【第58回 気象予報士試験 専門知識】問4 メソスケール数値予報モデルの格子間隔・プリミティブ方程式をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第58回 気象予報士試験 専門知識 問4を解説します!

この問題は、強い降水を伴うメソスケール現象を数値予報モデルで予測するとき、格子間隔や方程式系、モデルで表現できる現象のスケールをどう考えるかを問う問題です。

受験生がつまずきやすいのは、「格子間隔を小さくすれば細かい現象を表現しやすくなる」という基本と、「モデルで表現できる現象は格子間隔そのものではなく、格子間隔の数倍以上」という点です。

この問題で重要なポイント

  • 強い降水を予測するには、格子間隔を小さくする必要がある。
  • メソスケール現象の予測には、プリミティブ方程式が用いられる。
  • 数値予報モデルで表現できる現象は、格子間隔そのものの大きさではない。
  • 一般に、表現できる現象のスケールは格子間隔の5〜8倍以上と考える。
  • 水平格子間隔5kmのモデルなら、表現対象はおおむね25〜40km以上の現象。
  • 局地的な低気圧や組織化された積乱雲群は、数十km規模以上の現象として扱える。
  • 「5kmモデルだから5kmの現象まで予測できる」と考えないことが重要。

■ 問題文

強い降水を伴うメソスケール現象を対象とする数値予報について述べた次の文章の空欄(a)〜(d)に入る語句または数値の組み合わせとして最も適切なものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

数値予報モデルを用いてメソスケールの現象による強い降水の予測精度を向上させるために、数値予報モデルの格子間隔を (a) とともに、(b) 方程式系が用いられている。

数値予報モデルで表現できる現象のスケールは、モデルの格子間隔の (c) 倍以上であることから、水平格子間隔が (d) kmの数値予報モデルの場合、予測対象とするのは局地的な低気圧や組織化された積乱雲群およびそれより大きなスケールの現象である。

選択肢 (a) (b) (c) (d)
小さくする非静力学2〜320
小さくする非静力学5〜85
小さくするプリミティブ5〜85
大きくするプリミティブ2〜320
大きくする非静力学2〜35

