【第59回 気象予報士試験 一般知識】問10 成層圏の大気の特徴をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第59回気象予報士試験 一般知識 問10を解説します!

この問題は、成層圏の大気の特徴について問う問題です。

ポイントは、成層圏を「安定していて何も起こらない層」と考えすぎないことです。 成層圏にも突然昇温や準二年周期振動など、大規模な変動があります。

この問題で重要なポイント

  • 成層圏は安定しているが、大規模な擾乱がないわけではない
  • 成層圏突然昇温は、北半球冬季に重要な現象である
  • 準二年周期振動(QBO)も成層圏の代表的な変動である
  • 南半球の夏の成層圏20〜50km付近では、東風が卓越する
  • 北半球夏の成層圏では、北極周辺に低気圧ではなく高気圧が形成される
  • アリューシャン列島付近の成層圏上空の低気圧は、主に冬季に見られる
  • 成層圏下部の気温は、赤道付近が最も高いわけではない

■ 問題文

成層圏の大気の特徴について述べた次の文(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a)成層圏では、成層が安定なために大規模な擾乱はほとんど見られない。

(b)南半球の夏の成層圏の高度約20〜50kmでは、ほぼ全球で東風が卓越している。

(c)北半球の夏には、北極周辺に低気圧が位置し、アリューシャン列島の上空には高気圧が形成される。

(d)北半球の夏の下部成層圏で気温が最も高いのは赤道付近である。

選択肢 内容
(a)のみ正しい
(b)のみ正しい
(c)のみ正しい
(d)のみ正しい
すべて誤り

■ 解答

(b)のみ正しい

■ 解き方の方針

この問題は、成層圏の特徴を次の3つに分けて考えると整理しやすいです。

成層圏の安定度

安定だが、大規模変動はある

成層圏の風

夏半球では東風が卓越しやすい

成層圏の気圧配置・気温分布

季節差と緯度差が大きい

特に(a)は、「成層圏=安定=擾乱なし」と考えると引っかかります。 成層圏は対流圏のような活発な対流は起こりにくいですが、大規模な波動や突然昇温などは起こります。

■ (a)成層圏では大規模な擾乱はほとんど見られないか

(a)では、成層圏では成層が安定なために大規模な擾乱はほとんど見られないと述べています。

これは誤りです。

成層圏は、上ほど気温が高くなる安定な成層をしています。 そのため、対流圏のような激しい鉛直対流は起こりにくいです。

しかし、だからといって大規模な擾乱がほとんど見られないわけではありません。

成層圏にも大規模な変動がある

成層圏突然昇温

冬季成層圏の気温や風が大きく変化

準二年周期振動(QBO)

