【第54回 気象予報士試験 専門知識】問3 ラジオゾンデによる高層気象観測をわかりやすく解説
こんにちは!今回は第54回 気象予報士試験 専門知識 問3を解説します!
この問題は、ラジオゾンデを用いた高層気象観測について問う問題です。
高層気象観測は、地上観測と違ってイメージしづらいため、受験生が止まりやすい分野です。 特に、観測時刻は現地時刻なのかUTCなのか、GPSゾンデで風をどう求めるのか、どこまで観測できるのかが混乱しやすいポイントです。
この問題では、結論としてGPSゾンデで風向・風速を算出するという(b)だけが正しく、他は誤りです。
この問題で重要なポイント
- 高層気象観測は世界同時刻で行う。
- 基準は現地時刻ではなく世界協定時UTCである。
- 日本ではUTC 00時・12時が、現地時刻の9時・21時にあたる。
- GPSゾンデでは位置の変化から風向・風速を求める。
- 高層気象観測はすべての気象台で行っているわけではない。
- ラジオゾンデの観測範囲は主に対流圏から成層圏であり、中間圏まで到達するものではない。
- 「日本の9時・21時」を「各国の現地時刻9時・21時」と読むと間違える。
■ 問題文
ラジオゾンデを用いた高層気象観測について述べた次の文(a)〜(d)の正誤の組み合わせとして正しいものを、下記の①〜⑤の中から1つ選べ。
(a) 高層気象観測を行う各国においては、現地時刻の9時と21時に観測を行うこととされている。
(b) 気象庁では、GPSゾンデと呼ばれる観測機器を使用しており、風向・風速の観測データは、GPS信号を利用して算出されている。
(c) 気象庁では、全ての気象台と海洋気象観測船で高層気象観測を行っている。
(d) 気象庁のラジオゾンデによる高層気象観測の観測範囲は地上から上部成層圏までだが、稀に中間圏までラジオゾンデが到達することがある。
| 選択肢 | (a) | (b) | (c) | (d) |
|---|---|---|---|---|
| ① | 正 | 正 | 誤 | 正 |
| ② | 正 | 誤 | 正 | 誤 |
| ③ | 誤 | 正 | 誤 | 正 |
| ④ | 誤 | 正 | 誤 | 誤 |
| ⑤ | 誤 | 誤 | 正 | 正 |
■ 解答
④
(a) 誤
(b) 正
(c) 誤
(d) 誤
■ 解き方の方針
本番では、次の3つを押さえて判断します。
高層気象観測
↓
世界同時観測
↓
UTC 00時・12時
GPSゾンデ
↓
位置の変化を追跡
↓
風向・風速を算出
ラジオゾンデ
↓
気球で上昇
↓
主に成層圏まで
この問題の最大のひっかけは、(a)の「現地時刻の9時と21時」です。
日本では9時・21時に観測しますが、それは日本時間でUTC 00時・12時に対応しているためです。 世界中でそれぞれの現地時刻9時・21時に観測するわけではありません。
■ 補足講義:高層気象観測とは
高層気象観測とは、地上だけでなく、上空の気温・湿度・気圧・風向・風速などを観測することです。
天気予報では、地上の気圧配置だけでなく、上空の寒気・暖気・ジェット気流・湿り気などを把握する必要があります。 そのため、高層気象観測は数値予報や天気図解析の基礎データになります。
| 観測 | 主に見るもの | 予報での使い道 |
|---|---|---|
| 地上気象観測 | 地上の気温・気圧・風・降水など | 現在の地上の天気把握 |
| 高層気象観測 | 上空の気温・湿度・風など | 低気圧の発達、寒気、前線、数値予報の初期値 |
ここで止まりやすいポイント
地上の天気だけ見ても、低気圧が発達するか、雨雲が強まるかは判断できません。
上空の気温や風の情報があるからこそ、立体的に大気を解析できます。
■ (a) 各国で現地時刻9時・21時に観測する?
(a)は誤りです。
高層気象観測は、世界中で同時刻に行うことが重要です。
なぜなら、上空の大気は時間とともに移動・変化しているため、国ごとにバラバラの時刻で観測すると、同じ時刻の大気の立体構造を比較できないからです。
高層気象観測の基本
世界中の観測点
↓
同じ基準時刻で観測
↓
地球規模の大気状態を解析
基準となるのは、世界協定時UTCの00時と12時です。
日本はUTCより9時間進んでいるため、UTC 00時は日本時間9時、UTC 12時は日本時間21時になります。
| 基準時刻 | 日本時間 |
|---|---|
| UTC 00時 | 日本時間 9時 |
| UTC 12時 | 日本時間 21時 |
ここが最大のひっかけ
「日本では9時と21時」ですが、「各国の現地時刻で9時と21時」ではありません。
世界同時観測なので、基準はUTCです。
したがって、(a)は誤りです。
■ (b) GPSゾンデで風向・風速を算出する?