■ 解答

(a) 小さくする
(b) 非静力学
(c) 5〜8
(d) 5

■ 解き方の方針

この問題は、次の流れで考えると解けます。

強い降水

局地的・短時間の現象

細かい現象を表現したい

格子間隔を小さくする

メソスケール現象

鉛直加速度も無視しにくい

非静力学モデル

モデルで表現できるスケール

格子間隔の5〜8倍以上

特に重要なのは、水平格子間隔5kmのモデルでも、5kmの現象をそのまま表現できるわけではないという点です。

■ (a) 格子間隔は小さくするのか、大きくするのか

(a)は小さくするです。

強い降水を伴うメソスケール現象は、局地的で、時間的にも空間的にも変化が大きい現象です。

このような細かい現象を数値予報モデルで表現するには、モデルの水平格子間隔を小さくする必要があります。

格子間隔のイメージ

格子間隔が大きい

粗い表現

小さな現象はならされる

格子間隔が小さい

細かい表現

局地的な強雨を表現しやすい

したがって、強い降水の予測精度を向上させるためには、格子間隔を小さくする必要があります。

■ (b) 用いられる方程式系は非静力学か、プリミティブか

(b)は非静力学です。

メソスケール現象、特に強い降水や積乱雲を伴う現象では、鉛直方向の運動が重要になります。

静力学平衡を仮定すると、鉛直方向の加速度を無視することになります。

しかし、積乱雲のように強い上昇流・下降流を伴う現象では、鉛直加速度を無視しにくくなります。

ここが受験生のつまずきポイントです

「数値予報モデル=プリミティブ方程式」と覚えていると、ここで③を選びたくなります。

しかし、この問題は強い降水を伴うメソスケール現象が対象です。

強い降水

積乱雲・強い上昇流

鉛直加速度が重要

非静力学

したがって、(b)は非静力学です。

■ (c) 表現できる現象は格子間隔の何倍以上か

(c)は5〜8です。

数値予報モデルでは、格子点ごとに大気の状態を計算します。

しかし、格子間隔が5kmだからといって、5km規模の現象を十分に表現できるわけではありません。

現象としてきちんと表現するためには、複数の格子点でその構造を表す必要があります。

モデルで表現できるスケール

格子間隔そのもの

点と点の間隔

現象として表現するには

複数の格子点が必要

表現できる現象のスケール

格子間隔の5〜8倍以上

したがって、(c)は5〜8です。

■ (d) 水平格子間隔は何kmか

(d)は5kmです。

この文章は、局地的な低気圧や組織化された積乱雲群など、メソスケールの現象を対象にする数値予報モデルについて述べています。

水平格子間隔が5kmのモデルであれば、表現できる現象のスケールは格子間隔の5〜8倍以上です。

5km × 5〜8

25〜40km以上

つまり、数十km規模以上の局地的低気圧や組織化された積乱雲群を対象とする説明として自然です。

ここも引っかかりやすいポイントです

「2〜3倍」や「20km」という数字もそれらしく見えます。

しかし、メソスケールの強雨を扱うモデルでは、水平格子間隔5km、そして表現できる現象は格子間隔の5〜8倍以上というセットで押さえておくと判断しやすくなります。

■ 選択肢確認表

選択肢 判定 理由
(a)(b)はよいが、表現できるスケールを2〜3倍、格子間隔20kmとしている点が不適切。
格子間隔を小さくし、非静力学方程式系を用い、表現可能スケールは格子間隔の5〜8倍以上。水平格子間隔5kmも適切。
格子間隔5kmと5〜8倍はよいが、強い降水を伴うメソスケール現象では非静力学が適切。
強い降水を表現するには格子間隔を大きくするのではなく、小さくする必要がある。
非静力学と5kmはよいが、格子間隔を大きくする点と2〜3倍が不適切。

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 「細かい現象だから格子間隔を大きくする」と逆に考えてしまう

細かい現象を表現するには、格子間隔は小さくします。地図の解像度を上げるイメージで考えるとわかりやすいです。

2. プリミティブ方程式を選んでしまう

大規模な数値予報の基本としてプリミティブ方程式を覚えていると、③を選びたくなります。しかし、強い降水を伴うメソスケール現象では、非静力学がポイントです。

3. 「格子間隔5kmなら5kmの現象が表現できる」と思ってしまう

モデルで現象を表現するには複数の格子点が必要です。そのため、表現できる現象のスケールは格子間隔の5〜8倍以上と考えます。

4. 2〜3倍と5〜8倍で迷う

試験では、メソスケール数値予報モデルで表現できる現象のスケールは、格子間隔の5〜8倍以上という形で押さえておきましょう。

5. 20kmと5kmのどちらもそれらしく見える

強い降水を伴うメソスケール現象を対象にするなら、より細かい水平格子間隔が必要です。5kmモデルなら、25〜40km以上の現象を対象にできると考えます。

■ まとめ

  • 強い降水を伴うメソスケール現象を予測するには、格子間隔を小さくする。
  • 積乱雲などの強い鉛直運動を扱うため、非静力学方程式系が用いられる。
  • モデルで表現できる現象のスケールは、格子間隔の5〜8倍以上である。
  • 水平格子間隔5kmのモデルなら、おおむね25〜40km以上の現象が対象となる。
  • 局地的低気圧や組織化された積乱雲群は、このようなメソスケール現象に対応する。

正解は②

この問題で必ず押さえたいこと

強い降水

メソスケール現象

細かい表現が必要

細かい表現

格子間隔を小さくする

積乱雲・強い上昇流

鉛直加速度が重要

非静力学

表現できる現象

格子間隔の5〜8倍以上

水平格子間隔5km

25〜40km以上の現象

局地的低気圧・組織化された積乱雲群

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第58回 専門知識 問4の解説でした!

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