【第58回 気象予報士試験 専門知識】問2 二重偏波気象ドップラーレーダーをわかりやすく解説
こんにちは!今回は第58回 気象予報士試験 専門知識 問2を解説します!
この問題は、気象庁の二重偏波気象ドップラーレーダーによる降水観測について問う問題です。
二重偏波レーダーは、専門知識でよく出るテーマですが、受験生がつまずきやすいのは、位相差・振幅比・降水粒子の形・雨の強さの対応関係です。
特に、位相差から雨の強さ、振幅比から粒子の形という対応を逆に覚えてしまいやすいので注意が必要です。
この問題で重要なポイント
- レーダー電波は、雨粒などの水の中を進むと、空気中より伝搬速度が少し遅くなる。
- 二重偏波レーダーでは、水平偏波と垂直偏波を用いる。
- 水平偏波と垂直偏波の位相差から、雨の強さを推定できる。
- 水平偏波と垂直偏波の反射波の振幅比から、降水粒子の形を推定できる。
- 雨粒は落下中につぶれた形になりやすく、水平偏波と垂直偏波で反射のされ方が変わる。
- 位相差は、電波が進む途中でどれだけ遅れたかを見るイメージ。
- 振幅比は、戻ってきた反射波の強さの違いを見るイメージ。
■ 問題文
気象庁の二重偏波気象ドップラーレーダーによる降水の観測について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 気象レーダーから発射される電波は雨粒などの水の中を進むとき、雨粒などのない大気中を進むときと比べて伝搬速度が少し遅くなる。
(b) 水平偏波と垂直偏波の反射波の位相差から、雨の強さを推定することが可能である。
(c) 水平偏波と垂直偏波の反射波の振幅比から、降水粒子の形を推定することが可能である。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) |
|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 正 |
| ② | 正 | 正 | 誤 |
| ③ | 正 | 誤 | 誤 |
| ④ | 誤 | 正 | 正 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 正 |
■ 解答
①
(a) 正
(b) 正
(c) 正
■ 解き方の方針
この問題は、二重偏波レーダーで何を見ているのかを整理すれば解けます。
二重偏波レーダー
↓
水平偏波と垂直偏波を使う
位相差
↓
電波の進み方のズレ
↓
雨の強さを推定
振幅比
↓
反射波の強さの違い
↓
粒子の形を推定
つまり、この問題では、位相差=雨の強さ、振幅比=粒子の形という対応を正しく押さえることが重要です。
■ (a) 雨粒の中では電波の伝搬速度が遅くなるか
(a)は正しいです。
気象レーダーから発射される電波は、大気中を進み、雨粒などの降水粒子に当たって反射して戻ってきます。
このとき、電波が雨粒などの水の中を通ると、雨粒などがない大気中を進むときに比べて、伝搬速度が少し遅くなります。
電波の進み方のイメージ
空気中
↓
電波は速く進む
雨粒などの水の中
↓
電波の進み方が少し遅くなる
ここで大切なのは、雨粒が多いほど、電波の進み方に影響が出やすいということです。
この「電波の進み方のズレ」が、二重偏波レーダーで降水を詳しく見るための重要な情報になります。
したがって、(a)は正しいです。
■ (b) 位相差から雨の強さを推定できるか
(b)は正しいです。
二重偏波レーダーでは、水平偏波と垂直偏波を使って観測します。
雨粒は完全な球ではなく、落下中に横につぶれた形になりやすいです。
そのため、水平偏波と垂直偏波では、雨粒の中を進むときの影響の受け方が少し異なります。
この結果、水平偏波と垂直偏波の間に位相差が生じます。
位相差とは何を見るのか
水平偏波と垂直偏波
↓
雨粒の中で進み方に差が出る
進み方のズレ
↓
位相差
位相差が大きい
↓
雨粒の影響を強く受けている
↓
雨が強いと推定
特に、二重偏波レーダーでは、水平偏波と垂直偏波の位相差の変化を利用して、雨の強さを推定できます。
受験生がよく混同するのは、位相差と振幅比の役割です。
この問題では、位相差から雨の強さと判断します。
したがって、(b)は正しいです。
■ (c) 振幅比から降水粒子の形を推定できるか
(c)は正しいです。
水平偏波と垂直偏波では、降水粒子に当たったときの反射のされ方が異なります。
たとえば、雨粒は落下中に横に広がったような形になりやすいため、水平偏波と垂直偏波で反射波の強さに差が出ます。
この反射波の振幅の比を見ることで、降水粒子の形を推定することができます。
振幅比とは何を見るのか
水平偏波の反射波
+
垂直偏波の反射波
反射波の強さを比べる
↓
振幅比
振幅比を見る
↓
粒子が横長か、縦長か、球に近いか
↓
降水粒子の形を推定
この考え方は、二重偏波レーダーの大きな特徴です。
従来のレーダーでは主に反射の強さから降水の分布を見ていましたが、二重偏波レーダーでは、偏波ごとの違いを見ることで、粒子の形や雨の強さをより詳しく推定できます。
したがって、(c)は正しいです。
■ 選択肢確認表
| 項目 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 正 | 電波は雨粒などの水の中を進むとき、大気中を進むときより伝搬速度が少し遅くなる。 |
| (b) | 正 | 水平偏波と垂直偏波の反射波の位相差から、雨の強さを推定できる。 |
| (c) | 正 | 水平偏波と垂直偏波の反射波の振幅比から、降水粒子の形を推定できる。 |
以上より、正しい組み合わせは①です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 位相差と振幅比の役割を逆に覚えてしまう
この問題で最も多いミスは、位相差と振幅比の対応を逆にしてしまうことです。位相差は雨の強さ、振幅比は粒子の形と覚えましょう。
2. 位相差を「反射波の強さの差」と考えてしまう
位相差は、反射波の強さではなく、波の進み方・ズレに関する情報です。電波が雨粒の中を進むことで、水平偏波と垂直偏波に進み方の差が生じると考えると理解しやすくなります。
3. 振幅比を「雨の強さ」と結びつけてしまう
振幅比は、水平偏波と垂直偏波の反射波の強さの比です。雨粒の形によって反射のされ方が変わるため、粒子の形の推定に使われます。
4. 雨粒を完全な球だと思ってしまう
雨粒は落下中、特に大きくなるほど横につぶれた形になりやすいです。このため、水平偏波と垂直偏波で反射や伝搬の違いが生じます。
5. 「二重偏波」という言葉だけで難しく感じてしまう
難しく見えますが、試験で押さえるべきことはシンプルです。水平偏波と垂直偏波の違いを使って、雨の強さや粒子の形をより詳しく見る観測方法だと理解しましょう。
■ まとめ
- 二重偏波レーダーでは、水平偏波と垂直偏波を用いる。
- 電波は雨粒などの水の中を進むと、伝搬速度が少し遅くなる。
- 水平偏波と垂直偏波の位相差から、雨の強さを推定できる。
- 水平偏波と垂直偏波の振幅比から、降水粒子の形を推定できる。
- 位相差は「進み方のズレ」を見る。
- 振幅比は「反射波の強さの違い」を見る。
- (a)正、(b)正、(c)正。
正解は①
この問題で必ず押さえたいこと
二重偏波レーダー
↓
水平偏波と垂直偏波を使う
雨粒などの水の中
↓
電波の伝搬速度が少し遅くなる
位相差
↓
進み方のズレ
↓
雨の強さを推定
振幅比
↓
反射波の強さの比
↓
降水粒子の形を推定
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第58回 専門知識 問2の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
