【第59回 気象予報士試験 一般知識】問11 エルニーニョ現象の海洋・大気の特徴をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第59回気象予報士試験 一般知識 問11を解説します!

この問題は、エルニーニョ現象発生時の海面水温、貿易風、対流活動、海面気圧の特徴を問う問題です。

ポイントは、エルニーニョを「東部太平洋の海面水温が高くなる現象」とだけ覚えず、太平洋全体の東西循環がどう変わるかで理解することです。

この問題で重要なポイント

  • エルニーニョ時は、太平洋赤道域の中部〜東部で海面水温が高くなる
  • インドネシア近海では、海面水温は平年より低くなりやすい
  • 太平洋赤道域の東風、つまり貿易風は弱まる
  • インドネシア近海では対流活動が弱まり、降水量が少なくなりやすい
  • ダーウィンでは海面気圧が平年より高くなりやすい
  • タヒチでは海面気圧が平年より低くなりやすい
  • エルニーニョは、海洋だけでなく大気の循環変化もセットで考える

■ 問題文

エルニーニョ現象発生時の平均的な海洋や大気の特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a)インドネシア近海から日付変更線付近にかけての太平洋赤道域で、海面水温が平年に比べて上昇する。

(b)太平洋の赤道域で吹いている東風が、平年に比べて強くなる。

(c)太平洋赤道域のインドネシア近海で対流活動が強まり、この領域の降水量が平年に比べて多くなる。

(d)オーストラリア北部のダーウィンでは海面気圧が平年に比べて高く、南太平洋東部のタヒチでは平年に比べて低くなる。

選択肢 (a) (b) (c) (d)

■ 解答

(a)誤
(b)誤
(c)誤
(d)正

■ 解き方の方針

エルニーニョ現象は、まず平常時との違いで整理するとわかりやすいです。

平常時

貿易風が東から西へ吹く

暖かい海水が西側へ寄る

インドネシア近海で対流が活発

エルニーニョ時

貿易風が弱まる

暖水が東へ広がる

中部〜東部太平洋で海面水温上昇

インドネシア近海では対流が弱まる

この流れを押さえると、(a)〜(d)を一つずつ判断できます。

■ (a)インドネシア近海から日付変更線付近で海面水温が上昇するか

(a)では、インドネシア近海から日付変更線付近にかけての太平洋赤道域で、海面水温が平年に比べて上昇すると述べています。

これは誤りです。

エルニーニョ現象時に海面水温が平年より高くなるのは、主に太平洋赤道域の中部から東部です。

一方、インドネシア近海では、平年に比べて海面水温が低くなりやすく、対流活動も弱まります。

ここが受験生のつまずきポイントです

エルニーニョ

太平洋赤道域で海面水温上昇

では、インドネシア側も上がる?

