【第65回 気象予報士試験 専門知識】問8 衛星画像の雲解析をわかりやすく解説

こんにちは!今回は第65回気象予報士試験 専門知識 問8を解説します!

この問題は、水蒸気画像・赤外画像・可視画像を用いた雲解析について問う問題です。

気象衛星画像の問題では、画像ごとの特徴を理解して、

  • 上・中層トラフ
  • 地上低気圧
  • 中・下層雲
  • 対流雲域

を読み取ることが重要です。

この問題で重要なポイント

  • 水蒸気画像は上・中層の水蒸気分布やトラフ解析に有効
  • 赤外画像は雲頂高度の高低を判断しやすい
  • 可視画像は雲の厚さや形状を判断しやすい
  • 低気圧周辺では雲域が低気圧性の回転を示すことがある
  • 赤外画像で灰色、可視画像で白灰色の雲は中・下層雲と判断しやすい
  • 暖湿流に伴う対流雲域は低気圧へ向かう流れに沿って現れやすい

■ 問題文

図は、4月のある日の9時における気象衛星ひまわりの水蒸気画像、赤外画像及び可視画像である。

図

図に破線や一点鎖線で示したA〜Dの位置や領域に見られる現象あるいは雲パターンについて述べた次の文(a)〜(d)の正誤について、下記の①〜⑤の中から正しいものを1つ選べ。

(a) 破線Aは、上・中層のトラフの位置におおむね対応すると推定される。

(b) 破線Bで囲まれた雲域は低気圧に対応している。その地上低気圧の中心は破線B内の×印付近に存在すると推定される。

(c) 破線Cで囲まれた雲域は赤外画像上では灰色、可視画像上では白灰色に表現されているため、この雲域は中・下層雲からなっていると推定される。

(d) 一点鎖線Dで囲まれた2つの雲域は、低緯度から低気圧へ向かう下層の暖かく湿った気流によって発生した、北上する対流雲域であると推定される。

選択肢 内容
(a)のみ誤り
(b)のみ誤り
(c)のみ誤り
(d)のみ誤り
すべて正しい

■ 解答

■ 解き方の方針

この問題では、3種類の衛星画像を組み合わせて判断します。

画像の種類 見やすいもの
水蒸気画像 上・中層の乾湿分布、トラフ、ジェット気流周辺の流れ
赤外画像 雲頂高度、雲頂温度
可視画像 雲の厚さ、表面の凹凸、雲域の形

1枚の画像だけで判断するのではなく、水蒸気画像・赤外画像・可視画像を組み合わせることが重要です。

■ (a) Aは上・中層トラフに対応するか

(a)は正しいです。

水蒸気画像では、上・中層の水蒸気分布や乾燥域の入り込みが確認できます。

A付近では、雲域や水蒸気分布の曲率から、上・中層のトラフに対応していると判断できます。

ここがポイント!

水蒸気画像は、単に湿っている場所を見る画像ではありません。

上・中層の流れやトラフを把握するためにも使われます。

水蒸気画像
= 上・中層の流れを読む画像

■ (b) Bの雲域と地上低気圧

(b)は正しいです。

Bで囲まれた雲域は、低気圧性の回転を伴う雲域として読み取ることができます。

また、×印付近に地上低気圧の中心があると推定する配置になっています。

衛星画像では、低気圧に伴う雲域が渦状にまとまって見えることがあります。

ここがポイント!

低気圧周辺の雲域では、

  • 雲域の回転
  • 雲の巻き込み
  • 前線性の雲の伸び

に注目します。

■ (c) Cは中・下層雲か

(c)は正しいです。

赤外画像では、雲頂高度が高く雲頂温度が低い雲ほど白く明るく表現されます。

一方、雲頂高度がそれほど高くない中・下層雲は、赤外画像では灰色に見えやすくなります。

Cの雲域は赤外画像では灰色、可視画像では白灰色に見えています。

このことから、背の高い発達した積乱雲ではなく、中・下層雲が主体であると判断できます。

独学者がよく間違えるポイント

可視画像で白く見えると、すぐに「雲頂が高い雲」と判断してしまうことがあります。

しかし、可視画像の白さは反射の強さを見ているため、雲頂高度そのものを直接表しているわけではありません。

雲頂高度を見るには赤外画像も確認します。

可視画像だけで
雲の高さを決めない

■ (d) Dは暖湿流に伴う対流雲域か

(d)は正しいです。

Dで囲まれた2つの雲域は、低緯度側から低気圧へ向かう暖かく湿った気流に伴って発生した対流雲域と考えられます。

低気圧の南側から南東側では、暖湿な空気が流れ込みやすく、対流雲が発生しやすくなります。

そのため、Dの雲域を北上する対流雲域と判断するのは妥当です。

ここがポイント!

低気圧周辺では、

南側から暖湿流が流入

対流雲が発生・北上

という流れを意識しましょう。

■ 衛星画像の見分け方

この問題の最大のつまずきポイント

判断したいこと 見る画像 注意点
上・中層トラフ 水蒸気画像 乾燥域や曲率を見る
雲頂高度 赤外画像 白いほど雲頂が高い傾向
雲の厚さ・形 可視画像 昼間しか使えない
中・下層雲 赤外+可視 赤外で灰色、可視で白灰色なら中・下層雲を疑う

衛星画像問題では、1種類の画像だけで決めつけないことが重要です。

■ 選択肢の確認

項目 判定 理由
(a) Aは水蒸気画像のパターンから上・中層トラフに対応すると推定できる
(b) Bの雲域は低気圧に対応し、×印付近に地上低気圧中心があると推定できる
(c) Cは赤外画像で灰色、可視画像で白灰色のため中・下層雲と推定できる
(d) Dは低気圧へ向かう暖湿流に伴う北上する対流雲域と推定できる

■ まとめ

  • 水蒸気画像では上・中層トラフを読み取れる
  • 低気圧に伴う雲域は渦状・曲率を持つことがある
  • 赤外画像は雲頂高度の判断に役立つ
  • 可視画像は雲の厚さや形状の判断に役立つ
  • 赤外で灰色、可視で白灰色なら中・下層雲を疑う
  • 低気圧へ向かう暖湿流により対流雲域が形成されることがある

正解は⑤

この問題で必ず押さえたいこと

衛星画像解析では、

水蒸気画像:上・中層の流れ
赤外画像:雲頂高度
可視画像:雲の形や厚さ

という役割分担を理解しましょう。

特に、可視画像だけで雲の高さを判断しないことが重要です。

複数の画像を組み合わせて読む力が、専門知識の衛星画像問題では問われます。

※ 本記事では、一般財団法人 気象業務支援センターより利用許諾を受けて、気象予報士試験問題を掲載しています。
問題文の著作権は一般財団法人 気象業務支援センターに帰属します。

以上、第65回 専門知識 問8の解説でした!

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皆で最高の独学環境を作っていきましょう!