【第55回 気象予報士試験 専門知識】問11 竜巻・ろうと雲・JEFスケールをわかりやすく解説

こんにちは!今回は第55回 気象予報士試験 専門知識 問11を解説します!

この問題は、日本付近の竜巻について、発生のしくみ、渦の向き、被害域、日本版改良藤田スケールを問う問題です。

受験生がつまずきやすいのは、竜巻を台風や温帯低気圧と同じように考えてしまうところです。

竜巻は水平規模が非常に小さいため、コリオリ力の影響は小さく、北半球だから必ず反時計回りになるわけではありません。

この問題で重要なポイント

  • 竜巻のろうと雲は、気圧低下に伴う断熱膨張と水蒸気の凝結で形成される。
  • 竜巻の中心付近は気圧が低い。
  • 竜巻は水平規模が小さいため、コリオリ力の影響は小さい。
  • 日本付近でも、竜巻が常に反時計回りとは限らない。
  • 竜巻の被害域は、一般的に幅数十m〜数百m、長さ数km程度に集中する。
  • ただし、被害域の長さが数十kmに達することもある。
  • JEFスケールは0〜5の6階級で、数字が大きいほど風速が大きい。

■ 問題文

日本付近の竜巻に関する次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 竜巻のろうと雲は、気圧の低い竜巻渦の中心付近に空気塊が吹き込むとともに、断熱膨張により気温が低下して水蒸気が凝結することにより形成される。

(b) 竜巻の地面近くの部分では、風が渦の中心に向かって吹き込むため、北半球中緯度に位置する日本付近ではコリオリの力により常に反時計回りの渦となっている。

(c) 竜巻の被害域は、一般的に幅は数十mから数百mで長さは数kmの範囲に集中するが、長さが数十kmに達することもある。

(d) 気象庁が竜巻の突風の強さ(風速)の評定に用いている日本版改良藤田スケール(JEFスケール)は、0から5まで6階級あり、数字が大きくなるに従って風速は大きくなる。

選択肢 (a) (b) (c) (d)

■ 解答

(a) 正
(b) 誤
(c) 正
(d) 正

■ 解き方の方針

この問題は、まず竜巻を大規模な低気圧と同じように扱わないことが大切です。

台風・温帯低気圧

水平規模が大きい

コリオリ力が重要

竜巻

水平規模が非常に小さい

コリオリ力の影響は小さい

常に反時計回りではない

この時点で、(b)が誤りと判断できます。

あとは、ろうと雲の形成、被害域、JEFスケールの基本を確認すれば、(a)(c)(d)は正しいと判断できます。

■ (a) ろうと雲は断熱膨張と凝結でできる?

(a)は正しいです。

竜巻の中心付近は気圧が低くなっています。

そこへ周囲の空気が吹き込むと、空気は急激な気圧低下の影響を受け、断熱膨張します。

断熱膨張すると気温が下がり、水蒸気が凝結します。

その凝結によって見えるようになった雲が、ろうと雲です。

ろうと雲ができる流れ

竜巻中心は低圧

空気が中心へ吹き込む

断熱膨張

気温低下

水蒸気が凝結

ろうと雲

ここで止まりやすいポイント

ろうと雲は、土ぼこりや debris が見えているだけではありません。

中心付近の気圧低下により空気が膨張し、水蒸気が凝結して雲として見えます。

したがって、(a)は正しいです。

■ (b) 日本付近の竜巻は常に反時計回り?

(b)は誤りです。

北半球の台風や温帯低気圧では、コリオリ力の影響により、低気圧性循環は反時計回りになります。

しかし、竜巻は水平規模が非常に小さい現象です。

そのため、コリオリ力の影響は小さく、竜巻が常に反時計回りになるわけではありません。

竜巻とコリオリ力

竜巻

水平規模が小さい

寿命も短い

コリオリ力の影響は小さい

時計回りの竜巻もありうる

竜巻では、中心へ向かう強い気圧傾度力や遠心力などが重要になります。

北半球だから必ず反時計回り、と考えるのは大規模な低気圧の知識をそのまま当てはめた誤りです。

ここがひっかけ

「日本は北半球だから低気圧性の渦は反時計回り」と覚えている人ほど引っかかります。

竜巻はスケールが小さいため、コリオリ力で常に反時計回りになるとはいえません。

したがって、(b)は誤りです。

■ 補足講義:なぜ竜巻ではコリオリ力が効きにくいのか

コリオリ力は、地球の自転によって生じる見かけの力です。

台風や温帯低気圧のように、水平規模が大きく、ある程度長い時間続く現象では重要になります。

一方、竜巻は幅が数十m〜数百m程度の非常に小さな渦です。

スケールの違い

台風・温帯低気圧

数百〜数千km規模

コリオリ力が重要

竜巻

数十m〜数百m規模

コリオリ力は小さい

試験では、小さい渦ほどコリオリ力で向きが決まるわけではないと押さえましょう。

■ (c) 竜巻の被害域は幅数十〜数百m、長さ数km程度?