そうではない

エルニーニョ時に特に高温になるのは、太平洋赤道域の中部〜東部です。 インドネシア近海では、むしろ対流が弱まりやすい側として整理します。

したがって、(a)は誤りです。

■ (b)太平洋赤道域の東風は強くなるか

(b)では、太平洋の赤道域で吹いている東風が、平年に比べて強くなると述べています。

これは誤りです。

平常時、太平洋赤道域では東風、つまり貿易風が吹いています。 この東風によって、暖かい海水は太平洋の西側へ吹き寄せられます。

しかしエルニーニョ時には、この東風が平年より弱まります。

エルニーニョ時の東風

平常時

東風が暖水を西へ押す

エルニーニョ時

東風が弱まる

暖水が中部〜東部太平洋へ広がる

したがって、「東風が強くなる」としている(b)は誤りです。

■ (c)インドネシア近海で対流活動が強まり、降水量が増えるか

(c)では、太平洋赤道域のインドネシア近海で対流活動が強まり、この領域の降水量が平年に比べて多くなると述べています。

これは誤りです。

エルニーニョ時には、暖かい海水や活発な対流の中心が、平年より東側へ移ります。

そのため、インドネシア近海では対流活動が弱まり、降水量が少なくなりやすいです。

対流活動の場所が東へ移る

エルニーニョ時

暖水域が中部〜東部太平洋へ広がる

対流活動の中心も東へ移る

インドネシア近海では対流が弱まる

降水量が少なくなりやすい

したがって、(c)は誤りです。

■ (d)ダーウィンで気圧が高く、タヒチで低くなるか

(d)では、オーストラリア北部のダーウィンでは海面気圧が平年に比べて高く、南太平洋東部のタヒチでは平年に比べて低くなると述べています。

これは正しいです。

エルニーニョ現象は、海面水温の変化だけでなく、大気の気圧配置の変化とも関係しています。 この大気側の変動が南方振動です。

エルニーニョ時には、インドネシアからオーストラリア北部付近では対流活動が弱まり、ダーウィン付近の海面気圧は平年より高くなりやすいです。

一方、太平洋中部〜東部側では対流活動が活発になりやすく、タヒチ付近の海面気圧は平年より低くなりやすいです。

エルニーニョ時の気圧分布

ダーウィン

対流活動が弱まりやすい

海面気圧は高め

タヒチ

相対的に対流活動が活発になりやすい

海面気圧は低め

したがって、(d)は正しいです。

■ 選択肢確認表

項目 判定 理由
(a) エルニーニョ時に海面水温が上昇する中心は太平洋赤道域の中部〜東部で、インドネシア近海では低くなりやすい
(b) エルニーニョ時には、太平洋赤道域の東風、つまり貿易風は平年より弱まる
(c) インドネシア近海では対流活動が弱まり、降水量が少なくなりやすい
(d) エルニーニョ時には、ダーウィンで海面気圧が高く、タヒチで海面気圧が低くなりやすい

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 「エルニーニョ=太平洋全体が高温」と考えてしまう

エルニーニョ時に高温になる中心は、太平洋赤道域の中部〜東部です。

インドネシア近海まで一様に高温になるわけではありません。 場所を区別して覚えることが大切です。

2. 東風が強まると考えてしまう

エルニーニョ時には、貿易風である東風が弱まります。

東風が弱まることで、西側に押し寄せられていた暖水が中部〜東部太平洋へ広がります。

3. インドネシア近海の対流活動を逆に覚える

エルニーニョ時には、対流活動の中心が東へ移ります。

そのため、インドネシア近海では対流活動が弱まり、降水量は少なくなりやすいです。

4. ダーウィンとタヒチの気圧変化を混同する

エルニーニョ時は、ダーウィンで気圧が高く、タヒチで気圧が低くなりやすいです。

ダーウィン:高い
タヒチ:低い

この組み合わせを、南方振動として押さえましょう。

5. 海洋と大気を別々に覚えてしまう

エルニーニョは、海面水温だけの現象ではありません。

貿易風、対流活動、降水、海面気圧まで連動して変化します。 「海が変わる → 大気の循環も変わる」とセットで整理しましょう。

■ まとめ

  • エルニーニョ時は、太平洋赤道域の中部〜東部で海面水温が高くなる
  • インドネシア近海では、海面水温が低くなりやすい
  • 太平洋赤道域の東風は平年より弱まる
  • インドネシア近海では対流活動が弱まり、降水量が少なくなりやすい
  • ダーウィンでは海面気圧が高くなりやすい
  • タヒチでは海面気圧が低くなりやすい
  • したがって、(a)(b)(c)は誤り、(d)は正しい

正解は⑤

(a)誤
(b)誤
(c)誤
(d)正

この問題で必ず押さえたいこと

エルニーニョ時

貿易風が弱まる

暖水が東へ広がる

中部〜東部太平洋で海面水温上昇

インドネシア近海

対流活動が弱まる

降水量が少ない

ダーウィンの気圧は高い

タヒチ側

気圧は低い

この問題では、エルニーニョを 海面水温・貿易風・対流活動・海面気圧が連動する現象 として整理することが大切です。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第59回 一般知識 問11の解説でした!

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