赤道成層圏の東風・西風が周期的に変化

「安定成層だから擾乱がない」と短絡的に考えると、この選択肢に引っかかります。

したがって、(a)は誤りです。

■ (b)南半球夏の成層圏20〜50kmでは東風が卓越するか

(b)では、南半球の夏の成層圏の高度約20〜50kmでは、ほぼ全球で東風が卓越していると述べています。

これは正しいです。

成層圏では、季節によって風向が大きく変わります。 夏半球の成層圏では、太陽放射を受ける極側が相対的に暖められ、温度場と風の関係から東風が卓越します。

夏半球の成層圏のイメージ

夏半球

極側が日射で暖められる

成層圏の温度分布が冬とは異なる

高度約20〜50kmで東風が卓越しやすい

南半球の夏は、南半球側が夏半球になります。 そのため、南半球夏の成層圏中層から上部では、東風が卓越します。

したがって、(b)は正しいです。

■ (c)北半球夏に北極周辺は低気圧、アリューシャン上空は高気圧か

(c)では、北半球の夏には、北極周辺に低気圧が位置し、アリューシャン列島の上空には高気圧が形成されると述べています。

これは誤りです。

北半球夏の成層圏では、北極周辺は日射によって暖められ、成層圏では高気圧性の場が形成されます。

一方、アリューシャン列島上空に見られる成層圏の低気圧、いわゆるアリューシャン高気圧ではなくアリューシャン低気圧は、主に北半球冬季に関係する現象です。

ここは季節を逆にしない

北半球夏

北極周辺は高気圧性

北半球冬

極渦やアリューシャン低気圧が重要

問題文は、北半球夏に「北極周辺に低気圧」「アリューシャン列島上空に高気圧」としており、成層圏の典型的な季節構造と合いません。

したがって、(c)は誤りです。

■ (d)北半球夏の下部成層圏で最も高温なのは赤道付近か

(d)では、北半球の夏の下部成層圏で気温が最も高いのは赤道付近であると述べています。

これは誤りです。

下部成層圏の気温分布は、単純に「赤道付近が最も太陽に近いから高温」とはなりません。

赤道付近では対流圏界面が高く、下部成層圏の気温は低くなりやすいです。 一方、夏半球の高緯度側では日射の影響もあり、下部成層圏が相対的に高温になります。

ここが受験生のつまずきポイントです

赤道付近

日射が強い

だから成層圏下部も一番高温?

そう単純ではない

対流圏界面の高さや成層圏の循環も関係するため、下部成層圏で赤道付近が最も高温とはいえません。

したがって、(d)は誤りです。

■ 選択肢確認表

項目 判定 理由
(a) 成層圏は安定しているが、成層圏突然昇温やQBOなどの大規模な変動がある
(b) 南半球夏の成層圏高度約20〜50kmでは、東風が卓越する
(c) 北半球夏の北極周辺は低気圧ではなく高気圧性で、アリューシャン上空の低気圧は主に冬季に重要
(d) 北半球夏の下部成層圏で、赤道付近が最も高温とはいえない

以上より、正しい選択肢はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 成層圏を「安定=何も起きない層」と考えてしまう

成層圏は安定成層なので、対流圏のような激しい対流は起こりにくいです。

しかし、成層圏突然昇温やQBOなど、大規模な変動は存在します。 「安定」と「擾乱がない」は同じではありません。

2. 東風・西風の季節変化を忘れる

成層圏の風は、季節によって大きく変わります。

夏半球の成層圏では東風が卓越しやすく、冬半球では西風が卓越しやすいと整理しておくと判断しやすくなります。

3. 北半球夏と冬の成層圏構造を逆にする

アリューシャン列島上空の成層圏の低気圧は、主に北半球冬季の現象として押さえます。

北半球夏では、北極周辺は低気圧性ではなく高気圧性の場になりやすいです。

4. 赤道付近が常に一番高温と考える

地表付近では赤道付近が高温というイメージが強いですが、下部成層圏では単純ではありません。

赤道付近は対流圏界面が高く、下部成層圏の気温は低くなりやすいです。

5. 「ほぼ全球で東風」という表現に不安になる

(b)の「ほぼ全球」という表現は少し強く見えますが、南半球夏の成層圏20〜50km付近では東風卓越として整理できます。

この問題では、他の選択肢が明確に誤りなので、(b)の正しさを軸に選びます。

■ まとめ

  • 成層圏は安定しているが、大規模擾乱がないわけではない
  • 成層圏突然昇温やQBOなどの変動がある
  • 南半球夏の成層圏高度約20〜50kmでは、東風が卓越する
  • 北半球夏の北極周辺は低気圧ではなく高気圧性になりやすい
  • アリューシャン列島上空の成層圏低気圧は、主に冬季に重要
  • 北半球夏の下部成層圏で、赤道付近が最も高温とはいえない

正解は②

(b)のみ正しい

この問題で必ず押さえたいこと

成層圏

安定成層
でも
大規模変動はある

代表例

成層圏突然昇温
QBO

夏半球の成層圏

東風が卓越しやすい

北半球夏

北極周辺は高気圧性

下部成層圏

赤道付近が常に最高温ではない

この問題では、成層圏を「静かで変化のない層」と考えず、 季節変化・風向・気温分布までセットで押さえることが大切です。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第59回 一般知識 問10の解説でした!

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