(c)は正しいです。

竜巻の被害域は、一般的に細長い帯状になります。

幅は数十mから数百m程度で、長さは数kmの範囲に集中することが多いです。

ただし、強い竜巻や長く持続した竜巻では、被害域の長さが数十kmに達することもあります。

竜巻被害域のイメージ

幅:数十m〜数百m

長さ:数km程度が多い

場合によっては数十km

ここで止まりやすいポイント

竜巻は局地的な現象なので、「長さ数十kmは大きすぎる」と感じるかもしれません。

しかし、被害域が数十kmに達することもあります。一般的な範囲と例外をセットで覚えましょう。

したがって、(c)は正しいです。

■ (d) JEFスケールは0〜5の6階級?

(d)は正しいです。

気象庁は、竜巻などの突風の強さを評定する際に、日本版改良藤田スケール、つまりJEFスケールを用いています。

JEFスケールは、0から5までの6階級です。

数字が大きくなるほど、推定される風速は大きくなります。

JEFスケール

JEF0

JEF1

JEF2

JEF3

JEF4

JEF5

数字が大きいほど風速が大きい

JEFスケールは、被害の状況から風速を推定するための尺度です。

竜巻そのものを直接測定できない場合でも、建物や樹木などの被害状況から突風の強さを評価します。

試験での覚え方

JEFスケールは「0〜5の6段階、数字が大きいほど強い」と覚えれば、この問題は判断できます。

したがって、(d)は正しいです。

■ 補足講義:JEFスケールは何を評価している?

JEFスケールは、竜巻やダウンバーストなどの突風の強さを評価するための尺度です。

実際の現場では、突風の最大風速を直接測ることが難しい場合があります。

そこで、被害の状況から風速を推定します。

見るもの なぜ見るか
建物の被害 屋根や壁の損傷から風速を推定する
樹木の被害 倒木や幹折れの程度から風速を推定する
車両・構造物の被害 飛散・転倒の状況から突風の強さを推定する

つまり、JEFスケールは被害から風速を推定するための物差しです。

■ 選択肢確認表

選択肢 判定 理由
(a) 竜巻中心付近の低圧部へ空気が吹き込み、断熱膨張で気温が低下して水蒸気が凝結し、ろうと雲が形成されるため。
(b) 竜巻は水平規模が小さく、コリオリ力の影響が小さいため、日本付近でも常に反時計回りとは限らないため。
(c) 竜巻の被害域は一般的に幅数十m〜数百m、長さ数km程度だが、長さが数十kmに達することもあるため。
(d) JEFスケールは0〜5の6階級で、数字が大きいほど風速が大きくなるため。

以上より、(a)正、(b)誤、(c)正、(d)正です。

したがって、正解はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 竜巻を台風や温帯低気圧と同じスケールで考えてしまう

竜巻は非常に小さな渦です。台風や温帯低気圧のように、コリオリ力で回転方向が決まると考えると間違えます。

2. 北半球だから常に反時計回りと思ってしまう

この問題の最大のひっかけです。竜巻ではコリオリ力の影響が小さいため、時計回りの渦もありえます。

3. ろうと雲を土ぼこりだけだと思ってしまう

ろうと雲は、低圧部に吹き込んだ空気が断熱膨張し、気温低下によって水蒸気が凝結することで形成されます。

4. 竜巻の被害域を小さく見積もりすぎる

竜巻は幅は狭いですが、移動しながら被害を出すため、長さが数十kmに達することもあります。

5. JEFスケールを震度のように感覚で覚えてしまう

JEFスケールは、突風の強さを被害から評定する尺度です。0〜5の6階級で、数字が大きいほど風速が大きくなります。

6. 「常に」「必ず」という表現を見落とす

(b)の「常に反時計回り」が誤りです。気象の正誤問題では、このような強い言い切り表現に注意しましょう。

■ まとめ

  • ろうと雲は、断熱膨張による気温低下と水蒸気の凝結で形成される。
  • 竜巻は水平規模が小さいため、コリオリ力の影響は小さい。
  • 日本付近でも、竜巻が常に反時計回りとは限らない。
  • 竜巻の被害域は、一般的に幅数十m〜数百m、長さ数km程度である。
  • 被害域の長さが数十kmに達することもある。
  • JEFスケールは0〜5の6階級で、数字が大きいほど風速が大きい。

正解は②

この問題で必ず押さえたいこと

竜巻中心は低圧

空気が吹き込む

断熱膨張

気温低下

凝結

ろうと雲

竜巻

水平規模が小さい

コリオリ力は小さい

常に反時計回りではない

JEFスケール

0〜5の6階級

数字が大きいほど風速大

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第55回 専門知識 問11の解説でした!

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