【第54回 気象予報士試験 専門知識】問4 客観解析(データ同化)をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第54回 気象予報士試験 専門知識 問4を解説します!

この問題は数値予報の初期値を作る「客観解析(データ同化)」について問う問題です。

気象予報士試験でも頻出分野ですが、受験生が最も苦手とするテーマの一つです。

特に「観測値をそのまま使わない理由」「第一推定値とは何か」「ボーガスデータとは何か」が理解できていないと、暗記だけでは対応できません。

この問題で重要なポイント

  • 客観解析は「観測値+第一推定値」を組み合わせて解析値を作る。
  • 観測値をそのまま格子点へ使うことはしない。
  • 第一推定値とは短時間予報から得られる予報値である。
  • 台風周辺ではボーガスデータ(擬似観測データ)を利用することがある。
  • 品質管理(QC)によって異常値は除外される。
  • 解析値が数値予報の初期値となる。
  • データ同化は数値予報の精度を左右する重要な技術である。

■ 問題文

気象庁の全球モデルの初期値を作成する客観解析について述べた次の文(a)〜(c)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。

(a) ラジオゾンデによる高層気象観測データは大気を直接観測しており精度が高いため、観測地点の直近の格子点では、この観測データそのものを解析値としている。

(b) 台風周辺の初期値の精度向上のため、台風の中心気圧や強風半径の情報に基づいて推定された台風周辺の気圧や風の分布が、擬似的な観測データとして客観解析に利用されている。

(c) 観測データは第一推定値と比較され、その差が定められた基準を超える場合は客観解析には利用されない。

選択肢 (a) (b) (c)

■ 解答

(a) 誤
(b) 正
(c) 正

■ 解き方の方針

この問題は次の流れを理解しているかどうかで決まります。

観測データ

第一推定値

データ同化(客観解析)

解析値

数値予報スタート

「観測値をそのまま使う」と書いてあれば誤りを疑いましょう。

■ 補足講義① 客観解析とは?

客観解析とは、数値予報を開始するための初期値を作る作業です。

実際の観測は世界中に点在しています。 しかし数値予報モデルは格子点ごとに大気の状態が必要です。

観測データ

第一推定値(短時間予報)

データ同化

解析値(初期値)

ここで止まりやすいポイント

「観測値が一番正確だから、そのまま使えばよい」と考えてしまいがちです。

しかし、観測点が存在しない格子点がほとんどなので、そのままでは全球の初期値を作れません。

■ 補足講義② なぜ観測値をそのまま使えないの?

数値予報モデルは、地球全体を格子(メッシュ)に分けて計算します。

一方、観測点は限られた場所にしかありません。

観測点
●   ●    ●

格子点
+ + + + +

観測がない格子点
↓ 第一推定値が必要

■ (a) 観測値をそのまま解析値とする?

誤りです。

ラジオゾンデの観測精度は高いですが、観測値そのものを解析値にはしません。

客観解析では、観測値と第一推定値を組み合わせ、周囲との整合性も考慮した解析値を作ります。

ここがひっかけ

「精度が高いからそのまま使う」という表現は魅力的ですが、データ同化の考え方とは異なります。

■ (b) ボーガスデータを利用する?

正しいです。

台風中心付近は観測データが不足することがあります。

そこで、中心気圧・最大風速・強風半径などから台風周辺の気圧・風分布を推定し、ボーガスデータ(擬似観測データ)として利用します。

台風実況

中心気圧・最大風速・強風半径

ボーガスデータ作成

客観解析へ

覚え方

ボーガス(bogus)とは「擬似的に作成した観測データ」と覚えておきましょう。

■ (c) 品質管理で異常値を除外する?

正しいです。

観測データには、通信異常や機器故障などによる異常値が含まれることがあります。

そのため、まず第一推定値と比較し、大きく食い違う観測値は品質管理(QC)によって除外されます。

観測値

第一推定値と比較

差が大きい?

YES

客観解析に使わない

■ 選択肢確認表

選択肢 判定 理由
(a) 観測値をそのまま解析値にはせず、第一推定値と組み合わせて解析するため。
(b) 台風周辺ではボーガスデータを利用して初期値を改善するため。
(c) 品質管理(QC)により異常な観測値は除外されるため。

したがって正解はです。

■ 受験生がつまずくポイント

1. 観測値がそのまま解析値になると思ってしまう

解析値は観測値と第一推定値を組み合わせて作られます。

2. 第一推定値が何かわからない

第一推定値とは、直前の短時間予報から得られる予報値です。

3. ボーガスデータを暗記だけで覚えている

観測不足の台風中心付近を補うための擬似観測データです。

4. 品質管理(QC)を知らない

異常値をそのまま使うと初期値全体がおかしくなるため、QCは非常に重要です。

5. 客観解析=観測値の平均だと思ってしまう

実際にはデータ同化という高度な計算で解析値を作成しています。

■ まとめ

  • 客観解析では観測値をそのまま使わない。
  • 第一推定値と観測値を組み合わせて解析値を作る。
  • 台風周辺ではボーガスデータを利用する。
  • 品質管理(QC)で異常値を除外する。
  • 解析値が数値予報の初期値になる。

正解は③

この問題で必ず押さえたいこと

観測値

第一推定値

客観解析(データ同化)

解析値

台風実況

ボーガスデータ

初期値改善

品質管理(QC)

異常値除外

解析精度向上

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第54回 専門知識 問4の解説でした!

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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!