【第58回 気象予報士試験 一般知識】問10 成層圏突然昇温をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第58回気象予報士試験 一般知識 問10を解説します!

この問題は、成層圏突然昇温について、空欄に入る語句を選ぶ問題です。

ポイントは、成層圏突然昇温を単に「成層圏が急に暖まる現象」と覚えるのではなく、プラネタリー波・極夜ジェット・下降流・断熱圧縮の流れで理解することです。

この問題で重要なポイント

  • 成層圏突然昇温は、冬季の極域成層圏で起こる
  • 対流圏から上向きに伝播するプラネタリー波が関係する
  • プラネタリー波は極域上空の西風を減速させる
  • 西風の減速に伴い、極域成層圏で下降流が強まる
  • 下降流による断熱圧縮で気温が急上昇する
  • 昇温は上層から始まる
  • 「下降=冷える」ではなく「下降=断熱圧縮で暖まる」と考える

■ 問題文

成層圏突然昇温について述べた次の文章の空欄(a)〜(c)に入る語句の組み合わせとして適切なものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

成層圏突然昇温は成層圏の気温が短期間に急激に上昇する現象で、対流圏からのプラネタリー波の伝播による(a)の減速とその結果としての成層圏大気の(b)運動により引き起こされる。北半球全域に及ぶ成層圏循環の変動に伴うものである。(a)の減速は(c)から始まるので、気温の上昇も(c)ほど早く始まる。

選択肢 (a) (b) (c)
西風 上昇 上層
西風 下降 上層
西風 下降 下層
東風 上昇 上層
東風 下降 下層

■ 解答

(a)西風
(b)下降
(c)上層

■ 解き方の方針

成層圏突然昇温は、次の流れで理解すると覚えやすいです。

対流圏からプラネタリー波が上向きに伝播

極域成層圏の西風を減速

成層圏大気の下降運動

断熱圧縮

気温が急上昇

この流れから、(a)は西風、(b)は下降、(c)は上層と判断できます。

■ (a)減速するのは西風か東風か

(a)には西風が入ります。

冬季の極域成層圏では、極夜ジェットと呼ばれる強い西風が吹いています。

対流圏から上向きに伝わってきたプラネタリー波は、この西風を減速させます。

成層圏突然昇温の出発点

冬の極域成層圏

強い西風

プラネタリー波が伝播

西風が減速

したがって、(a)は西風です。

■ (b)成層圏大気は上昇するか下降するか

(b)には下降が入ります。

西風が減速すると、成層圏の循環が変化し、極域成層圏では下降運動が強まります。

下降する空気は、周囲の気圧が高い下方へ移動するため圧縮されます。

空気は圧縮されると温度が上がります。

これが、成層圏突然昇温で気温が急激に上昇する直接の理由です。

ここが受験生のつまずきポイントです

下降

下に行く

なんとなく冷えそう?

違います

大気では、下降流は断熱圧縮により昇温します。

下降流

断熱圧縮

気温上昇

したがって、(b)は下降です。

■ (c)昇温は上層から始まるか下層から始まるか

(c)には上層が入ります。

成層圏突然昇温では、西風の減速が上層から始まります。

そのため、気温の上昇も上層ほど早く始まります。

変化の始まり方

西風の減速

上層から始まる

下降運動・断熱昇温

気温上昇も上層ほど早い

したがって、(c)は上層です。

■ 選択肢確認表

選択肢 判定 理由
① 西風・上昇・上層 減速するのは西風で、上層から始まる点はよいが、昇温を起こすのは下降運動
② 西風・下降・上層 プラネタリー波により西風が減速し、下降運動による断熱圧縮で上層から昇温する
③ 西風・下降・下層 西風の減速と気温上昇は下層ではなく上層から始まる
④ 東風・上昇・上層 減速するのは東風ではなく西風であり、運動も上昇ではない
⑤ 東風・下降・下層 減速するのは西風で、変化は上層から始まる

■ 受験生がつまずくポイント

1. 減速する風を東風と勘違いする

冬季の極域成層圏で重要なのは、西風です。

成層圏突然昇温では、プラネタリー波によってこの西風が減速します。

2. 昇温するなら上昇流だと思ってしまう

気温が上がると聞くと、上昇流をイメージしやすいですが、大気では逆です。

上昇流は断熱膨張で冷え、下降流は断熱圧縮で暖まります。

3. 成層圏突然昇温の主役を「太陽加熱」と考えてしまう

成層圏突然昇温は、単に太陽放射で暖まる現象ではありません。

対流圏から伝播するプラネタリー波と、それに伴う成層圏循環の変化が重要です。

4. 上層から始まることを見落とす

西風の減速は上層から始まり、気温上昇も上層ほど早く始まります。

「突然昇温=成層圏全体が同時に暖まる」と考えないようにしましょう。

5. プラネタリー波の役割を覚えきれない

プラネタリー波は、成層圏に上向きに伝わり、極域成層圏の西風を減速させます。

プラネタリー波

西風を減速

下降流

断熱昇温

■ まとめ

  • 成層圏突然昇温は、冬季の極域成層圏で起こる
  • 対流圏から伝播するプラネタリー波が関係する
  • プラネタリー波により、成層圏の西風が減速する
  • 西風の減速に伴い、成層圏大気の下降運動が起こる
  • 下降流による断熱圧縮で気温が上昇する
  • 西風の減速と気温上昇は上層から始まる

正解は②

(a)西風
(b)下降
(c)上層

この問題で必ず押さえたいこと

成層圏突然昇温

対流圏からプラネタリー波

極域成層圏の西風が減速

下降運動

断熱圧縮

気温が急上昇

西風の減速

上層から始まる

気温上昇も上層ほど早い

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第58回 一般知識 問10の解説でした!

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