。
したがって、「1月から2月の厳冬期に発生することが多い」という(b)は誤りです。
■ (c) 日本海側では冬に雷害はほとんど発生しないか
(c)は誤りです。
日本海側では、冬にも雷が発生します。 むしろ、地域によっては冬季の雷日数が多くなることがあります。
冬の日本海側では、寒気が暖かい日本海上を通過することで大気の状態が不安定になり、積乱雲が発達しやすくなります。
日本海側の冬季雷
強い寒気
↓
比較的暖かい日本海上を通過
↓
大気が不安定
↓
積乱雲が発達
↓
冬季雷
冬季雷は「一発雷」と呼ばれることもあり、発生回数は少なくても1回の落雷エネルギーが大きいことがあります。
したがって、「冬に雷害はほとんど発生しない」という(c)は誤りです。
■ 選択肢確認表
| 項目 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 正 | 着雪害は豪雪地域だけでなく、温帯低気圧に伴う湿った雪でも発生することがあるため。 |
| (b) | 誤 | 全層なだれは厳冬期よりも、春先の融雪期に発生しやすいため。 |
| (c) | 誤 | 日本海側では冬にも雷が発生し、冬季雷による雷害も起こりうるため。 |
以上より、正しい組み合わせは③です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 着雪害を豪雪地帯だけの災害だと思ってしまう
着雪害は、雪の量だけでなく雪質が重要です。
湿った雪が降れば、普段雪が少ない地域でも電線や交通機関に被害が出ることがあります。
2. 全層なだれを「積雪が多い時期」に結びつけてしまう
全層なだれは、積雪全体が地面からすべる現象です。
雪解け水が関係するため、厳冬期よりも春先の融雪期に多いと整理しましょう。
3. 表層なだれと全層なだれの違いがあいまいになる
表層なだれは積雪の一部がすべる現象、全層なだれは積雪全体が地面からすべる現象です。
「どの層がすべるのか」で区別すると覚えやすいです。
4. 雷は夏の現象だと思ってしまう
雷は夏の積乱雲だけで発生するわけではありません。
冬の日本海側では、寒気の吹き出しによって積乱雲が発達し、雷が発生することがあります。
5. 「冬の雷は少ない=危険性も低い」と考えてしまう
冬季雷は発生回数が多くなくても、1回のエネルギーが大きいことがあります。
そのため、冬の日本海側では雷害にも注意が必要です。
■ まとめ
- 着雪害は、湿った雪が施設などに付着して発生する
- 着雪害は豪雪地域以外でも発生することがある
- 全層なだれは、1〜2月の厳冬期よりも春先の融雪期に多い
- 日本海側では冬にも雷が発生する
- 冬季雷は一発雷とも呼ばれ、雷害をもたらすことがある
正解は③
(a) 正
(b) 誤
(c) 誤
この問題で必ず押さえたいこと
湿った雪
↓
着雪害
↓
豪雪地域以外でも発生
全層なだれ
↓
積雪全体がすべる
↓
春先の融雪期に多い
日本海側の冬
↓
寒気の吹き出し
↓
積乱雲発達
↓
冬季雷
冬季災害の問題では、「冬だから」「雪だから」と一括りにせず、発生条件と季節の違いを整理して判断しましょう。
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第60回 専門知識 問13の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
