【第58回 気象予報士試験 一般知識】問11 温室効果ガスの特徴をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第58回気象予報士試験 一般知識 問11を解説します!
この問題は、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロンなどの温室効果ガスについて問う問題です。
ポイントは、温室効果ガスを「全部同じように温暖化に効く」と覚えるのではなく、吸収する波長帯・発生源・1分子あたりの温室効果の強さを分けて整理することです。
この問題で重要なポイント
- 二酸化炭素は主に赤外放射を吸収する
- 太陽放射の極大付近は可視光付近であり、CO₂の主要吸収帯とは違う
- 二酸化炭素は化石燃料燃焼やセメント生産、森林伐採などで増加している
- メタンは湿地・水田・家畜・天然ガス採掘などから発生する
- 同じ分子数で比べると、メタンの温室効果はCO₂より大きい
- 一酸化二窒素は海洋・土壌・窒素肥料・工業活動などが発生源
- フロンなどのハロカーボン類は、少量でも温暖化への影響が大きい
■ 問題文
温室効果ガスについて述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a)二酸化炭素は、太陽放射のスペクトルの極大付近の波長帯に強い吸収帯を持ち、その大気中濃度は、化石燃料の燃焼・セメント生産、森林伐採などの土地利用の変化などにより増加している。
(b)メタンは、湿地帯や水田での有機物の分解、畜産動物の腸内発酵、天然ガスの採掘などにより発生し、その温室効果は同じ分子数で比べると二酸化炭素より小さい。
(c)一酸化二窒素は、海洋や土壌から、あるいは窒素肥料の使用や工業活動に伴って放出される。
(d)フロンなどハロカーボン類の温室効果は、同じ分子数で比べると二酸化炭素に比べて大きく、わずかな増加でも地球温暖化への影響は大きい。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 誤 | 正 |
| ② | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| ③ | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
| ④ | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 誤 | 正 |
■ 解答
④
(a)誤
(b)誤
(c)正
(d)正
■ 解き方の方針
この問題は、各温室効果ガスについて次の3点を確認します。
どの波長を吸収するか
↓
どこから発生するか
↓
同じ分子数で比べた温室効果は大きいか小さいか
特に(a)と(b)は、前半は正しい内容を含んでいますが、後半に誤りがあります。
気象予報士試験では、このような「途中までは正しい文」に注意しましょう。
■ (a)CO₂は太陽放射の極大付近に強い吸収帯を持つか
(a)は誤りです。
二酸化炭素の大気中濃度が、化石燃料の燃焼、セメント生産、森林伐採などの土地利用の変化により増加している、という部分は正しいです。
しかし、二酸化炭素が強く吸収するのは、太陽放射のスペクトルの極大付近ではありません。
太陽放射のスペクトルの極大は、主に可視光付近です。
一方、二酸化炭素が温室効果に関係して強く吸収するのは、地球から放出される赤外放射の波長帯です。
ここが受験生のつまずきポイントです
温室効果ガス
↓
放射を吸収する
↓
太陽放射を吸収する?
↓
主役は地球放射の赤外線
温室効果ガスは、主に地表や大気から出る赤外放射を吸収します。
「太陽放射の極大付近」という表現が誤りです。
したがって、(a)は誤りです。
■ (b)メタンの温室効果はCO₂より小さいか
(b)は誤りです。
メタンは、湿地帯や水田での有機物の分解、家畜の腸内発酵、天然ガスの採掘などにより発生します。
この発生源の説明は正しいです。
しかし、同じ分子数で比べた場合、メタンの温室効果は二酸化炭素より大きいです。
問題文では「二酸化炭素より小さい」としているため誤りです。
メタンの特徴
発生源
↓
湿地・水田・家畜・天然ガス採掘
温室効果
↓
同じ分子数ならCO₂より大きい
したがって、(b)は誤りです。
■ (c)一酸化二窒素は海洋・土壌・肥料・工業活動から出るか
(c)は正しいです。
一酸化二窒素は、海洋や土壌から自然に放出されます。
また、人為的には窒素肥料の使用や工業活動に伴って放出されます。
問題文は、一酸化二窒素の主な発生源を正しく述べています。
一酸化二窒素の発生源
自然起源
↓
海洋・土壌
人為起源
↓
窒素肥料の使用
工業活動
したがって、(c)は正しいです。
■ (d)フロンなどは少量でも温暖化への影響が大きいか
(d)は正しいです。
フロンなどのハロカーボン類は、同じ分子数で比べると二酸化炭素より温室効果が大きいものが多いです。
そのため、大気中濃度がわずかに増加しただけでも、地球温暖化への影響が大きくなります。
フロン類は「量が少ないから無視」ではありません
大気中濃度は少ない
↓
でも1分子あたりの温室効果が大きい
↓
わずかな増加でも影響が大きい
したがって、(d)は正しいです。
■ 選択肢確認表
| 項目 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 誤 | CO₂が強く吸収するのは、太陽放射の極大付近ではなく、主に地球放射の赤外域 |
| (b) | 誤 | メタンの温室効果は、同じ分子数で比べるとCO₂より大きい |
| (c) | 正 | 一酸化二窒素は、海洋・土壌・窒素肥料の使用・工業活動などから放出される |
| (d) | 正 | フロンなどのハロカーボン類は、同じ分子数で比べるとCO₂より温室効果が大きい |
以上より、正しい組み合わせは④です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 温室効果ガスが太陽放射を吸収すると考えてしまう
温室効果ガスの主な役割は、地球から放出される赤外放射を吸収することです。
太陽放射の極大付近は可視光付近なので、ここをCO₂の強い吸収帯とするのは誤りです。
2. 発生源が正しいと文全体を正しいと判断してしまう
(a)も(b)も、発生源の説明はおおむね正しいです。
しかし、吸収波長や温室効果の大小関係が誤っています。
前半だけで判断しないようにしましょう。
3. メタンはCO₂より少ないから温室効果も小さいと思う
大気中の量と、1分子あたりの温室効果は別です。
同じ分子数で比べると、メタンの温室効果はCO₂より大きいです。
4. 一酸化二窒素の発生源を覚えにくい
一酸化二窒素は、海洋・土壌という自然起源に加えて、窒素肥料や工業活動も発生源になります。
「窒素」とつくので、窒素肥料と結びつけて覚えると整理しやすいです。
5. フロン類をオゾン層破壊だけで覚えてしまう
フロン類はオゾン層破壊物質として有名ですが、温室効果ガスとしても重要です。
同じ分子数で比べるとCO₂より温室効果が大きく、少量でも温暖化への影響が大きいです。
■ まとめ
- CO₂は主に地球放射の赤外域を吸収する
- CO₂の大気中濃度は化石燃料燃焼やセメント生産、森林伐採などで増加している
- メタンは湿地・水田・家畜・天然ガス採掘などから発生する
- メタンの温室効果は、同じ分子数で比べるとCO₂より大きい
- 一酸化二窒素は海洋・土壌・窒素肥料・工業活動などから放出される
- フロンなどハロカーボン類は、少量でも温暖化への影響が大きい
- したがって、(a)(b)は誤り、(c)(d)は正しい
正解は④
(a)誤
(b)誤
(c)正
(d)正
この問題で必ず押さえたいこと
温室効果ガス
↓
主に地球放射の赤外線を吸収
CO₂
↓
太陽放射の極大付近ではない
↓
赤外域が重要
メタン・フロン類
↓
同じ分子数ならCO₂より温室効果が大きい
一酸化二窒素
↓
海洋・土壌
窒素肥料・工業活動
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第58回 一般知識 問11の解説でした!
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