【第55回 気象予報士試験 一般知識】問11 気候変動とフィードバックをわかりやすく解説

こんにちは!今回は第55回 気象予報士試験 一般知識 問11を解説します!

この問題は、気候変動について、火山噴火・雪氷アルベド・二酸化炭素・永久凍土の働きを整理する問題です。

受験生がつまずきやすいのは、二酸化炭素による温暖化を「太陽からの可視光線を吸収するから」と誤解してしまうところです。

この問題で重要なポイント

  • 大規模火山噴火で成層圏にエーロゾルが広がると、日射を散乱して気温を低下させる。
  • 雪や氷が増えると、アルベドが大きくなる。
  • アルベドが大きくなると、太陽放射の吸収が減り、気温低下につながる。
  • 二酸化炭素は、主に地球からの赤外放射を吸収する。
  • 二酸化炭素は、可視光線域に強い吸収帯を持つわけではない。
  • 永久凍土が融解すると、メタンなどの温室効果ガスが放出される。
  • メタン放出は、温暖化をさらに進める正のフィードバックになる。

■ 問題文

気候変動について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを,下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) 大規模な火山噴火により成層圏に放出された亜硫酸ガスが化学変化してできた微小な液滴のエーロゾルが全球に広がると,日射を散乱するために気温が低下する。

(b) 気温が低下して地球表面の雪や氷の面積が増大すると,アルベドが大きくなって太陽からの放射エネルギーの吸収が減り,さらに気温低下をもたらす。

(c) 大気中の二酸化炭素が増加すると,二酸化炭素が可視光線域に強い吸収帯を持つために,太陽からの短波放射の吸収量が増えて気温が上昇し,地球温暖化が引き起こされる。

(d) 地球温暖化により永久凍土が融解すると,温室効果ガスのひとつであるメタンが大気中に放出され,気温がさらに上昇する。

選択肢 (a) (b) (c) (d)

■ 解答

(a) 正
(b) 正
(c) 誤
(d) 正

■ 解き方の方針

この問題は、気候変動の「冷やす方向」と「暖める方向」を分けて考えると整理しやすいです。

火山噴火のエーロゾル

日射を散乱

気温低下

雪氷の増加

アルベド増加

太陽放射の吸収減少

気温低下

二酸化炭素・メタン

赤外放射に関係

温室効果

特に(c)は、CO2が可視光線を吸収するという誤った説明になっているので注意です。

■ (a) 火山噴火によるエーロゾルは気温を低下させるか

(a)は正しいです。

大規模な火山噴火では、亜硫酸ガスなどが成層圏まで達し、化学変化によって硫酸エーロゾルなどの微小な液滴になります。

これらのエーロゾルが全球に広がると、太陽からの日射を散乱します。

その結果、地表や下層大気に届く太陽放射が減り、気温が低下します。

火山噴火の気候影響

火山噴火

成層圏エーロゾル

日射を散乱

地表に届く日射が減る

気温低下

したがって、(a)は正しいです。

■ (b) 雪や氷が増えるとさらに気温低下をもたらすか

(b)は正しいです。

雪や氷は、太陽放射をよく反射します。

つまり、雪や氷の面積が増えると、地球表面のアルベドが大きくなります。

アルベドが大きくなると、太陽からの放射エネルギーの吸収が減ります。

そのため、さらに気温が低下しやすくなります。

ここはフィードバックで理解しましょう

気温低下

雪や氷が増える

アルベドが大きくなる

太陽放射をより反射

さらに気温低下

これは、変化をさらに強める正のフィードバックです。

したがって、(b)は正しいです。

■ (c) 二酸化炭素は可視光線を吸収して温暖化を起こすか

(c)は誤りです。

二酸化炭素は温室効果ガスですが、問題文の説明が誤っています。

二酸化炭素は、可視光線域に強い吸収帯を持つために太陽からの短波放射を吸収して温暖化を引き起こすわけではありません。

二酸化炭素が主に関係するのは、地球から宇宙へ出ていこうとする赤外放射です。

ここが受験生のつまずきポイントです

太陽から来る放射

短波放射・可視光線が中心

地球から出る放射

長波放射・赤外線が中心

CO2が主に吸収するもの

地球からの赤外放射

「CO2が増えると温暖化」は正しいですが、「可視光線を吸収するから」は誤りです。

したがって、(c)は誤りです。

■ (d) 永久凍土の融解でメタンが放出されるか

(d)は正しいです。

永久凍土には、長い時間をかけて蓄積された有機物が含まれています。

地球温暖化によって永久凍土が融解すると、有機物の分解などにより、メタンなどの温室効果ガスが大気中に放出されます。

メタンは温室効果ガスのひとつなので、大気中に増えると気温上昇をさらに促します。

永久凍土の正のフィードバック

温暖化

永久凍土が融解

メタンが放出

温室効果が強まる

さらに温暖化

したがって、(d)は正しいです。

■ 選択肢確認表

項目 判定 理由
(a) 火山噴火により成層圏に広がったエーロゾルは日射を散乱し、気温低下をもたらす。
(b) 雪氷面積が増えるとアルベドが大きくなり、太陽放射の吸収が減ってさらに気温低下をもたらす。
(c) 二酸化炭素は主に地球からの赤外放射を吸収する。可視光線域に強い吸収帯を持つわけではない。
(d) 永久凍土が融解するとメタンが放出され、温室効果が強まって気温上昇を促す。

以上より、正しい組み合わせはです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 火山噴火=火山灰で暖まりそうと考えてしまう

気候変動の文脈では、成層圏エーロゾルが日射を散乱することで、全球的には気温低下をもたらす点が重要です。

2. アルベドの変化を一方向の影響として覚えてしまう

雪氷が増えると反射が増え、さらに冷える。これは変化を強める正のフィードバックです。

3. CO2が太陽光を直接吸収して温暖化すると誤解する

CO2が主に吸収するのは、地球から出る赤外放射です。可視光線ではありません。

4. 永久凍土の融解を単なる結果として覚えてしまう

永久凍土の融解は温暖化の結果であると同時に、メタン放出によって温暖化をさらに進める原因にもなります。

■ まとめ

  • 火山噴火による成層圏エーロゾルは、日射を散乱して気温を低下させる。
  • 雪や氷が増えるとアルベドが大きくなり、さらに気温低下をもたらす。
  • 二酸化炭素は、可視光線ではなく主に赤外放射を吸収する。
  • 永久凍土が融解すると、メタンが放出されて温室効果が強まる。
  • (a)正、(b)正、(c)誤、(d)正。

正解は②

この問題で必ず押さえたいこと

火山噴火

成層圏エーロゾル

日射を散乱

気温低下

雪氷増加

アルベド増加

太陽放射の吸収減少

さらに気温低下

CO2

可視光線ではなく
赤外放射を吸収

永久凍土融解

メタン放出

さらに温暖化

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第55回 一般知識 問11の解説でした!

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