(b)は正しいです。
GPSゾンデでは、ゾンデの位置をGPS信号で追跡します。
風は空気の流れです。 気球につけたゾンデは、基本的に周囲の空気の流れに乗って移動します。
そのため、ゾンデの位置が時間とともにどの方向へ、どのくらいの速さで移動したかを調べれば、上空の風向・風速を求められます。
GPSゾンデで風を求める流れ
GPSで位置を測る
↓
時間ごとの移動を追う
↓
移動方向を見る
↓
風向がわかる
移動距離 ÷ 時間
↓
風速がわかる
ここで間違えやすい理由
「風速計がゾンデについている」と考えてしまうと混乱します。
GPSゾンデでは、空中で風を直接測るというより、ゾンデが風で流される動きから風を求めます。
したがって、(b)は正しいです。
■ 補足講義:なぜ位置の変化で風がわかるのか
ゾンデは気球で上昇しながら、周囲の空気と一緒に流されます。
たとえば、1分後に東へ大きく流されていれば、その高度では西から東へ向かう風が吹いていると考えられます。
| ゾンデの動き | わかること |
|---|---|
| 北へ流される | 南寄りの風の影響を受けている |
| 東へ流される | 西寄りの風の影響を受けている |
| 短時間で大きく移動する | 風速が大きい |
| ほとんど移動しない | 風速が小さい |
ゾンデの移動
↓
空気の流れに流される
↓
上空の風を表す
■ (c) すべての気象台と海洋気象観測船で行っている?
(c)は誤りです。
高層気象観測は重要な観測ですが、すべての気象台で行っているわけではありません。
ラジオゾンデ観測には、気球・ゾンデ・放球設備・観測体制などが必要です。 そのため、実施できる地点は限られています。
高層気象観測
↓
専門の設備が必要
↓
すべての気象台では実施しない
ここがひっかけ
「気象台なら当然すべて高層観測をしている」と考えると誤りです。
高層観測は、限られた観測地点で実施されます。
したがって、(c)は誤りです。
■ (d) 稀に中間圏まで到達する?
(d)は誤りです。
ラジオゾンデは気球によって上昇し、上空の気温・湿度・気圧・風などを観測します。
観測範囲は主に地上から上部成層圏までです。
中間圏は、成層圏のさらに上にある大気層です。 ラジオゾンデが通常の観測で中間圏まで到達することはありません。
| 大気層 | おおよその範囲 | ラジオゾンデとの関係 |
|---|---|---|
| 対流圏 | 地上〜約10km前後 | 重要な観測範囲 |
| 成層圏 | 約10〜50km | 上部まで観測対象 |
| 中間圏 | 約50〜80km | ラジオゾンデの通常観測範囲ではない |
ここで間違えやすい理由
「稀に」という言葉があると、なんとなくありそうに見えます。
しかし、ラジオゾンデの気球は高度が上がるにつれて膨張し、一定高度で破裂します。 中間圏まで到達するという記述は不適切です。
したがって、(d)は誤りです。
■ 選択肢確認表
| 選択肢 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|
| (a) | 誤 | 高層気象観測は各国の現地時刻ではなく、UTC 00時・12時を基準に世界同時観測されるため。 |
| (b) | 正 | GPSゾンデでは、GPS信号で位置を追跡し、その移動から風向・風速を算出するため。 |
| (c) | 誤 | 高層気象観測はすべての気象台で行われているわけではないため。 |
| (d) | 誤 | ラジオゾンデの観測範囲は主に地上から上部成層圏までで、中間圏まで到達するものではないため。 |
以上より、組み合わせは(a)誤、(b)正、(c)誤、(d)誤です。
したがって、正解は④です。
■ 受験生がつまずくポイント
1. 日本時間9時・21時をそのまま世界基準だと思ってしまう
日本では9時・21時に観測しますが、これはUTC 00時・12時に対応しているためです。 各国がそれぞれ現地時刻9時・21時に観測するわけではありません。
2. UTCの意味があいまいなまま読む
高層気象観測は世界同時観測です。 天気図や数値予報では、同じ時刻の大気状態を集める必要があるため、UTCを基準にします。
3. GPSゾンデで風をどう測るのかがイメージできない
ゾンデに風速計がついていると考えるより、気球が風に流される動きをGPSで追跡している、と考えると理解しやすいです。
4. すべての気象台で高層観測をしていると思ってしまう
高層観測には設備や運用体制が必要です。 そのため、限られた地点で行われています。
5. 「稀に中間圏まで」という表現に引っかかる
「稀に」と書かれるとありそうに見えますが、ラジオゾンデの通常の観測範囲は中間圏ではありません。 成層圏と中間圏の違いを押さえましょう。
6. 高層観測を単なる暗記問題として処理してしまう
なぜ世界同時観測が必要なのか、なぜGPSで風がわかるのかを理解すると、選択肢の誤りを見抜きやすくなります。
■ まとめ
- 高層気象観測はUTC 00時・12時を基準に世界同時観測される。
- 日本ではUTC 00時・12時が、日本時間の9時・21時に対応する。
- GPSゾンデでは、位置の変化から風向・風速を算出する。
- 高層気象観測はすべての気象台で行われるわけではない。
- ラジオゾンデは中間圏まで到達するものではない。
正解は④
この問題で必ず押さえたいこと
高層気象観測
↓
世界同時観測
↓
UTC 00時・12時
日本では
↓
9時・21時
GPSゾンデ
↓
位置の変化
↓
風向・風速
ラジオゾンデ
↓
主に成層圏まで
↓
中間圏ではない
※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。
以上、第54回 専門知識 問3の解説でした!
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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!
