【第55回 気象予報士試験 一般知識】問10 成層圏突然昇温をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第55回 気象予報士試験 一般知識 問10を解説します!
この問題は、成層圏突然昇温について、発生しやすい季節、原因となる波動、昇温が始まりやすい高度を問う問題です。
受験生がつまずきやすいのは、成層圏突然昇温を「単に成層圏が急に暖まる現象」とだけ覚えてしまい、寒候期・地形等によるプラネタリー波・上層から昇温という流れで整理できていないところです。
この問題で重要なポイント
- 成層圏突然昇温は、北半球では主に寒候期に起こる。
- 寒候期の北極周辺の成層圏では、通常、西風が卓越している。
- 原因には、地形などの効果で励起されたプラネタリー波が関係する。
- プラネタリー波が成層圏へ伝わることで、極渦や西風が弱まる。
- 地衡風平衡が崩れると、下降流による断熱圧縮で気温が上がる。
- 昇温は、一般に上層ほど早く始まる。
■ 問題文
成層圏突然昇温について述べた次の文章の空欄(a)〜(c)に入る語句の組み合わせとして適切なものを,下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
北半球では,(a) は通常,成層圏から中間圏の北極周辺は低気圧になり,北半球高緯度では西風が卓越している。
成層圏突然昇温は,この季節に北極周辺の成層圏を中心に気温が短期間に急激に上昇する現象である。
この現象は (b) により励起されたプラネタリー波の伝搬が原因となっており,地衡風平衡の状態が崩れて生じた下降流による断熱圧縮で引き起こされる気温の上昇は (c) ほど早く始まる。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) |
|---|---|---|---|
| ① | 寒候期 | 電離層の変動 | 下層 |
| ② | 寒候期 | 地形等の効果 | 上層 |
| ③ | 寒候期 | 地形等の効果 | 下層 |
| ④ | 暖候期 | 地形等の効果 | 下層 |
| ⑤ | 暖候期 | 電離層の変動 | 上層 |
■ 解答
②
(a) 寒候期
(b) 地形等の効果
(c) 上層
■ 解き方の方針
成層圏突然昇温は、次の流れで押さえると整理しやすいです。
寒候期
↓
北極周辺の成層圏に強い西風・極渦
地形などでプラネタリー波が励起
↓
成層圏へ伝わる
西風が弱まり
地衡風平衡が崩れる
↓
下降流・断熱圧縮
↓
成層圏が急に昇温
この問題では、細かい力学よりも、寒候期・地形等の効果・上層の3点を確実に選べることが大切です。
■ (a) 成層圏突然昇温が起こりやすい季節
(a)には寒候期が入ります。
北半球の寒候期には、北極周辺の成層圏から中間圏にかけて低気圧性の循環が形成され、高緯度では西風が卓越します。
この強い西風や極渦が存在する状態で、プラネタリー波が成層圏へ伝わると、成層圏突然昇温が起こりやすくなります。
季節のイメージ
北半球の寒候期
↓
極周辺が低温
↓
極渦・西風が強い
↓
成層圏突然昇温が起こりやすい
したがって、(a)は寒候期です。
■ (b) プラネタリー波は何によって励起されるか
(b)には地形等の効果が入ります。
成層圏突然昇温では、対流圏で励起されたプラネタリー波が成層圏へ伝わることが重要です。
北半球では、大陸や山岳などの地形、海陸分布による加熱の違いなどにより、プラネタリー波が励起されやすくなります。
ここが受験生のつまずきポイントです
「成層圏の現象だから、原因も成層圏や電離層にあるのでは?」と考えたくなります。
しかし、成層圏突然昇温で重要なのは、下層から上向きに伝わるプラネタリー波です。
地形等の効果
↓
プラネタリー波を励起
↓
成層圏へ伝搬
↓
極渦を乱す
したがって、(b)は地形等の効果です。
■ (c) 気温上昇は上層ほど早く始まるか
(c)には上層が入ります。
成層圏突然昇温では、地衡風平衡が崩れることで下降流が生じ、その下降流による断熱圧縮によって気温が上昇します。
この気温上昇は、一般に成層圏の上層ほど早く始まります。
昇温の始まり方
プラネタリー波が成層圏で作用
↓
上層側から循環が乱れる
↓
下降流・断熱圧縮
↓
上層ほど早く昇温
したがって、(c)は上層です。
■ 選択肢確認表
| 空欄 | 答え | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 寒候期 | 北半球の成層圏突然昇温は、主に寒候期に北極周辺の成層圏で起こる。 |
| (b) | 地形等の効果 | 山岳や海陸分布などにより励起されたプラネタリー波の成層圏への伝搬が関係する。 |
| (c) | 上層 | 下降流による断熱圧縮で引き起こされる気温上昇は、上層ほど早く始まる。 |
以上より、正しい組み合わせは②です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 暖候期の現象だと勘違いする
「昇温」という言葉から暖候期を選びたくなりますが、成層圏突然昇温は北半球では寒候期に起こりやすい現象です。
2. 電離層の変動を選んでしまう
成層圏突然昇温の原因として重要なのは、地形等の効果で励起されたプラネタリー波です。電離層の変動ではありません。
3. プラネタリー波を難しく考えすぎる
試験では、プラネタリー波は大規模な波動で、地形や海陸分布などにより励起され、成層圏へ伝わるものと押さえれば十分です。
4. 昇温は下から始まると思ってしまう
地表面加熱のイメージで「下層から暖まる」と考えたくなりますが、成層圏突然昇温では上層ほど早く気温上昇が始まります。
■ まとめ
- 成層圏突然昇温は、北半球では寒候期に起こりやすい。
- 寒候期の北極周辺では、成層圏から中間圏にかけて低気圧性循環となり、西風が卓越する。
- 原因には、地形等の効果で励起されたプラネタリー波が関係する。
- プラネタリー波が成層圏に伝わると、極渦や西風が乱される。
- 地衡風平衡が崩れ、下降流による断熱圧縮で気温が上昇する。
- 気温上昇は上層ほど早く始まる。
- (a)寒候期、(b)地形等の効果、(c)上層。
正解は②
この問題で必ず押さえたいこと
成層圏突然昇温
↓
北半球では寒候期
地形等の効果
↓
プラネタリー波を励起
プラネタリー波が成層圏へ伝搬
↓
極渦・西風を乱す
下降流・断熱圧縮
↓
上層ほど早く昇温
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第55回 一般知識 問10の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
